「人体の不思議展」の終了と告発

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 23日まで京都で開催されていた「人体の不思議展」に展示されている人体標本を厚生労働省が「遺体」との見解を出したニュースが19日に報じられ、更に同日に京都の教授が人体の不思議展実行委員会を提訴するなど、先日突如「人体の不思議展」が話題になり、当ブログの人体展関連エントリーや関連したYouTube動画にも相当数のアクセスがあった。

 ミクシィのニュース日記やはてなブックマーク、2ちゃんねる辺りでも一部、なぜこの時期にこの問題が浮上し、どういう意図で訴訟が行なわれたのかが全く理解されてなく、今頃になってどうしてとか、宗川教授を批判する声も目立っていたので、この経緯に関してある程度詳しく解説してみようと思う。


11月に「人体の不思議展」が打ち切りを発表している

 これは実際突然降って湧いた話ではなく、2006年以来の全国各地での批判運動の結果、4年半経ってようやく行政が動いたという事である。

 右の写真の京都展の案内にも「最終公開」と表示されているように、「人体の不思議展」は京都展開催前月の昨年11月初めに2012年で開催を打ち切る事を発表している。[>>1]

 2002年に開始した「人体の不思議展」に対して開催各地の医師や市民グループによる批判声明が出されるようになったのは2006年以降であるが、特に2008年からは全日本民主医療機関連合会 (全日本民医連) と全国保険医団体連合会 (保団連) の各地支部が「人体の不思議展」の各地の開催の度に批判や開催中止要求声明を発表するようになった。

 それまでは主催や後援に地元メディアや自治体、教育委員会や医師会などが鈴なり状態だったのが、2008年には後援団体が開催前に降りてしまうケースが相次ぎ、その後には後援が全くつかない状態になっていた。[>>2]

 そういった状況の中、昨年8月の金沢展に対しそれまでの民医連と保団連に加え、石川県医師会と金沢市医師会が反対声明を発表、10月に日本解剖学会が「人体標本の展示に関するガイドライン」を策定、それに続く12月の京都展に対し10月に京都府医師会から開催中止要望が出されるなど、「人体の不思議展」側が開催の継続が今後困難になると判断したのではないかと思われる。

写真:2010年12月4日から2011年1月23日まで京都市勧業館みよこめっせで開催された「人体の不思議展」京都展。(トーカイブログ)

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2002年の大阪展から9年―。全国35会場を巡回し、これまでに全国650万人を超える方々にご来場いただいた本展は、2012年、開催10年目という節目を迎えます。
本物の人体標本の展示を通じ、「からだ」「いのち」の大切さを見つめなおし、「健康であることの素晴らしさ」を知っていただくことを趣旨とし開催してまいりました「人体の不思議展」は、この”10年”という節目の年をもって、「最終公開」とさせていただくこととなりました。
全国各地で開催することができましたのも、ひとえにご来場いただいた皆様方のご支援の賜物であり、私ども主催者が意図するところを幾分なりともご理解いただいたものであると存じます。
皆様方への感謝の気持ちを込めて、「人体の不思議展」はラストランに向け、あたらしい医学、解剖学の世界へとステップアップしてまいります。
京都展開催にあたり
5年ぶりの開催となる今回の京都展は、前回から一新された標本170余点を展示。また、標本を観覧し構造を知っていただくにとどまらず、人体と美術の深いかかわりを、歴史的文献を通して学ぶ「人体のアート&サイエンス」、また、これまで特定の医療現場でしか見ることのできなかったCT、MRI等の最新医用画像の視点を加えた「3Dでみる!人体透視の世界」を併設致します。
5年の歳月を経て、さらなる進化を遂げ再び京都に戻ってきた「人体の不思議展」。
もう2度と味わうことの出来ない人体の神秘の世界、感動と驚きの世界を是非ご覧ください。

 そして「人体の不思議展」が開催打ち切りを発表した後、11月18日に京都府医師会と日本科学者会議京都支部幹事会が批判声明を発表。

 12月に入って、『「人体の不思議展」に疑問をもつ会』のメンバーや地元の医療関係者による批判グループにより、4日に金沢展に対して石川県警に、9日に京都展に対して京都府警に、「人体の不思議展」が死体解剖保存法に違反していると刑事告発がされているが、これら県警と府警は違法性の有無の判断を保留するとして告訴を受理していない。

 そして12月15日に京都府保険医師協会から社民党の阿部知子衆議院議員宛に、「人体の不思議展」が死体解剖保存法に違反していないかどうか厚生労働大臣に質問を行ない、現在法の抜け穴になっている死体の取扱いを規制する法整備を行なうように要望が出され、そして厚生労働省が「標本は遺体」との見解を示している事が1月18日に産經新聞の取材で分ったという流れになっている。

 流れから言えば、「人体の不思議展」の終了によって全ての疑惑がうやむやに闇に葬り去られないために、このタイミングで敢えて刑事告発という手段に出たのではないかと見られる。


法律の問題


「人体の不思議展」には観客が触れる人体標本もある。2006年の神戸展の写真。 (プロレス的人生論)
 現行の日本の法律では、人間の死体の利用を取り締まる法律は「死体解剖保存法」と「医学及び歯学の教育のための献体に関する法律」である。

 しかしこれらの法律は基本的に日本国内における人間の死体の解剖や保存に対する法律であり、外国で解剖・保存処理された死体の国内での一般公開有料展示が想定されていないため、「人体の不思議展」のようなケースは法律の抜け穴となっており明確に取り締まる法律が実質的に存在しない状態である。


 「人体の不思議展」の違法性でこれまで指摘されていたのは以下の点:

  1. 死体の利用は医学教育・研究に限定であり、営利展示は医学教育・研究にあたらず、死体解剖保存法第1条・17条に違反。[>>3]

  2. 観客に触らせる展示品にしたり医学的必然性のないポーズを取らせるなど、遺体の使用に丁重な扱いを定める死体解剖保存法第20条に違反。[>>3]

