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Red Fox

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聖パトリックの日


Red Fox.

 3月17日は「聖パトリックの日」である。これは本来はアイルランドの祝日であるが、アメリカでは緑をシンボルカラーにして、緑色の物を身につけて昼間から酒を飲んだり大パレードをするなどアメリカ独特の祝日となっている。


 地元のスーパーでも以下のような飾り付けが出て来たのが2月下旬で、緑の装飾品が目立つようになると春が近い合図である。


Red Fox.

レジには緑色のバルーンが飾られている。
Red Fox.



 アメリカは、北はカナダ国境の北緯49度が南樺太の緯度、フロリダ南端のマイアミが北緯26度で沖縄本島と同じであるという大体日本と同じような気候分布であり、3月中旬は日本と同様に冬が終わって春の気配が出て来る季節である。


 聖パトリックとは5世紀にアイルランドにキリスト教を広めたアイルランドのカトリックの聖人であり、聖パトリックの命日である聖パトリックデーは17世紀頃からアイルランドで祝日になった。現在では特に米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなど英語圏での祝日になっている。

 聖パトリックの日のシンボルとなっている緑色とシャムロック (三つ葉) は聖パトリックに直接由来するものではなく17世紀頃から用いられているもので、それが1798年アイルランド蜂起のシンボルとなり、近年ではアイルランドのアイデンティティのシンボル的な位置付けとなっている。

 聖パトリックの日がアメリカで祝われるようになったのが18世紀であるが、アメリカ独特の恒例行事の大パレードはその頃からの伝統のようである。

Foxニュース・デンバー/聖パトリックの日のパレード (2'11")

urbanpopex. "Fox News Denver - St. Patrick's Day Parade (hilarious)". YouTube, 3-17-2008.

 聖パトリックのパレードは最近は東京でも行われていると聞く。

 数日前も町中が交通渋滞をしていて、見ると道路が閉鎖されて緑色の物を身につけた人達が路上にあふれ何かのイベントが行われており、既に聖パトリックの日に先駆けてお祭りムードであった。
 そして聖パトリックの日の日中は数時間にわたってパレードが行われるために道路が至る所閉鎖されたりそこら中に車が駐車されているので、ダウンタウン方面に車で行こうとしても渋滞に巻き込まれるだけであり、こういう日は下手に移動しない方がいい。

 またこの日は昼間からビールを飲んでアイルランド料理を食べる習慣がありバーなどは昼間から満員である。
 聖パトリックはカトリックの聖者であるが、プロテスタントが多数を占めるアメリカにおいては宗教に関係なく行事に参加する世俗的・娯楽的な祝日となっている。


 この日は友人とダウンタウンにランチを食べに行こうとしたら渋滞に巻き込まれて挫折、近場の繁華街にようやく辿り着いた。

 駐車場は満車で場所を見付けるのも大変。駐車場の横のレストランのバルコニーでは人々が酒を飲んでいる。
 やはり緑色のシンボルカラーを身につけたり建物に飾られたりしている。


Red Fox.


Red Fox.

 人々は緑色の服を着ている。アメリカ人は気候が良ければとにかく屋外席が好きである。私の地元では大陸性の気候で夏は非常に暑く冬はかなり寒くなり快適な季節が短いため、限られた季節に日光浴をする習慣があるのかもしれない。
 この日はこの季節には珍しく20度を越す暖かい日だったので、人々がレストランの外に設けられた屋外席で食事をしている。


Red Fox.

 それでもなぜレストランの外を冊で囲っているのかと言うと、アメリカの多くの州では公共の場でアルコールを飲むのが禁じられているだけでなく、アルコール類を開栓した状態で持ち歩くだけでも違法行為となるため、認可のあるバーやレストランなど建物内でしか通常は飲む事が出来ないが、恐らく冊の中は公共の場でないという扱いにしているのだと思われる。

 そしてこの日だけはこの繁華街の中心の一角は完全閉鎖されて立入るのに入場料を払う事になっている。つまりこの一角丸ごとバー状態という事のようであり、閉鎖されている状態では路上で飲酒が出来るという事らしい。

 以下の白い冊より中に入るのは入場料がかかる。設置物は恐らく公衆トイレ。


Red Fox.


Red Fox.

 駐車場の入口に設けられた仮設の休憩所は恐らくボランティアスタッフのために設けられたもの。


Red Fox.





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テーマ:アメリカ合衆国 - ジャンル:海外情報

コメント

文太さん、こんばんは。

シーズン真っ盛りの札幌ビール園を見ているようですよ(笑)
札幌も屋外飲酒に適当な時期がかなり限定された土地ですから、彼らの気持ちは大変よく解ります(笑)

「聖パトリックの日」を、祝日とみるか、祭日とみるか。それぞれ考えはあっても、議論は措いて皆で楽しむ。少なくとも、排除には動かない。
宗教的な違いを含みながら現実こうして皆で楽しんでいる姿を目にすると、そういう部分でアメリカ人は実に健全だと思うのです。

最近、日本で一部の人間が、祝・祭日の持つ意味を剥ぎ取り、単なる休日にしようと躍起になっていますが、そういうドアホどもに見せつけてやりたくなる、実に健全な呑んだくれ達の姿です(笑)

  • 2010/03/25(木) 22:51:14 |
  • URL |
  • ぐい呑み #-
  • [ 編集]

ぐい呑みさん

確かに季節は違いますが、快適な季節が限られているという点では同じですね。こちらは3月に20度を越す事があれば4月でも雪が降る事があるので、冬の次が夏で夏の次が冬だとジョークを言っています (笑)

アイルランドのカトリックはケルトの土着信仰と融和するという形で伝わりローマのカトリックとは異質な物になっているのと (神道と融合した日本の仏教とも通じる物がある)、もともとカトリックの祭日にケルトの祭りが融合したハロウィーンももはやキリスト教行事とは程遠い状態で各国に広まっているので、どうもケルト系カトリックは異端と言うか、宗教関係無しに普及していますね。

一方でユダヤ人はクリスマスを祝わないし、宗教毎にはっきり区別されている面も当然ありますが、そもそも宗教の違いで住み分けていたら成立しない社会なので、例えば豚を食べないイスラム教徒など譲れない部分は守りながらも、適当に妥協しながら何とかやっている感じですね。

世界でも祝祭日というものは、何かしら宗教行事や歴史的記念日に関連したものが多いのですが、その意味を取り去るのであればその日が休日である理由自体が無くなりますね。
もともと表面的には宗教支配の希薄な日本社会ですが、それでもそこから完全に宗教的要素や歴史的由来を排除しようとしたら、これはなかなか難しいのではないかと思います。

  • 2010/03/26(金) 07:45:22 |
  • URL |
  • 文太 #gJtHMeAM
  • [ 編集]

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