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特集「人体展と中国の人体闇市場」

 1995年に日本で開始されたプラスティネーション発明者のグンター・フォン・ハーゲンス氏の人体展『Body Worlds』 (日本では最初『人体の世界』、次に『人体の不思議展』(初代) の名称で開催) が、2002年頃から出現した中国系の海賊版人体展 (日本では現在の『人体の不思議展』) に取って替わられたり市場が乗っ取られるという現象は日本に限らず海外でも起こっている事である。

 それらに共通しているのが、中国から来た死体の出所も死因も献体の意思の有無も人体展主催者が把握していない、又は把握していると断言しながらその証明を全く行なわないか、書類の捏造を行なう例もあるなど、中国系の人体展の主催者が死体の出所の証明を行なった例が未だかつて一度もない事である。

 そして米国とフランスの例では主催者が人体の出所を全く把握しておらず、中国側の口頭の説明を鵜呑みにしているだけで、人体供給元の業者の住所も知らず、その相手が実在する組織かどうかも把握しておらず、相手が中国だけにその証明の手段を持ち合わせてなく、ただ中国側の主張を繰り返すという状態だった。


 2007年以降には米国各地で批判運動が起こり、各州で人体展規制法案が議論され始めるなど法的規制の動きも出て来ているが、労改基金会などの人権団体や、欧米の報道メディアや司法機関の調査の結果、中国公安局発の人体闇市場の存在が明らかになって来た。

 中国人は遺体を傷つける事は不吉と考えるために医学献体や臓器提供が殆ど出ない状況で、医大の実習用献体も慢性的に不足しているため、死刑囚を用いるのは普通に行なわれており、移植用臓器の95%が死刑囚から取られている事は2005年のWHO会議で中国衛生局が公式に認めている。

 そして欧米メディアや司法機関の調査では、公安局が死体ブローカーを介して各医大に「身元不明死体」を配布しそれが人体工場に転売されている事が明らかになっている。
 その日の朝に死んだという、腹が切り裂かれ臓器が取られた銃殺死体が人体工場に配布されたという証言もあるが、これはつまり処刑死体から臓器を取られた余りが人体工場に配布されているという事を物語っている。

 人体の出所が不明であるという事はこれは大きな問題であり、人身売買や死刑囚使用、死体盗難、殺人、医療献体の無断転用など、人権侵害や犯罪組織絡みの可能性すら払拭出来ない、倫理的に問題大ありの展示会というのがその実態である。

 展示会場に表示されている「故人の意思による献体」という耳障りの良い文言の裏には、中国の刑務所を管轄する中国公安局発の闇の人体売買の世界規模のネットワークがあり、今世界ではその疑惑の展示会を法的に禁止する動きが活発化している。


 本シリーズは、この世界規模の人体展とその供給元である中国の人体闇市場をその全貌から見るために、主に英語や中国語など複数の言語の資料を一括して検証するために、それらを日本語に訳してデータ資料として提示し、証拠能力のある検証資料とする事を目的としているため、全体的に規模が大きく詳細にわたったエントリーであり、軽く読み流して概略を把握したい方には余り適してはいない。

 しかし、世界の人体展と中国の人体闇市場の問題に関心のある方がより詳しく正確にこの問題を把握するための資料として役に立てればと思う。





目次:

特集『人体展と中国の人体闇市場』

特集シリーズ1「ABCニュースの報道から見る人体展問題」
 1. プラスティネーション発明者が中国から撤退 (2008.7.25)
 2. ニューヨーク州検察が人体闇市場の調査を開始 (2008.8.1)
 3. 中国人人権活動家が人体展示に関して深刻な問題を提起する (2008.8.9)
 4. 『20/20』の報道を受けて、議員達が人体展に関する徹底調査を議会に要求 (2008.8.20)
 5. 人体輸入取引規制法案を全米21人の議員が支持 (2008.9.8)
 6. ニューヨーク州検事総長による人体展への厳重取り締まり (2008.9.13)
 7. 大連のプラスティネーション死体企業の調査 (2008.9.28)
 8. ペンシルバニア州で人体展禁止法案を検討 (2008.10.14)
 9. カリフォルニア州の人体展禁止法案 (2008.11.9)
 10. プレミア社の献体同意書はニセモノだった (2008.12.22)