  3. 「医学及び歯学の教育のための献体に関する法律」はあくまでも医科・歯科大学などの教育に関する法律で、企業による一般有料公開は想定されていない (医学や歯学の教育を行なう大学施設における実習以外の目的での死体の利用は許可されていない)。[>>4]

  4. 営利目的で遺体を傷つけ見せ物にする事は刑法190条 (死体損壊) と死体解剖保存法に違反。[>>5]

 しかしこれらの法律は、解剖や保存を行なう人物に対する規制であっても、それを展示する側への規制が想定されていないため、想定されていない違反を取り締まるのは難しいという事である。


公開質問状に対する河北新報とTBC東北放送からの回答文。(「人体の不思議展」に疑問をもつ会)
 プレミア・エキシビション社など海外の人体展でもこれと同じ状況で、中国系のプラスティネーション人体展が社会問題になったのは死体の出所が不明であるためだが、中国系人体展が欧米に出現したのが2004年でその後急速にビジネスを拡大したため各国の現行法が全く対応出来ていない状態である。
 米国でも出所の不明な死体の展示を規制する法整備が議論され始めたのは2007年で、現在でもハワイ州以外では成立には至っていない。

 2006年の「人体の不思議展に疑問をもつ会」による法律に関する質問[>>6]に対して、主催の河北新報とTBC東北放送は「中国国内で正規の手続きを経た献体との説明を受けており、問題はないと考えております」と、国内法の問題に関しては全く答えていない。

 しかし「人体の不思議展」の人体標本の献体同意書の存在の証明がされた事は未だかつて一度もない。


今回の刑事告発

 今回の刑事告発はまず、12月4日に「人体の不思議展に疑問をもつ会」の末永恵子氏と石川県内の医大教授や医療関係者が「人体の不思議展」が死体解剖保存法に違反すると石川県警に告発している。

 その主旨は、死体解剖保存法第19条に定められている「死体の保存」に関して厚生労働省に確認したところ展示期間中の夜間は「遺体の保管」にあたり、法律によって認可されている医療機関以外で死体を保管するのに自治体知事や市長の許可を受けていないのは同法に違反するというもの。[>>7]

 そしてそれに続く9日には京都展に関して京都府警に告発がされた。

死体解剖保存法

第19条第1項 …死体の全部又は一部を保存しようとする者は、遣族の承諾を得、かつ、保存しようとする地の都道府県知事(地域保健法(昭和22年法律第101号)第5条第1項の政令で定める市又は特別区にあつては、市長又は区長。)の許可を受けなければならない。

第23条 第9条又は第19条の規定に違反した者は、2万円以下の罰金に処する。

法令データ提供システム. 『死体解剖保存法施行規則』, 最終改正:平成12年10月20日厚生省令第127号.

 厚生労働省医政局の担当者は産経新聞の取材に対し「『保存』の解釈は難しい」とした上で「あくまで一般論だが、公開展示の時間外は保存に該当する可能性がある。そう解釈すれば、遺体を保存する自治体への届け出は当然必要になる」と説明している。[>>8]

 この「保存」とは、法律が作られた時点では主に「保存処理」を想定していた筈だが、標本を保存するという事は結果的に「保管」の意味も含まれるという解釈論の話である。


展示物か遺体か? 死体か標本か?


大連鴻峰社から青島パワートレーディング社経由で輸入された米国プレミア社の人体標本は「医学教育用プラスチック模型」と輸入申告されていた。(ABCニュース)
 今回厚労省がプラストミック人体標本を「標本は遺体」との見解を示した事は幾つかの面で大きな意味を持つ。

 京都展の主催である人体の不思議展実行委員会は「正規の手続きに基づく、展示用のプラスチック解剖標本であり、遺体とは考えていない」と説明、展示会場の京都産業振興センターも「標本は展示物と認識している」としている。[>>9]

 1年ほど前の名古屋展開催中の2009年11月16日に「非理法権天」氏が会場の愛知県産業労働センターを訪問して、人体の不思議展事務局の山西美緒氏と江森精文氏に直に質問を行なった件は前エントリーで紹介したが、その時も山西氏は展示しているのは死体でなく標本だと表明していた。[>>10]

 これが法的に「標本」や「展示物」でなく「遺体」であれば「死体解剖保存法」第19条が適用される可能性が出て来る訳だが、その他にも輸入申告の虚偽の可能性も出て来る。

 米国のプレミア・エキシビション社も「人体の不思議展」と同様に人体展を「人体に関する教育と医学研究の促進」と主張している。[>>11]
 これは中国の法律で医療機関による臨床・医学教育と科学研究以外での人体取引が禁止されているため[>>12]、中国から人体プラスティネーション標本を輸入する際に医学教育・科学研究と申告しなければならないので、書類上は「医学教育用プラスチック模型」として申告されていた。[>>13]

 また、2001年に日本アナトミー研究所が南京蘇芸生物保存実験工場から「人体の不思議展」で展示する人体標本を購入した際には、中国では「示教模型」(教育用サンプル模型) と申告されていた。[>>14]



批判運動は4年半を費やした


自然史博物館で開催された仙台展 (2006) (仙台 司法書士 久保徳高 く・ぶろぐ)
 「人体の不思議展」に対する批判運動は2006年7月1日~8月27日に開催された仙台展の主催者・後援者への公開質問状送付する団体として8月10日に発足した『「人体の不思議展」に疑問をもつ会』の活動に始まった。[>>15]
 その後の全日本民医連や保団連が開催ごとに発表した開催中止声明に関しても全面的に情報提供を行なっていたのが「疑問をもつ会」と見られる。

 「疑問をもつ会」が2006年8月に仙台展の主催と後援の19団体に公開質問状を送ったところ、主催の河北新報とTBC東北放送、および後援の日本医学会、日本歯科医学会、宮城県、宮城県教育委員会、仙台市、仙台市教育委員会、宮城県医師会、仙台市医師会から回答があったが、後援団体は一様に主催の河北新報から献体を確認したと説明されたと答え、主催の河北新報とTBC東北放送は「中国国内で正規の手続きを経た献体と説明を受けている」と回答し、実際の責任者が表に出て来る事は全くなく、結局殆ど問答無用に近い回答しか得られていない[>>16]

