Red Fox

万里の長城に「Free Tibet」垂れ幕 自由チベット学生組織抗議活動


 エベレストでの自由チベット抗議の3ヶ月後、北京オリンピック1年前のカウントダウンの前日の2007年8月7日の朝には、『自由チベット学生組織』によって万里の長城に「自由チベット2008」の垂れ幕がかけられ、英国、米国、カナダ人メンバーが中国当局に拘束されるというハプニングが起こっています。

 その結果、垂れ幕設置を実行した米国人3名、カナダ人2名、英国人1名の6人がまず拘束され、その後この自由チベット学生組織のリーダーであるカナダ国籍チベット人のラドン・テトンさんら2名が翌日8月8日の午後に北京で拘束され、その後全員が釈放され国外退去となっています。

 ワイヤーに吊り下がって垂れ幕の設置を実行しているのはカナダ人の2人で、そのうち右側のサム・プライスさんは、6年前に中国のカナダ通商使節団に抗議行動を行い4時間拘束された後にカナダに送還されているという人物です。

(このエントリーはシリーズの2本目です。前エントリーはこちら




サム・プライスさん (カナダ)


メラニー・ローウールさん (カナダ)

Photos: greatwallaction (flickr)


 この時もやはりエベレストの時と同様に、撮影終了後に直ちに抗議活動実行の5分ぶんの実況映像がYouTubeにアップされておりカナダCTVの記事によれば中国の監視を避けるために携帯電話で撮影されライブウェブカムのネット経由でニューヨークの本部に送られ、そこからYouTubeにアップされたとの事。結局釈放される時に携帯を没収されなかったため、彼等の帰国後の8月11日に以下の高画質版がYouTubeにアップされています。


万里の長城での自由チベット抗議活動 (高画質)
Free Tibet Great Wall Banner High-Resolution
(0'58")

Posted by SFTHQ (2007.8.11)

 4月のエベレストでの抗議活動は、チベット内で初の国外の活動家によるオリンピック批判となったという事であり、その 4ヶ月後の万里の長城の垂れ幕は2時間そのままの状態だったらしく、オリンピックのカウントダウンに浮かれる北京で、中国当局にとっては面目丸つぶれの大失態となった事でしょう。

 ここで面白いのは、実際YouTubeが一般的にポピュラーになったのは2006年の夏以降で、これは本当にまだ新しいツールであり、数年前には考えられなかった方法で世界にメッセージが発信されてしまうと言う、例えば昨年春の『フェイク・オブ南京』や年末の『白豪主義オーストラリアと反捕鯨』など非常に反響の大きい動画がYouTubeに出現して物議を醸し出したりなど、文字サイトよりももっとダイレクトにメッセージが伝わり易い映像メディアを発信する手段を一般ユーザーが持ってしまった事により、当局が取り締まる前に証拠映像をネットに流してしまうというゲリラ戦法が可能になったという、中国にとっては丁度北京オリンピックに先駆ける2年ほどの間に発達したメディアによって、世界に情報が筒抜けになってしまうという何ともタイミングの悪い事態とも言えます。

 特に中華は伝統的・文化的に「体面」を異様に気にする面があり、同様に共産主義政権も体面に拘る傾向があり、更に多民族をまとめている巨大国家というこれもまた体面と秩序が崩れるのを異様に恐れれる面があるからこそ、あそこまで台湾問題に執着しているのが中国であり、要するに「体面」が中国の最大の弱点の一つではあります。

 また、携帯電話にカメラ機能が標準で付くようになったのはこの4-5年ほどの事で、動画撮影機能が付くようになったのは更に最近の事。それが若い世代中心の活動グループだからこそいとも自然に最新テクノロジー前提の活動になっている訳です。

 これらの計画は1年前から周到に準備されていたようです。

 それにしても中国も欧米の若者におちょくられていますね(笑) これが同じ事でも中国人民がやったらかなりヤバイ事になりそうですが、まずオリンピック前という時期に垂れ幕を下げたというだけの理由で米国民、英国民、カナダ国民に対して下手な事は出来ないという状況であろうし、大抵が数時間から2日で釈放されている訳で、中国の対応も随分と甘くはなっている印象です。


