例えばワシントン州では2007年1月17日に故人の許可のない人体の商業展示を禁止する法案が6人の議員によって提出[>>2]、ニューヨーク州では2007年2月27日にジム・アレシ上院議員が、合法的なプロセスで入手されていない人体の展示を禁じる法案S7000Aを提出[>>3]、同年3月にはフロリダ州では州解剖学委員会の許可なしにプラスティネーション持ち込み持ち出しが禁止される法案SB2554がビクター・クリスト上院議員が提出[>>4]、そしてカリフォルニア州では州内で商業展示される人体に詳細情報と完全なインフォームドコンセントの証明を義務化するAB-1519が華僑のフィオナ・マ議員によって2007年5月8日に提出され下院両院の両方で圧倒的支持で可決されている (9月27日に知事によって差し戻し)。[>>5]
その中でペンシルバニア州は、昨年の10月8日から今年の5月4日まで同州ピッツバーグでプレミア・エキシビション社の人体展『BODIES展』が開かれ、地元のカトリック団体がカトリック学校にボイコットを促す[>>8]など批判運動の舞台の一つとなった州であるが、3月10日にマイク・フレック議員によって提出された人体展規制法案に関して下院司法委員会において8月5日に聴聞会を開かれ、プレミア・エキシビション社のブライアン・ウェインガー法律顧問と労改基金会の呉弘達代表、そしてプレミア社の人体の精査を行ったウォルター・ホフマン検死官が証言を行うという、下院司法委員会議長自身が前向きに検討している動きが見られる。 この人体展規制法案P.N. 2299は、人体の商業展示には郡政府の許可が必要で、郡政府は故人か身内の同意を確認しなければ許可を出さないというものである。[>>9] Illustration by Jon MacNair (Pittsburgh City Paper) [a]
|
紫文字の部分は前回の5月29日のクオモ合意を報じた記事と同一文章の部分。
![]() 米国で未だ展示されている中国人の死体 ペンシルバニア州議会議員が同意のない死体の展示を禁じる法案を検討 ![]() ABCニュース 2008年8月7日 いよいよ北京オリンピックが開幕するが、その裏では米国の州議会議員達が中国からの死体輸入を厳しく取り締まる新法を検討している。今週初めにはペンシルバニア州の議員達が、人体を展示する企業に対し献体者からの同意書を得る事を必須とする法案に関して議論を行っている。こういった法案は他の州での立法への道筋を作り、米国への人体パーツの輸入を完全に禁止するという今年提出された連邦法法案を後押しする可能性もある。
ペンシルバニア下院司法委員会議長である民主党トーマス・カルタジローネ下院議員は、火曜日に行われた法案に関する聴聞会において「これは人権問題であり私達が関心を持つべき問題」と述べた。 この法案はプレミア・エキシビション社に対するABCニュース『20/20』の調査の結果でもある。プレミア社は中国人の「引取人のない」死体の展示を25ドルの入場料で米国や世界各地で行っている株式会社である。それが我々の調査によって、展示されている死体が死刑囚のものである可能性のある事が明らかとなった。
法案にはまだハードルがある。カルタジローネ議長によれば、法案がペンシルバニア下院から上院に移るのは恐らく2009年の初め頃までかかるとの事である。 それでもフレック議員はインタビューで、法案には波及効果があるだろうと語った。今のところカリフォルニア州のフィオナ・マ議員(サンフランシスコ)も同様の法案を提出しているが、フレック議員によればハワイに至るまでの他の州議会議員達から法案を支持するとの連絡があり、他州でも独自に法案を出す事を検討中という動きがあるそうだ。 火曜日の公聴会では、中国の刑務所に19年間以上も投獄された人権活動家の呉弘達氏が証言を行い、中国の死刑執行の凄まじい写真を提示し、委員会メンバーにショックを与えた。呉氏が提示した写真には4人の銃殺死体が写っており、呉氏によればこれらの死体がこれから人体保存のプラスティネーション処理をされるところで、それがプレミア社の取引業者に渡った可能性があるという旨を証言した。 しかしプレミア社側は、展示会に行くかどうかはペンシルバニア州の人々が決めればいい事であるとコメントしている。 プレミア社のブライアン・ウェインガー法律顧問は、いずれの人体も死刑囚ではないと立証するのは不可能ではあったとしたが、「(中国側の取引相手の随鴻錦氏が) それらの写真を見た事も、トラウマや肉体損傷の証拠の認められるどのような標本もプレミア社に提供した事も、絶対的に断定的に否定した」と委員会の前で証言した。
