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「展示される人体:しかし彼等はどこから来たのか?」米ABC"20/20"の特集番組

 米国のプレミア・エキシビション社が開催する人体展『BODIES展』(BODIES... The Exhibition) の裏に中国の人体闇市場があり、中国の公安局や裁判所から流出して闇で売買された処刑死体が用いられている疑惑がABCニュースの『20/20』に2008年2月15日にスクープされ大きな社会問題になっている。

 中国での人体の出所の怪しさに関してはこの1年半前の2006年8月にニューヨークタイムズが報じており[>>1]、それ以降米国の幾つかの州で、故人の同意が証明出来ない人体標本の使用を禁止する法案が提出される動きが既にあって[>>2]、今年に入ってからはABCの番組に前後して米国議会にプラスティネーション人体輸入禁止法案が提出されたり、ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ検事総長が捜査を開始するなど米国の政治家や司法が動き出すという、米国では倫理的問題から規制の動きが出ており、5月にクオモ検事総長が「プレミア社は死刑囚が使用されていない事を自力で証明出来ない」との調査結果を出し[>>7]、その旨を展示会場とウェブサイトに表示するなどのペナルティを含むプレミア社との法的合意に達したところまで、前エントリーまでのシリーズで扱った。

 この動きの大きなきっかけとなったABCニュースの『20/20』の『人体展:しかし彼等はどこから来たのか』の番組内容は、第2回エントリーで紹介したABCニュースの写真レポート『世界規模で取引される死体』で大筋の部分は触れられているが、やはりこれは映像番組として見た方がダイレクトに伝わって来るので、この18分の番組に日本語字幕版を制作してみた。

 それから本エントリーの後半では、ABCの番組では詳しく触れられていない補足情報として、人体流通に絡んだ企業や団体の背景や関係者のプロフィールなど、番組内容に対する追加情報を紹介、そして最後に『20/20』のテキスト版を掲載している。


 『20/20』は60分番組であるが、人体展に関しては約18分の特集となっている。

写真:中国遼寧省の大連医科大プラスティネーション研究所 (大連鴻峰生物科技社) の工場長にインタビューをするABCニュースのブライアン・ロス記者。隠しカメラ映像。(ABC News)
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20/20
20/20: 人体の展示:しかし彼等はどこから来たのか?:2008年2月15日放送

 プラスチック化した人体 - かつて生きていた人物の血管、筋肉、臓器や骨は、以前には可能でなかった方法で注意深く保存される。それは全米で大ヒットアトラクションとなった。フットボールを持って走ったりダンスをするなど様々なポーズで展示されている人体を見に数百万の人々が入場料を払って見に来た。しかし知名度が増すにつれて人体への疑問の声も上がった。彼等はどこから来たのか? 展示会は教育や科学目的なのか。ある人々はそれを死体エンターテインメントだと言う。

 人体ビジネスへの『20/20』の三ヶ月に亘る調査は、ドイツとポーランド国境にある人体工場での処理から、プラスチック化人体の販売サイト、そして中国北部の寂れた倉庫で『20/20』の隠しカメラが捉えたこれまで周到に隠蔽されていたものまで、そのグロテスクな処理法からその起源までを辿った。ABCニュースのチーフ調査員のブライアン・ロス記者がこの独占調査を行った。(ABCサイト上の販売用DVDの解説)



Part 1 (8'57")


Part 2 (9'48")


[訳・字幕=岩谷] (原文:英語)


Google Video. "Fiona Ma talks about AB 1519". February 20, 2008.
YouTube. "Bodies: The Exhibition ABC's 20/20" (Part 1) (Part 2).
Posted by closecourse. March 8, 2008.

(テキスト版)





番組関連情報

大連医科大プラスティネーション社/大連鴻峰生物化技社

 「大連医科大プラスティネーション研究所」は大連医科大の隋鴻錦教授が経営する官営企業。隋氏は1994年にプラスティネーションの発明者のハーゲンス氏から技術を習得するために1年間ドイツに派遣され、1996年にハーゲンス氏を客員教授に招き[>>8]、1999年に隋氏がパイプ役となって「プラスティネーション協会大連工場」を建設、隋氏が工場総経理を就任し人体入手の窓口となり、ハーゲンス氏に高額な報酬を要求した事で関係がこじれ、更に隋教授が自分で勝手に人体標本を制作して中国国内で販売をしていたために、2000年にハーゲンス氏に解雇される。[>>9][>>10]

 その後隋氏は2002年に自ら大連近郊の沙崗子村に死体工場を設立。現在ハーゲンス氏と特許を巡って係争中[>>11]。当初は大連医科大が同社の資本の70%を所有しており、同社が2005年に英領バージョン諸島で「大連鴻峰生物化技有限公司」の名義で法人登録をして以降、大連医科大が経営から退いている[>>12]。プレミア・エキシビション社の展示用人体は全てこのプラスティネーション社がリースし、その収益の85%が中国側に渡っているとの事である[>>13]


大連旅順経済開発区に新設された現在の大連鴻峰生物科技社。 (大連鴻峰生物科技有限公司)
 大連鴻錦社は2004年4月に北京で人体展『人体世界』を開始し[>>14]、同年8月にプレミア社の前身の「RMSタイタニック社」が英国で『人体の暴露展』(Bodies Revealed) を開始[>>15]、翌年2005年8月にアトランタでプレミア社の『BODIES展』が開始と[>>16]、2002年から2006年の4年間で急激に国際的な人体ビジネスに参入している。