万里の長城の「自由チベット」抗議をカナダCBCニュースが報じる
CBC News Covers Free Tibet Protest on Great Wall
(3'12")
2007年8月7日
聞き取り・訳・字幕:Red Fox

The original was posted on YouTube on 10/15/07 by Rangzen08
http://youtube.com/watch?v=Nj-QMxmh9gA

(テキストで見る)


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エベレストに「Free Tibet」横断幕 自由チベット学生組織の抗議活動ビデオの全訳



 昨年の4月25日、パンチェン・ラマの誕生日に米国籍のチベット人を含む米国人活動家がエベレストのベースキャンプで横断幕を掲げて、北京オリンピックへの抗議を行って中国当局に拘束されたニュースはご記憶にある方も多いと思いますが、今回はビデオで語られた声明の全訳を紹介します。

 このビデオは衛星中継でニューヨークの「自由チベット学生組織」(Students for a Free Tibet, SFT) の本部に送られ、抗議の行われたその当日に最初の1分18秒分がYouTubeにアップされていますが、以下は翌日に発表された編集版で、米国籍チベット人のテンジン・ドルジ副代表の声明の1/3程度と、米国人環境問題と人権活動家のローレル・スザーリン氏の声明の一部、それから最後にチベット解放の聖火を手にチベット国歌を歌う部分までが収録されています。ここで横断幕に書かれている「One World One Dream Free Tibet 2008」は言うまでもないですが、北京オリンピックのスローガンを捩ったもの。

 この後にビデオに映っている3人と、ビデオ撮影の1人の他、同行していた1人の計5人が中国当局に55時間拘束された後、米国籍という事で釈放され国外追放となっています。

Photo: Students for a Free Tibet

自由チベット オリンピック抗議
チベット・エベレスト山 2007年4月25日
Free Tibet Olympics Protest - Mount Everest (2'12")
訳・字幕:Red Fox

The original was posted on YouTube on April 26, 2007 by Students for a Free Tibet
http://jp.youtube.com/watch?v=xfe57qES7F8


(テキストで見る)

 この7ヶ月前の2006年9月にはヒマラヤを越えてネパールへ脱出しようとしたチベット人の一団が中国の国境監視部隊に銃撃され1人が射殺される事件が起こっており、米国人とは言え中国政府を批判すれば何が起こるか分からない危険なチベットで、拘束される可能性を前提に衛星中継で画像を送るなど、それも標高5200mの薄い空気で4月の気温は氷点下という過酷な環境で、この大きさの横断幕は結構な重量になるものを薄い空気の中、8時間担いでベースキャンプまで運んだという、かなりの決死の抗議活動だった事が伺えます。

 尤も衛星中継を導入するなど、この抗議活動はかなりの組織体勢で準備周到に行われた事も分かります。


エベレストのベースキャンプでトーチを持ってチベット国歌を歌うテンジン・ドルジさん。Tシャツには「IOC、チベットを通過する聖火は要らない」と書かれている。 (Photo: Students for a Free Tibet)


横断幕を掲げるローレル・スザーリンさん (Photo: Students for a Free Tibet)


同、クリスティン・ウェストビーさん (Photo: Students for a Free Tibet)

 2分間に編集されたビデオではドルジさんの声明の半分以上がカットされていましたが、「自由チベット学生組織」のブログ上では全文が掲載されていて、その全てをMP3音声で聴く事が出来ます。

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「チベットの抗議デモは北京オリンピックを頓挫させる事が出来るか?」アルジャジーラの読者投稿欄

 チベット問題が大きなニュースになっていて世界中の英語メディアでも大きく扱われていますが、今回はそれに関連して、海外の一般の人の声が見られる読者投稿を紹介します。

 これは中東の報道ではお馴染みのアルジャジーラの英語ウェブサイトで「チベットの抗議デモは北京オリンピックを頓挫させる事が出来るか?」の質問に対していろいろな国の読者からの、現時点で100を超す投稿がされていて、そのうち3月14日から18日までの分を訳してみました。英語サイトという事もあって英米やオーストラリアなど英語圏からの投稿が大半です。