アップデート追加エントリー「2009年に入って以降の動き」
 1. ハワイ州で人体展禁止が法制化 (2009.8.8)
 2. フランスの裁判所、人体標本の展示に中止命令 (2009.8.12)
 3. プレミア社の経営悪化で株主が反乱 (2009.10.13)

番外編
 1. 欧米の人体提供者は自らポーズを選んでいる (2008.9.2)
 2. 「人体展:彼等はどこから来たのか?」米ABC"20/20"の特集番組 (2008.9.20)


特集シリーズ2「人体の不思議展の闇」
 1. 南京死体事件と日本の『人体の不思議展』(1) (2009.10.27)
 2. 南京死体事件と日本の『人体の不思議展』(2) (2009.11.6)
 3. 『人体の不思議展』の謎の主催者 (2010.2.14)
 4. 『人体の不思議展』の終了と告発 (2011.1.31)

番外編
 1. 読売新聞社が人体の不思議展を擁護? (2010.1.26)




特集シリーズ3「中国の人体闇市場」
 1. プラスティネーション人体巡回展のビジネスモデルは日本製 (2011.2.13)






特集『人体展と中国の人体闇市場』

シリーズ3「中国の人体闇市場」

 第三シリーズとして、人体展示の社会的問題が中国で言われ始めた2003年まで遡って、中国やヨーロッパの報道を中心に数回の特集にする予定。  現在のような国際社会からの倫理問題に対する批判や疑惑がまだ追求されていなかった時期に、それに対する明確な対策方針のなかった当事者達が何を発言しているかというものに何かヒントが隠れている事がある。


エントリー概略:

1. プラスティネーション人体巡回展のビジネスモデルは日本製
   プラスティネーション発明者のグンター・フォン・ハーゲンス氏が初めて開いたプラスティネーション人体展は1995年に東京で開催された日本解剖学会主催の「人体の世界」であり、1996年に日本アナトミー研究所の安宅克洋氏がハーゲンス氏を日本に呼び戻して日本で巡回展として1999年まで開催された「人体の不思議展」の後、ハーゲンス氏は契約トラブルで日本から撤退しヨーロッパでの巡回展を開始した。
 そして2002年からは日本アナトミー研究所が中国から死体を調達して日本で「人体の不思議展」を継続し、ハーゲンス氏の中国人の弟子の隋鴻錦氏は造反して自らプラスティネーション企業を設立して欧米での人体展開催に進出し、ハーゲンス氏も北米に進出している。
 プラスティネーション人体展の成立と展開を時系列で見ると、ハーゲンス氏に人体標本の一般公開展示会のアイデアを最初に与えたのは日本解剖学会であり、巡回営利展示のアイデアを与えたのは日本アナトミー研究所であるなど、プラスティネーション人体展の発想は日本で作られたという事実が見えて来る。






シリーズ2「人体の不思議展の闇」

 プラスティネーション発明者のハーゲンス氏が日本で開催していた『ボディワールド』(1995年は「人体の世界」、1997-99年は「人体の不思議展」の名称で開催) に取って替わる形で2002年3月に開始した『(新) 人体の不思議展』は中国の南京蘇芸生物保存実験工場から人体を仕入れており、その死体の出所に関して主催者側は一貫して「中国国内で正規の手続きを経た献体」と説明、そしてプライバシーを理由に献体の証明を一切行なわないという状態で展示が行なわれている。

 そして日本全国各地での巡回展示は常に地元メディアを主催として、実際の運営者の日本アナトミー研究所や株式会社マクローズは企業情報は一切表に出されずメディアの取材も一切拒否という徹底した秘密主義という謎の運営形態を取っている。

