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ニューヨーク州検事総長による人体展への厳重取り締まり



 2008年2月15日にABCニュース『20/20』で中国の死刑囚の使用の疑惑がスクープされていたプレミア・エキシビション社の人体展『BODIES展』(BODIES... The Exhibition) に対して、同年5月ついに米国司法による取締りが行使される事になったニュースに関して今回は扱ってみる。

 ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ検事総長がプレミア・エキシビション社に対して「米国で展示された人体の入手方法に関して公表されている説明が実際虚偽でないかどうか」を調査する召喚令状を出したのが2月14日の事。その調査結果とプレミア社との法的合意が締結されたのが5月23日、そしてその発表が5月29日で、調査結果と「出所の怪しい新たな人体を展示会で使用する事を差し止める」という主旨の法的合意をプレミア・エキシビション社が受け入れたため、ニューヨーク州内での人体展示を行う際にこの法的合意に対してプレミア社が従う義務が生じる事になる。

 クオモ検事総長は、プレミア社の展示で用いられている死体の出所や、故人の献体と展示への合意を示す証拠が一切なく、プレミア社がその証明をする事は出来ないと結論付け、ペナルティとして人体展のウェブサイト上、展示会場および広告上に「プレミア社は展示人体が中国の死刑囚でない事を確認出来ない」との旨を明記する事、その事を事前に知っていたなら展示会に来なかったと意思表示をした客には入場料の払い戻しを義務づけ、更にその約束が守られているかどうかチェックする外部の監視員を雇う事を条件としている。

 この法的合意は、プレミア社が今後入手する人体標本に関しては出所と死因、同意書の入手を義務とし、既に使用しているものに関しては問わないという、トッド・エイキン議員が米議会下院に提出したプラスティネーション人体輸入禁止法案[>>1]と同様に、プレミア社など人体展主催者の経済的損失に対して配慮した「据え置き」の性格を持ったものである。

写真:プレミア社との法的合意発表の5日後の2008年6月3日、数件の法的合意をアナウンスするアンドリュー・クオモ検事総長。 (timesunion.com) [a]


[特集『人体展と中国の人体闇市場』トップページに戻る]



 ABCニュースののこれまでの記事での既出情報は紫文字で表示。


死人を喰らう悪鬼のような「人体展」への厳重取り締まり
ニューヨーク州検事総長は、中国で拷問されたか処刑された可能性のある死体で一企業が利益を得ていたと発表
リチャード・エスポシート&アンナ・シェクター
ABCニュース 2008年5月29日


 ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ検事総長は、「中国で拷問されたか処刑された可能性のある人物の死体」を用いた米国での展示会で、問題の企業が数百万ドルの利益を得ていたと発表した。

 ABCニュースの『20/20』の報道を発端に開始された公的調査の結果発表をクオモ氏は「厳然たる事実」と表現し、問題の企業のプレミア・エキシビション社が「繰り返し否定して来たにも拘らず...人体展における人体の真の出所を知る方法を持たず、このような形での使用のために献体されたとする同社の主張を裏付けるいかなる書類も存在しない」と述べた。

 クオモ氏は、彼のオフィスがプレミア社と「その出所を証明出来ない人体をプレミア社が展示会において使用する事を差し止める」という法的合意に達したと述べた。

 クオモ氏は「死者への敬意と、公衆への敬意の両方を満たすには、プレミア社が懸念材料を払拭しなければならないという単にそれだけの事である」と述べた。

 この交渉を行ったプレミア社側の弁護士であるブライアン・ウェインガー法律顧問は、「私達はこの結果に満足している」とし、この法的合意はニューヨーク州内での展示にのみ有効ではあるが、同社は展示会の運営に関し「ニューヨーク州での条件を鑑にする」と述べた。


 プレミア社に関する『20/20』の報道において、プレミア社の前代表のアーニー・ゲラー氏は死刑囚の死体の使用を否定し、人体は中国の大連医科大学から来たと述べている。

 大連医科大の学長は人体を提供した事を否定し、報道の数週間後にゲラー氏が代表を辞任している。会社側はこの辞職は問題とは無関係としている。

 『20/20』はまた、プレミア社に人体を供給していた中国の企業で働いていた人物による直接証言を報道した。その人物によれば、中国の企業における「プラスティネーション」処理に送られた人体に死刑囚のものが含まれていたという。


 ニューヨーク州検事総長との法的合意により、プレミア社は献体者の同意書と「死体の出所と死因を証明する」書類を入手する事が義務となる。

 クオモ氏はまた、プレミア社のニューヨーク市での人体展に来た「これまで全ての見学者」はチケット代金全額払い戻しを請求出来ると述べた。

 同社のウェインガー法律顧問によれば、プレミア社は払い戻し金の請求用予算として5万ドルを準備したとの事。ウェインガー氏は「将来長期にわたりニューヨーク州での展示会に我々の人体を展示出来る日を楽しみにしている」と述べた。

 プレミア社は米国、南米諸国やヨーロッパの数十の都市で展示を行っている。

[訳=岩谷] (原文:英語;写真は元記事付録)
*本翻訳の転載には許可を必要としないが必ず出典元を明記の事。
Esposito, Richard and Anna Schecter. "Crackdown on Ghoulish 'Body Exhibitions'". ABC News, May 29,2008. [魚拓 1 2]

 この「法的合意」とは、プレミア・エキシビション社が解決を望んでいるため和解扱いのようだが、実質的には検事総長の出した条件にプレミア社が全面的に従っているという形になっている。
 更にこれはニューヨーク州消費者保護法と執行部法に基づいての調査と和解であり法的拘束力が生じる事をプレミア社が受け入れたというものである。

 ただしこれはニューヨーク州内でのみ有効という規制であり、米国内の他の州では取り締まり対象にはならない。


ニューヨークのサウスストリート・シーポートの『BODIES展』の展示会場 (TravBuddy.com) [b]


ニューヨークのサウスストリート・シーポートでの『BODIES展』で展示人体に黙祷を捧げる僧侶。これまでに180人が黙祷と祈りを捧げに展示会を訪れた。(2006.4.29 Michelle V. Agins/New York Times) [c]


 この法的合意に関して、ニューヨーク州検事総長オフィスのウェブサイトに、プレスリリース記事と法的合意の全文のPDFファイルが掲載されており、ABCやニューヨークタイムズなどを含む各メディアの記事はこれらの情報を基に書かれているため、このプレスリリースが元の情報となる。

 以下のプレスリリースは、クオモ・オフィスによる背景の概略および法的合意文への説明と、それに対するクオモ検事総長のコメント、そして労改基金会の声明からの引用が書かれている。




クオモ検事総長の『BODIES展』への法的合意は、出所の怪しい人体の使用を停止させるもの
プレミア・エキシビション社は展示の人体が中国の囚人であるとの疑惑を払拭できず
法的合意によりニューヨーク市での展示の訪問者全てがチケット代金払い戻しの資格を与えられる

ニューヨーク州検事総長オフィス 2008年5月29日

 【ニューヨーク (2008年5月29日)】アンドリュー・M・クオモ検事総長は本日、プレミア・エキシビション社(以下「プレミア社」)(ニューヨーク証券取引所: PRIXI) の「人体展」の開発者と、出所を示す書類のない人体の使用を停止するとの法的合意に達したと発表した。これによって、プレミア社は死体や人体パーツの出所と死因の証明、およびこのような用途に遺体を使用する事に故人が同意をした事を証明する書類を入手しなければならない。更に、ニューヨーク市での人体展への訪問者はチケットの全額払い戻しを請求する事が出来る。