 また同じ時期に週刊金曜日が主催団体の斎藤報恩会に取材すると「場所を貸しているだけ」、TBC東北放送も「詳しい事は知らない」であり、キョードー東北に問い合わせたところ「日本アナトミー研究所については答えられない」と回答され、日本アナトミー研究所に連絡を試みたところ取材拒否をされるという、当初から人体の出所と運営者が表に出る事に関しては徹底ガードという状況だった。[>>17]


欧米と違って日本は批判運動が起きにくいシステムが作られていた


「人体の不思議展」横浜展のチケット。主催は読売新聞東京本社。後援は横浜市/日本赤十字社/日本医学会/日本医師会/日本歯科医学会/日本歯科医師会/日本看護協会/神奈川県医師会/神奈川県歯科医師会/横浜市医師会/横浜市歯科医師会/神奈川県看護協会。 (信州 松本発 おでかけ・買いもの・気になること)
 欧米でプレミア・エキシビション社の人体展が本格的に始まったのは2005年の『BODIES展』の開始だが、既に1999年から中国で人体工場を運営していたハーゲンス氏の『ボディワールド』に中国の死刑囚が使用されている疑惑のスキャンダルが2004年にあった事もあり[>>18]、プレミア社の中国製の人体標本の出所の不透明さには当初から懐疑の目が向けられていた。

 2006年にはニューヨークタイムズが中国の公安局から死体が配布されている事をレポートし[>>19]、キリスト教やユダヤ教の背景から拒絶も大きく2007年からは米国各地で反対運動が起こり各州で人体展規制法案が提出され、2009年にはプレミア社が経営困難に陥っている。

 米国の場合はプレミア・エキシビション社というナスダック上場企業が直接運営の形を取っていたのに対し、日本の場合は実際の運営者が裏に隠れ、開催各地ごとに各地の主要メディアが主催で、各医師会や看護協会、自治体や教育委員会、ラジオ局などが後援団体になるという運営形態を取っていたために、本来社会倫理や医療倫理を問うはずのメディアや医学協会が運営側になっていたため、批判が起きにくいシステムになっていた。

 これは「人体の不思議展」の創設者である故・安宅克洋氏が元芸能プロモーターだったり[>>20]、日本アナトミー研究所 (現・エム・ディー・ソフトハウス) 代表の北村勝美氏が元々はテレビ朝日系の番組企画制作畑の人物だったりなど[>>21]、こういった運営のノウハウに長けていたという事だろう。

 またこれが全国巡回展示であるために、その都度各地で批判運動が起きてもそれが継続した運動になりにくいという背景もあった。


今回初めて人体の疑惑に社会的関心が集まった

 そういった状況から今回産経新聞が厚労省の見解を報じた事、そして京都工芸繊維大の宗川吉汪名誉教授が「死体が展示されていることで精神的苦痛を受けた」として主催者に対して1万円の損害賠償を求める訴訟を起こした事で、これまでに例のないほど社会的関心が集まり、4年半膠着状態だったこの問題がようやく日の目を見たという事になる。

 宗川名誉教授の代理人の小笠原伸児弁護士が「お金の問題ではなく、違法行為の展示をやめろということ」[>>22]と説明するように、これはキャンペーン的な性格の強い訴訟である。

 当ブログにも1日に9000件を越えるアクセスがあったが、同様にこの問題を扱っていたブログの「風のまにまに(by ironsand)」さんや「Hagex-day.info」さんも1月19日以降に相当数のアクセスがあったとの事である。


主催メディアや後援団体は一体何をどこまで把握していたのか?

 2006年の仙台展への「疑問をもつ会」による公開質問への回答を見ても、後援団体は全て主催の河北新報から説明されたとしか答えておらず、河北新報も結局「献体だと説明された」としか答えていない。

 2009年11月の名古屋展は主催が「人体の不思議展実行委員会」で後援がゼロであったため、「非理法権天」氏は会場の愛知県産業労働センターとテレビCMを流したCBCと東海テレビに質問を行なっているが、会場は主催者の「献体の同意があった」の説明を受けたと言い、テレビ局は「命の大切さを考える」の説明に賛同したという以外に何の知識もなく、開催への批判に対しては一回決まったものは動かせないから最後まで予定通りやるという、結局主催者の言う事を鵜呑みにしただけの実質上名義貸し状態であった。[>>23]

 更にその後の2010年1月の熊本展では、熊本県民主医療機関連合会が熊本展主催のKAB熊本朝日放送に展示の開催中止申し入れをしたところ、応対したのがKBSの社員でなく「20代の実行委員会事務局員を名乗る男性」だったという。

人体の不思議展中止申し入れ報告
2009年12月8日
大椨
2 . 熊本朝日放送
  期日: 2009年12月8日(火) 14:00~ 14:10
場所: 熊本朝日放送一階ロビー
対応: 20代の実行委員会事務局員を名乗る男性
申し入れ者: 大椨、高尾、田中直光
内容: KABの対応が不適切ではないかと指摘して、申し入れ書に基づき中止申し入れ。
「責任者はいない。(自分は)KAB社員ではなく、外部の企画会社の人間。」「人体展の受け入れ経過は分からない。」「人体展は直接観たことはない。」「申し入れ内容は伝える。」「今年の7月頃から準備している。実行委員会事務局は10人ほどいる。」「実行委員長等は教えられない。」「(自分の)名前もいえない。」名刺ももらえなかった。
以上、前日からアポを取っているにもかかわらず、非常識な対応であったので、申し入れ文書は後日、KAB社長宛に郵送することにした。
以上


県教委への申し入れ( 2009/12/08)

熊本県民主医療機関連合. 『人体の不思議展中止申し入れ報告』, 2009年12月8日. Cited in 人体の不思議展に疑問をもつ会 (PDF)

 相変わらず言えない言えない尽くしだが、事務局を名乗る人物がどうして受け入れ経過が分らず展示も見た事がないのだろうか。

 2009年夏のエム・ディー・ソフトハウスの求人情報では社員は6名[>>24]だったが、10人ならそこに4人加わった事になる。

 ここでも「実行委員長等は教えられない」との事だが、今回の京都でも訴状で実行委の代表とされた男性は毎日新聞や共同通信の取材に対し、広報を担当しているだけで(主催団体とは)無関係で、(実行委の)連絡先は教えられないとしており[>>25-26]、この団体もしくは企業の秘密体質は相変わらずである。
 また熊本展では批判運動グループと主催企業を接触させないという方針になったようだが、それにしてもKAB熊本朝日放送はただの名義貸し状態だったのだろうか?