 また大連鴻錦社は、2002年以来日本の『人体の不思議展』に人体を供給している南京蘇芸生物保存実験工場/南京博奇科教器材社と提携関係にある。[>>17]

 この番組放送の4ヶ月後、2008年6月に大連鴻峰生物科技社は大連旅順経済開発区に2万平米の工場が完成しそちらに移転したので[>>18]、現在は沙崗子村で操業しているかどうかは不明だが、沙崗子村の工場がABCニュースで世界的に報じられてしまったためもはや秘密工場とはなり得ない事になる。






プレミア・エキシビション社


(Real Estate at Weblo.com) [D]
 株式会社であるプレミア社の前身は、1993年に法人化した「RMSタイタニック有限会社」で、タイタニック号から回収された引き上げ品の展示会を行っていた企業。[>>19]
 また、大連鴻峰生物科技社から2004年に人体標本を仕入れたのはエキシビション・インターナショナルLLC社 (EI社)。[>>20a]
 2005年1月にプレミア・エキシビションが発足し、RMSタイタニック社はプレミア社の100%所有会社になり、更に2005年3月にプレミア社はEI社を買収し子会社にしている。[>>21]

 プレミア社は現在2種類の人体展の『BODIES展』(2005年8月開始) と『人体の暴露展』(RMSタイタニック時代の2004年10月に開始) を運営、更に子会社のEI社にもう一つの人体展『Our Body展』の運営をさせており[>>22]、その他には『タイタニック展』『スタートレック展』『ダイアログ・イン・ザ・ダーク』など、日本でもお馴染みの展示会を国際規模で開催する、世界最大規模の展示会イベント企業である。

 2006年8月にニューヨークタイムズに『BODIES展』の人体は中国公安局から来た身元不明死体であると表明して以降[>>23]

、同社は一貫してその主張を続けており、しかしニューヨーク州クオモ検事総長の調査で、プレミア社が大連側の主張を鵜呑みにしていただけで、自社で証明能力がないとの結果が出されている。[>>24][>>25]

 プレミア社は『人体の暴露展』に関しては「北京医科大学の生命科学研究院から入手した中国人の同意による献体で、南京蘇芸生物保存実験工場が製造した標本」と表明していたが[>>26]、2008年2月にカンザスシティ展の際に地元メディアに提供した献体同意書が偽造であった事がカトリック団体によって暴かれている。[>>27]

 『Our Body展』は、主催するEI社が2004年に大連から身元不明死体を仕入れていたにもかかわらず[>>20b]、ウェブサイト上で「それらは医学教育と研究を促進する中国の財団から貸与され、[主催者側は] 人体の身元は把握していないが、中国国内の医大や医療施設を通して献体された」と説明している。[>>28]






コーコラン・ラボラトリー社 (米国の医療用品リース会社)

 番組中で出て来る、人体をオンライン販売しているコーコラン・ラボラトリー社のウェブサイトは現在「改装中」と出るだけで事実上ウェブサイトが閉鎖されている状態である。

 コーコラン社はミシガン州トラヴァースシティにあり、医学部や医療機関に研究と教育のためにアイテムをリースする企業で1996年に創業、年間に35万-75万ドルの売り上げがある企業でる。[>>29]

追記 (2009年2月1日):コーコラン・ラボラトリー社のウェブサイトが再開されており、ABCの番組で見られる死体標本の販売の様子を見る事が出来る。
 最初に出て来るページには以下のように書かれている。


注意事項:
このウェブサイトを訪問するには以下の点に同意する必要がある。
  1. このサイトを閲覧するのは完全に自分のチョイスである。
  2. このサイトは解剖学標本の画像を含んでいる事を理解している。
  3. このサイトは男女問わず全ての医科大学の教育者向けのものであると理解している。
以下をクリックしてサイトに入る事は、上記の条件を受け入れた事になる。
  ENTER SITE  






ジェンライフ・バイオメディカル社 (台湾の輸出業者)

 番組中で、人体がロサンゼルス港から入って来る事をABCニュースが突き止めたとなっているが、同様に中国ドメインの『TPal貿易情報センター』というウェブサイトに、2007年付での台湾の基隆のジェンライフ・バイオメディカル社からロサンゼルス港経由のプレミア社への輸出記録が記載されている情報がネット上で確認出来る[>>30]。その内訳は:
輸出者:ジェンライフ・バイオメディカル社
輸入者:プレミア・エキシビション社
輸出産品:プラスティネーション教材
B/L番号:ORLCELAX70407
予想到着日:2007年**月4日
実際到着日:2007年**月4日
北米港:ロサンゼルス
 船舶会社コード:YM MARCH(PA)
運送人:ORLC
原産地:台湾、基隆
貨物重量:9209kg
貨物数量:81
TEU:5


 中国では2006年8月1日に、医学・研究・教育目的以外での人体の商業利用を禁じる法律が施行されており、中国の人体提供側も輸出の際にその法律をくぐり抜けるために「教材」として貿易申告をしているという事になる。

 またこれは、台湾の貿易商社を介する事で中国側の発送元が分らないようにするカモフラージュと見られるが、プレミア社は『人体の暴露展』に関して「南京蘇芸生物保存実験工場で制作された人体標本をジェンライフ・バイオメディカル社を介して入手した」と表明しているため[>>31]、プレミア社は複数のルートで中国から人体を入手していると見られる。