 プレミア社は人体や人体パーツを展示する有名な「人体展」を開催している。「人体展」はニューヨーク市のサウスストリート・シーポートを含む世界各地で開かれている。現在展示されている人体の全てが中国国籍者又は中国在住者だった者である。展示されている人体の一部が中国で処刑された死刑囚であるとの疑いを人権団体やメディアが報じている。プレミア社は疑惑は根拠のないものだと主張して来たが、クオモ検事総長の調査では同社が死体の出所や死因を証明する事が出来ないとの結論に達した。

 クオモ検事総長は「プレミア・エキシビション社が、中国で拷問や処刑をされた可能性のある人体によって収益を得ていたという厳然たる事実がある。プレミア社は繰り返し否定をして来たにも拘らず、故人が死に至った事情を何一つ示す事が出来ないのは周知の事。これらの人々が遺体をこのような形で使用される事に同意した旨を証明する事すら出来ない。死者への敬意と公衆への敬意の両方を満たすには、プレミア社が懸念材料を払拭するという単にそれだけの事である」と述べた。


検事総長の法的合意において:

  • ニューヨーク州内での展示の前に、プレミア社は人体や人体パーツの出所、死因および遺体使用への故人の同意を示す書類を入手しなければならない。

  • ニューヨークでの先の展示への訪問者で、人体の出所に疑惑のある事を知っていたなら来なかったであろう全ての人々へのチケット料金全額払い戻しをプレミア社は提供しなければならない。同社はこのために5万ドルを出資する。

  • プレミア社は取り決めが守られているかをチェックする外部の監視員を自費で2年間雇わなければならない。監視員はまた払い戻しのプロセスを監督する。

  • 検事総長の法的合意以前に入手した人体を引き続き展示するプレミア社のニューヨーク州におけるイベントでは、拷問や処刑された可能性のある中国の囚人ではない確認が出来ないと、ウェブサイト上と展示の宣伝においてその旨を明記する事。

 労改基金会のカーク・ドナホー副代表は「クオモ検事総長の法的合意案を賞賛する。これによってニューヨーク州だけでなく米国内の他の場所での展示のために、プレミア社やその他の主催者が中国からの標本を入手する件数が減少するだろう。私達はその他の州の法執行当局にも働きかけて、この乱用行為に終止符を打つ」と述べた。労改基金会は中国の強制労働改造所の大規模システムの情報を集め、組織的人権抑圧を記録する非営利組織である。

 現在ニューヨークで展示されている人体と人体パーツは、大連鴻峰生物科技有限公司によってプレミア社に対してライセンス (使用許可) されている。中国公安局が「死亡時に引取人がない死体」と判断した人体を、大連鴻峰生物科技社は間接的に公安局から取得している。それらの人体は皮膚を剥がされ、体内が見えるように解剖され、プラスチックに浸され硬化する「プラスティネーション」と呼ばれる処理をされる。プレミア社はニューヨークでの展示会に展示された人体が引取人のない死体で、このような形での展示をされる事への故人の同意を示す書類がない事を既に認めている。

 現在『BODIES展』はニューヨーク市のサウスストリート・シーポートで開催されている。展示会では20体の死体と、200の人体パーツ、器官、胚や様々な段階の胎児が展示されている。プレミア社は検事総長のオフィスと共同して調査を行った。 本件はミトラ・ホルモジ特別次席補佐官の監督の下、カレン・ゲダルディッグ検事総長助手が担当した。

[訳=岩谷] (原文:英語)
*本翻訳の転載には許可を必要としないが必ず出典元を明記の事。


これまでメディアが報じて来た事が米国司法によって確認された


『BODIES展』のニューヨークでの2006年の第一回展示会の宣伝ポスター (NYC Official City Guide) [e]
 2006年8月のニューヨークタイムズの記事では、プレミア社のゲラー代表がニューヨークタイムズのデビッド・バルボザ記者のインタビューで、人体標本は中国の公安局から来た身元不明の引き取り人のない死体であり、その誰もプラスティネーション処理や展示に対する同意をしていないもので、プレミア社は死体入手には直接関わってなく、自社チェックでそれらが死刑囚でないと確認したと表明している事、更に大連医科大側がニューヨークタイムズに対し人体供給者が人体を入手し海外の展示に送った記録がないと表明し、その供給者である隋鴻錦教授がインタビューを拒否した事が当時すでに報道されている。[>>2a]

 そして2008年2月15日のABC『20/20』でもやはりゲラー代表は、人体は身元不明の引き取り人のない死体だと隋氏に保証され、自社チェックでそれらが死刑や拷問の形跡がない事を確認したと述べており、しかし人体の出所自体をプレミア社が把握していない事がABCに指摘され、更にABCの番組で言及されたのが、人体を供給しているのが大連医科大ではなく個人企業の「大連医科大プラスティネーション社」であり、大連医科大は当初業務の70%を請け負っていたが悪評判のため撤退した事など。

 それから、2008年2月29日にはカンザスシティのカトリック協会『カトリック・キー』(2008年8月にプレミア社の献体同意書偽装を暴露した団体) が、それは隋氏ががプレミア社に「全ての標本はまず中国の公安局から受け取った引き取り人のない人体で、それが大連医科大やその他の大学に教育と研究のために献体されたものである」と宣誓供述書に書いて渡したものだと指摘[>>3][>>4]。ゲラー氏が「人体供給者から保証された」と表現していたのは恐らくこれの事である。

 つまり、上記の事は以前から米国メディア等では以前から既に報道はされて分っていた事でも、それらが今回米国の司法によって公に保証されたという事になる。





死刑囚でない証明が出来ない事の明記が義務付けられる

 そしてこの法的合意によって、それらの人体が「中国で拷問や処刑をされた囚人でないとの確認が出来ない」とウェブサイト上と展示会場および宣伝において、その旨を明記する事という条件が付けられている。
 そしてそれは、現在プレミア・エキシビション社の『BODIES展』のウェブサイトのトップページと、「ニューヨークの展示会の料金払い戻しに関して」のページにおいてその注意書き (Disclaimer) を見る事が出来る。


『BODIES展』ウェブサイトのトップページ。ページ下部のグレーの文字の「Disclaimer」の項目が、「死刑囚でない事を確認出来ない」と「払い戻し」が書かれた部分。
[d]

 その注意書きとは、以下の『BODIES展』のウェブサイトの「料金払い戻しに関して」のページのうち (A) と (B) の部分で、これは検事総長オフィス作成の法的合意書上に「掲載義務」として、『BODIES展』のウェブサイト上と展示会場および広告への表示が義務づけられている文章の事である。


ニューヨークの展示会の料金払い戻しに関して
プレミア・エキシビション社 2008年5月30日

プレミア・エキシビション社(当社)とニューヨーク州検事総長の間で取り決められた、2008年5月23日付けの法的合意によって、当社はサウス・ストリート・シーポートにおける『BODIES展』に関して以下の合意に至りました。

(A)「この展示会では、中国の公安局から受け取った中国国籍者又は居住者の死体を展示している。中国公安局が中国の刑務所から死体を受け取っていた可能性があるが、プレミア社は展示されている人体が中国の刑務所に投獄されたものかどうか一つ一つを確認する事が出来ない」