 プレミア・エキシビション社のようなナスダック上場企業が人体展を運営している米国のケースと違い、日本では各地の主要メディアが主催で、自治体、教育委員会、医師会や看護協会などが後援という運営形態を取っており、本来社会倫理を追求する筈の報道メディアや、医療倫理に社会責任のある医師会などが主催側だったために、それが「人体の不思議展」に権威を持たせ集客に貢献し、人体の出所などの闇の部分の問題の指摘がされにくい構造になっていた。

 そのため、2005年の開始の翌年にはニューヨークタイムズが人体の出所の問題を指摘し、2年経たないうちに各州で人体展規制法案が議論され始めた米国と違い、日本では各医師会・看護協会や教育委員会が問題を指摘し後援を辞退するようになるまで6年かかっている。


エントリー概略:

1. 南京死体事件と日本の『人体の不思議展』(1)
   2003年9月、中国の掲示板に東京で開催されている『人体の不思議展』で展示されている人体標本が全て中国人であり、その協力団体が南京大学、江蘇省教育委員会と南京蘇芸生物保存実験工場であるとの書き込みがあり中国のネット界が騒然となり、最終的に南京蘇芸工場が中国警察当局の取調べを受ける事件に発展。
 これは中国のメディアにも取り上げられ、南京の献体協会や赤十字会より反発が起こり社会問題となる。
 これに対し南京大学と江蘇省教育庁は関わりを完全否定。調査によって南京医科大学が蘇芸工場に人体解剖実習で使い古した人体をまわして加工を依頼していた事が判明。しかし南京医科大は「死体は献体でない」とし、蘇芸工場も人体の出所がよく分らないと証言するなど、日本では「献体」と説明されている『人体の不思議展』の人体の出所が実際中国国内では非常に不透明な疑惑となっている。

2. 南京死体事件と日本の『人体の不思議展』(2)
   2003年11月には新華社通信の時事誌『瞭望東方週刊』で南京死体事件の特集が組まれ、南京蘇芸工場への取材など更に事件の詳細が報道される。
 瞭望東方週刊の調査によれば、南京蘇芸工場は江蘇省内外の複数の医学院より現金支払いで領収書のない一種の闇取引の形で人体を購入しており、これに対してそれら名前の挙った医療機関のうち南京医科大以外の全てが関わりを否定、「中国国内で正規の手続きを経た献体」としている日本の『人体の不思議展』の主張と大きな食い違いを見せる。
 そして、日本アナトミー研究所が南京蘇芸工場から人体標本を購入契約をした2001年6月の時点でも中国において人体展やプラスティネーション技術の存在は一般には殆ど知られていなかった点、そしてその3ヶ月後の2001年9月には日本に人体標本が発送されている事から人体標本は在庫品であり、つまり日本での展示用に献体された人体は存在しない事になる。
 当時は中国公安局が「身元不明死体」を医学研究実習用に各医学院に供給しそれが人体工場に転売され出回るのが中国では普通に行われていた事は、米国メディアや米国司法の調査で後に判明している。

3. 『人体の不思議展』の謎の主催者
   2002年に開始した中国系の『人体の不思議展』は、全国を廻る展示会毎に各地元メディアが主催に名を列ね、その実質的な運営者の実体が表に出て来ない非常に不思議な運営体制である。
 実際過去の展示記録を見るとコンスタントに登場するのが「日本アナトミー研究所」「マクローズ」「イノバンス」「人体の不思議展監修委員会」「人体の不思議展実行委員会」であるが、これらはウェブサイトも持たず連絡先も各展示に臨時の電話番号のみという、いずれにしても『人体の不思議展』とはどこの誰が運営しているかが示されていない正体不明の展示会という形でこの8年ほど運営されているのである。
 エントリー後半では、ブログ『非理法権天』さんが人体の不思議展の会場を訪問し事務局に対して行った質疑応答の返答内容と当ブログがこれまで行った調査結果との整合性を検証。