人体の出所は?


ロス記者に死刑囚取引写真を見せられ動揺しながらも大連鴻峰側の主張を繰り返すプレミア社のアーニー・ゲラー元代表。(ABCニュース)
 米国のプレミア・エキシビション社は人体展『BODIES展』で展示している死体は中国の「公安局が医大に与えた引き取り人のない死体を使用」と表明していたが[>>19]、2008年2月15日のABCニュースの『20/20』の取材において当時のアーニー・ゲラー代表は大連鴻峰側の主張をただ繰り返すのみで何ら証明手段を持っていない様子が映されていた。[>>27]

 そして同年5月に発表されたニューヨーク州のアンドリュー・クオモ検事総長の調査レポートでは、プレミア社が展示している人体が死刑囚ではないと断言して来たにもかかわらず、それらの出所を証明出来ない事が指摘され、ペナルティとして展示会場とウェブサイトに、
「中国公安局から受け取った死体を展示しており、公安局が刑務所から死体を受け取った可能性があるが、プレミア社は中国側の取引業者に依存するのみで、人体標本が中国の囚人であるかどうかを一つ一つ確認出来ない」事を表示する事、およびその事が最初から分っていれば展示を見なかったと申し出た客へのチケット料金払い戻しが義務づけられている。[>>28]

 一方、「人体の不思議展」は2002年の開始時には南京蘇芸生物保存実験工場からプラストミック人体標本167点を購入しているが、2008年10月に監修委員の後藤昇氏は人骨の会代表の平野利子氏に対し「南京と大連から購入」と説明[>>29]、2009年11月に非理法権天氏の質問に対して山西美緒氏は「南京蘇芸工場から借りている」と説明したり[>>30]、最近に至っては大連の研究施設から賃借していると説明するなど[>>31]説明が二転三転している。

 しかし大連にあるプラスティネーション工場は、ハーゲンス生物プラスティネーション大連有限公司と大連鴻峰生物科技有限公司の2つのため[>>32]、そうすると同じ大連鴻峰の工場がプレミア社に対しては「プラスティネーションの身元不明死体」を供給し「人体の不思議展」には「プラストミックの献体」を供給しているという、非常に不思議な事になる。

 大連鴻峰の隋鴻錦代表は2004年の中国メディアのインタビューで「献体は用いていない」と答えている。[>>33]

 また南京蘇芸工場は2004年に企業再編 (民営化) して以降は大連鴻峰の提携企業となり「南京博奇科教器材有限公司」という社名でプレミア社の『人体の暴露展』(Bodies Revealed) に「プラスティネーション」を供給している。[>>34-36]
 なぜ世界には「プラスティネーション」を輸出している工場が日本向けのみ「プラストミック」なのかも不思議な話だ。



「人体の不思議展」は本当に死体の出所を把握しているのだろうか?

 ミクシィで19日の毎日新聞の記事に対して書かれた、「人体の不思議展」の元スタッフを名乗る人物の日記を偶然見付けた。ここでX氏としておこう。

 X氏は現在は「人体の不思議展」に対して何の思い入れもないとしながらも、立場としては擁護である。

 問題は死体の出所に関しての見解だが、ここで一部引用させて頂く。

法律的にどうか難しいですが
2011年01月19日22:20
(抜粋)
実際に、〇・〇年前にスタッフで長期間いましたが
熱心にみていく方や何度もこられる方がいるわけですよ
そういう、心がある人もいるわけで
一概に「見世物だ」としてしまうのは、それはそれでおかしいし。
そう言った機会をつくることそれ自体は、倫理・道義に反するとは言えなく
「見世物にしてるだけ」というのは、それはそれでどうかなと思うわけです。

次に、死体が死刑囚かどうかについてですが
正直、私はグレーだと思ってます

動画サイトなどにはアメリカの報道番組などがあがってもいましたが
所詮は報道であり、元からあった疑念を動画におこしただけで
そこでも結局「確証」としては報道されてないわけです。
その上で、もし仮に死刑囚であったとして
そのときに問題にされるべきことであって、企画上の問題がないのであれば
疑念で批判するのは、一方的過ぎないかと
「そうらしい、だからいけないんだ」では批判としてあまりにも
身勝手ではないかと感じるわけです。

法律上の問題は難しいです
実際問題として、黒だと断言できる内容でないから捕まらずに、問題にならずにきたわけですし(以下略)

 X氏は長期間スタッフだったようだが、当のスタッフが実際死体の出所の情報を知らないような事を書いている。

 献体同意書はどこにあるのだ? 内部者にすらも秘密事項なのだろうか?

 しかし実際、2003年の南京死体事件の際に、南京蘇芸工場も瞭望東方週刊の取材に対して「人体が献体かどうか分らない」と発言しており[>>37]、南京蘇芸工場が本当に知らないのであれば、蘇芸と販売契約をした[>>14]日本アナトミー研究所側が死体の出所を知り得たかと言えば恐らくノーだろう。

 「人体の不思議展」はこれまで「中国国内で正規の手続きを経た献体」と一貫して表明しているが、何らかの手段でその証明を行なった事は未だかつてなく、それどころか南京医科大学と南京大学を間違えるなど情報が二転三転したり[>>38]、取材は一切拒否で責任者の氏名も出さない状態である。
 しかしスタッフが知らないのであれば答えようがない話であるが、知らない事すらも隠さなければならないほど後ろ暗い展示会だと認識しているのだろうか?