(B)「この展示会は中国国民又は居住者の死体から来る、全身人体、人体パーツ、器官、胎児および胚を展示している。これらの人体パーツ、器官、胎児や胚に関して、プレミア社は中国側の取引業者に依存するのみで、それらが中国の刑務所で処刑された死体でない事を一つ一つ確認する事が出来ない」

もしこれらの情報を事前に知っていたなら該当展示会を見に行く事は恐らくなく、よって入場料の払い戻しを希望される方は、以下の情報を含んだ署名入り陳述書を提出して下さい。

(A)氏名と住所。
(B)2008年5月30日以前のニューヨークでの展示会に行った事を証明するもの。
(C)もし上記にあるような情報を事前に知っていたなら、サウスストリート・シーポートでの『BODIES展』には行かなかったとする誓約書。

Premier Exhibitions, Inc.
P.O. Box 19035
Atlanta GA 31126

ニューヨーク州検事総長の調査と法的合意書の詳細は以下をクリック。(PDF)

http://www.prxi.com/pdf/FEAOD.pdf [魚拓]

[訳=岩谷] (原文:英語)
*本翻訳の転載には許可を必要としないが必ず出典元を明記の事。
BODIES...The Exhibition. "NYC Exhibition Refund Policy", May 20, 2008. [魚拓]

追記:返金の義務は法的合意から6ヶ月間の2008年11月23日までであり、それ以降はこの「払い戻し」のページからはAとBの文章のみを残して削除されている。更に、このURLは「Disclaimer」に転用され、『BODIES展』のニューヨーク展の専用ウェブサイトにのみリンクされていて、元々表示されていた『BODIES展』全体のウェブサイトのトップページ上には表示されなくなっている。上記のキャプチャ画像は2008年9月時点のもので、「Disclaimer」が表示時のもの。

 この合意はつまり、「当社は出所の定かでない死体を使用している」と公の場で発表しろといういわば恥晒しの要求であり、これはプレミア社側にとってはイメージダウンとなる処置である。
 これに対して労改基金会は「合意は歓迎する」としながらも、現状据え置き的なこの処分では中国から来た出所の不明な死体を利用している現状に対する解決にはならないとして、今後の更なる規制強化を呼びかけている[>>5]




人体流通ルートは中国公安局が出所

 今回のクオモ検事総長の調査発表で特記すべき事はやはり、大連医科大プラスティネーション研究所に“間接的に”人体を提供していたのが中国公安局 (Chinese Bureau of Police) であるという点が米国の検事総長によって公式に確認された事である。

 クオモ報告書によれば、公安局が大連医科大やその他の医大に死体を提供し、そこからプラスティネーション社に来るとされている。
 一方、ABCニュースで報道された隋鴻錦教授の元助手の証言と提供写真は、人体ブローカーが処刑間もない死体をトラックで取引施設に運び込み、彼がそこで死体を選んでプラスティネーション工場に持ち込んでいる様子を物語っている。[>>6][>>7]

 これまでの情報を総合すると人体の流れは以下のようになる:


身元不明死体  (刑務所)
↘   ↙
中国公安局

(死体ブローカー)
↓      ↓
(大連医科大) (撤退) 各病院や医大
↓      ↓↑
大連医科大プラスティネーション社
=大連鴻峰生物科技社
(代表:随鴻錦氏)
[プラスティネーション処理]
↓     ↓
(大連医科大) (撤退)
↓     ↓
ジェンライフ    コーコラン  
バイオメディカル社 ラボラトリー社
[台湾輸出業者]    [米輸入業者]
↓     ↓
プレミア・エキシビション社
[リース使用]


短期間で膨大な数の死体が加工される

 1995年に開始したハーゲンス氏の『ボディワールド』と比べて中国のプラスティネーションは歴史が浅く、2002年3月に開始した日本の『新・人体の不思議展』に南京蘇芸生物実験工場が人体を供給[>>8]、同年に大連で隋鴻錦氏が大連医科大プラスティネーション社を創設[>>9]、2004年4月に同社が北京で展示会開催[>>10]、同年8月に同社がプレミア社の前身の「RMSタイタニック社」に供給して英国で『人体の暴露展』(Bodies Revealed) が[>>11a]、翌年2005年8月にアトランタでプレミア社の『BODIES展』が開始と[>>12]いずれもこの4年ほどの間に急激に普及したもの

 2000年頃から中国では裁判所や刑務所が無断で臓器売買を起こすという事件が相次ぎ[>>13]2006年8月には中国で人体の商業利用と売買を禁じる法律が制定されている。[>>14]

 ABCニュースによれば、プレミア社が保有する人体と人体パーツは1000点にのぼるとあり[>>15]、1996年にハーゲンス氏を客員教授として、そして99年に同氏の工場を大連に誘致した隋鴻錦教授が秘密裏に人体標本を制作していたためにハーゲンス氏とトラブルになったとハーゲンス氏は証言しており[>>2b]、仮にそこまで遡ってみたところで5年、隋氏が大連プラスティネーション社を創設して以降なら2年で、(一体の加工に1年以上を要するプラスティネーション処理で) 2004年の『人体の暴露展』英国展までこぎつけている訳で、それだけ短期間の運営でプレミア社に1000点余りの標本を提供する他に、隋氏は中国で独自の人体展『人体世界』を運営しており、その他南京蘇芸工場や、日本や韓国やその他の国での人体展開催へ供給されている数を含めれば、その数年間で中国でいったいどれだけの数の死体が加工をされたかを考えると、いささか尋常でない数に思われる。[>>25]

 そうすると、やはり頭をよぎるのがタイミング的には、少なくとも死刑宣告4015と死刑執行2468があった2001年の『厳打キャンペーン』である。[>>24]



2001年の瀋陽厳打公捕大会。1983年の厳打キャンペーン以来、瀋陽市では最大規模の公開逮捕行動。 (南方報業網) [G]
 一方、世界第二位の移植大国である中国ではその移植臓器の95%が死刑囚のものであると中国の衛生省が2005年11月のWHO国際会議で認めており[>>16]、年間1万件とも言われる移植[>>17]の95%、つまり年間9,500件の移植が死刑囚のものになり、その死体が中国公安局から提供されているという事になる (死体一体から複数の臓器摘出が行われるため年間9,500人という意味ではない)。

 中国は2006年の死刑執行数を1010人と公式発表しており、アムネスティによれば8,000人近く処刑されたと報告されている[>>18]。仮に中国の言う通り年間約1000人だとして、そういう臓器移植と死刑執行数を考えてみても、プレミア社のプラスティネーション死体の保有数1,000点というものは決して“一部”とは言えない規模と言える。

 ちなみに、ハーゲンス氏の大連の人体工場では年間に約30体の人体を加工していたとの事。[>>19]

 勿論、隋氏とプレミア社が主張する通り、それだけの数の「自然死の引き取り人のない身元不明死体」がコンスタントに出るなら、それだけの数が「身元不明」というのは、大飢饉か伝染病が蔓延しているか内戦状態かで社会が崩壊している状態であって、それこそオリンピックどころではない話である。