 この台湾の企業『ジェンライフ・バイオメディカル社』(銀杏林生物科技社) は、2004-05年に台湾で人体展『人体大捜索』を開催したという以外は、ウェブサイト情報もなく、イエローページにも住所と電話番号、そして「卵白ゴムの開発をしている」以外の企業概要が全くネット上で見つからない実体不明の企業であるため[>>32]、中国側の系列のダミー企業の可能性もある。






ラーマンド夫妻に配送された人体

 間違いでプラスティネーション人体が配達されたミシガン州のラーマンド夫妻に関しては、2007年3月3日付けのUSAトゥデイの記事でその事件が報じられているのを見る事が出来る。eBayで注文したテーブルと一緒に2つの小包が届けられ、まず夫のフランク氏が一つを開けたら人間の肝臓のような物が出て来て、2つ目を開けかけたら人間の耳が見えたのでそれ以上開けなかったとか。

 その荷物は中国から直接運送業者のDHL社によって輸入されコーコラン・ラボラトリー社に届けられる筈の物が、運送途中に箱が開いて中身が出てしまったために、運転手がその一部をテーブルの部品と思い込んでラーマンド夫妻に配送したとの事である。

 UPSやFedEXは人体パーツの配送は行わないために、中国の企業がDHL社に輸送を依頼したとの事。[>>33][>>34]







人物

ブライアン・ロス
ABCニュースチーフ調査員


(ABC News) [B]
 ブライアン・ロス記者 (*1948) は1974年から20年間NBCニュースの記者を務めた後、1994年からABCニュースの調査員を勤めているジャーナリスト。

 ロス記者は2005年にコンゴの国連平和維持軍による性的虐待を報じた『20/20』の報道で2005年度優秀国際調査報道賞を受賞、2004年には民主党と共和党の大会に参加した企業の金と政治の結びつきを調査した『マネートレイル』シリーズや、イラク戦争帰還傷病兵の社会問題を『プライムタイム』で取り上げ国防総省の状況改善の言質を取ったり、2001年の911に関してテロ攻撃と炭疽菌攻撃に関する調査を行い、モハメッド・アッタが世界貿易センター攻撃の提唱者であった事を発見するなど、政治や国際問題を中心にレポートを行っている。[>>35]



アーニー・ゲラー
プレミア・エキシビション社代表

 プレミア・エキシビション社のアーニー・ゲラー代表は現在67歳、同社の前身の時代の1981年より約27年にわたり同社の代表など管理職を務めている人物。ABCニュースの『20/20』の放送の数週間後の3月に「引退の時である」として代表を辞職したものの、しかし引き続き理事会議長を務め事実上会社のトップの地位を維持し、理事会の承認を受け8月21日に再び代表に就任している。

 ゲラー氏は1993年5月から1995年5月まで同社の社長、1995年5月より役員、1999年11月に社長に再就任、2007年9月から2008年3月に最高責任者 (CEC) を務め、2008年8月に再就任。ゲラー氏は現在のジェームズ・S・ヤフィ理事の叔父になる。[>>36]



ラビ・ルイス・フェルドスタイン
統一ユダヤ連盟研究分析部門副会長

 ラビ・ルイス・フェルドスタイン氏 (*1958) は、現在は統一ユダヤ連盟の研究分析部門副会長で、過去には、マイアミ大学ヒレルユダヤ学生センター長、アトランタ地区ユダヤ青年会 (YAD) 会長や、統一ユダヤ連盟南東フロリダ地区代表を務め、そして次期アトランタユダヤ連盟の副会長に推薦されているなど、要するにユダヤコミュニティのお偉いさんのようである。番組中でもそれを宗教界の声として発言させているようなニュアンスになっている。

 番組内では特にユダヤと言及されていないが、彼の肩書きの「ラビ」がユダヤ教宗教指導者を意味するため、アメリカの番組においては説明不要という事である。[>>37][>>38]



トッド・オールソン
アメリカ臨床解剖学協会リストサーブ理事

 トッド・オールソン教授の肩書きは番組中では「アメリカ臨床解剖学協会の次期会長」となっているが、現在はアメリカ臨床解剖学協会リストサーブ理事という立場。それからイェシーバー大学アルバート・エインシュタイン医科大学解剖構造生物学教授という肩書きもあり、イェシーバー大学はユダヤ系神学校なので、この方もユダヤ系という事だろう。他にはロンドン動物学協会科学フェロー、ニューヨーク州医科大連盟解剖学委員会の委員長などの肩書きもある。

 1946年カリフォルニア州ロングビーチ出身、カリフォルニア大学バークリー校で脊椎動物古生物学で学士を取得、英国のバークレーのセント・トーマス医科大で人体解剖形成学で博士号を取得。ロンドン大学ユニバーシティカレッジで4年間教鞭を取った後、1979年からニューヨーク市医科大学の生物医学教育学科で教授に就任、1989年からイェシーバー大学アルバート・エインシュタイン医科大学で臨床解剖学を教えている。[>>39]



