Red Fox

『20/20』の報道を受け、議員が人体展への徹底調査を議会に要求

 『人体の不思議展』に関する不透明な死体入手ルートと、中国の死刑囚の人体闇市場に関するABCニュースの報道に関する第四弾は、前エントリーで紹介した、中国の死刑囚の死体が米国の展示に出回っているとの中国の死体ビジネスの関係者の証言を載せた記事と、呉弘達氏のインタビュー記事の5日後の2月20日に報道された、米国の各州の議員がプレミア・エキシビション社の人体展『Bodies... the Exhibition』への徹底調査を議会に要求しているとの記事と、その前日に出た中国の人権問題を扱うNGO団体の『正義中国国際連盟』の記事を紹介します。

 まずABCニュースの記事ですが、これは新聞報道なので既に報じられた記事からの既出の重複情報も幾らかは含まれていますが、後半で言及されているペンシルバニア州ピッツバーグのカーネギー科学センターは、2007年10月から今年の5月にかけてプレミア社の『Bodies... the Exhibition』を主催した博物館で、ABCニュースの報道がされた時点で人体展を行っていた訳ですが、ABCの報道以降この時期にアメリカの地元メディアでも随分とABCニュースの番組に関する記事が書かれています。



『20/20』の報道を受け、複数の議員が人体展への徹底調査を議会に要求
ニュージャージー州の議員が米国司法長官に調査を要請
アンナ・シェクター
ABCニュース 2008年2月20日


『20/20』の報道を受けて議員らは、米国を縦断した展覧会に展示される人体の闇市場に対する厳密調査を議会に要請している。
(ABC News)
 『20/20』の報道を受けて議員らは、米国を縦断した展覧会に展示される人体の闇市場に対する厳密調査を議会に要請している。

 クリストファー・スミス議員(ニュージャージー州)は、プレミア・エキシビション社の展示における、「プラスティネーション」という処理によってシリコンに浸けられプラスチック化した中国からの「引取人のない」死体に言及し、「処刑や拷問の痕跡が認められる」と述べた。

 長年の間中国の人権問題に取り組んで来たスミス議員は、「注意を払うべき問題がある。特に囚人の処刑と人命尊重の欠落した全体主義の独裁から来る問題である」と語った。

 スミス議員は海外問題委員会に対し議会公聴会を正式に要請するとし、「早急に (展示会の) 一時停止処置が必要であり、これは何かが非常に間違っている」と述べた。彼は米国司法長官に対し、展示会に出されている人体がどのように入手されたかの調査を促す書簡を作成中との事。


 ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ検事総長は既に徹底調査を始めており、プレミア・エキシビション社側は調査に完全協力をすると表明している。プレミア社のブライアン・ウェインガー代表弁護人は「バイアスのない方法において事実が事実を明らかにする事を可能にする徹底的な調査を楽しみにしている」との声明を発表した。

 プレミア社は展示に死刑囚の死体を用いてはいないと主張、教育と研究目的のための引取人のない死体を使う事は米国と中国の両国で普通の事であるとしている。

 プレミア・エキシビション社のアニー・ゲラー代表はABCニュースに対し、中国人の提供業者から入手した死体の一部が死刑囚のものである可能性があると聞いてぞっとしたと語った。

 ゲラー代表は、彼の医療スタッフがそのような証拠を見た事はなく、その取引業者が「大連医科大学を通過した人体はすべて合法的で引取人のないもの」と保証したと主張している。

 スミス氏は、展示会の死体には第三者の専門家チームによる身元の確認を義務づける法案を作成中だという。


 今月初めにはカリフォルニア州下院で、展示に用いられる人体のそれぞれの身元の説明を展示主催者に義務づけるという似たような法案が通過し、3月には上院で審議される。

 法案を提唱したフィオナ・マ (馬世雲) 議員 (サンフランシスコ) は、『20/20』による報道以来メールや電話が殺到していると語った。

 マ議員は「人々はこのような事が起こっている事に対して怒りを持っているが、責任逃れの返答しかない」と述べ、金曜日以来様々なウェブサイトにこの問題をポストした大人数のブロガーの動向を彼女のスタッフがチェックしていると付け加えた。