大連医科大と大連医科大プラスティネーション社の関係

 ニューヨーク州検事総長オフィスの調査報告には、プレミア・エキシビション社との法的合意書の調査結果の「背景」の部分に、大連医科大と大連医科大プラスティネーション研究所の関係に関する興味深い記述がある。以下は全部で46項目の全13ページにわたる長いレポートの一部だが、ここにもまた更に詳しい情報が書かれている。




ニューヨーク州検事総長
株式会社プレミア・エキシビション
商標『BODIES. . . .The Exhibition』に関して

2008年5月23日

 ニューヨーク州消費者保護法 (General Business Law) 22条Aと、ニューヨーク州執行部法 (Executive Law) 第63(12)項の規定に基づき、ニューヨーク州検事総長アンドリュー・クオモが、プレミア・エキシビション社 (以下「プレミア社」) の特定の業務に対し調査を行った。その調査は以下に述べる項目に基づく:

背景

  1. 株式会社であるプレミア社の前身は、1993年に法人化した「RMSタイタニック有限会社」である。当時、RMSタイタニック社はタイタニック号から回収された引き上げ品の展示会を組織しツアーを行っていた。

  2. プレミア社は2005年に発足し、RMSタイタニック社はプレミア社の全額出資子会社になった。プレミア社はフロリダ州で創業し、現在の住所は「3340 Peachtree Road, Suite 2250, Atlanta, Georgia, 30326」である。タイタニック展に加えて、プレミア社は本物の完全な人体、人体パーツ、器官、胎児や胚を使った人体解剖学展示(以下「人体展」) などに様々な展示会を主催しツアーを行っている。

  3. 現在ニューヨークで展示されている人体や人体パーツは、2004年にエキシビションズ・インターナショナルLLC (以下「EI社」) という企業が中国から入手したものである。EI社がリースしていた全ての人体や人体パーツを大連医科大学プラスティネーション社から入手したものである。同社は中華人民共和国の法人である (遼寧省大連市沙河口区中山路465号116027)。当時、大連医科大プラスティネーション社の70%が大連医科大が所有し、残りの30%が大連医科大解剖学教授の随鴻錦氏とその仲間によって所有されていた。

  4. DUMP社はEI社のリースを開始する数年前から、完全な人体や人体パーツを入手し解剖しプラスチック化して来た。全ての人体や人体パーツは中国国籍者か居住者のものであるが、遺体やパーツをプラスティネーションして展示に用いるという事へのそれらの人々の同意を示す書類が存在しない。むしろこれらの死体は死亡時に引取人がなく、中国の公安局によって集められ、大連医科大や中国のその他の大学に教育と研究目的で届けられたものである。そしてこれらの大学が大連医科大プラスティネーション社にプラスティネーションのために死体を提供し、最終的にEI社にリースされた。

  5. 2005年3月7日、プレミア社はEI社を買収し、大連医科大プラスティネーション社からのプラスティネーション人体と人体パーツのリースを引き継いだ。その後間もなくプレミア社は同年8月のフロリダ州タンパでの人体展開催の意図を発表した。その時大連医科大は大連医科大プラスティネーション社の70%の物件を販売し始めた。同社は英領バージン諸島で「Dalian Hoffen Bio Technique Company Limited」[大連鴻峰生物化技有限公司] の名義で法人登録をした。それ以来、随鴻錦氏とその他の個人投資家が大連鴻峰生物化技社の100%を所有している。大連鴻峰生物化技社は中国で引取人のない死体を入手し続け、それらの死体を解剖しプラスティック化し、営利目的展示のためにプレミア社にリースをしている。

[訳=岩谷] (原文:英語)
*本翻訳の転載には許可を必要としないが必ず出典元を明記の事。
Attorney General of the State of New York. "In the matter of: Premier Exhibitions, Inc. d/b/a BODIES. . . .The Exhibition", May 23, 2008. (PDF) [魚拓]


企業買収や再編や複数の名称が問題をややこしくしている


大連医科大学の唐健武学長 (Dalian Medical University) [F]
 ABCニュースの『20/20』で報じられていたのは、大連医科大は当初はプラスティネーション社の70%の業務を受け持ち人体を提供していて、悪評判が立ったために撤退していたという事と、プレミア社のアーニー・ゲラー前代表が、死体は大連医科大学から入手したと主張した[>>20]事に対して、大連医科大の唐健武学長が、アメリカの展示に人体を提供した事もなければ、プレミア社とも何の関わりもないと主張したという事である。[>>21]

 2006年8月のニューヨークタイムズによれば、大連医科大は隋教授がプレミア社に人体を輸出したという記録はないと主張していたとの事。[>>2c]これはタイミングには中国で『死体の出入国と死体処理の管理規定』が施行された丁度その時期の事である。

 そしてクオモ報告書では、大連医科大プラスティネーション社は最初から法人であり、大連医科大がその70%を所有し、2005年にプラスティネーション社が海外で「大連鴻峰生科技有限公司」の法人登録をした際に大連医科大はその所有から外れたとなっている。[>>22]

 そして大連鴻峰生科技社の成立は2004年1月。[>>23]

 2004年にイギリスで『人体の暴露展』を主催したのは、プレミア社の前身の「RMSタイタニック社」の子会社の「英国プレミア社」であり[>>11b]この時点ではプレミア・エキシビション社は存在せず、また2004年に大連から人体を仕入れたEI社は現在プレミア社の子会社となっている。


 この企業買収、所有関係、再編や名称変更が米国と中国の両方で起こっていて、更にプレミア社が複数の名称の人体展を開催しているため、この構図は非常にややこしく分りにくくなっている。

 2005年1月頃に成立したと見られるプレミア社の名称になって以降に大連医科大とプレミア社が直接の取引がないのであれば、大連医科大が「RMSタイタニック社やEI社は知っているがプレミア・エキシビション社など知らん」と言って、プレミア社側が「取引したのは大連医科大の研究所」と、両者で言っている事が食い違っているのは形式的には両者とも間違いでもないという事になるが、何かカモフラージュ的なトリックにも見える。



据え置きに近い処分

 この法的合意ではこれまでの情報の再確認には留まらず、クオモ検事総長の調査がレポートとしてまとめられており、いろいろ重要な情報が含まれている。
 しかし、やはりこれはあくまでも、人体の入手方法に関して公表されている説明が虚偽ではないかを確認するという名目での調査であり、それに対しては「プレミア社は中国側の主張を鵜呑みにしていたに過ぎない」という、プレミア社の虚偽とは言えないという結論を出しており、中国国内の人体闇市場の解明が目的ではないため、これ以上の追求は名目上は出来ない事になる。

 またこれは、ニューヨーク州での展示への対策に関して焦点を絞った法的合意であって、取り合えず現状維持の「据え置き」に近い処分である辺りは問題の解決には程遠いものだが、米国の司法によって情報が裏付けられたという点では活気的な快進撃であり、意義のある調査であったと思う。

次回に続く




~人物~

アンドリュー・クオモ
ニューヨーク州検事総長


(TopNews) [H]
 アンドリュー・クオモ検事総長 (*1957) は本業は弁護士で、政治家としてのキャリアもあり、これまで父親のマリオ・クオモ元ニューヨーク知事の補佐、ニューヨーク市ホームレスコミッション議長、クリントン政権閣僚として米国住宅都市開発長官を勤め、2007年よりニューヨーク州検事総長に就任している。特にホームレス問題のエキスパートとして知られ、NPO『特権なき住宅供給事業』を創設している。