 アルジャジーラでも毎日チベットのニュースは報じていて、結構詳しく扱っています。

 ここで書かれている意見で、多くがチベットへの支持と中国への批判の声が大きいのは日本国内と同様ではありますが、一方で反米のトーンが強いのと、一部にアメリカ人の「反戦」「アンチシオニズム」「アンチ西洋」という声が見られるのは、アルジャジーラという中東のメディアという性格上、読者に「アメリカの反保守派」が集まっている傾向があるのかと思われます。それから「中国の脅威」というトーンの強い日本国内と微妙に視点が違うのが、最近のコソボ独立やアイルランド、ケベック、バスク、クルドなどヨーロッパ・中東の問題と絡めてチベット問題を見ている人達も多いという辺りでしょうか。

 中には結構トチ狂った書き込みも見られるので、世界にも随分デンパがいるのだなという感じです。それから明らかに中国の工作員か華僑らしき書き込みもちらほら見られます。でもこの方達は工夫がないというか単細胞と言うか、中華の論理が如何に国際社会からかけ離れているかを自ら代表して世界に宣伝しているようなものです。

Photo: サンフランシスコでのチベット支援者による抗議デモ (AFP)

YOUR VIEWS

チベットの抗議デモはオリンピックに影響するか?
アルジャジーラ 2008年3月14日 16:25 GMT

 ダライ・ラマは、彼が影にいるという中国の主張を否定しながらも、もし彼の故国の不穏が悪化するなら、精神的指導者から退くと表明している。彼はまた、中国の支配下で生きるチベット人に対して「どうしろこうしろ」と言う立場にない事、そしてチベットの独立は「論外」としている。

 中国側はチベットの動乱で首都のラサで中国の支配に抗議する18人の「無実」の民間人と警官一名が死亡したと発表している。中国は金曜日にビデオに映っている目撃者の写真を公開し抗議運動に対して圧力をかけている。これは過去20年近くで最大規模の暴動である。

 中国の北京オリンピックへのスムーズな準備の計画を、チベットの抗議デモが頓挫させる事が出来るか?

* 元は第一段落と第三段落だったのが、22日土曜日の時点で第一段落部分が上記第二段落に差し替えられ、現在は第二段落と第三段落部分のアップデート版となっている。

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Comments

Added: Friday, 14 March 2008, 07:39 PM Mecca time, 04:39 PM GMT

チベットの自治の権利に関して新たに議論が始められる事を望むだけである。中国人のラマを選ぶために僧侶から中国高官に置き換えた中国の政策には吐き気を覚える。これは世界で最も啓蒙的な文化であり、世界はその保存に協力する必要がある。
jackstraw23 ピッツバーグ(米国)




Added: Saturday, 15 March 2008, 10:26 AM Mecca time, 07:26 AM GMT

これらの抗議デモはオリンピックに影響は及ぼさないだろう。先週中国は異議を摘発する口実を作るために実際いわゆる「テロ攻撃」をでっち上げた。ミャンマー(ビルマ)の弾圧で世界が恐怖を表明したのに、同様の事か更に悪い事がチベットで起こっている事を世界が知らん顔しているのは非常に気分が悪い。国連による非難決議はどうなっているのか?
David ニューヨーク




Added: Saturday, 15 March 2008, 10:26 AM Mecca time, 07:26 AM GMT

そう言った筈だ (^^) コソボのケースは米国が世界を試したのだ。特にロシアと中国を。これは分離と占領への新たな戦略となる。我々はロシア、中国、インド、パキスタン、イラン、エジプト、イスラエル、イラク、ナイジェリア、ケニアなどを崩壊させる。スーパーパワーの位置に留まる事の利益は膨大で、部族間や宗教観の紛争に頭を痛める事も少なくなる。我々が世界のスーパー国家になるのだ。
Aladdin(米国)

