
前エントリーでは4月18日の善光寺の聖火リレー撤退のニュースに関して「海外メディアで絶賛して報じられた」とする2ちゃんねるでの書き込みの検証を行って「ことごとくソースが見つからない情報のため限りなくガセに近いと見るのが妥当」と、取り合えずそういう結論に達したが、読者の方から以下のコメントを頂いた。
はじめまして、私もほだされてしまった一人です。 ただ、下記のページに乗っているリンク先はフランス・ドイツ・カナダのものが大半なので内容がわかりかねます。 もし、これらのページ内容がコピペされていた内容と一致しないのであればガセネタですが、機械翻訳もできないのでお手上げです。どなたかお分かりになりますか? http://bbs.enjoykorea.jp/tbbs/read.php?board_id=ttalk&nid =1039225&start_range=1039115&end_range=1046487 2008/04/29(火) 23:32:25 | URL | mm
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以下がそのリンク先のEnjoy Koreaの転載である。
ここでは例の“海外メディアの絶賛報道”と共に、その「一部ソース」と称して外国メディアのリンクの一覧がポストされている。この「ソース」と称するリンク集は、例の「海外メディアの絶賛報道」が取り上げられた2ちゃんねるスレやブログやBBSなどあちこちにコピペされているのを見かけるが、幾つかバリエーションがあるようである。例えば以下の『玄倉川の岸辺』さんのコメント欄など。
いずれにしても問題はこのリンク先の中身が何であるかだが、英語メディアに関しては全て前エントリーの最後で紹介した善光寺関連の英語記事一覧に含まれているものなので、取り合えずこの時点でも「リンク集にある英語記事はソースではない」という結論を出せる。 検証: 上記の「ソース集」に載っている英語、ドイツ語、フランス語記事の訳一覧 以下が上記のリンク集に含まれていた英語、ドイツ語、フランス語記事の善光寺に関する記述部分の訳。英語記事に関しては全て前エントリーで紹介済み。ドイツ語とフランス語記事はウェブ翻訳で英語にしたものから和訳。 以下、記事名の前の紺の太字は上記の「ソース集」上での表現。 4月18日 リンク集では「イギリス ガーディアン」 実際:「日本の寺が聖火リレースタートを考え直す」 (ロイター通信) [英語]
リンク集では「アメリカ NBC」 実際:「日本の寺が五輪聖火リレーを拒絶」 (AP通信 4/18) [英語]
リンク集では「ドイツ ヤフー・ドイツ(ソースAP通信)」 実際:「日本の仏教寺院が聖火リレーを辞退」 (AP通信 4/18 10:08 UHR) [ドイツ語]
リンク集では「カナダ Radio-Canada」 実際:「聖火リレー:日本での予定変更」 (ラジオカナダ 4/18) [フランス語]
リンク集では「タイ Bangkokupost(英語版)」 実際:「2008五輪:日本の仏教寺院が聖火リレーからの撤退を望む」 (DPA通信 4/18) [英語]
リンク集では「イギリス BBC (AP通信ソースではなく、独自記事として評価)」 実際:「日本の寺が聖火リレーを拒否」 (BBC 4/18 8:17UK) [英語]
リンク集では: 「フランス Le Vif/L'Express」 「フランス Le Monde」 「フランス Romandie News 」 実際:「日本:仏教寺院が五輪聖火開催を拒否」 (AFP通信 4/18 9:22) [フランス語]
リンク集では「フランス AFP」 実際:「有名な日本の仏教寺院が五輪聖火を拒絶」 (AFP通信 4/18) [フランス語]
リンク集では「カナダ The Globe and Mail」 実際:「仏教寺院がスタート地点の役割を考え直す」 (グローブ&メール 4/18 20:40 EDT) [英語]
リンク集では「アメリカ Herald Tribune」 実際:「日本の寺は五輪聖火リレーを受け入れない」 (AP通信 4/18) [英語]
リンク集では「ドイツ Welt」 実際:「日本の寺が聖火リレーから撤退」 (DPA通信 4/18 6:15UHR) [ドイツ語]