 ニューヨーク検事総長としては、知事オフィスによる警察への監視に関する調査、大学ローンの適正さの調査、Facebookの安全性に関する調査、死刑反対などの仕事が知られている。

 なお、クオモ氏の弟がABCニュース『20/20』のジャーナリストのクリス・クオモ氏であり、この関係でクオモ氏がプレミア社の調査を請け負ったという事ではないかと思われる。



第一稿:2008年9月13日、法的合意全文訳追加:2008年9月17日、「これまでメディアが報じて来た事が米国司法によって確認された」「短期間で膨大な数の死体が加工される」「大連医科大学と大連医科大プラスティネーション社の関係」の追加:2009年8月16日






関連資料:

法的合意全文

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ニューヨーク州検事総長
株式会社プレミア・エキシビション
商標『BODIES. . . .The Exhibition』に関して

2008.5.23

 ニューヨーク州消費者保護法 (General Business Law) 22条Aと、ニューヨーク州執行部法 (Executive Law) 第63(12)項の規定に基づき、ニューヨーク州検事総長アンドリュー・クオモが、プレミア・エキシビション社 (以下「プレミア社」) の特定の業務に対し調査を行った。その調査は以下に述べる項目に基づく:

検事総長の調査結果

  1. プレミア社はポリマーで保存された完全な人体 (以下「人体」) や人体パーツ、器官、胎児や胚 (以下「人体パーツ」) の展示会を準備しツアーを行っており、現在ニューヨークでそのような展示会を開催している。プレミア社のニューヨークでの展示における全ての人体や人体パーツは全て中国国籍者か中国居住者のものである。これらの展示会は様々な人権団体から論争と批判を引き起こして来た。

  2. プレミア社やその取引相手は、人体解剖学展示会における人体と人体パーツの起源に関して数多くの断定的な表現を使って来た。要するに、展示会に関してプレミア社やその取引業者は、(a) プレミア社の展示する人体と人体パーツは中国人の囚人のものではなく、(b) プレミア社の展示する人体と人体パーツは処刑、拷問やその他の身体的虐待を受けた中国人の囚人のものではないと断言して来た。しかしプレミア社はニューヨークその他で展示されている人体や人体パーツの起源を確認出来ない始末である。

  3. この和解案はプレミア社が (a) プレミア社が展示する人体や人体パーツが中国の囚人でなく、(b) プレミア社の展示する人体パーツが処刑、拷問やその他の身体的虐待を受けた中国人の囚人のものでないとそれぞれ証明出来ない事を公にする事を要求するものである。この和解案はまた、展示されている人体と人体パーツの起源をプレミア社が確認出来ないと知っていたならニューヨーク展に来なかったであろう消費者が、入場料払い戻しを求められるようにするものである。

背景

  1. 株式会社であるプレミア社の前身は、1993年に法人化した「RMSタイタニック有限会社」である。当時、RMSタイタニック社はタイタニック号から回収された引き上げ品の展示会を組織しツアーを行っていた。

  2. プレミア社は2005年に発足し、RMSタイタニック社はプレミア社の全額出資子会社になった。プレミア社はフロリダ州で創業し、現在の住所は「3340 Peachtree Road, Suite 2250, Atlanta, Georgia, 30326」である。タイタニック展に加えて、プレミア社は本物の完全な人体、人体パーツ、器官、胎児や胚を使った人体解剖学展示(以下「人体展」) などに様々な展示会を主催しツアーを行っている。

  3. 人体展における人体や人体パーツはプラスティネーションと呼ばれる処理で保存をされている。主催者の要望によって、死体は皮膚を剥がさたり体内を見せるために解剖をされている(人間の全身や心臓などの循環システムなど)。人体や人体パーツの組織はプラスチックと置き換えられ硬化されている。これらのプラスチック化した人体や人体パーツはプレミア社の営利目的の展示会で、ニューヨークを含む世界の各地で展示されている。

  4. プレミア社はオハイオ州シンシナティ、ネバダ州ラスベガス、フロリダ州フォートローダーデール、ミズーリ州カンザスシティ、ニューヨーク州ニューヨーク、ウィーン、マドリード、コペンハーゲン、サンティアゴなど、米国内外で現在展示を行っている。ニューヨークでのプレミア社の展示(以下「ニューヨーク展」) では完全な人体、人体パーツ、器官、胎児や胚が展示され、それがこの調査依頼の対照である。

  5. 現在ニューヨークで展示されている人体や人体パーツは、2004年にエキシビションズ・インターナショナルLLC (以下「EI社」) という企業が中国から入手したものである。EI社がリースしていた全ての人体や人体パーツを大連医科大学プラスティネーション社から入手したものである。同社は中華人民共和国の法人である (遼寧省大連市沙河口区中山路465号116027)。当時、大連医科大プラスティネーション社の70%が大連医科大が所有し、残りの30%が大連医科大解剖学教授の随鴻錦氏とその仲間によって所有されていた。

  6. DUMP社はEI社のリースを開始する数年前から、完全な人体や人体パーツを入手し解剖しプラスチック化して来た。全ての人体や人体パーツは中国国籍者か居住者のものであるが、遺体やパーツをプラスティネーションして展示に用いるという事へのそれらの人々の同意を示す書類が存在しない。むしろこれらの死体は死亡時に引取人がなく、中国の公安局によって集められ、大連医科大や中国のその他の大学に教育と研究目的で届けられたものである。そしてこれらの大学が大連医科大プラスティネーション社にプラスティネーションのために死体を提供し、最終的にEI社にリースされた。

  7. 2005年3月7日、プレミア社はEI社を買収し、大連医科大プラスティネーション社からのプラスティネーション人体と人体パーツのリースを引き継いだ。その後間もなくプレミア社は同年8月のフロリダ州タンパでの人体展開催の意図を発表した。その時大連医科大は大連医科大プラスティネーション社の70%の物件を販売し始めた。同社は英領バージン諸島で「Dalian Hoffen Bio Technique Company Limited」[大連鴻峰生物化技有限公司] の名義で法人登録をした。それ以来、随鴻錦氏とその他の個人投資家が大連鴻峰生物化技社の100%を所有している。大連鴻峰生物化技社は中国で引取人のない死体を入手し続け、それらの死体を解剖しプラスティック化し、営利目的展示のためにプレミア社にリースをしている。

プレミア社のニューヨークでの人体展

  1. 2005年11月にプレミア社はニューヨーク州ニューヨーク市のサウスストリート・シーポートで二回目の人体展を開始した。ニューヨークでの展示会は20体の完全な人体と、200を越す人体パーツ、器官、そして様々な段階の胎児や胚を展示するものである。 大連医科大プラスティネーション社はそれらのニューヨーク展での展示標本を2004年のEI社へのリースの数年前に入手、解剖しプラスティネーション処理をしている。

  2. ニューヨーク展はプレミア社の全額出資子会社の「プレミア・エキシビションNYC社」によって主催された。ニューヨーク展はプレミア社とイリノイ州シカゴに本社のあるデラウェアの有限会社のJAMエキシビションLLC社 (以下「JAM社」) で共同開催された。