* これはややトチ狂ったアメリカ人で、後半は居座って中国人と一騎打ち状態に



Added: Saturday, 15 March 2008, 10:26 AM Mecca time, 07:26 AM GMT

今週の抗議デモの波は、ダライラマが亡命した1959年の蜂起失敗の49周年である。今回僧侶達はこの機会を利用して自由を得るために中国の指導者に対してプレッシャーを与えたいと考えている。中国政府はジレンマに陥っている。彼等はオリンピックの5ヶ月前に流血事件を起こしたいと考えている筈がない。一方で彼等は僧侶やその他の抗議デモ参加者に、更なる不穏の引き金とされるような恐怖を与えたいと思っている筈がない。
eros アムステルダム(オランダ)




Added: Saturday, 15 March 2008, 10:26 AM Mecca time, 07:26 AM GMT

チベットの広大な土地と長期に渡る支配から、中国がチベットを手放す現実的な理由などありそうにない。オリンピックに関連して多くの事が予想可能で連動している。この衝撃の結果はまだ分からないが。実際世界は現状維持を数十年も容認しており、今議論を始めるのは現実的ではない。バスク人、クルド人、チベット人がいつか自治を持つ事を願っている。
Onix ツートフェン(オランダ)




Added: Saturday, 15 March 2008, 10:26 AM Mecca time, 07:26 AM GMT

更に状況が悪くならない事を願っている。チベットの分離は中国にとっては論外なのである。これはさしずめ米国内で活動家がカリフォルニアの分離独立を画策して革命を起こすようなケースに対する米国の反応と同様であろう。この運動は中国の政治的にデリケートな時期に中国に恥をかかせるように西側が仕組んだものである事に疑いの余地はない。

  1. チベットの分離は中国にとっては論外であり、西側が大規模に仕組んだものである。
  2. 中国はこのような侮辱を忘れる事はなく将来の西側との関係に影響を及ぼすであろう。
  3. 西側は中国やセルビア内の分離運動を支援し、カナダとスペインではそれを拒絶している。これは矛盾しており、正当化出来るものではない。
  4. チベット人は独立よりも中国の一部であった方が彼等のためにはいい。中国は彼等のより豊な暮らしを画策している。
  5. 自由?米国内の人々は自由に独立出来るのか?
  6. 中国はユーゴスラヴィアやイラクがかつてそうだったように共産主義である。---この背後にはCIAがいる。
Real McCoy ホープ(カナダ)

* これはまるで北朝鮮のような論調で恰も中国政府を代弁するような事を書いているので、中国共産党関係者の投稿の可能性もあり。



Added: Saturday, 15 March 2008, 10:26 AM Mecca time, 07:26 AM GMT

そのように願う。チベットに対する中国の軍事力は公正ではないと思う。だからオリンピックのショーは、世界に対していい顔を見せるための作り話であって、恐怖の現実を覆い隠すカモフラージュに過ぎない。チベットは中国の土地ではない。しかし彼等はチベットがオリンピックに影を落とさない位静かである事を望むのだ。

中国の軍事力は不当で残虐で、彼等は全てを支配出来ると信じている。彼等が常に歴史を書き直し続けようとも、彼等が自由を支配する事は出来ない・・・彼等の環境汚染に対する姿勢と同様に、単にオリンピックのためにチベットをシャットダウンするだけだ。彼等は歴史を書き直す事が出来ても、現実を変える事は出来ない。アメリカの力のように...力を持ち過ぎるといかれて来るのだ。
spinin リスボン(ポルトガル)




Added: Saturday, 15 March 2008, 10:26 AM Mecca time, 07:26 AM GMT

仏教は平和の表象である。その他のイデオロギーと対照的に、それは「征服のイデオロギー」ではない。仏教徒は非暴力によって違いを決着すると信じ、暴力には訴えない。中国植民主義侵略者は暴力を信じ、暴力に訴える。
Steve ブリュッセル(ベルギー)

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中国の「太平洋分割管理」案 海外での報道は?

