Red Fox

「チベット自由の聖火」がオリンピアを走る

 3月24日に北京オリンピックの聖火の灯火式がギリシャのオリンピア遺跡で行われましたが、その2週間前の3月10日の「1959年チベット蜂起記念日」にもう一つの聖火、「チベット自由の聖火」(Tibetan Freedom Torch) の灯火式がオリンピアで行われた話題を取り上げてみます。

 これは世界各地の自由チベット学生組織 (SFT) を中心に各国のチベット人組織や支援団体が主催している世界規模のイベントで、世界各地の50都市を5ヶ月かけて経由して、北京オリンピックの開会式の8月8日にインド側からチベット国境に到達するという計画です。

 既にイタリア、ハンガリー、ドイツを経由し、それからロンドンとパリ、サンフランシスコ、インドのデリーは北京聖火と同じ日にかち合わせというのが既に経由済みで、その後はオランダ、スイス、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、カナダ、米国東部、メキシコ、ウルグアイ、オーストラリア、ニュージーランド、台湾を経てインド経由でチベット到達という予定で、残念ながら日本はルートに含まれていません。

 これは日本では殆ど話題になっていないようですが、3月10日の灯火式の様子は以下のロイター通信のビデオニュースと記事で見る事が出来ます。

写真:「チベット自由の聖火」を持つチベット砲丸投げのツルトリム・ゴペ選手 (tibetanfreedomtorch.org)

(このエントリーはシリーズの4本目です。最初のエントリーはこちら


チベット聖火リレーがギリシャでスタート (ロイター通信)
Torch Relay Launched in Greece (Reuters)
(2'00")
2008年3月10日
訳・字幕:Red Fox

The original was posted on YouTube on 3/13/08 by Wangpo1
http://youtube.com/watch?v=iDdyDJWMv8c

(テキストで見る)


北京オリンピックに対抗してチベット人が聖火リレーをスタートさせる
ロイター通信 2008年3月10日 5:29 EDT


2008年3月9日、台北でデモ行進でダライ・ラマの写真のプラカードを掲げる活動家。月曜日にチベット人活動家は、ヒマラヤ地域を数十年にわたって支配している中国へ抗議する聖火リレーの灯火式をオリンピアの外で行った。 (REUTERS/Nicky Loh)
 【オリンピア:ロイター】チベット活動家が月曜日、中国の数十年に亘るヒマラヤ地域の支配に抗議する聖火リレーのための灯火式をオリンピアの外で行った。古代オリンピックの地であるオリンピアで3月24日に北京オリンピックの公式な灯火式が行われる。

 ヨーロッパのチベット人青年会のテンドン・ダホーツァンさんはロイター通信の取材に対し「自由チベットのための聖火は私達にとってとても重要であり、今日それに火を灯しました」と語った。

 約10人のグループはオリンピアのゲート内部に立ち入るのを警察に阻止され、ゲートの外側で灯火が行われた。

 女神を表す五人の女性がチベット伝統の儀式を行った後に、チベット人の砲丸投げ選手のツルトリム・ゴペさんは聖火リレーの第一走者としてトーチを受け取った。

 テンドン・ダホーツァンさんは「これは中国の国家権力が広い範囲に及んでいる事の証拠です。ギリシャ当局は私達の大きなバッグを理由に私達の立ち入りを禁じると言いましたが、複数の中国大使館員が近くに立って私達を見ていました」と証言した。

 「チベット自由聖火」と呼ばれるものは、50以上の都市を経由し、北京オリンピックの始まる8月8日にチベット国境に到達する。

 1936年のベルリンオリンピック以来灯火式がオリンピアで行われている。

 チベットオリンピック委員会のスポークスマンのケルサン・ゴペさんは「警察の存在は巨大で、ホテルに帰る時すらも私達に同行していますが、オリンピアの人々はメインストリート上で私達に拍手や声援を送ってくれました」と語った。

 1950年に人民解放軍がチベットを占領して以来中国はチベットを実効支配しており、チベットを内政問題とみなしている。

 中国がチベットの宗教、特にダライ・ラマへの尊敬を抑圧している事を多くの政治評論家が批判をしている。ダライ・ラマは亡命した精神的指導者で1989年にノーベル賞を受賞している。

 中国はヒマラヤ地域を開発するのに何十億ドルを使い、人々の生活水準を高めたと主張しており、8月のオリンピックを政治問題したくないと繰り返し主張している。

 中国の人権問題への批判がオリンピック前の6ヶ月間で急激に高まった事は、国際オリンピック委員会にプレッシャーを与えている。

 IOCは北京オリンピックにチベット代表チームが参加する事を拒否している。チベットチームには現在30人の亡命チベット人の陸上選手が参加している。

記事:カルロス・グローマン(アテネ)
編集:マイラ・マクドナルド

Grohmann, Karolos; editing by Myra MacDonald. Tibetans start torch relay to oppose Beijing Games. Reuters, Mar 10, 2008 5:29am EDT. [魚拓]
訳:Red Fox


ギリシャの私服警官から聖火を奪われそうになり揉み合いになる (tibetanfreedomtorch.org)
 この「チベット自由の聖火」の企画は、世界各国の亡命チベット人の選手からなる「チーム・チベット」の五輪出場をIOCに要請して断られた事から、それに対する抗議として北京聖火にぶつける形でのチベット聖火である点、それから北京聖火の灯火式の2週間前が、チベットの蜂起記念日である点から、3月10日にスタートする事になったようです。

 さて、ロイターのビデオニュースでは「ギリシャ警察が介入してオリンピアの外で灯火式が行われていた」となっていますが、記事の方ではそこに複数の中国大使館員がいたとの証言が出ています。現場にいたチベット人側によれば中国大使館員など中国当局関係者が20人近くいたとの証言が出ています。

 「チベット自由の聖火」の灯火式が遺跡内部で行われるのがオリンピアの地元警察に許可されず、それで遺跡の外で行われたという話なら、例えば遺跡保護の観点などなら理解出来ますが、しかしそこに中国大使館員がうろうろしてるとなると、かなり意味合いが違って来ます。

 その灯火式の様子は、ギリシャ人ジャーナリストのマルコルム・ブラバント氏が取材して撮影したビデオで一部始終が見られますが、実際そこに中国当局関係者らしき人物がうろうろしている様子、灯火式自体が警察に中断させられている様子が映されています。

オリンピアでの「チベット自由の聖火」の灯火式をギリシャ警察が妨害
Greek police break up Tibetans' Olympia torch ceremony
(9'29")
2008年3月10日
訳・字幕:Red Fox

The original was posted on YouTube on 3/10/08 by Brabantfeatures
http://youtube.com/watch?v=hirfIaVm0bM

(テキストで見る)
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