ニューヨーク展での標本の出所に関するプレミア社の説明

  1. ニューヨーク展での人体や人体パーツのどれも中国の囚人のものではないとする取引相手の説明をプレミア社は鵜呑みにしていたに過ぎない。

  2. プレミア社はまた、自社の内部努力を行いその結果として、現在ニューヨークで展示されている標本は中国で処刑や拷問その他の肉体的虐待を受けた囚人ではないと断言した。プレミア社は大連医科大プラスティネーション社から受け取った標本を独自の検査を行ったとして来たが、同社の検査能力はここでは問題ではない。しかし、プレミア社はニューヨーク展での200以上の人体パーツのどれ一つとして処刑、拷問やその他の肉体的虐待を受けた中国国籍者や居住者のものではないと自社で確認する事が出来ない。

  3. 司法長官は、ニューヨークでの展示を始めとしたプレミア社の人体展の、特に中国の人権弾圧の歴史の問題などデリケートで論議の的となったその性質により、上記で言及したプレミア社の主張は誇張されたものであると理解している。

  4. プレミア社が検事総長の調査結果を認めるか否定するかに拘らず、決着と解決を望んでいるようであるので、法定の特別処理を始める代わりにニューヨーク州行政法63(15)により、検事総長とプレミア社はここに和解手続きに入る。

  5. どのような違反や不作為を受け入れる事も否認する事もなく、この段落の第二文を条件として、プレミア社はこの和解条件を拒否するいかなる公的陳述を発表したり、又はこの和解案が根拠のないものとの印象を与えるような行動を取らず許可を与えない事に同意する。この段落の何もプレミア社の:(a) 証言義務、(b) 検事総長とは別件の訴訟やその他の法的/経営上の手続きを取る事の権利又は事実上の立場に影響する事はない。

  6. この和解に関する支払いや対応はAOD法の08-61に基づかなければならない。

定義

  1. 「明確な (に) そしてはっきり (と)」は印刷物、ウェブサイトその他の視覚的広告で、合理的に不可避で判読可能な方法で、金銭負担を負う消費者の前に提示され、消費者が読み理解出来るのに十分な表現と構文を持って明記する事の意味。しかし、消費者の内容理解に反する、矛盾、阻害する方法は用いない事。

  2. 「資格のある消費者」とは、プレミア社のニューヨーク展開始日からこの和解案の実行される日付の間に見学をした消費者という意味である。

  3. 「ウェブサイト」とは、一つのウェブサーバーとしてユーザーに利用可能なウェブページの集積物全体とその他の情報(写真、音声やビデオファイル)を意味する。

  4. 「ホームページ」とは、ウェブサイトの入り口としてデザインされたウェブページを意味する。

合意協定

これによりプレミア社と検事総長との間で以下の理解と合意があったものとする:

  1. この法的合意はプレミア・エキシビション社とその経営陣、管理職、受益株主、役員、一般株主、従業員、広報、代理人、後継者、譲り受け人や、その他の関連業務の全てに適用される。

  2. この法的合意はプレミア・エキシビション社とその経営陣、管理職、受益株主、役員、一般株主、従業員、広報、代理人、後継者、譲り受け人や、その他の関連業務の全てに適用される。

  3. (A)この展示会では、中国の公安局から受け取った中国国籍者又は居住者の死体を展示している。中国公安局が中国の刑務所から死体を受け取っていた可能性があるが、プレミア社は展示されている人体が中国の刑務所に投獄されたものかどうか一つ一つを確認する事が出来ない。
    (B)この展示会は中国国民又は居住者の死体から来る、全身人体、人体パーツ、器官、胎児および胚を展示している。これらの人体パーツ、器官、胎児や胚に関して、プレミア社は中国側の取引業者に依存するのみで、それらが中国の刑務所で処刑された死体でない事を一つ一つ確認する事が出来ない。

  4. この法的合意の発表日以降、プレミア社は以下の注意書きを州民を対象とした全ての州外展に表示しなければならない:プレミア社はこの展示会に展示されている人体の起源の一つ一つを確認する事が出来ない。

  5. サウスストリート・シーポート以外でのニューヨーク州での展示での使用を含む、第11項で定義された「全身人体」や「パーツ」の意味以外でも、州民向けの州外展で用いるためにプレミア社が法的合意の発効日以降に中国から入手する予定の人体、人体パーツ、器官、胎児や胚に関して:

  6. (A)それぞれの人体、パーツ、器官、胎児や胚の起源に関して、実際の知識によって書かれた宣誓書を入手する事。
    (B)それぞれの人体、パーツ、器官、胎児や胚のプラスティネーションと展示に関する同意を、実際の知識によって書かれた宣誓書を入手する事。
    (C)それぞれの人体、パーツ、器官、胎児や胚の死因に関する分析、検査やその他の調査に関して、実際の知識によって書かれた宣誓書を入手する事。
    (D)それぞれの人体、パーツ、器官、胎児や胚の死因に関するプレミア社による分析、検査やその他の調査に関して、実際の知識によって書かれた宣誓書を作成する事。
    (E)この項目で特定された記録を5年間保有し、検事総長による検査のリクエストのために書類を準備する事。

  7. この法的合意の発効日より3週間以内に、プレミア社は自費においてニューヨーク司法長官が承認した独立モニターを2年間雇わなければならない。このモニターはプレミア社が法的合意の厳守状況を評価査定するものとする。モニターはプレミア社の法的合意の厳守状況に関して1年に2回検事総長に報告しなければならない。

  8. 独立モニターは、ニューヨーク展の見学客にこの法的合意を通知するために彼等に連絡する事が合理的に可能かどうか決定するために、プレミア社の会計帳簿をチェックし、もし可能であれば、この合意に関わる権利のある消費者へ連絡するプランを立てる。モニターはこれらの調査結果と実行プランを検事総長に45日以内に提示するものとする。プレミア社が顧客記録を保管しなくていいとモニターが決定し検事総長が承認し、顧客に連絡するプランが実際可能でない場合、この法的合意に説明されている以外、プレミア社は顧客に通知する義務はないものとする。

  9. 独立モニターのコンサルトで、独立モニターによるエスクロー口座によって、プレミア社は資格のある消費者への払い戻し金のための十分な予算として最低5万ドルを準備する。

  10. プレミア社は資格のある潜在的消費者に対し、払戻金のプロセスをプレミア社のホームページ (現在は http://www.prxi.com)、ニューヨーク展のホームページ (現在は http://ticketpro.net/USA/bodies/accueil_enbo.php)、そして『BODIES展』のホームページ (現在は http://www.bodiestheexhibition.com) で明確にはっきりと通知するものとする。

  11. プレミア社は資格のある消費者に対し、この法的合意の日付から6ヶ月間、ニューヨーク展で購入した全てのチケットと同価格の払い戻しをしなければならない。プレミア社は資格のある消費者に対しこの合意書の第28~30項に従って通知を行い、資格のある消費者は (a) 消費者の氏名とアドレス、(b) ニューヨーク展に来た事の証拠、(c) この合意によるプレミア社の注意書きに書かれている事実を情報を事前に知り、読んで理解していたなら、その消費者やその扶養者がニューヨーク展には行かなかったとする署名入りの誓約書、この情報を提出する。

  12. プレミア社は全ての払い戻しの請求の処理に関して責任を負う。プレミア社がその請求を受け入れるか却下するかの決定に関する全ての情報を、独立モニターに提出しなければならない。