4. 「人体の不思議展」の終了と告発
   2011年1月19日、産経新聞の取材で厚生労働省が「人体の不思議展」に展示されている人体標本は「遺体」であるとの見解を出したニュースが報じられ、同日京都工芸繊維大の宗川吉汪名誉教授が人体の不思議展実行委を相手取って訴訟を起こした。
 これに先立つ2010年11月には「人体の不思議展」は2012年で打ち切ると発表していたが、それに追い込みをかける形で各医学協会から批判声明が出され、「人体の不思議展に疑問をもつ会」を中心とした反対グループから、自治体の許可を得ずに人間の死体を保管する行為は死体解剖保存法に違反すると刑事告発がされたが、厚労省が出した見解によって「人体の不思議展」に違法性の可能性が生じた事で京都府警も捜査を開始した。
 エントリーではこれまでの批判運動の経緯と人体の出所に関する不透明性の問題を更に検証。

シリーズ2の番外編:

1. 読売新聞社が人体の不思議展を擁護?
   2010年1月25日に読売新聞ウェブサイトの掲示板『発言小町』のトピック「人体の不思議展」に「人体展と中国の人体闇市場で検索して欲しい」という書き込みがされ当サイトへのアクセスが殺到したが、その書き込みが同日のうちに編集部によって削除された。
 読売新聞は2006年に『人体の不思議展』を主催しており、人体の不思議展の闇の部分と自社の不名誉な過去を読者に見せたくないために削除をしたのかどうかを確かめるために、核心に触れる内容の投稿をしてみたがコメントが承認される事はなかった。





シリーズ1「ABCニュースの報道から見る人体展問題」

 2008年2月15日に米国のABCニュースは、報道特集番組『20/20』で米国のプレミア・エキシビション社が開催するプラスチック保存された本物の人体を展示する『BODIES展』において中国の死刑囚が用いられている疑惑を独自の取材によってスクープした。

 全身標本や人体パーツ標本を1000点余り保有すると言われるプレミア・エキシビション社は米国アトランタを拠点に世界各国で人体展を開催し巨額の収益をあげており、その社会的関心の高まりとともに医療倫理界、解剖学界、キリスト教やユダヤ教などの宗教界や人権団体からエンターテインメントと収益目的のための死体展示に対する疑問の声があがるようになった。

 「中国での引き取り人のない死体を使用している」というプレミア社の主張に対し、ABCニュースは人体の流通ルートに関する3ヶ月にわたる調査を行い、プレミア社が仲介業者に「プラスチック模型」と輸入申告させる事で死体取引の法律をすり抜けていた事を発見、中国に取材班を送りその所在が周到に隠蔽されていた大連の人体加工工場の所在を突き止め隠しカメラを持って潜入、そして人体闇取引ビジネスの元関係者から死刑囚の死体が米国での展示のために加工工場に送られているとの証言を得た。

 この時期、ニューヨーク州のクオモ検事総長が人体闇市場の調査を開始、中国外交部は人体闇取引ビジネスの調査を行っていた事を発表、そしてABCニュース『20/20』の放送後には全米で大きな反響となり、各州の議会で人体展禁止法案が検討されるなどの動きに発展している。




エントリー概略:

1. プラスティネーション発明者が中国から撤退
   『20/20』の放送前日の2008年2月14日には、ABCニュースのウェブサイトで予告編のような記事として、中国で入手した死体に死刑囚が含まれている可能性があるとして人体プラスティネーション技術の発明者であるドイツ人のグンター・フォン・ハーゲンス氏が中国の人体ビジネスからの撤退を表明したニュースが報じられた。
 日本で『初代・人体の不思議展』(1995-98) として知られるハーゲンス氏の人体展『ボディワールド』では主に欧米からの献体を扱っており、このエントリーの後半では同日にウェブ掲載されたABCニュース取材班によるハーゲンス氏のプラスティネーション工場の取材からのフォト特集を写真解説付きで紹介。