 昨年の8月17日にワシントン・タイムズ紙が、中国海軍高官が米太平洋軍のキーティング総司令官に対して「太平洋を東西に分割して管理しないか」と持ちかけたというニュースの記事を、当ブログで全訳を紹介した事がありましたが、最近そのニュースが公式なものになり、ここ数日日本のメディアで報じられ話題になっているので、この話題を再び扱ってみます。

 昨年8月にワシントンタイムズが報じた時点では、ポール・ヘスター太平洋空軍司令官がハワイから電話による取材で答えたという形であって、キーティング総司令官自身の言葉ではなかった点や、ソースがワシントンタイムズ一紙のみだったため、信憑性という点ではその時点では若干クエスチョンはあった訳で、今回キーティング総司令官が米議会上院軍事委員会の公聴会で証言した事から、このニュースの信憑性に決定的に裏付けがされたという事になります。

 また、「太平洋分割」に関しては、ワシントンタイムズの記事以前にも、以下の2007年7月24日のキーティング総司令官の記者会見の記録に似たような記述が見られるのは以前から確認していました。これは2007年3月に太平洋軍総司令官に就任したキーティング氏が同年5月に中国を初訪問した時の様子を語ったもので、この会見録は駐香港マカオ米国領事館のウェブサイトに掲載されています。

2007年5月、中国を訪問して北京空港で銭麗華将軍と面会するキーティング総司令官。(VOA Photo)



米国の対中関係 (2007)
米太平洋軍総司令官、ティモシー・J・キーティング海軍大将の会見
2007年7月24日 (火)
戦略国際問題センター(ワシントンDC)

(抜粋)
 我々が会った人民解放軍の幹部達は、中国が航空母艦を開発していると言っていました。我々は空母の開発に関して興味深い議論をしました。我々のうち数人は空母開発に関して詳しくない訳ではなかったので。私はアーキー・マニーで空母からの離発着は何度も経験していますが、それを彼等に話してノックアウトしました。それは見た目ほど簡単ではないのです(笑い)

 それは習得するのが難しい技術で時間のかかるものです。高費用で時間のかかる熟練が求められ危険な任務です。彼等はそれを理解し、米国こそが空母を開発する権利を持っているとそう言いました。

 彼等は、目に見える際立った形で国家の決断を示すシグナルとは、空母を港に入れる事以上にないと言いました。それは彼等が海軍に関する独自の見方を持っている訳ですが、それに関して彼等と議論するのは難しいです。

 また彼らは、エイブラハム・リンカーン空母が先ほど述べた津波の救援活動、人道援助、および災害救助でどれくらい有能であるかを指摘し、彼らは人道目的のために航空母艦を使用しても良いと言っています。

 我々の中国人ゲストは「太平洋の東を米国が、西を中国が面倒を見ると言う協力体制を持つのはどうか」と言いました(笑い)

 まあこんな事は馬鹿げた考えであると言わざるを得ませんが(笑い)(後略)

訳:Red Fox

 ここでは冗談めかして言っていたのが、8月のワシントンタイムズの記事のヘスター司令官のインタビューではもっとシリアスなニュアンスになっていて、そして今回の正式発表という流れになっています。


 ところで、この「太平洋分割」のニュースが日本で報じられたのは、昨年8月の時点では産經新聞のみだったのが、今回はいち早く共同通信とNHKが報じ、それに続いて朝日新聞、読売新聞、産經新聞と、日本の大手メディアが揃って報じているので、前回とは大分様子が違います。

日本のメディアの報道状況
太平洋の分割管理“提案” 中国海軍が米司令官に (共同通信 2008年3月12日 10:16) [魚拓]
中国 太平洋分割管理打診 (NHK 2008年3月12日 14:28) [転載]
ハワイから西は中国、東は米で? 中国軍幹部が提案 (朝日新聞 2008年3月12日 18:58) [魚拓]
中国海軍高官、太平洋の東西分割管理を米に「私的提案」(読売新聞 2008年3月12日 21:58)
中国、露骨な野心「太平洋分割管理」提案 (産經新聞 2008年3月12日 23:05) [魚拓]


 しかし、今回のキーティング総司令官の公聴会証言を報じている海外の英文ニュースは、日本の報道状況とはまた内容が違い、AP通信やロイター通信、AFP通信など欧米メディアは中国の二桁の軍事拡張に関する懸念と台湾問題に関しての記事ばかりで、「太平洋分割」に関して報じているメディアが全くなく、報道自体がAP通信やロイターなどの記事配信メディアに限られており、キーティング司令官の証言のニュースの扱い自体が大きくはないようです。