 実際プレミア社のケースと同様に中国側から何の情報も提供されていないのだろうか?

 同様のケースとしては、プレミア社の人体展『Our Body』がフランスで禁止判決を受けた際に、フランスでの興行主のアンコールイベンツは「中国側から説明を受けた」と言うだけで何ら証明資料を提出する事も出来ず、人体の供給元とアンコールイベンツが説明する香港の「解剖科学技術基金会」が実在する組織かすらも不明という状態だった。[>>39]



疑わしきは罰せずという問題ではない

 X氏の考えは、熱心に見る人にとっては役立っているのだから疑わしきは罰せずというようだが、これは重要な問題なので折角なので反論をしておく。

 X氏はまた「人体の不思議展」を批判していた別な方の日記に以下のコメントを書いている。

2011年01月22日 00:59
(抜粋)
別に展示会に関しては、どうぞ批判でもなんでもしてくだい。
なんとも思いませんよ扱ってるものが扱ってるものですし。
いろんな意見があって結構。今現在もやってることが知らなかったくらいで、そこまで思い入れがあるわけでもないですし。
私は、疑惑で人に文句を言える倫理観は持ち合わせてないだけですから。(中略)

あと、当時は報道もされ多くの学校がきて
ビックサイトの駐車場を満員にしたあげく、日に何千人と来場客がきてイベントであり。当時働いていた警備員にお話をしても、近年あまりない大盛況なイベントだったそうです。

当時の倫理観に基づけば多くの人が気にしてないものであり(以下略)

 疑惑レベルで批判は出来ないというお考えのようだが、一方で、疑惑があるもの、又は真偽を把握していないものを「献体」と断定して表示している事も、グレーである限りは表示して問題ないという理屈はおかしい。

 実際に当時なぜ盛況だったかという理由は、それが「献体」だと思っていたから医学のために貢献する奇特な人もいるものだと認識されていた訳だが、そういった多くの人達が今「騙された!」とあちこちで声を上げている。

 当時の価値観で多くの人が気にしなかった理由は、未だかつて証明のされた事のない「献体」という美辞麗句に騙されていたという事だ。

 またABCニュースが『20/20』で確証を報じていないのは情報提供者の身の安全の問題と、カリフォルニア州の法案を後押しするために作られた番組のため中国国内の問題は疑惑レベルで十分だという話であり、更にクオモ検事総長のプレミア社への捜査の最中だったために番組の時点では出していなかった情報も随分とある。



搾取の展示会


エレン・キャッツ氏 (PITTSBURGH PIST-GAZETTE)
 2008年にカリフォルニア州で人体展規制法案を提出したフィオナ・マ議員と、ペンシルバニア州で法案を提出したマイク・フレック議員はともに人体展示を「生死を問わず誰かの肉体をその意思に反して使用する事は搾取行為」と表現している。[>>40]

 これはつまり、生きた人間の肉体をその意思に反して使用する事は奴隷であり搾取であるが、死後もその肉体を使って金儲けをする事は故人に対する搾取行為であり冒涜という意味である。

 また、カリフォルニア大学デイビス法学校の生命倫理学者のリサ・イケモト氏は「人体が中国の特定の都市から来ている事により、ここの人々が現実味を感じずにエンターテインメントや商品として扱い易くなる事に懸念を持っている」と、外国から来た死体が人々の現実感をなおさら麻痺させる事を危惧している。[>>41]

 そしてこの「搾取の展示会」に関して、2007年に『BODIES展』のピッツバーグ展開催に抗議して会場のカーネギー科学センターを辞職した元科学コーディネーターのエレン・キャッツ氏も指摘している。



搾取の展示会
エレン・キャッツ
ピッツバーグ・ポスト・ガゼット 2007年6月24日

(抜粋)なぜ本物の死体を使用するのか?

 プレミア社は『BODIES』が「健康なライフスタイルの選択」の重要性を多くの人々に教えると主張している。本物の人体の複雑な細部を見る事によって観衆は自分自身の体により良い認識を持ち、より運動をし、より健康な食事を取り、喫煙をやめる事になる。

 この目的を達成するには他に幾らでも方法はある。それなら本物の死体を展示する目的は何かと言えば、それは集客力なのである。

 この展示会が多くの人々に教える事は何なのか?

 それは、人が死ねば、その人物の肉体を同意もなしにプラスティネーション処理をし、皮膚を剥がし、破壊をし、スポーツ用具を持たせてポーズを取らせ、人々に晒す事に何の問題もないと教える事である (それが身元が伏せられ外国人であればなおさら良い)。

 それは科学、教育、芸術の名の下に、利益を得るために死者から搾取する事に何の問題もなく、その「標本」の主が世界に体の内部を晒すのではなく遺体が尊厳を持って扱われる事を望んでいようが、そんな事は問題ではないと教える事である。

 それは他人を非人間扱いするのが非常に簡単である事を教える事である。
 多くの観客は見始めて数分で展示内容に夢中になり、彼等が本物の人間を見ている事を忘れてしまうと言う。
 しかし私達が死者を非人間扱いするなら、生きた者を非人間扱いする事にも簡単に繋がってしまうのだ。

 原因が何であろうが、全ての死は人生を送って来た人間のものであり、それは尊敬を持って扱われるものである。
 もし私達自身が尊重をされたいのなら、全ての人々のヒューマニティ、そして死後の肉体への思い出への尊敬を実践しなければならない。

[訳=岩谷] (原文:英語)
Catz, Elaine. "Sunday Forum: Exhibition of exploitation". post-gazette.com, June 24, 2007. [魚拓] [全訳]


2006年の神戸展の写真。 (プロレス的人生論)
 米国の各州で提出された人体展規制法案はその殆ど全てが、故人の意思が公的機関により確認されない人体の展示を禁じるというものだった。
 そしてフランスの人体展禁止判決の理由も、死体の出所の根拠が示されなかったからである。