2. ニューヨーク州検察が人体闇市場の調査を開始
   ABCニュース『20/20』放送当日には番組内容の概要的な記事が報じられる。ここで言及されているのは中国の死体闇取引ビジネスの元関係者による銃殺死体の取引現場の写真の提供と、取引死体の1/3が銃殺死体で、その一部が米国での展示用に銃殺死体が加工工場に送られたとの証言。またニューヨーク州のアンドリュ-・クオモ検事総長がプレミア社の人体展『BODIES展』の人体入手ルートに関する調査着手を公表。
 一方、『20/20』の取材班はその所在地が隠蔽されていた大連郊外にある民間企業『大連医科大プラスティネーション社』(大連鴻峰生物科技社) の人体加工工場の存在を突き止めた。
 このエントリーの後半ではABCウェブサイト掲載の『20/20』の番組の概要的フォト特集を解説付きで紹介。そして同日労改基金会が公表したABCニュースに提供された銃殺死体取引現場の写真の9枚を中国語解説の訳付きで掲載 (クリックで閲覧可能 - グロ写真注意)。

3. 中国人人権活動家が人体展示に関して深刻な問題を提起する
   『20/20』放送当日に出たもう一つの記事は、中国の強制収容所と人権問題の調査を行う人権団体『労改基金会』代表の呉弘達氏を紹介するもの。呉氏は中国で19年間労働改造所に投獄され1979年に解放された後に渡米し、それ以来中国の死刑囚からの臓器窃取など人権蹂躙の問題に関する活動を行い、ノーベル平和賞候補にもなった人物。
 このエントリーの後半では呉氏が同日に発表したエッセイの訳を紹介。これはABCでは報じられていない中国側の人体や臓器ビジネスに関するエッセイ。ここでプレミア社へ人体を供給している中国側の窓口が大連医科大の隨鴻錦教授である事、そしてABCニュースに銃殺死体取引現場写真を提供したのは隨教授の元助手である事が明らかにされる。

4. 『20/20』の報道を受け、議員達が人体展への徹底調査を議会に要求
   『20/20』放送の5日後の2月20日には、米国議会下院のクリス・スミス議員が、展示人体の入手ルートの徹底調査を行うよう議会に要求する準備を始めた事が報じられる。
 ピッツバーグで『BODIES展』を開催したカーネギー科学センターのエレン・キャッツ科学コーディネーターは、宗教的な見地からの批判と、人体は身元不明者で同意がないとプレミア社が認めている事に対し、法輪功学習者からの臓器窃取問題など中国における人体の出所への疑問への抗議としてセンターを辞職し抗議サイトを立ち上げたが、ABCニュースの報道以来アクセスが爆発的に増えた事が伝えられる。
 エントリー後半では米国反共メディアのNTDテレビの論説委員の李天笑氏の2月19日のエッセイを紹介。ここでは隨鴻錦氏がハーゲンス氏の元弟子で、大連鴻峰生物科技社の代表であり、プレミア社の人体展を事実上取り仕切り収益の85%を得ている点、そしてプレミア社の人体には献体証明書類が存在しない等の点が明らかにされる。

5. 人体輸入取引規制法案を全米21人の議員が支持
   4月2日には米国議会下院のトッド・エイキン議員がプラスティネーション人体輸入規制法案を提出、21人の米国議会議員が支持を表明したニュースが報じられる。
 またノースカロライナ州在住の主婦のサラ・レッドパス氏は『BODIES展』の開催に抗議をして会場前で抗議活動を行い、人体展反対署名サイトを立ち上げた。
 エントリー後半では丁度この時期に人体展が行われ社会問題になっていたオハイオ州シンシナティにおける呉弘達氏の講演活動を報じた記事と、実際に講演を聞きに行った地元の人のブログ記事を紹介。ここで言及されているのは、中国当局の囚人を使った金儲けの構図。それは囚人の強制労働による製品が中国の輸出産業となり、そして処刑死体の臓器収穫から展示用標本作成すらも共産党の収益手段になっている事。また独裁体制国家での証明書など何の意味も為さず、だから毒製品が輸出されたり出所不明の死体が出回ったりするとも言及。