フィオナ・マ
カリフォルニア州議会下院議員、カリフォルニア民主党院内幹事


(Wikipedia) [C]
 この法案を提出したフィオナ・マ (馬世雲) 議員は1967年ニューヨーク生まれの華僑二世。エンジニアの父親と教師の母親の家庭に育ち、ロチェスター工科大学の会計学で学士号、ゴールデンゲート大学で税務学で修士号、ペパーダイン大学でMBAを、そして公認会計士の資格を取得。

 ジョン・バートン前カリフォルニア知事のオフィスで働き、2002年に民主党カリフォルニア州サンフランシスコ第四区代表となり、2006年11月にカリフォルニア州の下院議員に初当選。

 これまでに子供用品に用いられる化学物質への規制、州の幹線鉄道の計画、夫婦別姓、医療問題に取り組んで来た政治家で、現在はカリフォルニア民主党議会幹事、予算委員会、芸術・エンターテインメント・スポーツ・旅行・インターネットメディア委員会、衛生委員会、治安委員会、税務委員会、州議会会計委員会などのメンバーとして活動している。[>>40]



グンター・フォン・ハーゲンス
プラスティネーション発明者、プラスティネーション協会代表


(Body Worlds) [A]
 グンター・フォン・ハーゲンス氏 (*1945) はアルトスカルデン (現ポーランド領スカルミリョーネ) 出身、東ドイツ育ちのドイツ人解剖学者で、父親が元ナチス親衛隊の料理人。24歳の時にチェコとオーストリアの国境を越えて西側への亡命を試み2年間投獄された後に、西ドイツで博士号を取得という波瀾万丈の半生を送った人物で、1977年にプラスティネーションを発明し翌年に特許を取得。

 1995年に東京で『人体の不思議展』(Body Worlds) を開始して以来人体展示を世界の各都市で開催し、ポーズを取った人体標本や妊婦の標本の展示、また2002年にイギリスのテレビで生放送の人体解剖を放送し、いろいろ物議を醸し出す事を好んで行う人物である。[>>41]



次回に続く

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20/20のテキスト版。

   人体の展示:彼等はどこから来たのか?
ABCニュース 報道スペシャル『20/20』
2008年2月15日放送


彼等はかつては本物の人間。今や皮膚を剥がされポーズを取った展示物となり、各地での金儲けの展示会のために展示されている。

観客:凄い。これは恍惚の体験。

しかしこれらの人体はどこから来たのか?

マ議員:それらの人々が誰なのかを尋ねる事は私達の責任です。

『20/20』は中国との接点を明らかにするために極秘調査を行った。

エリザベス・ヴァルガスがお伝えします。



キャスター:こんばんは、『20/20』の時間です。ジョン・ストッセルキャスターは今晩はお休みです。

これはホラー映画にぴったりなセットです。ポーズを取ったまま固まっている人体が詰め込まれた部屋、そしてそれらは蝋人形でなく本物の人間で、全国を縦断して数百万人の人々に見られている。

しかしそれらの人体はどこから来たのか? 展示される以前に彼等は誰だったのか? チーフ調査員のブライアン・ロス記者が今夜は寒気を催すようなこの問題を掘り下げます。一部にショッキングな映像が含まれるためご注意下さい。




第一部


それは大ヒットショーになった。人体は皮膚を剥がされ手入れされ、まずプラスチック溶液に浸される。

観客:これは恍惚の体験。絶対に見た方がいい。

かつて生きていた人物の血管、筋肉、臓器や骨は様々なポーズを取り、これまで可能でなかった方法で注意深く保存される。

観客:最初は来る事を躊躇しましたが、実際見たら素晴らしいと思いました

人体は様々なポーズで展示されている --- フットボールを持って走る、野球の投球、バスケットのシュート。プラスチック化した妊娠している女性すらもある --- プラスチック化した胎児と共に。

これは切り身にされた人体。骸骨と筋肉のダンス。

観客:別に何とも思いません。死んだらただの肉になるのだから。



人体展で巨額の収益を上げるプレミア・エキシビション社

二つのライバル企業による人体展が全国で展開されている。ラスベガスのストリップ通りから、サンディエゴのショッピングモール、150万人以上が足を運んだニューヨークのサウスストリート・シーポートまで、入場料は約25ドル。

ゲラー:これまで36か37の都市で開催したと思います。

アーニー・ゲラー氏は、ニューヨーク展を開催しているプレミア・エキシビション社の代表である。

ゲラー:人体の解剖学的構造を見たいとの欲求が社会にあります。

展示で数百万ドルの収益をあげたと報告されるゲラー氏の会社では、1000体余りの人体と人体パーツが扱われている。

ゲラー:当社は多額の投資を行い、それが素晴らしい教育プログラムとなる事が私達の信念です。もし成功を収めるなら、それは株主にも利益をもたらします。

ロス記者:かなりの収益が上がっていると思いますが?

ゲラー:もちろん大きな収益があります。

ロス記者:それらの人体を眺めた時に、何か不安に悩ませられる要素はありますか?