 人体標本の展示行為には賛否両論あるが、もしそれが「人体の不思議展」が前面に掲げているように、人々が人体の構造を理解し健康を考える機会に役立てる事[>>42]、そして医大生や看護学生などの人体に関わる学生に教育の機会を提供するという主旨の展示会なのであれば、人体標本の出所と献体の意思を第三機関によって証明される事が道義的には最低条件である。

 そして法律で人体の展示に関して明確に規定される必要がある。

 来年の展示打ち切りで全てを闇に葬り去るのではなく、これまで9年間の展示で根拠を示す事を一切なく献体と表示して集客を得て来た事への社会的責任は、本来ならば法解釈の問題だけでなく損害賠償の問題ではなく、道義的・倫理的問題として問われるべきなのである。

 また証明されない限りは出所不明死体であるこの展示の主催や後援を積極的に行って集客に貢献し、問題の指摘を握り潰して来た各メディア、自治体、教育委員会や医師・看護協会もその道義的・倫理的責任は重い。(了)





雑感:

パンドラの箱
日本では臓器移植法案が議論され成立した時期


「私達は死者に対して常に尊厳と尊重への一定の原理をもって取り扱って来た。そして余りにも突然に私達は死者を展示場に持ち込んでいる。それはかつて生きていた人生の尊敬を踏みにじるもの。それは越えてはならない一線を越えている」
ーーラビ・ルイス・フェルドスタイン (ABCニュース)
 蛇足だが、1995年に東京で行われた世界初のプラスティネーション人体展であり、その後のハーゲンスの『ボディワールド』と日本の『人体の不思議展』の両方の開始点となった日本解剖学会主催の「人体の世界」が開催された当時は丁度臓器移植法案が議論されていた時期である。

 そしてこれ以降日本で開催される「人体の不思議展」には日本赤十字社、日本医学会、日本医師会、日本歯科医学会、日本歯科医師会、日本看護協会など、この人命と人権を軽視する展示会にこれでもかという程に日本の医学界の権威が後援に付いていた訳だが、新たに成立した臓器移植法に際し献体を奨励しプロモートする風潮が日本の医学会に強く働いていたのかどうかは知らない。

 社会的批判を受けこれらの医学界の権威が後援を取り下げたのが2007年だが、事実としてそれが「人体の不思議展」側に権威付けとして利用されていた。[>>46]

 ABCニュースの取材で、アトランタ統一ユダヤ連盟副会長のラビ・ルイス・フェルドスタイン師は、人体のエンターテインメント展示に関して「越えてはならない一線を越えている」とコメントしているが[>>47]死生観の規範と倫理のガイドラインが社会的議論を経ないまま一人の死体アーチストや一展示企業によって強引に決められ、社会がそれに追従する事に警告を発している。

 それが時代的風潮だったとしても、当初は学術的展示会として企画されたとしても、最初にそのパンドラの箱を開けてしまったのは日本の医学界であり、それが結果としてこれら死の商人達に餌を与えて世界規模の化け物産業にしてしまったのである。

 人命を救うために別な人命を断つ事のガイドラインという倫理問題そのものが議論されていた時に、移植臓器の95%が死刑囚から取られる人権のない移植大国中国から来た死体、それも臓器を取った余り物を加工したと見られる人体標本を献体と称して展示する展示会が医学界や報道メディアからもてはやされたという、何とも皮肉と言うべきか。

次回エントリー『プラスティネーション人体巡回展のビジネスモデルは日本製』に続く。




関連エントリー:

『人体の不思議展』の謎の主催者 (2010.2.4)
南京死体事件と『人体の不思議展』(1) (2009.10.27)
南京死体事件と『人体の不思議展』(2) (2009.11.6)






関連サイト:

Hagex-day.infoさんによる「人体の不思議展」関連エントリー
  1. 読売新聞社が怪しい死体展覧会を主催 (2006.6.1)
  2. 海賊版人体の不思議展(続報) (2006.6.8)

『風のまにまに (by ironsand)』さんの『人体の不思議展』関連エントリー
  1. 違法状態の人体の不思議展サイト (2006.10.7~2009.1.23)
  2. 人体の不思議展が沖縄県立博物館・美術館の会場を借りて行われる (2009.1.23~2010.5.23)
  3. 沖縄での「人体の不思議展」興業について (2009.2.5~2.11)
  4. 人体の不思議展沖縄展で那覇市・市教委が後援取消 (2009.2.12~4.23)
  5. 人体の不思議展が7月から静岡と松江で興行予定とか 追記:名古屋と熊本でも興行 (2009.6.27~2010.5.23)
  6. 米ハワイ州で人体展禁止が法制化 (2009.07.30~10.28)
  7. 下関及び金沢での人体の不思議展興行について (2010.03.26~11.19)

非理法権天さんによる『人体の不思議展』名古屋展に関する電突および訪問質問
  1. 抗議!人体の不思議展事務局との応答(11月14日から名古屋開催予定) (2009.11.1)
  2. 『人体の不思議展』名古屋展会場の愛知県産業労働センター館長の鷲見和彦氏への質疑応答 (2009.11.10)
  3. 『人体の不思議展』のCMを放送しているCBC中部日本放送総務課の村松氏への質疑応答 (2009.11.10)
  4. 『人体の不思議展』会場にて事務局の江森氏と山西氏への質疑応答 (2009.11.16)
  5. 『人体の不思議展』のCMに関してCBC放送総務課の村松氏からの返答 (2009.11.18)
  6. 『人体の不思議展』のCMに関して東海テレビ総務課の春田氏からの返答 (2009.11.19)




参考サイト:

リポート「人体の不思議展」 (JDNリポート 2003.10.29)
人体の不思議展 横浜 (rappajazz 2006.5.3)
人体の不思議展 週刊現代 (rappajazz 2006.5.3)
養老センセイ 人体の不思議展に決別 だが、話題のDVDには賛同 (ひろしこむ 出張Blog 2006-05-29 15:34)
「人体標本展」の疑惑 (アムネスティ・横浜グループ(16G) 2007.2.15)




