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一昨日の1月25日に突然「人体展と中国の人体闇市場」等のキーワードによる160件を越す検索アクセスがあり、何事かと思っていた。
このキーワード「人体展と中国の人体闇市場」とは、米国ABCニュースの報道特集番組『20/20』の「Human Bodies On Display -- Where Did They Come From?」(展示される人体:彼等はどこから来たのか?) の動画に日本語字幕を付けてYouTubeにアップした際に、邦題として当方が付けた動画タイトルである。
現在世界や日本の人体展で問題となっている「中国から来た死因も出所も不明な死体」というこの番組のテーマをより明確に伝えるために、原題にはない「中国の人体闇市場」の文言を敢えて加えた。
そしてこれは当ブログで一昨年の夏から連載している人体展に関するリサーチエントリーのシリーズタイトルとしても採用した。
動画![]() 『人体展:彼等はどこから来たのか』 ABCニュース報道スペシャル『20/20』 2008年2月15日放送 (18'46") 訳・字幕:Red Fox |
こういう場合はどこかアクセス数の多い掲示板等にURLリンクではなくキーワードが書き込まれ、それで検索する人が殺到したという事になる。
調べてみたところ、読売新聞ウェブサイトの女性向けコーナー『大手小町』の『発言小町』という掲示板に「人体の不思議展」という題名のトピが1月23日に立てられ、そこに1月25日の11時過ぎに「『人体展と中国の人体闇市場』で検索してみて下さい。衝撃の事実にショックを受けた」と、確かそういった内容の一行の書き込みがされているのを見付けた。
「人体展と中国の人体闇市場」でGoogleやYahoo!検索をすればABCニュースのYouTube動画と当ブログがトップにヒットするため突然160ものアクセスが来たという事のようだ。
この『発言小町』のトピは1月23日に開始された『人体の不思議展』熊本展に関して、展示に関心のある人が行った事のある人に情報を求めるという内容であり、そこには80を越すレスが付き、その内容は賛否が半々というものである。
しかし当方がこの『発言小町』のトピを発見した段階 (1月26日5:50頃) ではその「検索して下さい」の書き込みは読売側によって削除されており、その時点ではGoogleキャッシュにまだ残っていたため発見出来たという事である。
当ブログのアクセス解析では「人体展と中国の人体闇市場」によるキーワード検索が25日11:15に始まり21:30で途絶えているので、25日の21:30頃に削除されたと見られる。
それにしても、見た限りでは賛否両論の書き込みを載せるという体裁をとっている読売新聞は何故この「検索して下さい」の書き込みに限って削除する必要があったのだろうか?
この日の検索アクセスの大半を占めたGoogleとYahoo!では「人体展と中国の人体闇市場」で検索すると以下のような結果となる。
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この検索結果を見るだけでそれぞれのサイトを見なくとも、このキーワード検索で出て来るものは人体展に対する疑惑と事件性の印象を非常に与えるであろう文言で埋め尽くされている。
当ブログは『人体の不思議展』に展示されている中国産の人体標本が献体である事はあり得ないという、中国と欧米での報道を根拠とする調査発表を既に行っている。
一方ABCニュースの番組の内容は日本の『人体の不思議展』と直接の関わりはないが、中国の死刑囚の銃殺死体取引現場の写真や大連の秘密人体工場など見る人に与えるインパクトは絶大である。
つまり読売新聞が隠したかったのは核心に触れる情報である。一般の印象の批判論はOKでも中国の闇市場から来た死体では駄目なのである。
これには理由がある。
読売新聞社が怪しい死体展覧会を主催 Hagex-day.info 2006年6月1日 (抜粋) 現在、横浜産貿ホールで開催されているこの展覧会の主催は、「人体の不思議展監修委員会/日本アナトミー研究所/読売新聞東京本社」となっている。 Hagex-day.info. 『読売新聞社が怪しい死体展覧会を主催』, 2006年6月1日.