ゲラー:そういう事はありません。



人体のエンターテインメント利用に対する疑問の声


しかし増え続ける収益とその露出は、人体に関する疑問の声をも増加させる事になった。彼等はどこから来たのか。彼等はかつてどのような人々だったのか。

フェルドスタイン:私達は死者に対して常に尊厳と尊重への一定の原理をもって取り扱って来ました。そして余りにも突然に私達は死者達を展示場に持ち込んでいるのです。

ラビ・ルイス・フェルドスタイン氏は地元アトランタで人体展が開かれた時唖然としたという。

フェルドスタイン:それはかつて生きていた人生への尊敬を踏みにじるものです。


例えばジェームズ・ボンド最新作の『カジノ・ロワイヤル』にプラスティネーション人体一組が登場した。プラスチック化した三人の人間の死体がポーカーをプレイするポーズを取る。それらは全て映画プロデューサーのリクエストである。ハリウッドにとってはそれは新しい後援者でも、フェルドスタイン氏を始めとする人々にとっては新たな火種である。

フェルドスタイン:それを芸術や科学と言うならそれは違う。これはエンターテインメントです。人々はエンターテインメントを楽しむ。死体を見る事で。そこから何か学べる事はありますか? もちろん沢山あるでしょう。ならそれが正しい方法かと言えば、それは違う。


しかしそれは宗教を遥かに超えた問題である。人体ビジネスへの『20/20』の三ヶ月に亘る調査は、そのグロテスクな処理法からその起源までを辿った。ドイツとポーランドの国境にある人体加工工場からプラスチック化人体販売のインターネットサイト、そして中国北部の荒廃した倉庫で、これまで周到に隠蔽されていたものを我々の隠しカメラが捉えた。

ロス記者:これらの人体はどこから来たのですか?

この新たな産業は盛んである。増え続ける観衆の要望に応えるために人体処理を行う。

フェルドスタイン:それは越えてはならない一線を越しています。私にとって最も恐ろしい事は、それがここ米国で起こっているという事です。



人体の誤配達でABCの調査が開始された


ミシガン州グランド・ラピッズのこの家に住む人々に、何かの間違いで小包が配達されたのを受けて、我々の人体ビジネスへの調査は開始した。

最近フランスからここに引っ越して来たラーマンド夫妻は、組み立てキットのテーブルを受け取る事になっていたが、気泡緩衝剤で包まれた2つの小包が一緒に届けられた。

ルディビン・ラーマンド:その小包をいろいろ回してみて、その気泡緩衝剤の中身を見ようとしました。


それはプラスチック保存された人間の頭部であった。

ルディビン・ラーマンド:私は全てを落っことしました。夫の顔を見て「私が見たものを見た?」と聞きました。

フランク・ラーマンド:それは人間の耳だ!



人体をオンライン販売する企業


彼等は警察に通報、その人間の頭が中国で発送された事を警察はすぐに突き止めた。それはミシガン州トラヴァース市のコーコラン・ラボラトリー社に届けられる筈であった。

我々はコーコラン・ラボラトリー社に関して調べ、その仰天するウェブサイトを見つけた。中国からの人体をオンライン販売しているだけでなく、コーコラン社もプレミア社への人体供給業者であった。これは世界規模の死体ネットワークの一部である。


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オルソン:つまり考えてほしいのです。私達が5番街を歩いていて、デパートのショーウィンドウにそのような物が飾られているとしたら。

アメリカ臨床解剖学協会の次期会長のトッド・オールソン教授は、ニューヨークの協会員と共に人体ショーをボイコットしている。

オルソン:人体がどこから来たのか、どのように入手されたのかを是非とも知りたい。ニューヨーク州の解剖学者は人体標本を取り扱うのに免許が必要ですが、その法律が彼等に適用されない事が驚きです。

ロス記者:彼等にはその義務がないという事ですか?

オルソン:ありません。



人体はプラスチック模型として輸入申告されていた

中国からのプラスティネーション人体のコンテナがロサンゼルス港から米国に入って来る事を我々の調査はまた突き止めた。

『20/20』が入手した発送記録では、プレミア・エキシビション社の取引先が、人間の死体に関する法律をいかにくぐり抜けていたかを見る事が出来る。人体をプラスチック模型と申告する事で。


「医学教育目的のプラスチック模型」

オルソン:これは模型ではありません。マネキンではなく人間です。



我々はその書類をプレミア・エキシビション社の代表に見せた。

ゲラー:この通りです。

ロス記者:この記述を正確だと思いますか?

ゲラー:もちろん実用的には正確です。

ロス記者:医学教育用のプラスチック模型ですか?

ゲラー:同じ事を何度も議論するつもりはありません。私の考えは既に言いました。

ロス記者:この記述は正確だという事ですね?

ゲラー:実用的にはプラスチック模型だと思います。


オルソン:故人をプラスチック保存処理をしたら、人間でなくプラスチック模型になるのなら、ベティおばあちゃんをプラスティネーション工場に連れて行って保存処理をして、頭にランプの傘をくっつけて、私の居間に置いてもいい事になります。なぜならもはや人間ではないのだから。そんな馬鹿な事がありますか? 彼女は人間です。

しかしオールソン教授は、ニューヨークなどで展示されている人体が正確に中国のどこから来たのかが更に大きな疑問であると述べた。彼等は一体誰であるのか、いや、あったのか?