 議員達が人体展の規制の準備に取りかかっているが、多くの博物館センターはプレミア・エキシビション社とその人体ショー『Bodies...the Exhibition』(人体... 展示) の側に付いている。

 『20/20』の報道の後、カーネギー科学センターは、ピッツバーグに『Bodies... The Exhibition』を誘致したその役割を誇り、人体展に関して「強力な教育的経験である事に疑う余地はない」との声明を発表している。

 カーネギー科学センターの博物館は、「20/20の報道において信用に価する新たな情報は何もない」とし、「視聴率の調査期間に視聴者を誘導するためにセンセーショナルに演出された」報道であると付け加えた。


 カーネギー科学センターが『Bodies... the Exhibition』の展示を決めた時に辞職した元職員は、『20/20』の報道以降のここ数日の間に圧倒的なサポートを得たと語った。

 カーネギー科学センターの元科学教育コーディネーターのエレイン・キャッツ氏は、博物館が人体展を開催する事をモラル的見地から止めさせるように試みたと語った。

 彼女は2007年6月に辞職し、中国から来た引取人のない人体を展示に用いる事の倫理的問題に対する一般からの疑問に応えるためのオンラインの『バーチャル・ピケ隊員』を始めた。

 ABCニュースの報道以来、彼女のウェブサイト『人体展へのバーチャル抗議サイト』(Anti-BODIES Virtual Protest Site) のアクセス数は爆発的に増え、現在は200人を越す『Bodies...the Exhibition』ショーのバーチャルピケ隊員がいると言う。

訳:Red Fox (原文:英語)

 さて、関連記事として『正義中国国際連盟』(International Federation for Justice in China) の李天笑氏の記事に興味深い記述があります。ここではプラスティネーションの創始者のハーゲンス氏の元助手であった隋鴻錦氏が、プレミア社の『Bodies... Exhibition』を事実上取り仕切っている人物である点、死体標本には何ら証明書類が存在しない点、そしてハーゲンス氏の『Body World』では弾痕のある人体標本を展示から回収した事がある点などが書かれています。

 『正義中国国際連盟』はパリに本拠地を置く中国の人権問題を扱う、国際連合人権高等弁務官事務所、アムネスティ・インターナショナル、人権の聖火リレー、法輪功人権などと提携しているNPO団体です。

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中国人人権活動家が人体展示に関して深刻な問題を提起する

 『人体展』に関する不透明な死体入手ルートと、中国の死刑囚の人体闇市場に関するABCニュースの報道に関する第三弾は、前エントリーで紹介した、中国の死刑囚の死体が米国の展示に出回っているとの中国の死体ビジネスの関係者の証言を載せた記事の同日の2月15日に報道された人権活動家の呉弘達氏を取材した記事と、前エントリーで一部紹介した反共サイト『観察』に掲載された呉弘達氏による記事の大部分を紹介します。

 呉弘達 (ハリー・ウー) 氏は労改研究基金のディレクターで、自身もスパイ容疑で19年間労働改造所 (労改) で拘束生活を送り、1980年代に米国に渡って米国籍になった、中国の強制労働を中心に調査研究する人権活動家です。呉氏は今年の6月には米国議会と中国研究機関の「中国に関する議会政府委員会」で中国の労働改造所に関する証言を行っています。


中国人の人権活動家が人体展示に関して深刻な問題を提起する
米国政府が調査を開始するべきと主張
アンナ・シェクター
ABCニュース 2008年2月15日


長年人権活動を行っている呉弘達氏は労改研究基金のディレクターを勤める。呉氏は米国の企業が「引取人のいない」中国人の人体を全国を展示してまわっている事に怒りをあらわにする
(ABC News)
 プラスチック化した人体の展示会は一部の人々にはぞっとするような代物で、一部の人々はそれを教育的と考えている。しかし長年人権活動を行っている呉弘達氏は米国の企業が「引取人のいない」中国人の人体を全国を展示してまわっている事に怒りをあらわにする。