英語メディアの報道状況
米太平洋軍総司令官が中国の軍事費への懸念を表明 (AP通信 2008年3月11日) [魚拓]
米軍が中国の野望に対して「限られた」理解しかない事を認める (AFP通信 2008年3月11日) [魚拓]
米軍高官が中国への懸念を示す (ロイター通信 2008年3月11日 15:13) [魚拓 1 2]
米中のホットラインが関係の次のステップ (スター&ストライプ 2008年3月12日 10:16) [魚拓]
中国の軍拡が懸念を生み出す:米太平洋司令官 (台湾中央広播電台 2008年3月12日) [魚拓]


 つまりこの「太平洋分割」に関して報じているのは日本メディアばかりで、欧米メディアが気にしているのはむしろ中国の軍拡そのものと台湾問題という事になります。

 日本の一連の報道の元ネタになったのは恐らく以下の、香港マカオ米領事館のウェブサイトに12日付けで掲載された米軍広報記事ではないかと思われます。ここには太平洋分割案に関する記述があります。


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「公教育での英語教育をどうするべきか?」清廉会座談会へのコメント

 去る3月5日に、清廉会の座談会に参加しました。これはメッセンジャーでのリアルタイムのグループ討論を基に、細切れになったり順番が入り乱れている会話をある程度整理したものが清廉会のブログに毎回掲載されています。

 今回はテーマが『英語教育』という事で私にも声がかかったのだと思いますが、実際問題そこで議論されていた事は、私が実体験や身近な人の例などで大半が答えられるトピックでありましたが、私の場合は自己主張や思想ではなく単なる実体験であって、実体験に対する異論も反論も必要ないので、議論本体自体は私を入れないでやって頂いた方がいいと思い、取り合えず傍観に徹する事にしました。その代わりそこで出たトピックに関する私の解答をブログでまとめる事にしました。

 まず元の座談会に目を通して頂ければ、このエントリーで書いている事が伝わり易いと思います。


清廉会ブログ
公教育での英語教育をどうするべきか? (2008.3.8 14:49)
Photo: Scientific Movement



外国語教育によって日本人として不完全な日本人になる恐れ(織原さん)
英語の早期教育による「英語脳」によって日本語力に支障をきたす問題(耕さん)
英語を義務教育でやる=日本語の教育がおろそかになるという図式は推測に過ぎない(祥平さん)

 世界には多民族多言語の国は沢山あって、バイリンガルやトリリンガルなどはざらにいる訳ではありますが、その多くは植民地支配によって民族の文化がかなり失われている国や、アメリカ大陸のように移民後の多民族の融合が基礎になっている国、東欧のように多民族の民族移動や戦乱などで国境が変わり続けたなど、日本とは歴史状況がかなり異なる場合が多く、更に日本は地理的に海に囲まれた極東の天然の要塞であるからこそ奇跡的にほぼ無傷に文化が保てたという事情を考えた場合、日本らしさ、日本人らしさと言うのはルクセンブルクのようなバイリンガルでもトリリンガル文化でもないという考え方は、これは理解出来ます。

 例えばフィリピンでは学校教育の授業の半分がタガログ語、半分が英語で行われているため、こういう教育システムを実践すれば国民全体の英語レベルが高くなるのは当たり前の話ですが、スペインとアメリカの支配によってどれだけフィリピンの文化が失われているかを考えれば、日本と同列には語れない訳です。ベトナムもフランスの植民地支配によって漢字を捨てています。

 アメリカでよく見かけるのが、幼児期に移民したバイリンガルや、両親祖父母の出身国が異なり3−4カ国語を話す移民2世3世ですが、ここら辺の人達が抱えている問題は、まともに使える言語が一つもないという状況に陥り易いという点です。

 例えば日系二世の場合は幼児期は親に日本語で育てられ、学校に通い始めてから英語を覚えるため、まず英語がハンデの状態で学校が始まり、それ以降は英語環境になるため日本人学校に通って努力したとしても、日本語で受験勉強をする訳でもなし、子供レベル以上の日本語にはなりません。