6. ニューヨーク州検事総長による人体展への厳重取り締まり
   5月23日に、ニューヨーク州のクオモ検事総長がプレミア社の『BODIES展』の死体入手ルートに関する調査レポートとプレミア社との法的合意を発表。
 死体は中国の公安局から大連鴻峰生物科技社が入手したもので、プレミア社が死体の身元や死因、献体の意思の有無など一切把握してなくそれを自力で証明する手段も持たないという旨が公表された。
 これにより、ニューヨーク州内での人体展示に際して「展示人体が拷問や処刑で死亡した囚人でない事が証明出来ない」との但し書きの表示を義務とし、新たに入手した死体で出所が証明出来ないものは差し止めるなどペナルティが課された。

7. 大連のプラスティネーション死体企業の調査
   ニューヨーク州クオモ検事総長の法的合意の2週間後、この一連の報道への情報提供をかなりの面で行ったと見られる『労改基金会』が独自の調査レポート『ミイラは法律と人体の尊厳を粉砕した』を6月6日にウェブサイト上で発表した。
 これは中国のプラスティネーションの権威である大連医科大の隨鴻錦教授に焦点を当てたレポートで、隋氏がハーゲンス氏から技術を習得し、ハーゲンス氏の中国での死体調達の窓口となって人体工場を大連に誘致、そしてハーゲンス氏との確執の末、独立して自ら工場を設立、最終的に自らが中国でのプラスティネーションの権威となったエピソードをはじめ、人体展に関する中国国内での様々な問題点が書かれている。
  • ミイラは法律と人体の尊厳を粉砕した~隋鴻錦氏のプラスティネーション死体企業の調査 (労改基金会 2008.6.6)

8. ペンシルバニア州で人体展禁止法案を検討
   北京五輪開会式前日の8月7日にはペンシルバニア州での人体展規制の動きに関して報じられる。
 ペンシルバニア州のピッツバーグでは2007年10月から2008年5月までプレミア社の『BODIES展』が開かれ、地元のカトリック系学校がボイコットを表明するなど人体展批判運動の舞台の一つとなった州であり、人体展規制法案に関して下院司法委員会において8月5日に聴聞会が開かれ、労改基金会の呉弘達氏とプレミア社のウェインガー法律顧問が証言を行った。法案を提出したマイク・フレック議員によれば全米の各州でも人体展規制法案の動きがあるとの事。

9. カリフォルニア州の人体展禁止法案
   カリフォルニア州ではフィオナ・マ議員によって人体展禁止法案が提出され、2008年1月に下院で、8月に上院で圧倒的多数で可決されたものの、9月26日にシュワルツェネッカー知事から「緊急優先課題ではない」との理由で差し戻しになる。この法案はカリフォルニア州内で一般公開商業展示される人体に関して、詳細情報とインフォームドコンセントが証明されない限り、展示そのものが罰則対象となるもの。

10. プレミア社の献体同意書はニセモノだった
   プレミア社のもう一つの人体展『人体の暴露展』が2008年2月から8月にかけてミズーリ州カンザスシティで開催されたが、ABCニュースの報道で不信感を持った地元メディアなどに主催者から配られた献体同意書が、地元のカトリック団体の調査で偽装であった事が発覚した。
 カトリック団体『カトリック・キー』の調査によれば、配布された英文の献体同意書は、米国内の公認の献体組織が作成使用していたものの丸写しであり、その事をプレミア社に指摘したところ、プレミア社は元々献体同意書を所持はしてない事を認めたものの、台湾の貿易商社から受け取った宣誓供述書を根拠に献体を主張するなど、相変わらずプレミア社が証明手段を持ち合わせていない事が露呈する。
 また『カトリックキー』は南京医科大学まで調査を行い、中国国内では医学教育用の献体が不足しているとの情報を得る。
 この献体同意書偽装事件では、『人体の暴露展』の人体が南京蘇芸生物保存実験工場から入手された事が表明されるが、これは日本の『人体の不思議展』の人体標本の入手元である。


アップデート追加エントリー「2009年以降の動き」:

1. ハワイ州で人体展禁止が法制化
   ハワイ州では2009年6月に人体売買と展示を完全禁止する法案が承認され法制化したため、実質上ハワイ州内での人体展は不可能となった。
 これは、2008年6月より09年1月までプレミア社の『BODIES展』が開催され、アジア系住民の多い同州の華僑社会にショックを与えた事、それからそれまでのABCニュースやクオモ検事総長の調査によるプレミア社の死刑囚使用の疑惑が全く払拭されていない事から、『BODIES展』が終了して早々の1月23日にマーカス・オオシロ議員が法案を提出、殆どの審議で反対者ゼロという圧倒的支持で可決された。

2. フランスの裁判所、人体標本の展示に中止命令
   2009年4月21日、パリで開催中の人体展、プレミア社の『Our Body』に対しフランスの裁判所は、死体の処置に基づく法律に違反しているとして中止命令の判決を下した。
 この訴えを起こしたのはパリの2つの人権団体で、フランスではかねてより人体を切り刻んで展示する事の違法性と、中国人の死体の身元も同意の有無の何も証明されていないこの展示会での死刑囚使用の疑いが指摘されていた。
 原告のフランスのイベント会社のアンコールイベンツはこれを不服として控訴するものの、死体の出所への疑惑を払拭出来ないとして4月30日に敗訴となる。『Our Body』に人体を供給したとされる香港解剖科技基金会からは何の資料提出もなく、実在すら疑わしい団体である事が指摘される。

3. プレミア社の経営悪化で株主が反乱
   2007年には株価最高値を記録したプレミア社は、その後の人体展による死刑囚使用の疑惑による社会的批判や景気の悪化などにより集客が落ち込み、2008年末までに90%以上の株価大暴落を起こし、筆頭株主のセラーズ・キャピトル社がプロキシーファイトを発動、株主の支持を得て2009年1月にゲラー代表を更迭、経営陣に企業再建専門家など4人を役職につけた。
 プレミア社の収入の67%は人体展に依存している状態であり、プレミア社の前身のRMSタイタニック社はもともとはタイタニック号の遺品引上げを行い展示するために1987年に創設された企業で、その採算性度外視の巨大なコンセプトを支えるために、大収入が見込めるプラスティネーション人体展市場に参入したという構造が見えて来る。


シリーズ1の番外編:

1. 欧米の人体提供者は自らポーズを選んでいる
   プラスティネーション発明者のハーゲンス氏の『ボディワールド』は、ドイツを中心に欧米に献体プログラムを持っており、ヨーロッパの展示でも一日に数人の献体希望者が現れるとか。このエントリーでは献体を希望しているアメリカ人ドナー数人への取材のABCニュースの記事を紹介。
 そこには医学への貢献だけでなく葬儀費用を避けたい動機や、本人が希望していても家族が反対しているなどの問題点も指摘されている。

2. 「人体展:彼等はどこから来たのか?」米ABC"20/20"の特集番組
   2008年2月15日に放送されたABCニュース『20/20』に日本語字幕を付けたビデオの紹介エントリー。番組の概要は:
第一部:
  1. 人体展で巨額の収益を上げるプレミア・エキシビション社
  2. 人体のエンターテインメント利用に対する疑問の声
  3. 人体の誤配達でABCの調査が開始された
  4. 人体をオンライン販売する企業
  5. 人体はプラスチック模型として輸入申告されていた
第二部:
  1. カリフォルニア州議員が人体展を取り締まる法案を提出
  2. 人体プラスティネーション発明者は中国から撤退
  3. プレミア社は人体は大連医科大学から来ていると表明
  4. 大連医科大はプレミア社との関わりを否定
  5. 大連医科大の教授が運営する民間企業の死体工場
  6. 人体闇市場の元関係者は死刑囚の死体が大連の企業に流れていると証言
  7. プレミア社は死体の出所を把握していない

 このエントリーでは番組に登場した人物の詳しいプロフィールや、番組内では触れられていない補足情報やエピソードなどを紹介。






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