ウェインガー氏は『20/20』の報道を「センセーショナルである」と切り捨て、「私達はある一つの肝臓が死刑囚から来ていないかどうかの100%の保証は出来ない。社会的信用のある大学や施設の関係者を信用する以外に出来る事はない」と付け加えた。 プレミア社で米国に到着するプラスティネーション死体を検査している、モンゴメリー郡のウォルター・ホフマン検死官は、公聴会で「私が調べた50か60体の死体のいずれにも負傷、拷問や虐待のいかなる証拠もなかったと何度でも言う」と反論した。 『20/20』が2月に行ったインタビューにおいて、報道の後に辞職したプレミア社の元代表のアーニー・ゲラー氏は、中国の取引業者から来た死体の一部が死刑囚のものである可能性があると聞いて驚いたとABCニュースに語っている。
『20/20』の報道開始と共に、ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ検事総長は独自の調査を行い、プレミア社がどの人体も死刑囚のものでないと証明出来ない事を明らかにした。クオモ氏とプレミア社は、ニューヨーク州内での展示に但し書きを表示し、展示会のウェブサイトに検事総長の調査結果を表示する事を必須とする合意に達した。同案はまたプレミア社がドナーの同意書と「死体の出所と死因を示す」書類を入手する事も求めている。[法的合意に関する報道はここをクリック] プレミア社側は、大連医科大プラスティネーション研究室から死体を入手していると宣伝用資料では書いている。そこでは商業登記としては大連医科大の随教授からプレミア社に貸与されたとなっている。 大連医科大は、プラスティネーションの発明者のドイツ人医師グンター・フォン・ハーゲンス氏に人体を一時期提供していたにもかかわらず、2月に『20/20』が大連医科大に電話取材をしたところ、大学の学長は大学側から米国企業に人体を提供した事は決してないと主張している。中国の人権問題が批判の的となっているため、ハーゲンス氏は中国人の死体は金輪際用いないと表明している。 ABCニュースは大連から1時間郊外にある随氏のプラスティネーション研究室を訪ね、工業地帯の裏通り沿いの民間企業の倉庫で死体がプラスティネーション処理をされている様子を目撃した。 ウェインガー氏は、プレミア社が1つの展示会につき10-20体の人体と、数百の器官や人体パーツをの使用許可を得ていると公聴会で述べた。同社は現在17の展示会を進めている。プラスティネーション処理された人体が半永久的に使用出来るためプレミア社がこれ以上の標本の製造は必要ないだろうと付け加えた。 来週、カルタジローネ氏その他の司法委員会のメンバーは、プレミア社のショーが行われているハリスバーグのウィテイカー博物館を視察する。 [訳=岩谷] (原文:英語) (写真は元記事付録のもの。関連記事リンクおよび本文中リンクは元記事の通り)
*本翻訳の転載には許可を必要としないが必ず出典元を明記の事。 Schecter, Anna. "Chinese Corpses Still on Display in the U.S.". ABC News, Autust 7, 2008. [魚拓 1 2 3]
|
![]() 2008年3月、ピッツバーグの『BODIES展』の宣伝。(Pittsburgh Pist-Gazette) [D] |
またこれまでプレミア社は、専門家を雇って人体標本を検査しそこに拷問や処刑の痕跡のある死体は見つからなかったとした自社調査に基づいた報告書を展示会場に提供をしており[>>10]、またこれは死刑囚を使用していない事の根拠として同社がこれまで一貫して主張していたもの[>>11]であるが、その検査を行った一人がメリーランド州モンゴメリー郡のウォルター・ホフマン検死官であった事がこの記事では触れられている。
この法案PN2299の全文訳はエントリー末の関連資料参照。
労改基金会の呉弘達氏のペンシルバニア議会での証言
このペンシルバニア州下院司法委員会での公聴会において、当シリーズで何度か取り上げた事のある労改基金会の呉弘達氏が証言を行っているが、その内容が労改基金会のウェブサイトで公表されているので、以下関連情報として紹介する。
![]() 呉弘達代表がペンシルバニア下院司法委員会で人体展に関して証言 労改基金会 2008年8月6日 昨日、労改基金会の呉弘達代表が、ペンシルバニア下院司法委員会の公聴会で、如何なる人体の商業展示においても故人又は近親者のインフォームドコンセントを義務とする法案「HB 2299」に関連して証言を行った。呉代表は、有名な人体展『BODIES展』と『人体の暴露展』を主催するプレミア・エキビション社などの企業に対し、死刑囚を含む可能性のある引取人のない中国人の死体を用いて利益を得る事への禁止に関して強い調子で発言した。 『BODIES展』は今年初旬に同州ピッツバーグのカーネギーサイエンスセンターで展示を行っている。 呉代表のスピーチ内容は以下である。 