関連サイト

八月の一ヶ月間、中国では18人の法輪功学習者は迫害によって死亡した (日本明慧 2002.9.11)
法輪功学習者を監禁する強制収容所が暴かれた:臓器の「収穫」のために受刑者が殺される (法輪大法情報センター 2006.3.12)
中国の臓器売買と人体標本の疑惑を語る一体の人体標本 (大紀元 2006.3.21)
法輪功信者への弾圧 (nozawa22 2006.8.17)
「中国の臓器狩り」という衝撃的な内容の新聞を配る人々 (おたねっと 2006.9.11)
中国における生体臓器狩りを告発するシンポジウムに参加 (仮称 パルデンの会(FREE TIBET PALDEN ) 2009.7.8)
人体の不思議展の死体はどこから来るの? (Hagex-day.info 2009.9.21)



資料1:

人体の不思議展の報道

1月19日
記事名メディア日時
人体展の標本は「遺体」 人体展の標本は遺体か展示物か- msn産経ニュース 2:00
人体展の標本は「遺体」 厚労省見解、京都府警捜査へ msn産経ニュース 2:00
「人体の不思議展」 展示物は遺体の可能性‎ [うんかー] TBS News-i 11:43
人体の不思議展、標本は「死体」 府警の照会に厚労省回答 [47News] [スポニチ] 共同通信 13:29
「人体の不思議展」を提訴へ 京都の生命科学専門・名誉教授「近所に死体多数…精神的苦痛」 msn産経ニュース 14:48
「人体の不思議展」がピンチ! 死体解剖保存法に抵触って… zakzak
人体の不思議展、厚労省「遺体」との認識 [YouTube] [魚拓] TBS News-i 18:03
人体の不思議展:「標本は死体」京都府警が捜査 [20日朝刊版] 毎日.jp 20:20
 
1月20日
京都で開催中「人体の不思議展」展示巡り大学教授が提訴 [魚拓] おおさか報知 11:31
献体使った標本展示「問題なし」4割で「許されない」上回る=中国 サーチナ 14:09
「人体の不思議展」で苦痛と提訴 京都の名誉教授 [東京新聞] 共同通信 18:23
人体の不思議展実行委を提訴 精神的苦痛で京都の教授 msn産経ニュース 18:51
 
1月21日
「人体の不思議展で苦痛」提訴‎ [魚拓] MBSニュース 7:29
人体の不思議展:「死体」展示で苦痛 京都地裁に提訴 [別URL] 毎日.jp 8:32
「人体の不思議展」死体か標本か―保険医協会「保存法違反」で待った J-CAST 12:58
 
1月24日
投票でも微妙な結果。「人体の不思議展」についてあなたの回答は? Net Research News
 
1月28日
産経新聞:談話「創作された」 識者抗議受け謝罪 毎日.jp 東京朝刊
法廷に持ち込まれた「人体の不思議展」 Web Ronza/asahi.com
 
2月1日
「人体の不思議展」実態解明へ 死体解剖法違反の告発状受理 京都府警 msn産経ニュース 14:02
650万人集客「人体の不思議展」窮地に 「死体ビジネス」批判も 府警が捜査 msn産経ニュース 14:24
人体の不思議展「規制へ法整備必要」 福島県立医大講師が指摘 msn産経ニュース 16:23
「人体の不思議展」への告発状、京都府警受理 Yomiuri Online 19:15
人体の不思議展「許可なく遺体保存」弁護士らが刑事告発 asahi.com 19:50
 
2月2日
「人体の不思議展」への告発状、京都府警が正式受理 死体解剖保存法違反で msn産経ニュース 8:33



資料2:

「人体の不思議展」各批判・中止要求声明
(人体の不思議展に疑問をもつ会による質問書や要望書は並列出来ないため省略)


神戸展 (2006年12月1日~2007年1月14日)

2006年12月20日、近畿高等看護専門学校の学校長より学生への説明
「人体の不思議展」の倫理的問題について

本校学生のみなさん

昨年(2005年)開催された「人体の不思議展」は、看護学生が身体について学習できるよい機会と位置づけて授業の一環として見学しました。
その後、皆さんにアンケートをとって感想を聞くことも行ないました。その中には、「倫理的にどうか」という感想を持った学生も見受けられました。

「人体の不思議展」は、その後も全国各地(現在、神戸と埼玉)で続けられていますが、そうした企画について倫理的な問題点を指摘する声が聞かれるようになってきています。そうした意見を集め考えてみますと、確かに大きな問題を含んでいるようです。

ホンモノの人体を、研究者や専門家(を志すもの)だけでなく一般公開することは「人間の尊厳」を冒しているのではないかとの疑問があります。外国で加工作成され貸与されているもののようですが、はっきりしないことが多々あります。ビジネス目的に貸し出されて法的に問題ないのかという疑義もあります。
また、献体された本人の承諾を得ているのかという大きな問題があります。主催団体は、献体された方からの同意を得ていると言いつつ、プライバシー保護を理由に提出を拒んでいますので、プラストミック標本に同意するという文面での個々人の承諾書は存在しない可能性があります。

本校としては、こうした批判的な意見に共感するところが大きいので、今後同様の展示について、学校としては推奨しないことを確認しました。また、過去数年間、批判的見地を持たずに学生のみなさんに見学を推奨したことについて、謝罪し反省するものです。


2006.12.20

近畿高等看護専門学校
学校長 若田 泰

近畿高等看護専門学校. 『 「人体の不思議展」の倫理的問題について』, 2006年12月30日. Cited in 人体の不思議展に疑問をもつ会


埼玉展 (2006年11月23日~2007年2月4日)

2006年10月4日、「人体の不思議展」に疑問をもつ埼玉の会よりさいたま市宛の後援取り下げ要望。
さいたま市長 相川宗一 様
2006年10月4日

「人体の不思議展」に疑問をもつ埼玉の会

代表 中里 武(医師・さいたま市在住)
長内経男(市民じゃーなる・さいたま市在住)
平尾 晋(元教師・さいたま市在住    )
奈須重雄(市民団体事務局長・越谷市在住 )