リンク集では「アメリカ New York Times」 このURLは4月21日の記事が出て来るため、NYタイムズで記事の差し替えを行ったという事になり、元記事の内容は不明。 これらの「ソースの一部」と称する記事を見ても、これらの記事が一体どうして2ちゃんねるに投稿された「善光寺を絶賛する外国メディア記事」のソースになるのか全く意味不明である。 リンクを大量に並べたてている割にはそれらは実は内容が重複しているAPやAFPの同一記事だったりする。記事内容が読める人物ならこういう重複記事の羅列など起こらない訳であり、単に「Zenkoji」のキーワードでヒットした記事を並べ立てているだけに見える。 この「ソース」と称するリンク集はどこから来たのか? それにしても何故ソースにすらならないリンク集が「ソース」と称してあちこちにコピペされているのかが不思議ではあるが、問題はこれらのリンク集がいつどういう意図を持ってネットに書き込まれたかである。 このリンク集が2ちゃんねるに投稿されたもので確認出来る限りで一番古いものは4月18日の16:26 (英8:26)であるが、善光寺が撤退方針が日本で報じられたのが18日の昼頃で、それが海外で最初に英国で報じられたのが日本時間18日の13時頃 (英国時間18日朝5時頃) なので、18日の夕方の書き込みならほぼリアルタイムという事になる。 同日夜までには更に書き足されリンク集が巨大化している。
それからこの書き込みが18日から21日にかけて2ちゃんねるのあちこちのスレにコピペされているが、このリンク集がどれだけ広まっているかの目安として、この中の一文「AP通信ソースではなく、独自記事として評価」で検索すると2ちゃんねる内では654件、外部を合わせると735件ヒットする。そしてそれが「善光寺辞退を賞賛する外国メディア記事のソース」と称して投稿されている例が目立つ。 しかし「海外メディアの絶賛報道」の書き込みは、CNN/NBC/F2が4月19日の1:20で、IDN/BBC/AE通信が4月20日の23:05なので、順番で言えばこちらのリンク集の方が先になる。 ちなみに「絶賛報道」の書き込みが『博士の独り言』さんのエントリーに影響されたのではないかという意見も2ちゃんねるかどこかで見た事があるが、該当エントリー[>>1]は4月19日の16:41でそちらの方が後になるため、こちらも関係ないという事になる。 上記のEnjoy Koreaに「ソース」と称されて投稿されたものは、2ちゃんねるに書き込まれたこのリンク集から一部が抜き出されたものという事になるが、Enjoy Koreaでは一行目に来る筈のガーディアンの名前が抜けているなどずさんな点や、「絶賛報道」の書き込みに含まれていないメディアの記事ばかり羅列されている辺りから、「ソース」と称している肝心の投稿者がリンク先の記事を全く読んでいないどころか、自分が投稿するリンク集に何のメディアがリストされているかすら注意を払っていないという事になる。 余談: 懲りずに「偽ソース」を貼付ける人 ところで、当ブログの前エントリーの話題が2ちゃんねるで取り上げられる事になったきっかけは、アメーバニュースで前エントリーが紹介された事で、それで2ちゃんねるに5つほどトピが立ったという経緯だが、そのアメーバニュースのコメント欄に懲りずにリンク集のコピペを貼付けている人がいる。
15番はリンク先の記事がソースにならないにも拘らず貼付けている訳で、調べもしないでゴシップを信じているのは一体どちらなのか? (笑) 更に19番が「とても参考になりました」と書いているが、全く無関係なリンク集を見て何が「真贋を見抜く目」なのか意味不明である。 それから20番が言っている事は私は既に前エントリーで言及している訳で、結局のところアメーバニュースには当ブログのURLが表示してあるにもかかわらず、批判する人に限って見にすら来ていない訳である。 他にも前エントリーにおいて「ガセの可能性が非常に高いが、ガセであると証明する事もほぼ不可能」「ここまでことごとくソースのない情報を信じろという方が無理がある」「2ちゃんねるでも巷のブログでも誰かの創作の可能性が高いという結論になっているようである」と書いているにもかかわらず、2ちゃんねるの場合でも全くそれが伝わってなくて「ソースがなければ捏造と断定するのか?」など筋違いな批判をされるというケースが一部あった。 確認をしないで信じる、見ないで批判するのなら最初から話にならない訳で、これでは中国人の事を笑えた義理ではない。 余談2: 海外で数千の記事が書かれたと信じている人 もう一つ、2ちゃんねるには「善光寺関連の記事を全て目を通したと言うには、検索しても1,000以上の記事がヒットするので、本当に全てを読んだのか」という旨の書き込みがあった。
だからこちらは「捏造だ」とは言っていないのに、どうして勝手にそういう話になっているのか。それに「1,121の記事」との検索結果を出した本人がいつの間にか三千だの数千だの言っているし、一体どこの白髪三千丈なのか?(笑) 1,000以上という数の大半はAP通信やAFP通信、ロイター通信などの記事配信メディアの同一記事が世界の英語メディアに転載されている延べ数[>>2]であり、更に問題の「絶賛記事の書き込み」より日時が後の記事はソースとならないので、4月18~20日の善光寺関連の実際の英語記事数は前エントリ-で紹介したものが確認出来る限りのほぼ全てとなる[>>3]。 私が「一通り」チェックしたのは4月18-20日の英語記事であって「全ての記事をチェックした」とも「世界中全てのメディアをチェックした」とも、そんな事は一言も言ってはいない。