 この問題は、最低一つはまともに使える言語がないと、レベルの低い理解度の言語しか持っていない人は学ぶ事すら出来ないという状態になり、思考力の不充実を招く危険性があります。

 つまり英語早期教育を取り入れるにしても、日本語教育の充実が最低条件になるというのは当然の話だと思います。


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内田裕也政見放送 全文聞き取り


 内田裕也氏が1991年の東京都知事選に立候補して、NHKの政見放送でプレスリーのヒット曲『今夜は一人かい?』などを歌い英語で演説をしたのは今は伝説となっていますが、この時の政見放送の映像が1年半ほど前にYouTubeにアップされ、未だにコメントが付き続けるほど根強い人気があるビデオファイルで、今回はその英文全文と全訳を紹介します。この政見放送を取り上げているブログは結構ありますが、全文聞き取りをやった所はまだないようです(笑)。

 ネットの掲示板などで時々見かけるのが、この政見放送で内田氏が一体何を話していたのかという質問です。実際内田氏はそこまで難しい表現は使っていないし、発音も聞き取り易いので、素で聴いても何を話しているのかは分かり易いと思いますが、文法的に混乱していて時々頓珍漢な意味になっていたりなど細かい所を突っ込めばいろいろあるにはあります。

 この都知事選は、アントニオ猪木氏が出馬を取りやめた事がきっかけで告示の2日前の1991年3月16日に内田裕也氏が出馬を決めたといういきさつだそうですが、結果として54654票という、政党推薦を除く無所属候補としてはトップの票数を獲得したとの事です。

 演説内容としては、最初にジョン・レノンの『Power to the People』とプレスリーのヒット曲『Are You Lonesome Tonight?』を歌詞を間違えながら歌った後、海外への渡航歴や東京の音楽の流行の変遷など、都知事選とは関係のない脈略のない話が英語で延々と続いた後、日本語で『コミック雑誌なんかいらない』を歌って終わりという、何だかよく分からない政見放送です。

Poster: UchidaYuya.com

内田裕也政見放送「完全版」 (5'57")

Posted by joe666yamanaka (YouTube 2006.5.17)

Power to the People (1971)
(John Lennon)
Power to the people, power to the people, power to the people.

I like to tell something.
パワー・トゥ・ザ・ピープル
(ジョン・レノン)
人々に力を、人々に力を、人々に力を

何かを言うのが好きだ。
Are You Lonesome Tonight? (1926)
(words & music by Roy Turk and Lou Handman)
Are you lonesome tonight,
do you miss me tonight?
Are you sorry we drifted apart?
Do the chairs in your parlor
seem empty and bare?

Do the gaze at your doorstep
and picture me there?
Is your heart filled with pain,
shall I come back again?
Tell me dear, are you lonesome tonight?
Lu lu lu...
今夜は一人かい? [抹消線は歌詞を間違えている部分]
(詞・曲:ロイ・ターク&ルー・ハンドマン)
今夜は一人ぼっちかい? 
僕がいなくて寂しいか?
別れてしまった事を後悔しているか?
居間の2つの椅子には
誰も座らないのか?