HB2299に関するペンシルバニア下院司法委員会公聴会での証言 呉弘達 労改基金会代表 2008年8月5日 労改基金会と私自身にとって非常に大きな懸念であるこの問題への証言者として私をお招き頂いた事を、カルタジローネ委員長とマルシコ委員長に感謝申し上げる。 1949年に中国共産党が権力を握った直後に、ソ連の指導で毛沢東の下に作られた中国の大規模な強制労働刑務所システムである「労働改造所」の事実を世界に露呈させるために、私は1982年に労改基金会を創設した。 労改システムの機能とは、犯罪者と「悪分子」を労働を通して改造する事である。一般犯罪者と政治犯の両方が労改に収監されるが、中国はそれを通常の刑務所システムと反論している。 しかし事実上、労改は中国共産党の経済的道具として機能しており、中共は労改を、政治・宗教や被支配民族の反体制者を威圧・迫害・沈黙させる目的に利用している。そのうえ、労改の収監者への強制労働は、労改キャンプを運営する共産党関係者と、大規模公共事業を強制する国家に利益をもたらすものであり、建設・農業・採掘・製造などの大規模な営利事業を運営するのに賃金のかからない囚人労働を利用している。 私が労改に関して知っている事は自身の経験から来ている。1960年に私は北京の地質学の学生で、中国共産党によって生み出された不平等や、ソ連のハンガリー侵攻への中国の協力を批判した。その後間もなく私は「反革命右派」のレッテルを貼られ逮捕され、裁判なしに労改送りの処分となった。私はその後19年間を12の労働キャンプで過ごし、そこで飢餓、身体的虐待や疲労に耐え、多くの仲間の収監者の死を目撃した。毛沢東の死後に私は労改からの釈放を保証され、米国に来る事になった。 1990年にジェシー・ヘルムズ氏が私に米国上院での証言を持ちかけ、それ以来私は労改の残虐性に関して世界に知らせるために努力して来た。労改でこれまで5000万人の人々が苦痛を受け、その多くが飢餓に苦しむか処刑をされ、300-600万人が現在も労改に収容されていると見ているが、世界は中国にそのようなシステムが存在している事にまだ気付いていない。 当基金会の研究は長年にわたり、それは労改システムだけでなく、宗教や少数民族の迫害、「一人っ子」人口抑制方針、死刑、公開処刑や、死刑囚からの臓器摘出など、中国の他の組織的人権抑圧問題も手がけている。 中国の医療は1980年代に大きく発展し、1985年にシクロスポリンA[*]が導入され、医療レベルは恒常的に臓器移植を行うのに十分となった。 * シクロスポリン:臓器移植時の拒絶反応防止薬。
しかしそのジレンマは臓器の提供だった。中国には臓器提供の文化はなく、それは今なお一般的ではない。そのような文化を伸ばすキャンペーンは、無傷で埋葬するという中国人の伝統の前に効果はなかった。しかし需要の増加に伴い、中国の病院と政府機関は労改を健康な臓器の供給源とする事を決定した。 中国では現在、不正、麻薬取引や泥棒などの非暴力犯罪を含む68の罪状が死刑宣告を可能としている。貧困層の経済移住者が毎年大量に中国の地方から都市部に移動しており、それに対し中国公安局は「厳打」と呼ばれるキャンペーンの結果犯罪数を増加させ、中国の死刑囚の数は莫大になった。 毎年の死刑執行数の正確数は国家機密として厳重に隠蔽されており、殆どの非政府組織はその年間執行数を数千と見積もっており、それは中国を除いた全世界の執行数の合計よりも多い。 1990年代前半まで遡った私の調査では、中国人や他国人の需要のために死刑囚の臓器を中国の病院が手配していた事が明らかになっている。救急車が刑場で待機しているのは中国では全く普通の事であり、医療関係者が必要な臓器を素早く摘出し (手術の) 準備の出来ている病院に急行する。 1994年にこの件に関するBBCのレポートに対し、この問題が国策である事を示すための協力をした。2001年に当基金会はこの問題に関する動かぬ証拠の詳細をまとめた『共産党チャリティ』と題したレポートを発表している。 それでもなお、2006年に中国の衛生部の黄潔夫副部長が、中国の臓器提供者の大半が死刑囚であると認めるまで、中国はこの疑惑を否定し続けた。中国が今や米国に次いで第二位の臓器移植数を誇る中、このような主張は信じられるものではなかった。 それでもなお、数年前に更に驚かされたのが、中国の人体臓器の行き先が中国の病院のみならず、ここ米国で有名な解剖学的展示会である事を知った事である。 人間の細胞の水分と脂肪分を除去しプラスチックのポリマーを注入させるプラスティネーションとして知られる技術で、これらの死体や臓器の展示会で一人あたり20~30ドルの入場料を取っている。 それは特に、アトランタに本拠地を置くプレミア・エキシビション社(以下「プレミア社」)のケースで、同社が中国の随鴻錦氏が経営する大連鴻峰生物化技有限会社を経由して人体供給を受け、少なくともその一部がほぼ確実に死刑囚のものである事は今や明らかとなっている。