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『20/20』の報道を受け、議員達が人体展への徹底調査を議会に要求

 2月15日にABCニュースの『20/20』が、プレミア・エキシビション社のプラスティネーション人体展『BODIES展』(BODIES... The Exhibition) に中国の死刑囚が用いられている疑惑をスクープしたその5日後、全米各州の議員達がそれぞれの州で人体の商業展示と売買行為を規制する法案を検討中であるとのニュースが報じられている。

 これらの動きは2月15日の『20/20』の放送のずっと以前から既に始まっており、例えばワシントン州ではその前年の2007年1月17日に故人の許可のない人体の商業展示を禁止する法案が6人の議員によって提出[>>1]、同年3月にはフロリダ州では州解剖学委員会の許可なしにプラスティネーション持ち込み持ち出しが禁止される法案SB2554がビクター・クリスト上院議員が提出[>>27]、ニューヨーク州では2007年2月27日にジム・アレシ上院議員が、合法的なプロセスで入手されていない人体の展示を禁じる法案S7000Aを提出している。[>>2]

 カリフォルニア州では華僑のフィオナ・マ議員が2008年1月17日に、州内で商業展示される人体に詳細情報と完全なインフォームドコンセントの証明を義務化するAB-1519を提出し、2007年1月24日に下院で可決、8月15日に上院で可決されている。

 そして、ABC『20/20』の放送を受けて、米国議会下院のクリストファー・スミス議員が下院外交委員会に公聴会を要請、そして米国司法長官に調査の要請を計画中であると表明している。

 この記事はリアルタイムの報道なので、これらのうちどれがその後進展があったかというのが分らないものもあるが、4月2日に米国下院でプラスティネーション人体の輸入禁止の法案HR5677がミズーリ州のトッド・エイキン議員によって提出され[>>3]、その26人の法案共同支持者にスミス議員は名を連ねている[>>4]ため、スミス議員のアクションがこういう形で実ったという事になる。

写真:2006年11月から2007年3月までアムステルダムで開催された『BODIES展』の会場前に、22人の身元不明の中国人を象徴する22の十字架が抗議団体によって置かれた。 (Dignity in Boston) 


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中国人人権活動家が人体展示に関して深刻な問題を提起する

 米国のプレミア・エキシビション社の疑惑の人体展『BODIES展』 (BODIES... The Exhibition) で展示されているプラスティネーション人体標本に、中国の死刑囚が用いられている疑惑をスクープして、大きな反響を呼んだ米国のABCニュースの報道特集『20/20』の『人体の展示 --- しかし彼等はどこから来たのか』が放送された2008年2月15日の当日に、ABCニュースがウェブサイトに複数の記事を掲載し、そして同じ日に労改基金会が関連情報を発表するなど、中国の人体闇市場に関する盛りだくさんな情報が発表された中から、前エントリーではABCの番組に関する記事と写真レポート、そして9枚の死刑死体取引現場写真を紹介したが、今回はABCニュースの取材に全面的な情報提供の協力を行ったと見られる労改基金会の呉弘達代表に関する記事を紹介する。

 呉弘達 (Harry Wu) 氏は、中国の強制収容所と人権問題の調査を行う人権団体『労改基金会』の代表で、自身もスパイ容疑で19年間中国の労働改造所 (労改) で投獄生活を送り、1979年に解放された後に渡米し米国籍を取得、それ以来中国の死刑囚からの臓器窃取など人権蹂躙の問題に関する活動を行い、2002年にノーベル平和賞候補にもなった人物。

 また呉氏は2008年8月5日にはペンシルバニア州の人体展規制法案に関連してペンシルバニア下院司法委員会で証言を行うなど、アメリカ社会に対して人体展への問題提起を積極的に行っている中心的人物の一人。

 労改基金会は中国国内に独自の情報ネットワークを持ち、それら中国のスタッフから随時調査レポートが送られており、大連医科大プラスティネーション社や、その代表の隋鴻錦教授、そしてプレミア・エキシビション社との関係や背景なども実によく調査したレポートを発表している。
 英語圏からの中国国内の調査は言語の壁から困難で限界がある中、中国国内の情報を労改基金会が提供し、それを手がかりにABCニュースやニューヨーク検事総長が追加調査を行ったと見られる形跡が情報を総合すると随所に見られるため、呉氏はABCニュースの『20/20』には出演していないが、影の立役者と言える人物である。

写真:呉弘達氏 (Christianesimo Cattolico) [A]


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ニューヨーク州検察が人体闇市場の調査を開始

 2008年2月15日に、米国のABCニュースが報道特集『20/20』の『人体の展示   しかし彼等はどこから来たのか』で、米国アトランタのプレミア・エキシビション社が運営する疑惑の人体展『BODIES展』(BODIES... The Exhibition) で展示されているプラスティネーション人体標本に中国の死刑囚が用いられている疑惑をスクープし、全米で大きな反響を呼んだ。

 番組では、人体のエンターテインメント利用に疑問を呈する宗教界や解剖学界の声として、統一ユダヤ連盟のラビ・フェルドスタイン副会長や、米国臨床解剖学協会のトッド・オールソン氏、そして人体展規制法案を提出したカリフォルニア州のフィオナ・マ議員のインタビューの他、人体をオンライン販売する企業の存在や、中国で人体売買が禁止されて以降も米国に「プラスチック模型」として輸出され続けている事を突き止め、プレミア社が人体入手元と主張する大連医科大プラスティネーション工場をABCニュースの取材班が探し当て隠しカメラを持って潜入、更に元人体闇市場関係者と称する人物から死刑囚の死体が米国での展示に流れているとの証言と、同人物から提供された死刑囚の死体の取引現場の写真を報道したという、ABCニュースの取材力の高さが印象的な番組である。

 またこの番組には、プレミア・エキシビション社のアーニー・ゲラー代表が出演し、ABCニュースが中国で取材したVTRを見せながらのインタビューが行われ、死体取引現場写真を見て動揺しながらも中国側の説明を繰り返すだけのゲラー代表、そして人体展を主催するプレミア社側が人体の出所を全く把握していない様子も映されている。


 この番組が放送された当日には、番組の予告編のような形で、ニューヨーク州クオモ検事総長のプレミア社への公式調査を報じた記事、『20/20』の放送内容を概略した写真レポート、そしてABCニュースの取材に全面的に協力したと見られる米国の反中共団体の労改基金会の呉弘達代表を紹介する記事と、労改基金会が提供した中国の死刑執行写真数枚がABCニュースのウェブサイトに掲載された。
 同日、更に労改基金会が『中国情報センター』サイトでこの問題に関する呉弘達氏による詳細にわたるコラムと、ABCの番組中で紹介された死刑死体取引現場の写真を発表するなど、2月15日は人体展と中国の闇市場に関する様々な情報が一気に公開された日である。

 このエントリーではまず、ABCニュースのクオモ検事総長の記事と写真レポートの訳、そして労改基金会が公表した死刑死体取引現場の写真9枚を紹介して、残りは次回エントリーで紹介する事にする。

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