
前エントリーではジャパントゥデイにおける日本在住英米人による外国人参政権に関する議論を紹介したが、今回は当ブログでこれまで毎日デイリーニュースWaiWai打ち切り問題と2009ミスユニバース日本代表コスチューム問題で取り上げた事のある英語ブログ『Japan Probe』における議論を紹介する。
『Japan Probe』は日本在住のアメリカ人を中心にした英米豪の8人が共同運営する日本の話題を扱うブログで、前回のニュースサイトのジャパントゥデイに対し『Japan Probe』はサブカルチャー系の話題から日本伝統など文化的話題が多いブログで、必然的にコメント欄にはビジネス滞在者よりもむしろ日本マニアが集まる傾向があり、平均的な外国人の反応と言うよりもむしろ強者の集まり的な面白さが見られるサイトである。
『Japan Probe』では外国人参政権に関しては昨年の1月と今年の9月と11月に3回ほど取り上げられていて、特に3回目のエントリーでは普段は話題提供に徹している管理人氏が珍しく強い調子で持論を展開しているのと、議論のテーマが外国人参政権よりも在日コリアンの問題に集中して何故か白熱しており、日本人以外の人達から在日に関してここまで辛辣な意見の応酬というものはなかなか他所では見る事の出来ない展開になっている。
このエントリーではいささか議論がいろいろ入り乱れていて判りにくい部分があるのと、一回コメントの投稿者を除くと実質的には6-7人の議論となっているので、主な投稿者に関して以下に軽く概略を紹介する。今回の議論の中心人物の数人は恐らくそのほぼ全てが米国人:
- ジェームズ:ブログ主。関東在住の米国人。通常の永住外国人参政権には賛成だが、代々の特別永住者は帰化すべきであるとの考え。
- 考え過ぎの人:日本在住と見られる米国人。国籍を得る事がアイデンティティとルーツを失う事にならないとの考え。日本の近代史には非常に詳しく、日本の近隣国との関係に関しては親日で反中反韓の立場。
- LB:アイルランド系米国人三世で日本への帰化申請中。外国人参政権には批判的。在日がアウトサイダーに固執する事を愚かで間違っているとし権利が得られないのは当然と考えている。日本語の読み書きが高いレベルで出来る模様。アイデンティティは生まれ育った場所であるとの考え。二重国籍を不支持。
- ラゴ:米国人と見られる。特別永住者を除外するのではなく自然消滅を待つべきだという意見。在日のルーツへの拘りには理解を示す。ただし全体的にはいささかディベートフリークと言うか反論のための議論に終始している。二重国籍を支持。
- ハマチマン:日本に関する様々な悪評判のデマが作り出されていると主張するなど、日本に対して非常にシンパシーがある。二重国籍は反対。
- ポンタ:日本語の読み書きが出来る。外国人参政権に関してはニュートラル。
- エリック:日本在住の米国人で米民主党支持者と見られる。在日に対してシンパシーがあり、日本は差別的であり親日外国人は共和党支持者の保守主義権威主義者であり嫌韓であると主張。新撰組研究のウェブサイトを運営する日本の歴史マニア。
このエントリーには116のコメントが付いており、勿論全てを訳す必要も意味もないが、議論として話が繋がる必要があるものは含め、余りに長過ぎる独演やテーマ的に逸れているものは省いて7割程度の80コメント余りを訳してある。
なおこれらの書き込みは一般投稿者のものであり情報の正確性は必ずしも信頼出来るものではないため、必要に応じて補足を付けている。
![]() 日本の北朝鮮国民には参政権はないのか?よし。 November 11th, 2009; 10:28 by James 日本の民主党は永住権保有非国籍者に参政権を与える法案を推進中[魚拓]である。法案の強力な支持者である鳩山由紀夫首相は早ければ来年国会に法案を提出する事を望んでいる。しかし民主党内部での反対意見がそれを遅らせる可能性がある。 本日の東亜日報は「日本、総連には地方参政権付与せず」との英文記事を掲載している。その記事では法案が「北朝鮮籍の総連系の在日同胞」には参政権が与えられないと指摘している: 日本の民主党が、在日同胞を含む永住外国人に地方参政権を付与する法案の概要を作成したと、朝日新聞が報じた。日本と国交を結んでいない朝鮮籍の総連系の在日同胞には、地方参政権が与えられない。拉致問題に対する否定的な世論と法案に反対する保守寄りの議員を説得するためのものとみえる。 引用は東亜日報の同記事の日本語版より:東亜日報. 『日本、総連には地方参政権付与せず』, NOVEMBER 11, 2009 08:39.
記事の見出しと内容は非常に紛らわしい。北朝鮮籍の在日コリアンは自身の選択で北朝鮮籍なのである。彼等が韓国籍の取得を望むなら申請が必要でありそして彼等は得る事が出来る。それが南北のどちらの「出身」であるであるかは関係はない。 このような話だが、この問題に関して私のスタンスをもう一度述べておく。私は特別永住者に参政権を与えるこの法案を支持はしていない。もし日本生まれの在日コリアンが国籍者が持つ全ての権利を得て日本に住みたいなら、彼等は帰化をして日本国民になるべきである。 現在の制度下では、特別永住者が帰化をするのは非常に容易であり、毎年数千人のコリアンが日本に帰化している。帰化しない事を選んだ人達はそれを彼等の文化的アイデンティティの否定と感じるからである。日本政府は特別永住者に対し、完全な日本の参政権を得るために国籍取得をする事を奨励すべきである。国籍取得拒否に対し恩恵を与える事はこの問題への正しい答えではない。 Japan Probe. "No voting rights for North Korean citizens in Japan? Good.", November 11, 2009; 10:28 am.
|