オルソン:これらの人体は死亡時に健康で強壮だったもので、その人生の青年期に死亡した人々です。彼等が政治犯であった可能性を憂慮しています。彼等は処刑された人々かもしれません。

そして我々は調査のため中国に向かった。お知らせの後も引き続き『20/20』をご覧下さい。




第二部

カリフォルニア州議員が人体展を取り締まる法案を提出

全国をまわる人体展に数百万人の人々が訪れたが、誰もがそれを素晴らしいと考えている訳ではない。

マ:入場して中国人の人体を見て、それらが中国から来た事が分かりました。私はそれをすぐに不審に思いました。中国人は死と臨終に関して非常に強い迷信を持っているからです。

そして今、フィオナ・マ議員が動いている。

マ:お早うございます。本日は法案AB1595に関して述べたいと思います。

彼女はカリフォルニア州議会の主要メンバーであり、最大規模の人体ショーを停止させる可能性のある法案の提案者である。人体がインフォームドコンセントによって献体されたと証明出来ない限り。


マ:皮膚は剥がされ体の各部分は露出し、その展示で誰かが数百万ドルを儲けているような、このような形で身内が展示される事に家族が同意したとは、中国人の血を引く一人の人間として考えられません。



人体プラスティネーション発明者は中国から撤退


人体プラスティネーション処理の発明者はそれに同意している。ドイツのグーベンで人体工場を運営し巨額の収益を上げているグンター・フォン・ハーゲンス氏は、欲張りがこの技術を何か非難の対象に変えてしまったのだと言っている。

ハーゲンス:展示会が企業利益のためにハイジャックされたようなものです。


『20/20』の取材班に対して、死体受け取り室から、化学処理製造ライン、人体解剖チームまでの気味の悪い作業行程を見せながら、ハーゲンス氏は世界中の人体展で展示している人体は生前に自ら同意した人々であると述べた。皮膚や頬ひげが完全な状態で残っているこの男性もその一人である。


この人体は「ビル・クリントン」と呼ばれる76歳で没したドイツ人の銀行員。ハーゲンス氏によれば、公開展示のために献体をした数千人のヨーロッパ人とアメリカ人の一人のだという。

ロス記者:このような形で彼を展示する事は彼自体が一種のジョークですね?

ハーゲンス:ユーモアと死は共にあるべきだと思います。

しかしハーゲンス氏は、昨今では中国で膨大な数の人体が入手可能になり、その一部に死刑囚が含まれている可能性がある事は笑えないと言う。

ハーゲンス:中国では死刑囚が解剖目的に使用されるのが普通の事であるとは知っています。


数年前に中国で入手した数体が死刑囚と見られため、それらを火葬処分し公開展示に用いた事はないとハーゲンス氏は涙ながらに語った。

ハーゲンス:中国からの標本を扱う事は金輪際もうあり得ない。私は距離を置かなければならない。



プレミア社は、人体は大連医科大学から来ていると表明

しかしハーゲンス氏の競争相手であり、現在ニューヨーク展を行っている最大の人体企業のプレミア・エキシビション社は、中国から入手した人体にそのような問題はないと表明している。

ロス記者:人体は自然死した人々だという事ですが?

ゲラー:間違いありません。

ロス記者:そこに死刑囚は含まれていますか?

ゲラー:とんでもない。


ゲラー氏とプレミア社の最新の発表とウェブサイト上の宣伝によれば、全ての人体は中国の大連医科大学から来ているという。

ゲラー:人体展『BODIES展』で用いている標本は全て大連医科大学プラスティネーション研究所から来ています。

ロス記者:大連の医科大学?

ゲラー:そうです。プラスティネーション研究所。

ロス記者:それは実在する大学ですか?

ゲラー:そう信じています。



大連医科大はプレミア社との関わりを否定

しかしそれは『20/20』の取材班が中国の大連市で見つけたものではない。


ロス記者:2006年以来、人体や人体パーツの売買は中国の法律で禁じられていますが、我々の調査では人体は引き続きここから米国に送られ続けている事が分かっています。盛んな人体闇市場のおかげで。

大連医科大学の学長は、米国での展示にいかなる人体も提供した疑いを電話インタビューできっぱりと否定し、プレミア・エキシビション社との接点はないと主張した。

記者:人体の提供はしていないという事ですが?

学長:ありません。

記者:本当にそうですか? 彼等は人体は大連医科大から来ていると言っていますが。

学長:そんな事はありません。

記者:あったのではないですか?

学長:事実ではありません。


ロス記者:中国に行って中国側の取引相手と直接会った事は?

ゲラー:あります。

ロス記者:それでその施設を見たと?

ゲラー:見ました。

ロス記者:彼等は誰ですか?

ゲラー:また同じ質問ですか?

ロス記者:具体的な名称など分かりますか?

ゲラー:先ほど言ったように、大連医科大学プラスティネーション研究所です。



大連医科大の教授が運営する民間企業の死体工場


これがゲラー氏が言及していた場所である。大連医科大学から20キロ離れた所にある、腐ったゴミが散乱している無舗装の道路に面した民間企業である。


我々は死んだ動物や人間の体に作業を行っている技術者を見るため、隠しカメラを回しておんぼろな建物の内部に入った。この会社は医科大学の教授によって運営され、大学側は当初は70%の業務を受け持ち人体を提供していたが、悪評判が立ったために最近撤退したのだという。


商売は繁盛しているように見えた。この企業は中国国内で独自の人体展を開催している。一つの部屋では新たな人体のセットが発送の準備が整っていた。



ビデオをゲラー氏に見せた。

ロス記者:ここに行った事は?

ゲラー:あります。

ロス記者:これが大連医科大に見えますか?