プレミア社と大連鴻峰生物化技社の契約は2500万ドルに相当すると報告されている。 まず、プレミア社の人体標本の起源に関する説明は、それら人体が「最高の倫理基準の法的手段で入手された」という説明のみであり非常に不明確であります。それから、プレミア社は「引取人のない」死体を利用するにあたって、大連医科大学から入手したと主張しているものの、それらの人体がどのように「引取人がない」のかの正式な説明を行っていない。 それらの人体が実際引取人がないものだとしても、中国においてそれが死刑囚を意味する事は周知の事実である。通常、死刑囚の家族は刑の執行後までその通知を受ける事はなく、稀に火葬の残存物を受け取る事はあっても遺族が遺体を要求する事は出来ない。なぜならそれは刑務所の所有物となるからである。 ここ数ヶ月、プレミア社の展示人体に関する私の疑いを確認しながら、証拠が表面化して来た。2月に放送されたABCニュースの『20/20』では、中国の公安局を出所とする100を越える死体を購入して大連鴻峰生物化技社に販売したとするブローカーを突き止め、不法な人体取引の証拠が示された。その人物はまた、最初の取引で自身が目撃したという手縄の解かれていない血まみれの死体の写真を提供した。 この問題はまた、ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ検事総長のプレミア社の展示への調査を促し、クオモ検事総長の調査では、プレミア社のニューヨーク展での人体は「もともとは中国公安局から受け取ったもの」との事が判明している。 更にその調査では、プレミア社が展示用人体パーツが死刑囚のものでない事を独自調査で確認出来るとの主張が間違っていた事も判明した。その結果、プレミア社はこれらの結果をウェブサイトとニューヨーク展のロピーに表示する事に同意をしている。 展示用人体が中国の死刑囚である事をプレミア社は否定し続けている。証拠はそれとは正反対に非常に説得力がある。いずれにしても、プレミア社がこのような形での展示に同意していない人々の人体と人体パーツを展示し、それによって莫大な利益を得ている事に疑う余地はない。このような搾取行為は倫理とはほど遠く、それは違法行為とされるべきである。また、プレミア社が「リース」している人体の一部が死刑囚である事を私は確信している。 生前に大きな苦しみを受けた人々に、その死後にもこのような侮辱を受けさせる事は、少なくとも人倫に悖る行為として非難されるべきである。人命の価値を尊び、将来のこのような行為を禁止する法案をペンシルバニア州がカリフォルニア州に続いて通過させる事を願っている。 [訳=岩谷] (原文:英語)
*本翻訳の転載には許可を必要としないが必ず出典元を明記の事。 Laogai Research Foundation. "Harry Wu Testifies about Body Exhibits before PA House Judiciary Committee", August 6, 2008. [魚拓]
|
中国では囚人の体は刑務所の所有物
![]() 2006年12月、湖南省株洲市の公開裁判で死刑判決を受ける囚人。(Reuters/Spiegel) [b] |
2006年には中国衛生部が、移植臓器の95%が死刑囚のものだと認めており[>>12]、公安局が死刑囚の死体を病院に提供していた事が公然のものとなっている。
それなら中国では人体取引で公安が儲け放題かというとそうではなく、刑務所や裁判所が臓器を転売したとして訴訟沙汰になったとか[>>13]、不法に人体標本を作成した業者への摘発があったり[>>17a]、2006年には人体の商業利用と輸出を禁じる法律が施行されているなど[>>14a]全く野放しという事ではない訳ではあるが、しかしその一方で事実として、公安局が大連鴻峰社に人体を提供し[>>15]、それを加工したプラスティネーション商業展示が中国国内で堂々と行われており[>>16]、この一貫性のなさは一体何なのかというのもまた呉弘達氏が指摘するところである。[>>17b]
中国での「証明」自体が何の意味も持たない
![]() (photo: WN / Denise Yong) (World News) [c] |
つまり、2006年に中国で実施された『死体の出入国と死体処理の管理規定』とは、医学・研究目的を除いて人体の商業利用と商業目的の輸出を禁じるという法律であり[>>14b]、臓器移植の場合はこれは純粋に医学目的であるから、公安局は「医学・研究・科学目的」と言えば全てが正当化される訳であり、実際に公安局が「死亡時に引き取り人のない」死体を「研究目的」という名目で大連医科大その他の大学や研究施設に提供していたとクオモ報告書には書かれている。[>>15b]