しかし常識的に考えれば、CNNもBBCもNBCもソースがなし、インドもオーストラリアもメディアの存在の確認すら出来ない中で、その全てが本物の情報であるという可能性は限りなくゼロに近いと、そのような結論に達するのが常識的な判断である。 こちらは捏造と証明するのは不可能と最初からそう言っている。しかし捏造を証明出来ない事が即「あった事の証明」にはならない。反論や批判は最低限エントリー内容を読んでからするように。 そもそもは、CNN、BBC、NBC、F2等のメディア名が表記されている書き込みの検証であって、それらの名称の出たメディアをチェックしてソースが確認出来なければ「出所は不明で信憑性なし」と結論が出るという単純な話であり、全てのメディアをチェックする必要もなく、そんな事はそもそも最初から問題ではないのである。 おまけ: 前エントリーは「成り行きと言えども折角調べたんだからエントリーにしようか」位の普段のローカルなノリで、それも先週は出張で数日空けていたので1週間遅れのネタだったにもかかわらず、当ブログ始まって以来の10000アクセス越えの凄まじい反響になって、「売名行為」と殴り込んで来る人もいる始末でいささか驚いているが (笑)、以下は前エントリーがどこで取り上げられたかのアクセス数順の上位リンク集である。大半の皆さんには好意的に扱って頂いた事を感謝したい。 いずれにしても2ちゃんねるから見に来た人数は、最大に見積もっても「ime.nu」と「アメーバニュース」の合計の376件なので、2ちゃんねるに立ったアメーバニュース関連の5つのスレのコメント数合計の1575から単純計算すれば、“最大で”4人に一人の割合で見に来た事になる。
2ちゃんねる関連スレ
まとめサイト: ・デマの検証サイト一覧 (ず's WiLiKi) 脚註:
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コメント
文太さん検証頑張りすぎw
今回の記事でも触れておられましたが、「ソースにこだわる割にソースそのものを見ても・読んでもいない」「ソース先の記事の性質については検証するつもりが全くない」といったことが多いですね。
感じ方善光寺の出発点事態は事実を伝えているだけです。それよりフィガロが日本が松明護衛隊を世界ではじめて拒絶したという記事の方が印象的でした。シナの自称護衛隊のシークレット武力サーヴィスに蹂躪されたパリ警視庁の怒りがこもっていると感じました
初期消火
「善光寺が海外メディアで絶賛」デマは岩谷さんはじめ実証的否定派の活躍で初期消火に成功しましたね。おそらく再び燃え上がることはないでしょう。
丁寧な検証をありがとうございます。
アンタレスさん
検証自体は検索作業なのでさほど大変ではないんですが、それをどのように書くかの方がむしろ悩みますね。結局のところ誤解する人は飛ばし読みしかしないか読まずに批判して来るのはいつもの事なので。
訪問者Aさん
ソースを確認しないで信じるのも、切り貼りで印象操作をするのもいずれにしても問題ですが、意図的な改変はもう論外ですね。誰もソース元を確認すらしないでそれで議論が進んでしまうのであれば、メディア発だろうが2ちゃん発だろうがブログ発だろうが、そこに異論を挟む人がいないラッキー(?)な状況においては、意図的な情報操作がいとも簡単に出来てしまうという、そういう状況も起こりうる証左であります。
K8さん
レ・フィガロのウェブサイトには該当記事は見当たらないようですが。フランス語の原文でお読みになったのでしょうか?
玄倉川さん
私としては否定派というよりも単に「信頼する根拠がない」という話なんですが、でも見たくない情報からは目を背ける人達はそれでも、ソースにならないリンク集を根拠に主張をするのでしょうか。
mmさん
こちらこそ情報提供ありがとうございました。
文太さん、丁寧なコメント恐縮です。
訪問者Aさん
携帯電話のアクセスがデフォの人達が大半を占める場であれば、短いコメントの応酬というスタイルが根付くのも必然的というかそれが合理的ではありますね。もともと環境的に長文が読みにくい人達が2ちゃんねるに集まるのであれば、リンク先を見ない人が多いという状況も起こるのかもしれないかなと思いました。
文太さん>
新快速 播州赤穂行き さん
日本人に顕著に見られる独特な傾向があるとすれば、それは恐らく他国と陸続きの国境を接していない国独特のメンタリティ、それがいわゆる「島国根性」と呼ばれるものであると思いますが、それはつまり外国は全て海の向こうで「日本VS外国ひとまとめ」みたいな世界観と言うか、そこら変が日本人の独特な自意識過剰さや、外面ばかり良くて内側にばかり本音が向かう性癖、外に向けた表現が下手な背景にあるのではないかなとは、日本の外から日本人の言動パターンを見ていると、そんな風に感じる事もあります。
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