ゲラー:これはプラスティネーション研究所です。

それがゲラー氏が聞かされた事なのかもしれないが、大学の学長は商業展示に人体を提供した事はないと主張している。



ロス記者:人体はどこから来たのですか?

会社の管理者が記者に付き添って建物の外に出た。彼は人体がどこから来たかを知らないと言った。

ロス記者:彼等は死刑囚ですか?

管理者:知りません。

ロス記者:知らないなら誰がその事を知っているのですか?

管理者:ははは・・・

ロス記者:あなたが言える事はそれだけですか?

管理者:知りません。

ロス記者:知らないのですか?

その後、会社を経営する教授は、死刑囚は使用していないと我々に対して固執した。



人体闇市場の元関係者は、死刑囚の死体が大連の企業に流れていると証言


しかし我々が受け取ったこれらの写真はその主張と対立するものである。処刑されたばかりの囚人の死体が雪の中に投げ落とされている。これらの写真は人体闇市場の関係者と自称する人物から提供されたものである。中国当局によって投獄される恐れから身元を隠す事を条件に、我々は夜遅くその人物に会った。


現在ライバル企業で働くその人物は、中国じゅうを駆け巡って人体を集める仕事をしていたという。その一部は各大学に行き、一部は展示用にプラスチック化するために大連の企業に届けられたという。

彼が元従業員である事の証明として、彼が仕事で使ったという書類を提示した。そしてこれらの写真も。


その人物によればこれらの写真は別な市で4年前に撮影され、そこで処刑された囚人は実質約200ドルで取引されていたそうだ。彼は人体を見せられた施設への最初の訪問で写真を撮ったが、二回目の訪問で死体を選び始めた時に写真撮影が出来なかったそうだ。


ゲラー:これはひどい・・・

プレミア社の代表はこれらの写真を見て仰天したようだが、医療スタッフが何の証拠も見た事もなく、人体は合法的に入手され処刑された囚人は含まれていないと取引業者に保証されたと述べた。

ゲラー:彼等の説明は単純明快です。死刑囚の死体はなく、それらは全て大連医科大から来た合法的な引取人のない死体という事です。

ロス記者:このような写真をこれまで見た事はありましたか?

ゲラー:断じてありません。今目の前にある写真を見て私は驚愕しており、私達の取引相手にすらももし実際にそのような結果が起こりうるなら、私達はその件に対し直ちに何か手を打たなければならないという事になります。



プレミア・エキシビション社は死体の出所を把握していない

処刑された囚人の死体がここに来たという確実な証拠はないが、しかし事実としてゲラー氏の会社は死体の身元を把握しておらず、それらが中国から来た引取人のない人体という事を知っているのみである。

中国当局とニューヨーク州検事総長は現在これらの人体がどのように入手されたかを調査中である。

カリフォルニア議会のマ議員が提案した法案は下院を通過し現在上院での審議待ちである。

マ:これは搾取行為です。誰かが死体を使って金儲けをしている事に対し、それらの人々が誰なのかを尋ねる事は私達の責任だと思います。

フェルドスタイン:社会が死をエンターテインメントに変えてしまいました。その結果、かつて希望と愛を持ち他者への好意や気遣いをした者が、今や単なる観客のエンターテインメントの対象となってしまっているのです。


[訳=岩谷] (原文:英語) (小見出しは訳者が追加)
*本翻訳の転載には許可を必要としないが必ず出典元を明記の事。
テキストは在韓米軍放送『AFN Korea』より
[2008年2月17日] [1 2]






関連記事:

2007年3月にミシガン州の一般家庭に人体パーツが誤配達された事件に関する報道。

これは恐らく事件後すぐの報道。

[脚註2に戻る]

人間の肝臓と頭部が間違って一般家庭に配達される
AP通信 2007年3月3日11:29

 【AP通信:カスケード・タウンシップ】人間の肝臓と頭部を入れた二つの小包が、研究所に届けられる筈が一般家庭に配達された。関係者によれば2ダース以上の同様の小包が全米で流通している可能性があるとの事。

 中国から発送された人体パーツは間違ってラーマンド夫妻の家に届けられた。DHLの配送ドライバーは、気泡包装されたアイテムはテーブルの部品だと思ったそうだ。

 ルディビン・ラーマンドさんはグランド・ラピッズ・プレス紙の取材に対して「夫はそのうちの一つを開封し始め、『何だこれは、肝臓みたいに見える』と言った。もう一つを開けようとしたら、耳が見えたのでそれ以上開けなかった」と語った。

 「何だか訳が分からなくて、恐ろしくて、でも開けなくて良かったです」

 ロジャー・ペアレント警部補によれば、それらの人体パーツは医学研究用に保存処理されたものとの事で、「こういう物を見れば人々はショックを受けるだろうが、健康被害をもたらす危険物ではない」とペアレント警部補は述べた。

 その研究所に向かったその他の2つの小包は途中で開いて中身が出てしまった。

 DHL社は現在捜査に協力していると広報担当のロバート・ミンツ氏は述べた。問題はDHL社がそれを人体パーツとして発送しているのか、そして小包はどこに届けられているかなど。ミンツ氏は「当社は医学標本を扱う事もあるが、それらが許可されたものかどうかを見極めなければならない。全てが直ちに明確になる訳ではない」と述べた。

Associated Press. "Human liver, partial head mistakenly delivered to home". USA Today, February 2, 2007. [魚拓]