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![]() 『人体の不思議展』横浜展のポスター(クリックで拡大) (信州 松本発 おでかけ・買いもの・気になること) |
『人体の不思議展』横浜展 2006.3.18-6-18 横浜産貿ホール 主催:人体の不思議展実行委員会(人体の不思議展監修委員会/日本アナトミー研究所/読売新聞東京本社) 後援:横浜市/日本赤十字社/日本医学会/日本医師会/日本歯科医学会/日本歯科医師会/日本看護協会/神奈川県医師会/神奈川県歯科医師会/横浜市医師会/横浜市歯科医師会/神奈川県看護協会 総合企画・運営:マクローズ |
読売新聞は4年前に『人体の不思議展』の主催団体として「日本アナトミー研究所」や「人体の不思議展監修委員会」と共に「人体の不思議展実行委員会」に名を連ねている。
また2002年に『新・人体の不思議展』として開始した現在の『人体の不思議展』の最初の開催である2002年3月の大阪展は読売テレビが主催団体である。
上記の『Hagex-day.info』さんの『読売新聞社が怪しい死体展覧会を主催』には現在の『人体の不思議展』の成立背景に関して詳しく書いてあるので参照頂きたい。
読売新聞社は2006年の横浜展以降は『人体の不思議展』とは関わりはないようだが、ここ数年は欧米でも中国から来た死体の出所が不明であると中国系人体展が社会問題になりフランスやハワイでは人体展が全面禁止となっており、日本でも最近の展示では医師会や看護協会や教育委員会等が後援団体を引き受けなくなるほど社会的な批判の声が強くなっているという状況で、読売新聞はその不名誉な過去から『人体の不思議展』の擁護にまわっているのであろうか?
この事を確かめるために以下の投稿をしてみた。この『発言小町』は投稿は即表示はされずにスタッフが編集等を行ってから承認をするという事のようであり、この投稿を受け付けないのであれば25日夜の削除は“検索を薦めるだけの一行のみ投稿”という形式の問題ではなく意図的な情報隠しという事になる。
ここで書いたのは、ハーゲンス氏の『人体の世界/人体の不思議展』と中国系の『(新) 人体の不思議展』の違いを知らない人が『発言小町』のトピに多かったためにその説明と、医学的に勉強になるという意見が多かったために“医学・科学目的の大義名分はそれが展示内容を知った上での献体と証明されない限りは成立しない”というフランスの裁判所と倫理委員会に指摘された事を説明、そして中国の報道では献体ではなく人体の出所が不明となっているという前エントリーで扱った内容の説明である。
なお参考サイトとして「人体の不思議展に疑問をもつ会」の名称を挙げてあるが、当方はこの団体とは一切関わりはない。
献体の証明がされていない 投稿日時:2010年1月26日 6:25 いささか混同している方がいるようですが、日本の『人体の不思議展』は1995-99年のがドイツ人発明者のハーゲンス氏による「プラスティネーション」で、2002年以降は中国系の摸倣業者による「プラストミック」でハーゲンス氏とは無関係です。 医学や科学目的の展示という事であれば、それは故人がどのような形で解剖されどのような場で展示されるかの承諾があって初めてその大義名分が成立するものですが、日本アナトミー研究所が中国の南京蘇芸生物保存実験工場から人体標本を購入した2001年9月当時は中国で人体展は全く知られておらず、展示のために献体があったという事はあり得ません。 「人体の不思議展に疑問を持つ会」等の批判団体が人体の出所と献体の意思の情報開示を求めているにもかかわらず、人体の不思議展側は未だかつてその証明に応じた事はなく、「生前の意思による献体」との説明には全く根拠を認める事が出来ません。 人体の不思議展側は「中国の赤十字を通じて献体の意思が確認された」と説明していますが、実際の南京赤十字は人体の不思議展との関わりを否定し商業展示を非難しており、また南京蘇芸生物保存実験工場が人体の入手元として主張している中国の各医大は南京医科大を除いて悉く関わりを否定、南京医科大も「日本で展示されている死体は献体ではない」と説明しています。 繰り返しますが、医学のため勉強のためというのであれば、公開商業展示に同意した献体が用いられている必要がありますが、人体の不思議展はその条件を満たしておらず虚偽の疑いすらあります。 参考サイト: 人体の不思議展に疑問を持つ会 |
『発言小町』では特定の企業、団体、個人に対する誹謗中傷や差別発言が含まれている場合は修正するか不掲載というルールを書いているが、これは全て根拠のある情報であり誹謗中傷ではない。他にも批判投稿は掲載されているというのに一体どういう基準で取捨選択を行っているのだ?
