昨年の4月25日、パンチェン・ラマの誕生日に米国籍のチベット人を含む米国人活動家がエベレストのベースキャンプで横断幕を掲げて、北京オリンピックへの抗議を行って中国当局に拘束されたニュースはご記憶にある方も多いと思いますが、今回はビデオで語られた声明の全訳を紹介します。
このビデオは衛星中継でニューヨークの「自由チベット学生組織」(Students for a Free Tibet, SFT) の本部に送られ、抗議の行われたその当日に最初の1分18秒分がYouTubeにアップ[1]されていますが、以下は翌日に発表された編集版で、米国籍チベット人のテンジン・ドルジ副代表の声明の1/3程度と、米国人環境問題と人権活動家のローレル・スザーリン氏の声明の一部、それから最後にチベット解放の聖火を手にチベット国歌を歌う部分までが収録されています。ここで横断幕に書かれている「One World One Dream Free Tibet 2008」は言うまでもないですが、北京オリンピックのスローガンを捩ったもの。
この後にビデオに映っている3人と、ビデオ撮影の1人の他、同行していた1人の計5人が中国当局に55時間拘束された後、米国籍という事で釈放され国外追放となっています。
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自由チベット オリンピック抗議 チベット・エベレスト山 2007年4月25日 Free Tibet Olympics Protest - Mount Everest (2'12") 訳・字幕:Red Fox
(テキストで見る) |
この7ヶ月前の2006年9月にはヒマラヤを越えてネパールへ脱出しようとしたチベット人の一団が中国の国境監視部隊に銃撃され1人が射殺される事件が起こっており、米国人とは言え中国政府を批判すれば何が起こるか分からない危険なチベットで、拘束される可能性を前提に衛星中継で画像を送るなど、それも標高5200mの薄い空気で4月の気温は氷点下という過酷な環境で、この大きさの横断幕は結構な重量になるものを薄い空気の中、8時間担いでベースキャンプまで運んだという、かなりの決死の抗議活動だった事が伺えます。
尤も衛星中継を導入するなど、この抗議活動はかなりの組織体勢で準備周到に行われた事も分かります。
エベレストのベースキャンプでトーチを持ってチベット国歌を歌うテンジン・ドルジさん。Tシャツには「IOC、チベットを通過する聖火は要らない」と書かれている。 (Photo: Students for a Free Tibet)
横断幕を掲げるローレル・スザーリンさん (Photo: Students for a Free Tibet)
同、クリスティン・ウェストビーさん (Photo: Students for a Free Tibet)
2分間に編集されたビデオではドルジさんの声明の半分以上がカットされていましたが、「自由チベット学生組織」のブログ上では全文が掲載されていて、その全てをMP3音声で聴く事が出来ます。
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エベレスト抗議のビデオ:テンドールの声明 [*「テンドール」はドルジさんのニックネーム]
チベット・ウィル・ビー・フリー 2007年4月25日 4:49
マット・ハムリン
この短いクリップは前エントリーの、自由チベット活動家がエベレストの上に掲げた横断幕の話題の続きです。「自由チベット学生組織」のテンジン・ドルジ副代表が、彼が何をしているか、そしてチベット独立の声を上げるために何故エベレストを選んだのかを語る。
以下がビデオのテキスト。
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テンジン・ドルジ:シャノンさん、何か話していいですか?