次は数日後の地元のWood8テレビの報道。もう少し詳しく書かれている。

[脚註3に戻る]

人体宅配への調査は引き続き行われている
Wood8テレビ 2007年3月7日 10:18


ルディビン・ラーマンドさん
 

人体パーツの包みの一つ
 【カスケード・タウンシップ】事件に関する捜査は、テーブルを期待していた夫婦にどう間違ったら人体パーツが配達されるのかに焦点を当てて引き続き行われている。

 ルディビン・ラーマンドさんと夫はeBayでテーブルを注文した。それが届けられた時余分な包みが一緒に来た。夫妻はそれらがテーブル付属の部品だと思ったが、それが人間の肝臓と頭部だとは思いもしなかった。

 ラーマンドさんはニュース8に対し「その包みをひっくり返してみたら、ビニール越しに耳が見えた。だから開けるのを止め、私達は『これはただ事ではない』と思った。何が何だか訳が分からなかった」と語った。

 それらの人体パーツはトラヴァース市のコーコラン・ラボラトリー社に届けられる筈であった。コーコラン社は医学部や医療機関に研究と教育のためにアイテムをリースする企業である。

 包みを配送したDHL社の関係者によれば、中国の企業がコーコラン社へ出荷するためにDHL社に依頼したと言う。5つの人体パーツを入れたダンボール箱が何かの拍子に開いて、そのうち2つが外に出てしまい、DHL社の配送ドライバーはこれらの包みはラーマンド夫妻に届けられるテーブルの付属品だと思ってしまったのだとか。

 誤配送騒ぎの後、ラーマンド夫妻はDHL社に電話をし、警察に届けるように言われた。ケント郡保安局の捜査官はそれらの包みを検疫のためデビッド・スタート博士の所に持ち込み、バイオハザードはないとの結果が出た。

 スタート博士は「それらは臓器を数段階のプロセスでプラスチック化するプラスティネーションという処理法で保存されたものに見えた。標本は博物館展示をしてもいい状態であり、解剖学部での教育か博物館展示に出来るクオリティの標本である」と語った。

 政府関係者は我々の取材に対し、人体パーツがバイオハザードを示さない限りは取り締まり対象とはならないと述べた。

 DHL社は、それらの患部パーツに対する適切なパッケージと内容確認の規則を遵守していると米国運輸省によって認可されたと述べた。ニュース8の調査によれば、UPSやFedEXなど多くの運送会社は人体パーツの配送は扱わないとの事。


同じくWood8テレビのウェブサイトに、誤配達された人体パーツの写真が載っている。ややグロ写真のためクリックで見られるようにしている。


誤配達された人体パーツの写真
Wood8テレビ 2007年3月5日 14:34

トラヴァース市の研究所に届けられるはずで間違ってカスケード・タウンシップの一般家庭に届けられた人体パーツの写真。

(写真を見る)
[訳=岩谷] (原文:英語)

肝臓は丸ごと、頭部はスライスされたものだったようである。

 日本のメディアでもこのニュースは取り上げられている。

恐怖“生首”宅配便、肝臓も
スポニチ 2007年3月5日

 米国のミシガン州で、医学研究所に届けられるはずだった人体の一部が誤って民家に配達されるとんでもないトラブルが起きた。

 AP通信によると、宅配便は先週木曜日に中国から発送されたもので、同州カスケードタウンシップの男性宅に届けられた。男性のもとに運び込まれた荷物は、ビニール製の梱包(こんぽう)剤に包装された同じ形を した2つの箱。

 何げなく開けると、中に入っていたものはなんと人間の内臓のようなもの、そして、もう1つの箱を開けようとすると、人間の耳のようなものがチラリ。不審に思った男性は思わず閉めてしまった。

 ビックリ仰天の男性は「肝臓のようなものと人間の頭のようなものが入っている。気持ちが悪い」と妻に報告。すぐに警察にも通報した。予期しない“恐怖の宅配便” に夫妻は「怖かった」と腰を抜かさんばかりにおびえていた。通報を受けて駆け付けた地元捜査当局は「箱の中身を見た人のショックは大きいだろう」と気遣った。

 配送を担当していたのは国際宅配便大手のDHL社。宅配員は、中身を食料品と思い込んでいたという。同社スポークスマンは「確かに当社では医学的な見本を取り扱っている。ただ、(現時点で)何があったのかはすぐには分からない。どのような経緯でミスが起きたのかを調査中」とコメントしている。

[ 2007年03月05日付 紙面記事 ]

Sponichi Annex. 『恐怖“生首”宅配便、肝臓も』. 2007年3月5日. [2ch]

人体の不思議、宅配便の謎 「テーブルの部品だと思った」誤配荷物の中身は人間の耳
ZAKZAK 2007年3月5日

 米ミシガン州のある夫婦の家に今月初め、2つの荷物が届いた。 2つ目を開けた夫は「何だこれ?」と首をかしげる。 そして2つ目を開けている最中、思わず手を止めた。何と、人間の耳。

 中国から医療研究機関に送られるはずの保存処理された人体の一部が間違って配送されたという。「(組み立て式の)テーブルの部品だと思った」と宅配業者。

 同じような誤配は全米で20件以上に上る可能性があるというが、原因は分かっていない。(カスケードタウンシップAP)




脚註:(脚註を見る)



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