つまり、プレミア社に人体標本を輸出していたジェンライフ・バイオメディカル社が「プラスティネーション教材」として[>>18]、輸入社のプレミア社が「医学教育用のプラスチック模型」として[>>19]貿易申告をしていたように、これが中国から「教材」として輸出申告されているのであれば、中国では違法行為とはならないという事になる。
勿論、プレミア・エキシビション社が世界規模で人体標本の商業展示を行っているのは中国も知らない事ではない話であり、いくらプレミア社側がその「教育的」性格を強調してみたところで[>>20]、教育や研究には必要ではないサッカーなどのポーズを取らせた人体標本を入場料を取って展示している時点で、それが商業展示の性格を持ったものである事は否定出来なくなる訳で、それは中国国内で開催されている人体展 --- 隋鴻錦氏の『人体世界科普展覧』やハーゲンス氏の『神奇的人体』(Body Worlds 3) に関しても同じ事である。
そうすれば、何が「商業目的」で何が「教育・研究目的」であるかを誰がどうやって判断するかというガイドラインとチェック体制の問題になるが、そもそもそんな事は中国の法律『死体の出入国と死体処理の管理規定』には書かれていない訳である。
特に中国のように党の意向が正義となり、書面を嫌い口約束で物事が進むような国の場合は、物事が通るかどうかはいかにその人物や業界に政治力があるか次第であり、そういう国が発行した証明書など最初から世界のスタンダードに見合った信用などないというのは今回の呉氏やカルタリジーネ議長に留まらず各方面から指摘されている事ではある。[>>21][>>22]
関連資料:
法案 P.N. 2299 (2009年4月27日改訂版)
下院法案
2009年4月27日に司法委員会に提出 人間の死体の商業展示、および民事刑罰に関する、ペンシルバニア州法第20章 (故人、遺産と受託者) の修正。 議会は以下の通り評決を下し宣言する:
ペンシルバニア州議会はこれにより以下を制定する: セクション1. ペンシルバニア州法第20章は以下の通り修正される: 人間の死体の商業展示 8901. 定義 8902. 展示に関する義務、例外と罰則 8903. 許可プログラム 8904. 適用性 §8901. 定義 この項で用いられる以下の単語やフレーズは、文脈が明確に示す場合を除き、このセクションで述べる意味を持つ: 「商業目的」は以下のいずれかである: 「衛生局」:州衛生局。 「博物館施設」:米国博物館協会認可の公立・私立の非営利施設、又は認可されたカレッジや大学付属のもので、教育や美学が永続的な本質目的であり、具体的な展示物を所有または使用師、それらの展示物の手入れをし、通常展示でそれらを一般公開するもの。 §8902. 展示に関する義務、例外、罰則。
§8903:許可プログラム
§8904:適用性 セクション 2. この法令は60日以内に発効するものとする。 [訳=岩谷] (原文:英語)
Pennsylvania General Assembly. "House Bill No. 1352", April 27, 2009. (Doc)
|
脚註:(脚註を見る)
写真
- ^ O'Driscoll, Bill. "A critical examination of the cotroversial exhibit". Pittsburgh City Paper, Feb 28, 2008. [魚拓]
- ^ Spiegel Online. "UN Committee Votes for Wordwide Death Penalty Moratorium", Nov 16, 2007. [魚拓]; Picture by Reuters from China Debate, The. "Death Penalty". [魚拓]
- ^ Daily Yomiuri. "China officials 'told firm to buy recalled gyoza'". World News, 2009-01-25. [魚拓]
- ^ Pittsburgh Pist-Gazette. "A Body By Any Other Name", March 2, 2008.
当ブログからの引用・転載に関して
当ブログはリンクフリーとしますが、引用や転載に関しては以下の条件においてフリーとします。条件を満たしている限りはその都度許可は必要ありません。
1. 引用元の明示(作者不明の怪文書として拡散しない)2. 内容の改変をしない(改変する場合は改変者の責任における編集である事を明記)
3. 営利目的に用いない。
なお当ブログにおける記事、写真、動画資料などの引用はフェアユースの条件または権利者の了解において行っているもので、アフィリエイトサイトの場合は条件が異なります。それらの二次転載によって権利者とトラブルになった場合は当ブログとしては責任は負いかねます。