戸口の階段を見つめて
そこに僕がいる事を思い描くのか?
心が痛むのか? 
僕は戻るべきか?
教えてくれ、今夜は独りぼっちかい?
Lu lu lu...
Ladies and gentlemen, tut, my name is Yuya Uchida, tut. I was born in Kobe, 1999...tut! The time was after second war, it's the Japan was fucking confusing, and I was confusing too. 皆さん・・・チュッ、私の名前は内田裕也です・・・チュッ。私は1999年に神戸で生まれました...チュッ! 二番目の戦争の後の時代で、それはその日本は糞みたいに混乱していて、そしてまた私は混乱した人でした。
There was suddenly, I was coming to the big Tokyo City, with my rock 'n' roll guitar together. そこには突然、私のロックンロール・ギターを持って私は大きな東京シティに来る予定でした。
I was playing, uh, Nichigeki Western Carnival with my band together. And step by step, and time was changing. 私はバンドを引っ括めて、あー、「ニチゲキ西部謝肉祭」演奏をしていました。そして段々、そして時間が変化していました。
*「日劇ウェスタンカーニバル」は英語にするとやや妙な意味になる
And, I went to uh..., tut, Paris, and Vienna, and Madrid, and Nuremberg, and Munich, then back to Paris. Then I was staying in Paris only six months. そして、私は、あー・・・チュッ、パリ、ウィーン、そしてマドリード、そしてニュルンベルク、そしてミュンヘンに行って、それからまたパリ。それから私はパリにたったの6ヶ月滞在していました。
But I can speak very well, French, for example, [speaking French], tut... Pardon. しかし私はとても良く話せます、フランス語、例えば、[フランス語で話す] チュッ...失礼。
Then back to Tokyo City. The time was, once again changing, and rock 'n' roll story were changing too. The time was coming, uh, Rolling Stones, and Beatles, and (King) Crimson, Pink Floyd, Jefferson Starship, etc..., and Frank Zappa too. それからまた東京シティ。その時代はもう一度変わっていて、そしてロックンロール物語も変わっていました。その時間が来ていて、あー、ローリング・ストーンズ、あとビートルズ、あとクリムゾン、ピンクフロイド、ジェファーソン・スターシップなど・・・それからフランク・ザッパも。
Then I made a band called Flowers. And uh... tut, playing with Joe Yamanake, and uh after the creation, we went to uh, Canada, and we live in Tronto years and a half, and back to New York City...tut. それから私はフラワーズと呼ばれるバンドを作りました。そして、あー・・・チュッ、ジョー山中さんと一緒に演奏して、あーそしてその創造の後、私達は、あー、カナダに行って、それからトロントに数年半住んでいる、そしてまたニューヨ−クシティ・・・チュッ。
Then back to Tokyo City again, but time was folk type music was very popular in whole world, for example, like Blowin' In the Wind, look like Japanese, ah no, uh, so many musicians were playing, then rock 'n' roll is over. それからまたもう一度東京シティ、しかし時間は民俗 (フォーク) タイプ音楽が世界的にとてもポピュラーで、例えば『風に吹かれて』、日本の..みたいな、いや、あー、それで多くのミュージシャンが演奏していて、それで今やロックンロールは終わっています。
Once again time was changing, I make a new band called uh...tut, Paris Texas, now I'm playing only rock 'n' roll. 時代はもう一度変わっていて、私は、あー・・・チュッ、「パリ・テキサス」と呼ばれるバンドを作ります。今は私はロックンロールだけを演奏しています。
Suddenly, uh, Tokyo Governor's election was coming. Now famous pro-wrestler, I was respect him, but he can't do it. 突然、あー、東京都知事選が来ていました。今有名なプロレスラー、私は彼の尊敬でしたが、彼はそれが出来ません。
Ladies and gentleman, I'm just only a rock 'n' roll. But I have my passion, I have my heart, I have my justice. I don't have no idea but I have my rock 'n' roll story. Please listen. 皆さん、私は一つのロックンロールに過ぎません。しかし私には情熱があって、私には心があって、私は自分の正義を持っています。分からないが無いですが、私はロックンロール物語を持っています。聴いて下さい。
No More Comics (1986)
(Pantax's world)
コミック雑誌なんかいらない
(Pantax's world)
Love and peace Tokyo, rock 'n' roll, thank you.  愛と平和、東京、ロックンロール、ありがとうございました。
Red Fox (聞き取り・訳)

 とまあこんな感じで、主に冠詞、受け身と進行形や動詞と形容詞の混乱、間投詞多用などで意味が変になってる箇所や、彼独自の表現などで何となく不思議な英語になっている部分がありますが、それでも何を言わんとしているかは大体分かります。

 文法的に頓珍漢な部分があるにせよ、全体的には発音も明瞭であり言いたい事はほぼ伝わるので、コミュニケーションとしての実用英語としてちょっとした短期留学生よりかは流暢というか度胸がありますね。このビデオをアメリカ人に見せたところ「分かり易いし結構上手いじゃない」と言っていましたが、むしろ「何でこれが政見放送か」という事でウケていました。

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