シャノン・サービス:勿論ですどうぞ。 ドルジ:えー、私達は今ベ−スキャンプにいます。エベレスト・ベースキャンプ、チョモランマ・ベースキャンプ。後ろには雄大な山、世界最高峰の山が見えます。これはチベット人の山です。ここはチベット。私はチベット人で、ここは私の故郷。中国政府はここにいる資格はない。向こうには幾つかテントが見えますが、それらは中国政府が設置したもので、エベレストに五輪聖火を運ぶ準備をしています。 中国政府よ、あなた方は中国の最高地点に聖火を持って行けば良い。中国内の最高峰に聖火を持って行けば良い。チベットには来るな。ここはあなた方の土地ではない。過去50年間あなた方はこの地を痛めつけて来た。この地は血にまみれている。あなた方はこの地の主に傷を負わせて来た。チベット人はこの地に代々住んで来たのだ。我々はこの地に住むために遺伝子を高め肺の能力を高めて来た。この地に住む事が出来るのは我々とその子孫であり、その他の何物でもない。 今日は4月25日、パンチェン・ラマの誕生日で、今日で18歳になる。彼が6歳の時に中国政府に拘束された。この巨大な政府が一人の小さな子供に怯えていた。たった6歳の。 そして彼は今日18歳になった。今後はどうするつもりなのか? 彼がまだ子供で保護が必要だと言うのか? 彼はもう大人である。如何に洗脳しようとも彼は分かっている。いかにチベット人の子供達や若者を洗脳しようとも、中国に連れて行き、北京に連れて行き、「教育?」を行い、洗脳をし、中国の学校に通わせ、中国語を教え、チベット人である事を忘れさせようとも --- あなた方は決して、決してこの地を所有する事は出来ない。決してチベット人を中国人には出来ない。 チベットの古い諺では「中国人は中国で満足、チベット人はチベットで満足」と言います。そのようにすればいい。単純明快である。中国に帰るのだ。 チベットはチベット人のものである。我々は共存出来ない。あなた方は我々を迫害せずに中国に住めばいい。我々はチベットに住む。我々は隣人にはなれる。我々は友人になれる。それ以外の選択はない。 | |
![]() テンドール『ログチョパ』 |
テンジン・ドルジさんは中国のチベット侵攻時に両親がインドに亡命、彼自身はインド生まれでインドのチベット人学校で教育を受け、その後米国籍を取得した方で、本業は写真家でチベットの民族文化に関連した写真を主に撮っているようですが、昨今はチベット独立運動の活動家としてあちこちで名前を見ます。また自作のチベット音楽でCDを出すなど多才な方のようです。
同、インタビューに答えるドルジさん (Photo: Devendra M. Singh - AFP) |
2007年4月29日、カトマンズで。左よりテンジン・ドルジさん、クリステン・ウェストビーさん、ローレル・スザーリンさん、シャノン・サービスさん、ジェフ・フリースンさん (Photo: nathanialfreitas) |
2007年5月2日、ニューヨーク到着時に空港でインタビューに答えるドルジさんと母親のアマラさん(右)。後ろのプラカードは「ここはチベット」「私はチベット人」「ここは私の故郷」と、エベレストでのドルジさんの声明が書かれている (Photo: sftflickr) |
VOAチベットニュースがエベレスト抗議を報じる
VOA Tibetan News covers Tibet Protest on Mt. Everest (3'44")
| Rangzen08. VOA Tibetan News covers Tibet Protest on Mt. Everest. YouTube, May 17, 2008. |
VOA (Voice of America) はアメリカの多国籍ニュースポータルサイトで、チベットニュースはうちチベット語で報じられているニュース。このニュースにはエベレストで撮影されたビデオのうち上記ではカットされたシーンなどが見られる。音声はチベット語なので私も分かりません(笑)
次回エントリーに続きます。おまけ
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チベット国歌 Tibetan National anthem (1'06")
Posted by jigdo (2007.1.4)
「Gyallu」は歴史的な国家であるチベットの国歌。この歌は仏陀の輝きに焦点を当てている。詩は1950年頃にトリジャン・リンポケによって書かれたが、チベットの国歌が最初に使われたのが、独立国家だった頃なのか、中国の占領によって亡命政府になって行こうなのか、いつなのかははっきりは分かっていない。 この国歌と思われる一番初期の記録は中国が占領をした時代の1949年から1950年であり、国家のリフォームのために導入された。次の記録はダライ・ラマ14世が亡命して以降の1960年に、彼のために演奏されている。 メロディはチベットの古い宗教音楽が基になっており、詩はダライ・ラマの師のトリジャン・リンポケによって書かれている。この曲は作られて以降チベット亡命政府によって使用されているが、チベットを支配する中国では厳しく演奏が禁じられている。(英語版ウィキペディアより翻訳) Wikipedia. Gyallu.
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関連サイト:
・自由チベット学生組織ウェブサイト (英語)
・自由チベット学生組織ブログ (英語)
・自由チベット学生組織英国支部ウェブサイト (英語)
特集『自由チベット学生組織』
1. エベレストに「Free Tibet」横断幕 自由チベット学生組織の抗議活動 (2008.3.26)
2. 万里の長城に「Free Tibet」垂れ幕 自由チベット学生組織抗議活動 (2008.3.29)
3. 自由チベット学生組織、IOCのロゲ会長に直談判 (2008.4.1)
4. 「チベット自由の聖火」がオリンピアを走る (2008.4.18)
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