  13. プレミア社がこの合意の第28~30項に従って払い戻しに関して権利のある消費者に通知する日付から8ヶ月以内に、独立モニターは (a) プレミア社に払い戻しを請求する消費者を特定、(b) プレミア社が承諾した請求のそれぞれ支払い額の特定、(c) プレミア社が拒否した請求のそれぞれの金額とプレミア社が拒否した理由の特定、(d) 第29項に従って権利のある消費者への支払いのための予算に関する公認レポートを作成する。

  14. 第33項における規定されたレポートを受け取り次第、司法長官は払い戻し義務に関してプレミア社の合意厳守が満足の行く物かどうか決定する。

  15. 第33~34項における規定を厳守し、承認した払い戻し金の確認の後、エスクロー口座の残額はプレミア社に戻される。

  16. 合意の有効日から10日以内にプレミア社は、この問題の解決金としてニューヨーク州検事総長オフィスに1万5000ドルの小切手を支払うものとする。

  17. プレミア社はこの合意の実効日から10日以内に、この合意への遵守責任を指導する人物を司法長官に示さなければならない。合意の日付から5年以内に、法的合意への遵守を指導する担当者が変わった時は、30日以内にプレミア社は検事総長に対し人事移動と新たな担当者を報告しなければならない。

  18. この合意の発効日から90日以内に、この合意規定の遵守を確実にするためにプレミア社が適切な手順で実行を行っているか確認する宣誓供述書をプレミア社は検事総長に提出するものとする。

  19. ニューヨーク州内で展示、ニューヨーク住民を対象にした宣伝、またプレミア社のこの合意の遵守に関して、プレミア社は検事総長からのどのような更なる道理的な要求にも協力するものとする。

  20. この合意規定に含まれる何物も、いかなる消費者も、いかなる既成の法的権利の変更又は増加も、いかなる人物の拒否やいかなる既成の個人装備の使用拒否も意味しない。

  21. この合意の何物も、州や国の法律や規則やルールの遵守義務からプレミア社を救う事を意味しない。この合意のいかなる規定もと法律や規則やルールで禁止されている行為を許可するものとみなされない。

  22. 検事総長によるこの合意を受け入れる事は、プレミア社のいかなる業務を許可するものとみなされず、プレミア社がそれに反する表現を行わないものとする。

  23. この合意は調査期間中にプレミア社が行った表明の正直さと正確さの上に、その信頼において成り立つものである。

  24. この合意の条件へのいかなる実質的な違反も、いかなる民事訴訟においてニューヨーク州消費者保護法349~350項とニューヨーク州執行部法63(12)項への違反の“自明の”証拠を構成し、プレミア社に対し検事総長によって開始されるものとする。

  25. この合意は1つから複数の副本において実行され、それぞれは実物でありながら全体が一つの文書を構成するものとする。

  26. プレミア社からの全ての通知やその他連絡は、以下のアドレス宛に書留のオーバーナイト便で郵送される。



2008年5月23日 (“実行日”) を持ってこの文章に以下に署名が添えられる。


プレミア・エキシビション社

ブライアン・ウェインガー
法的合意締結担当
プレミア・エキシビション社公認代理人
  アンドリュー・M・クオモ
ニューヨーク州検事総長

ミトラ・ホルモジ
特別副補佐官

カレン・A・ゲダルディッグ
検事総長助手
インターネット係


[訳=岩谷] (原文:英語)
*本翻訳の転載には許可を必要としないが必ず出典元を明記の事。
Attorney General of the State of New York. "In the matter of: Premier Exhibitions, Inc. d/b/a BODIES. . . .The Exhibition", May 23, 2008. (PDF) [魚拓]





関連記事:

[脚註5に戻る]
プレミア・エキシビション社へのニューヨーク州検事総長の法的合意は、展示されている人体の出所に更に光をあてる
労改基金会 2008.5.29

 本日、ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ検事総長は、現在ニューヨーク市のサウス・ストリート・シーポートで開催されている有名な人体展『BODIES展』に関するプレミア・エキシビション社との和解に達したと発表した。
 展示されている人体は中国の大連にある大連鴻峰生物科技有限公司からライセンス(使用許可)されたもので、大連鴻峰生物科技社は「引取人のない」死体を中国の公安局から入手していた事が、検事総長の調査によって確認された。
 それらの死体が死刑囚のものである疑惑をプレミア社は一貫して否定して来たが、それらがどうして引取人がないかのいかなる説明もしていない。労改基金会としては、プレミア社が使用している人体に中国の死刑囚が含まれている疑いは晴れていないと考えている。

 器官や人骨を寄贈する習慣は中国では非常に珍しく、それが1980年代以来中国が死刑囚の臓器を移植医療に用いている理由である。2006年に中国衛生部の黄洁夫副部長は、膨大に増加する中国の移植医療(現在米国に次いで第二位)に用いられる臓器の大半が死刑囚のものであると正式に認めている。中国で無報酬の労働と臓器提供を強要されている囚人が、それらの展示会への人体業者に死体が売られているというのは想像に難くない。
 今年2月の放送されたABCニュースの『20/20』の調査は、中国の警察から人体を買って大連鴻峰生物科技社に売ったと証言しているブローカーを突き止め、不法人体取引の証拠を提供した。その人物は、最初の取引時に目撃した手縄で縛られている血まみれの死体数体の写真を提供した。

 労改基金会はアンドリュー・クオモ検事総長およびスタッフとプレミア・エキシビション社との法的合意案を歓迎する。当会の理解では、その法的合意はプレミア社に対し、既に入手している人体を展示しているニューヨークでの展示会において、人体が中国の死刑囚ではない事を確認出来ない事を明らかにする事を要求するものである。これは中国側業者が取引相手への説明責任の全くの怠慢を終わらせる事になる。
 それから、このニューヨークでの法的合意の後に入手した人体で出所、死因、展示使用への同意を示す書類のないものは展示出来なくなる。
 プレミア社が今後中国から人体を入手する事を差し控える事を余儀なくされる事が当基金の願いである。当会は他の州の法執行当局も同様の行動を取るように奨励する。

 それでもなお、プレミア社の展示における「引取人のない」死体の出所が何であれ、それらが献体や同意に基づくものでないものである事は明らかである。故人の遺体をそのような収益目的に用いる事は、それが違法行為でないとしても非常に被倫理的である。
 従って労改基金会はプレミア・エキシビション社に、既に所有しているものを含み中国で入手した全ての人体の展示の停止を要求する。

[訳=岩谷] (原文:英語)
*本翻訳の転載には許可を必要としないが必ず出典元を明記の事。


「人体展」の主催者は死体の出所が後ろ暗い事を認める
マイケル・ウィルソン
ニューヨーク・タイムズ 2008.5.30

 サウス・ストリート・シーポートでの有名な展示会で展示されている死体は中国で合法的に入手したと、2年以上もそのように保証していた主催会社が木曜日に、それらの人体が拷問や処刑された可能性のある囚人であるとの疑惑を否定出来ない事を認めた。同社は展示会を見た人々への入場料払い戻しを約束した。

 入場料の件は、『BODIES...The Exibishon』を主催するプレミア・エキシビション社とニューヨーク州検事総長オフィスとの間の木曜日に発表された合意の一部である。展示会における死体や人体パーツの出所に関する調査の後この合意が出された。