 中国での人権蹂躙の研究を行う労改研究基金のディレクターを勤める呉氏は「これは全く間違っている」と述べた。

 呉氏はプレミア・エキシビション社の人体展『BODIES ... The Exhibitions』で用いられている人体の出所がどこであるのかの問題に深刻な疑問を投げかけ、米国政府が調査を開始すべきであると主張した。

 呉氏は「中国は世界中のどの国よりも多くの死刑を執行している」と延べ、彼の研究において最もフラストレーションのたまる障害は、中国での死刑執行の数の情報が殆ど入手出来ない事であると付け加えた。「一体どれだけの執行があったのかを正確に知る事は出来ない」

 アムネスティ・インターナショナル (AI) は2006年の公開レポートにおいて、死刑執行1010名と死刑判決2790名と推定している。実際の数は更に多いとAIは見ている。

 プレミア社のアーニー・ゲラー代表はABCニュースに対し、全ての「引取人のいない」死体は自然死した人々のもので、死刑囚の死体の使用に関して強く否定をした。

 ゲラー氏は「これらは全て合法的であり、引取人のいない死体は大連医科大学からプラスティネーション研究室に送られ、私達はそこから受け取った」と述べた。

 ゲラー氏は、もし展示会の死体に死刑囚が含まれているという証拠が認められる場合、それらを直ちに展示から取り除き、中国国内の人体供給業者とは縁を切ると述べた。

 呉氏は、人体ショーに対して疑問の声を上げる事は、囚人の処刑、強制堕胎や少数民族迫害などの中国での人権蹂躙の問題への関心を集める事に繋がると語った。

 呉氏は中国共産党を批判した事で中国で19年間投獄され、1980年代に解放されて以来中国の刑務所システムの研究を行っている。

 1990年代後半には呉氏は、死刑囚からの臓器収穫に関するABCニュースの『プライムタイム・ライブ』の調査に協力し、それが死刑囚の臓器売買に米国政府がレーダーを広げた最初となった。

 呉氏は「私は刑務所で殺されたかもしれなかったところを生き残った。中国の基本的人権のために我々は闘い続けなければならない」と語った。

訳:Red Fox (原文:英語)

 上記の記事に関連して、以下は以前に当ブログでも取り上げた事のある、博訊新聞に読者投稿された中国の死刑執行写真をABCニュースが紹介していますが、これらの写真はここでは労改研究基金からの提供と表示されています。写真のしみなどが博訊新聞掲載のものと全く同一なのでソースは同一と見られますが、いずれにしてもこれらの写真を西側の大手メディアが掲載したのは恐らくこれが初めてではないかと思われます。

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ニューヨーク州検察と中国当局が人体闇市場の調査を開始

 『人体展』に関する不透明な死体入手ルートと、中国の死刑囚の人体闇市場に関するABCニュースの報道に関する第二弾は、前エントリーで紹介した『人体展』に関する記事の翌日の2月15日に報道された記事を紹介します。

 この日の報道で言及されているのは、中国から発送された人体標本が間違えて一般家庭に送りつけられた事件を機にABCニュースの調査が始まり、その報道の流れを受けてニューヨーク州検事総長と中国当局が正式に調査を開始した点、死体取引ビジネスの関係者が匿名を条件に死体取引現場の写真を提供し、そこで取引されている死体が明らかに銃殺後間もない死体である件、そしてその闇市場から米国での展示に人体が提供されているという証言を行った件です。

 また人体展を主催するプレミア・エキシビション社が、人体は中国の大連医科大学の研究室から入手していると公表、大連医科大学はその疑惑を否定するも、ABCニュースは大連医科大学からプレミア・エキシビションへの死体ルートを突き止め、その系列の人体工場に隠しカメラを持って潜入するなど随分と大掛かりな取材を行っています。

 ABCニュースの入手した取引明細によれば、これらの死体は医学教育目的として輸入申告されており、『人体展』が米国の遺体に関する法律をくぐり抜けていた事も言及されています。


ニューヨーク州検察と中国当局が人体闇市場を調査
人体闇市場に関わったとする人物が、一体200-300ドルでの「人体取引」に関して語る
ブライアン・ロス、ロンダ・シュワルツ、アンナ・シェクター
ABCニュース 2008年2月15日