投稿時刻は昨日の早朝、1月26日6:25である。
しかし既にその翌日のオフィスアワーも終わりかけており、その後の時刻に投稿された複数の投稿が承認されている一方、当方の投稿は現在に至るまで承認をされる様子がないため、予告した通りブログでその経緯と内容を発表する事とした。
ひと昔前ならメディアが情報発信の手段を独占し、情報の選択はメディアがイニシアティブを握っていた訳だが今はそういう時代ではない。無視して握り潰せば臭いものに蓋を出来る時代は10年前に終わっているのだ。
追記 (2010.1.29 8:52)
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今度は昨日28日のアクセス解析ではリンク元URLで「http://ime.nu/redfox2667.blog111.fc2.com/」で118アクセスがあった。
この「ime.nu」とは2ちゃんねるにリンクが貼られた場合に途中に挟まるクッションページのURLである。
調べてみたところ、2ちゃんねるの『発言小町』のスレに心ある方から今回の経緯を紹介して頂いたようである。
【既女が】発言小町【語る】2009/1/25~ 203 :可愛い奥様:2010/01/28(木) 02:58:17 ID:6gGZPTsd0
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2ちゃんねるからのアクセスは本日も続いており、このアクセス数が『発言小町』の参加者と読者の関心の高さを物語っている。『発言小町』の編集部が隠そうとした『人体の不思議展』の闇の部分と読売新聞の不名誉な過去であるが、残念ながらその思惑通りには行かなかったようである。
再度追記 (2010.2.16 6:16)
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今度は昨日2月15日のアクセス解析ではリンク元URLで「http://alfalfalfa.com/archives/385955.html」で一日で1139アクセスがあった。14日の夜に97アクセス、本日は既に42アクセスあったため既に1300に迫っている。
調べてみたところ、2ちゃんねるまとめサイトの『アルファルファモザイク』さんが取り上げたスレのその1つのコメントに当エントリーのURLが書き込まれていたため、そこからアクセスがあったという事である。
この元のスレからも多少アクセスはあったのだが、それがアルファルファモザイクさんに転載されただけで1日で1000を越すとは、2ちゃんねるまとめサイトの影響力は多大なものがある。
【女性】読売新聞の悩み相談サイトに「大学も出ていない生意気な女を改心させたい」と主婦が悩みを打ち明ける 757 :名無しさん@十周年:2010/02/13(土) 06:03:49 ID:j+zeaU7o0
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1月25日に『発言小町』を見て当ブログを訪れた人の数は10時間で160件程度だった訳だが、『発言小町』の編集部が「検索して下さい」の書き込みを削除し当方の書き込みを承認しなかったために、結果として更に多くの人が『人体の不思議展』の闇と読売新聞の不名誉な過去を目にする事となってしまい、『発言小町』編集部には皮肉な展開となってしまったようである。
『人体の不思議展』の不透明な運営状況に関しては最新エントリーを参照頂きたい。
関連サイト:
・人体の不思議展 横浜 (rappajazz 2006.5.3)・人体の不思議展 週刊現代 (rappajazz 2006.5.3)
・養老センセイ 人体の不思議展に決別 だが、話題のDVDには賛同 (ひろしこむ 出張Blog 2006-05-29 15:34)
・読売新聞社が怪しい死体展覧会を主催 (Hagex-day.info 2006.6.1)
・海賊版人体の不思議展(続報) (Hagex-day.info 2006.6.8)
・「人体標本展」の疑惑 (アムネスティ・横浜グループ(16G) 2007.2.15)
・人体の不思議展が沖縄県立博物館・美術館の会場を借りて行われる (風のまにまに(by ironsand) 2009.1.23)
・人体の不思議展が7月から静岡と松江で興業予定とか (風のまにまに(by ironsand) 2009.6.27)
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