 法的合意に関する諸条件の下、故人の身元証明、死因および展示される事への同意を証明する書類なしに展示会側は新たな人体を得る事は出来なくなり、それは中国からの人体輸入を縮小か停止をする可能性がある。

 検事総長オフィスによれば、法的合意において展示会側はウェブサイト場と展示会場入り口において、展示されている人体が拷問や処刑された中国の囚人ではない事が確認出来ないものであるとの説明をしなければならないとの事。

 クオモ検事総長は「死者への敬意と公衆への敬意の両方を満たすには、プレミア社が懸念材料を払拭するという単にそれだけの事である。この合意が開始点である」と述べた。


 プレミア社の弁護士のブライアン・ウェインガー氏は、同社独自が行った展示人体全てに対する調査では虐待の痕跡は認められず、人体の一部が展示されているケースに関してはその人物がどのような状態であったかを知る事は出来ないとし、「拷問や処刑によるトラウマや肉体損傷に関する証拠を探すために人体標本を点検調査をしているが、そのような証拠は見つかった事がない」と述べた。同社は今後に関して米国内での献体プログラム実現の可能性を模索中との事。

 科学と死を展示する展示会は2005年11月に開始し、6ヶ月間開催の予定であったが、継続的に延長されて来た。

 米国内と世界各地での同様の展示会に使用されている人体の入手に関する疑問の声が上がりその数年後にこの発表がなされた。各地の人権活動家は政治犯や精神病患者の死体が用いられている可能性があると主張して来た。

 展示されている人体は、皮膚が剥がされ体液がプラスチックに置き換えられ硬化するプラスティネーションと呼ばれる処理をされたものである。プレミア社とクオモ検事総長オフィスの合意における陳述書には、ニューヨークで展示されている人体は2004年に中国の大連医科大プラスティネーション社から入手したものであり、「遺体をプラスティネーション処理をし展示する事への故人の同意を示す書類は存在せず、それは中国の公安局が収集した引取人のない死体であり、中国の大連医科大やその他大学に教育と研究目的で送られたものである」と書かれている。


 今月、ミズーリ州共和党議員のトッド・エイキン氏を代表とする21人の議員が、プラスティネーション人体の輸入を禁止する法案にサインをした。
 木曜日の朝の合意発表数時間後に展示会は何の変化もなかった。訪問客の多くがこれら展示されている被験者が展示に同意をしたかどうかを知りたいと言った。キャサリン・ベセットさん (50) は以前からそのような疑念を抱いていたと言う。彼女は「それだけ世の中に露出したもので、よく宣伝もされていた」とコメントした。


 その他の人達にとっても人体の出所はより厄介なものであった。展示会職員がロングアイランド市の高校の授業で生徒達に質問がないかと訪ねた時、まず教師のアンソニー・レロさんが人体がどこから来たのかの質問をした。職員は会社がこれまで主張して来た通りに、それらは中国の身寄りのない死体であると答えた。

 それに対し、レロさんはこれは重要な問題であるとし、「人体が展示されているという事はそれは人権問題であり、彼等がとのようにここに来たかに関して本当に答えるべき問題がある」と反論した。

 他の訪問者達は疑惑に関して聞いているが、でも人体の出所に関する疑問を理由に人体展に行く事を止める事はなかったと言った。

 オレゴン州メドフォードのブール・スーザさん (85) は「死んだという事はつまり死んだという事。何も特別な事はない」と語った。


 プレミア社は代金払い戻し予算として5万ドルを用意する。木曜日の入場料は大人で税込み28.72ドルである。同社は更に払い戻しをする事も出来るが、義務とされているのは5万ドルである。合意の諸条件では払い戻しの期限は6ヶ月となっている。

 払い戻しを要求するためには、購入の証明と、人体が囚人のものと前もって分かっていれば展示に行かなかったかもしれないと書いた陳述書をプレミア社に送らなければならない。

 プレミア社は合意の一環として検事総長オフィスに1万5000ドルを支払う。


 中国での強制労働改造所と人権抑圧の情報を収集する非営利組織の労改基金会はこの合意を賞賛し、カークドナホー副代表は「私達はこの合意に非常に満足しており、ニューヨークに限らず米国内の他の場所での展示会のために、プレミア社やライバル企業が中国から死体入手が減少するであろう」と語った。

[訳=岩谷] (原文:英語)
*本翻訳の転載には許可を必要としないが必ず出典元を明記の事。転載・引用に関して内容の編集や追加・改変を行なう場合は変更箇所の文責の明示を条件とする。
Wilson, Michael. "'Bodies' Exhibitors Admit Corpse Origins Are Murky". New York Times, May 30,2008. [魚拓]

[脚註12に戻る]
中国が臓器移植法 「死刑囚ドナー」認める 近く公布、管理強調
産經新聞 2005年12月9日

 【北京=野口東秀】中国誌「財経」(十一月二十八日号)によると、中国の黄潔夫・衛生次官が国際会議で「人体器官移植条例(臓器移植法)を公布し、死刑囚からの臓器提供に関して管理、規定する」と述べた。死刑囚をドナー(臓器提供者)にする「死刑囚ドナー」の不透明な実態を法で管理する方針を打ち出した。臓器移植法は近く公布される見通しで、不透明な臓器売買を禁止し、死刑囚ドナーも、死刑囚本人か、家族の同意を求める方向だ。

 黄次官は十一月初旬にフィリピン・マニラで開催された世界保健機関(WHO)関連の国際会議で、「臓器移植法は今年八月に草案が完成し、この法律で死刑囚ドナーに関する管理を強化する」としたうえで、「移植市場を整える」と述べた。黄次官は「財経」に対し、臓器移植法により「国際社会が関心を抱く中国の臓器移植の灰色地帯が一歩ずつ消える」とも述べた。衛生省関係者も「条文の詰めの段階にある」と語った。

 医療関係者によると、中国国内で臓器移植が必要な患者は現在、百万人から百五十万人。手術件数は腎臓や肝臓を中心に年間一万三千件が実施されている。昨年は腎臓が六千件、肝臓は二千七百件だった。日本など海外から訪中し、臓器移植を受ける外国人も多い。手術費用は二百万円から四百万円、間に複数のブローカーが入ると、一千万円以上かかるケースもある。移植費用にも不透明さが多い。

 一九八四年に死刑囚の臓器移植の手順を定めた暫定規定を公布しているが、今回の臓器移植法の制定で、北京オリンピックを前に表面的には死刑囚の人道問題に配慮する姿勢を示し、国際社会からの批判をかわすのが狙いのようだ。

 世界的ドナー不足にもかかわらず、中国でドナーが多いのは「死刑囚をドナーにしているからだ」と指摘されてきたが、「今年七月の世界肝移植大会で黄次官は中国政府として初めて、中国の大部分の利用臓器は死刑囚からだと認めた」(「財経」)。

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルによれば、中国における死刑執行件数は昨年で三千四百人。

 中国での臓器移植は、司法機関と医療部門が連携して準備される。二〇〇〇年五月には江西省の裁判所が銃殺の死刑囚の腎臓を勝手に病院に売却したため、死刑囚の父親が悲観して自殺、姉が裁判所を訴える事件が起きている。〇三年九月には、甘粛省の刑務所が死刑囚の同意なしに死刑執行後の臓器を取り出したことが発覚して、遺族に二千元(約二万八千円)の賠償金を支払っている。


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