 中国とニューヨークの当局は、米国での公開展示に死体を供給している中国人人体の闇市場で処刑された囚人が取引されている疑いがあるという主張に対する調査を開始した。


人体の闇市場と関わりがあるという人物によれば、この写真は処刑された囚人などの人体が実質200ドルで取引されている場所で4年前に撮影されたという。その人物は後にこの施設から人体を購入し、数体は中国国内の医大に送られ、証言によれば数体は米国の展示に人体を供給している大連の会社に送られたと言う。
(ABC News)
 ABCニュースは金曜日の『20/20』で、処刑された囚人を含む死体が人体取引所において一体200-300ドルで取引されているという、人体闇市場に関わりがあるとする人物による証言を報じるが、この調査はその流れを受けて開始された。

 身の危険の恐れから匿名を希望しているこの人物は、取引可能な人体を見せられたその施設で自身が撮影した写真を提供した。

 彼はその次回の施設訪問で人体の選定を始めたがその時は写真撮影は出来なかったとの事。その人物によれば、米国で展示されるプラスチック保存された死体を提供している中国の会社に、人体数体が送られたとの事。

 十数以上の都市で人体ショーを開催したアトランタに本拠地を置くプレミア・エキシビション社に対して、ニューヨーク州検事総長からの召還礼状は木曜日に送達された。

 その陳述には、アンドリュー・クオモ検事総長のオフィスが「米国で展示された人体の入手方法に関して公表されている説明が実際虚偽でないかどうか」を調査していると書かれている。

 プレミア・エキシビション社側はその調査に全面的に協力するとしている。 プレミア社側は公式声明において、入手した人体の全ては中国の大連にある大連医科大学のプラスティネーション研究室から提供されたと述べている。

 大連医科大学の唐健武学長はABCニュースに対して、大学側が公開展示のためにプレミア社やその他のいかなる会社にも公開展示のために人体を提供した覚えはないと述べた。

 プレミア社の『人体展』(BODIES... the Exhibition) への提供は実際は、大連医科大学から30マイル離れた大連メディ・ユニ・プラスティネーション研究所という民間会社によって行われていた。

 この会社は医科大学の教授によって運営され、その人物によれば大学は当初は70%の業務を受け持ち人体を提供していたが、悪い評判が立ったために最近撤退したのだという。

 またそれとは別に、疑惑の人体闇市場への調査を行っていたと中国外交部は発表した。それは商業目的での人体の輸出が2006年に法律で禁止されたにも拘らずプレミア・エキシビションに人体が送られたとの申し立てを含む。 外交部の劉建超報道官は木曜日に北京での記者会見で「衛生部は報告に対して注意を払っており、調査のために関連する政府組織と連携している」と述べた。

 プレミア・エキシビション社のアーニー・ゲラー代表はABCニュースに対して、中国人の提供者から受け取った人体の一部が処刑された囚人であるとの疑惑を聞いてぞっとしたと語った。

 ゲラー代表によれば、彼の医療スタッフがそのような証拠を見た事はなく、その提供者が「大連医科大学を通過した人体はすべて合法的で引取人のないもの」と保証したとの事で、ゲラー代表は「私達の仕事相手にすらももし実際にそのような結果が起こりうるなら、私達はその件に対し直ちに何か手を打たなければならないという事になる」と述べた。

 処刑された囚人の死体がプレミア社の展示に使われていたという確実な証拠はないが、しかし事実としてゲラー氏の会社は死体の身元を把握しておらず、それらが中国から来た引取人のない人体という事を知っているのみである。

 プレミア・エキシビション社がニューヨーク市、ラスベガスや世界の少なくとも十数の都市で開催している展示会の人体を見に数百万人の人々が金を払った。

 プレミア社の代表弁護人のブライアン・ウェインガー氏の声明で、プレミア社は「バイアスのない方法において事実が事実を明らかにする事を可能にする徹底的な調査を楽しみにしている」と述べた。

 ABCニュースのベス・ロイド記者の協力による。

訳:Red Fox

 以下はテレビニュースをまとめた写真レポート。

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