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南京死体事件と『人体の不思議展』(1)

 昨年後半に、中国発の人体闇取引ネットワークとアメリカのプラスティネーション人体展の死刑囚使用の疑惑に関するABCニュースなどの報道を軸に特集を組んだが、結局のところ相手が中国という、国家ぐるみで犯罪荷担や隠蔽工作をやってしまう国が相手だけに、限りなくグレーに近い状態ながら決定的な証拠というものが得られないため、疑惑まみれの人体展は現在でも「生前からの意思による献体」や「科学教育目的」という耳障りの良い文言の下に開催されている。

 昨年のシリーズは主に、最近米国の司法や各州議会が人体展の法的規制に動き出したという、最近の社会的反響と取締りに関するニュースを中心に扱ったが、今回は人体展示の社会的問題が中国で言われ始めた2003年まで遡って、中国やヨーロッパの報道を中心に数回の特集にしてみようと思う。
 現在のような国際社会からの倫理問題に対する批判や疑惑がまだ追求されていなかった時期に、それに対する明確な対策方針のなかった当事者達が何を発言しているかというものに何かヒントが隠れている事がある。

 本エントリーでは2003年に日本の『人体の不思議展』が中国で社会問題になった時の現在入手出来る限りの記事を集め、一連の報道の全貌からこの問題を検証してみる。


写真:2003年9月、有楽町の東京国際フォーラムで開催された『人体の不思議展』 (2003/10/11) (kouの自己満足) [A1]

[特集『人体展と中国の人体闇市場』トップページに戻る]


「人体の不思議展」と「新・人体の不思議展」


左が1996年の『人体の世界』、右が1997年の『人体の不思議展』のガイドブック (rappajazz) [B]
 1970年代にプラスティネーション生物保存技術を発明したグンター・フォン・ハーゲンス氏が、人体標本の興行展示『ボディワールド』 (Body Worlds) を開始したのは1995年の事で、その世界初の展示会は1995年9月15日に上野の国立科学博物館でスタートした東京展で『人体の世界』の名称で開催[>>1]された。
 この時の日本側の協力者はハーゲンス氏と親交のあった解剖学者の養老孟司氏である。

 『ボディワールド』は11月26日に東京展を終了し全国巡回展示の後、そのまま北米など他国での展示を継続、それを再び日本に呼び戻したのが安宅克洋氏で、1997年に『人体の不思議展』の名称で全国巡回展を開催。[>>2]
 しかし翌年1998年にハーゲンス氏が契約不履行で安宅氏を訴え1999年2月に「不思議展」は終了。


2002年3月の大阪展のポスター。当初は『新・人体の不思議展』の名称だった (旅 大阪ぶらり 写真で散歩) [C]
 その後、安宅氏は中国の南京蘇芸生物保存実験工場から人体標本を調達し、「人体の不思議展監修委員会」と「日本アナトミー研究所」の主催と「株式会社マクローズ」の企画運営で2002年3月21日に大阪の新梅田シティミュージアムで『新・人体の不思議展』の名称で開始したのが現在の『人体の不思議展』である。[>>3][>>4][>>5]

 ハーゲンス氏はこれを「模倣展」とし、プラスティネーション技術のみならず、人体のポーズの付け方までが知的財産権の侵害と主張、それに対し日本アナトミー研究所の安宅克洋氏は、南京蘇芸の標本の製法は全く違いハーゲンス氏の技術を盗んだものではないと主張。[>>6]

 この中国製の人体標本の保存技術は「プラスティネーション」ではなく「プラストミック」という名称で、南京蘇芸工場のウェブサイト等の説明によれば、超低温下で浸透させ1年以上かかる「プラスティネーション」に対し、「プラストミック」は常温で行い倹価であるというもの。[>>7][>>8]


『人体の世界』東京展 (1995.9.15-11.26) の主催・後援、協力団体:
[主催] 国立科学博物館 日本解剖学会 読売新聞社
[後援] 文部省 厚生省 ドイツ大使館
     東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県各教育委員会(予定)
[協賛] エーザイ株式会社
[協力] ハイデルベルク大学

国立科学博物館. 『人体の世界』, 1995.

『新・人体の不思議展』大阪展 (2002.3.21-9.29) の主催・後援、協力団体:
 主催:読売テレビ/人体の不思議展監修委員会/日本アナトミー研究所,
 後援:日本赤十字社/日本医学会/日本医師会/日本歯科医学会/日本歯科医師会/日本看護協会/大阪府・市教育委員会/大阪府医師会/大阪府歯科医師会/大阪府看護協会,
 協力:南京大学/江蘇省教育委員会/南京蘇芸生物保存実験工場/日本通運/ウエスト/エースプロモート/フォレストアート,
 総合企画・運営:マクローズ,
 標本製作:南京蘇芸生物保存実験工場 


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プレミア社の経営悪化で株主が反乱

 2005年以来南北アメリカ大陸、ヨーロッパや韓国など世界各地でプラスティネーション人体展を開催している世界最大の展示企業、米国のプレミア・エキシビション社の人体展『BODIES展』(BODIES... The Exhibition) で中国の死刑囚が用いられている疑惑が昨年2月にABCニュースで報じられ、8月には同社の人体展『人体の暴露展』(Bodies Revealed) での献体同意書が偽装だった事が発覚するなど、中国から入手している人体を展示しているこの企業には常に疑惑が付きまとっているが、この企業は昨今は株価が暴落し、株主反乱で経営陣が交代したりなどかなりガタガタな状態のニュースが昨年以来継続的に報じられているため、今回はプレミア・エキシビション社の内部騒動に関して扱ってみる。

 プレミア・エキシビション社は1980年代に合資会社「タイタニック・ベンチャーズ社」としてタイタニック号の遺品引上げと展示を行う企業として設立され[>>25]、1991年より『タイタニック展』を開始[>>27]、1993年に「RMSタイタニック有限会社」として法人化[>>1]、2004年7月に英国ブラックプールで人体展『人体の暴露展』を開始した後、同年10月に株式会社『プレミア・エキシビション社』となり[>>2]、RMSタイタニック社を100%所有の子会社とし、2005年3月に大連鴻峰生物科技社から人体を入手していた「エキシビション・インターナショナルLLC社」を買収し[>>3][>>4]、プラスティネーション発明者のハーゲンス氏の『ボディワールド』に対抗する形で人体展市場に参入。

 プレミア社は現在3種類の人体展、『人体の暴露展』 (Bodies Revealed) (2004年7月開始)、『BODIES展』 (BODIES... The Exhibition) (2005年8月開始) と『Our Body展~内部の宇宙』 (Our Body: The Universe Within) (2006年6月開始) を運営する他、『タイタニック展』『スタートレック展』『Dialog in the Dark』など日本でもお馴染みの展示会を国際規模で開催する、世界最大規模の展示会イベント企業であり、現在は19の人体ショーを同時開催するなど人体展示でその収入源の67%を賄っている文字通りの人体展企業である。[>>5a]


写真:タイムズスクエアでのプレミア社の『タイタニック展』 (Wikipedia) [A]



プレミア社絶頂期の2007年4月10日、ナスダックのNY証券取引所でクロージングベルを鳴らすアーニー・ゲラー前代表 (Nasdaq) [B]
 日本の『人体の不思議展』と同様に、プラスティネーション発明者のグンター・フォン・ハーゲンス氏のコピーキャットである中国の人体工場を人体標本の供給源としているプレミア社は、2006年に中国からの人体の安定供給に対し2500万ドルを大連鴻峰社に支払う事に合意、当時から人体展の市場飽和の予測と中国での人体の出所の怪しさが言われていた[>>26]にもかかわらずアーニー・ゲラー代表は人体展による世界市場進出を画策、『タイタニック展』を上回る売り上げ実績への抱負を2006年当時には語っていた。[>>6]

 そして2007年7月にはプレミア社の株価は最高値の18.62ドルを記録、順風満帆に見えた矢先の2008年2月にABCニュースがプレミア社が中国の死刑囚を展示しているとの疑惑をスクープ、同年5月にはニューヨーク州のクオモ検事総長がプレミア社が死体の出所を自ら証明出来ないという調査結果を公表[>>7]、全米で反対運動や各州では規制法案が検討されるなど人体展への批判と悪評判が立つとともにプレミア社の株価は暴落し、2008年11月には最高値に対して95%下落した最安値を記録している。[>>8]

 また「博物館クオリティの展示会」と評されているプレミア社の展示には高額な運営・維持費がかかり、昨今の景気後退と展示内容のマンネリ化から集客集が減退し、2009年度には赤字に転落している。[>>9]

 またプレミア社はその創設時からのプロジェクトである『タイタニック展』における総額一億ドルの価値のある引上げ品5500点に関して、その所有権に関する長期化した裁判を抱えており、業績悪化や相次ぐ管理職の辞職から、2008年11月にプレミア社の筆頭株主のセラーズ・キャピタル社がプレミア社の経営悪化に対し、株価暴落の問題に加え、肥大化した組織構造、タイタニック裁判の失敗と計画性のなさ、身内びいき等の問題を指摘し[>>10]、ゲラー氏の経営の失敗及びその126万ドル (約1億1300万円) の法外な報酬を理由に経営陣の交代とゲラー代表の退任を要求してプロキシーファイトを仕掛け、株主総会の支持を得て、1月30日にゲラー氏がCEOから更迭され、そしてセラーズ社が推薦する役員4名がプレミア社の経営陣に加わっている。[>>11a]

 この経緯は一般メディアでは余り報じられていないが、アトランタの地元のビジネス紙『アトランタ・ビジネス・クロニクル』で継続的に報じられている。


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