「人体の不思議展」に関する要望書

《主 旨》

 さいたま市に於かれては、「人体の不思議展」の後援を取り下げられるよう強く要望いたします。ご検討のうえ、ご回答願います。

《理 由》

 数年前から全国で巡回展示を行っている「人体の不思議展」は、展示されている人体標本や展示方法に各処から疑問の声が上がり、日本医学会は後援を取り下げた経緯があります。

 指摘されている第一の問題点は、生前からの意思に基づく献体によって提供されたとされる人体が、「人体プラストミック標本」とされ、公衆の面前に晒される展示標本となることを生前に承諾していたかどうか疑わしいということです。

 現在の日本では、「医学及び歯学の教育のための献体に関する法律」(以下「献体法」と略す)において、献体の意思を尊重し、死亡した者が献体の意思を書面で示しているならば、「遺族がその解剖を拒まない場合」と「死亡した者に遺族がない場合」との2点に限定して、正常解剖は「遺族の承諾を受けることを要しない」ことが認められています(献体法第4条)。しかし、これは医科・歯科大学(大学の学部を含む)の教育に関する法律であって、一般市民に有料公開される場合を想定したものではありません。まして、展示標本の中には、胎児の標本が数点あり、胎児の意思確認をしたとは思えません。

 更に主催団体の一つである日本アナトミー研究所の安宅克洋氏によれば、「標本は中国の南京蘇芸生物保存実験工場から借り受けたもの」(『週刊現代』48-22,通巻2381,2006年6月17日)とされています。中国で加工された人体標本については、公正な手続きを経ないで人体が提供されているとの指摘もあり、展示で使用するのは倫理的に問題があると思われます。

 第二に展示方法についても、弓を持ったポーズをとった死体、プレート状に水平にスライスされた死体、更には見学者が直接に触れられるものまであり、人間としての尊厳が守られているとは到底思えないことです。

 死体解剖保存法第20条は「死体の解剖を行い、又はその全部若しくは一部を保存する者は、死体の取扱いに当つては、特に礼意を失わないように注意しなければならない」とされ、医学研究や教育の目的で遺体を使用する場合は、最大限の丁重な扱いをすることが定められています。「人体の不思議展」の展示はこの法律の精神から遠くはなれ、礼意を欠いていると考えられます。

 「人体の不思議展」における展示の趣旨は、「人体標本を通じて『人間とは』『命とは』『からだとは』『健康とは』を来場者に理解、実感していただく」と述べられ、人体に関する知識の啓蒙を強調しています。

 しかし、人体の水分・脂肪分をそぎ落として特殊加工された標本は、ロボット風の無機的物体になっており、実際には人体に関する誤った印象を発信しています。このようなデフォルメされた人体の展示は、アニメやゲームの世界との距離のとり方が未成熟な幼児や小中学生対する悪影響が特に懸念されます。

 以上の通り、「人体の不思議展」は人間の尊厳を脅かすものであり、生命倫理上ゆるがせにできない大きな問題であると考えています。したがって、さいたま市に於かれては「人体の不思議展」の後援を取り下げられるよう強く要望する次第です。

以上
「人体の不思議展」に疑問をもつ埼玉の会

「人体の不思議展」に疑問をもつ埼玉の会 . 『「人体の不思議展」に疑問をもつ埼玉の会がさいたま市に出した要望書とさいたま市の回答』 軍医学校跡地で発見された 人骨問題を究明する会, 2006年10月4日.


札幌展 (2007年4月28日~7月1日)

2007年3月26日、「過去と現在を考えるネットワーク北海道」より札幌市教育委員会への後援取り消し要望。
2007年3月26日
札幌市教育委員会 様 

札幌市教育委員会が「人体の不思議展」の後援を取り消すよう申入れます。

過去と現在を考えるネットワーク北海道
代表 小林 久公

 人体の不思議展の会場には模型ではなく本物の人体を樹脂加工した標本が展示されています。その中には人体をプレート状に水平にスライスしたものや、人体標本に触るコーナーまでありました(仙台展会場)。このような展覧会が札幌で再び開催されます。人権を無視したこのような展示は止めるべきです。札幌市教育委員会がこの展覧会の後援を取り消すことをもとめます。

(1)「人体の不思議展」の問題点

、本当にインフォームド・コンセントを経た献体でしょうか?主催者は、献体は生前の意思にもとづくものとうたっていますが、果たして上記の扱いを受けることまで納得していたのでしょうか?
、標本は、すべて国内法の適用を受けない中国人のものです。仮に日本の国民が医学教育用に献体の意思を示しても、このような標本化と展示をなされることは、現行の「死体解剖保存法」と「医学及び歯学の教育のための献体に関する法律」との制約によって実質的に不可能です。標本がすべて中国人であることの法的あいまいさと人種差別の問題を深く考えるべきです。
,すべての人は、死後遺体となっても人間としての尊厳が守られなければなりません。遺体には最大限の丁重な扱いをするのは当然です。しかし、この展示が興味本位の見世物になっていることは、倫理的に大きな問題です。
,「人体の不思議展」は、一般市民から高額の入場料を徴収しており、いわば、死体が金儲けの道具になっているのです。このような人体の利用に社会は歯止めをかける必要があります。キーホルダーなどのグッズを会場で販売するなど営利目的は歴然としています。
、株式会社日本アナトミー研究所が、中国の死体加工場より死体を輸入していますが、生命倫理はおろかビジネス倫理にももとる営業にほかなりません。
,主催者に名を連ねる新聞社・テレビなどは、この展示の広告を新聞紙上や電波で流して集客にこれつとめています。マスコミの責任は重大です。人権無視の展示に荷担するのではなく、この問題の告発こそジャーナリズムの役割ではないでしょうか。
、日本医学会・日本医師会を初めとする医学界の責任は大きいと思われます。倫理上問題の大きい展示に医学者・医師がお墨付きを与えることは、いわば自分の首を自分で絞める結果にります。医療への信頼を得られるのは、真の患者本意の医療であるはずです。インフォームド・コンセントがあったかどうか疑わしい標本の展示を後援することは、医学研究に不可欠な被験者や献体を申し出ようと思っている人の信頼を得ることには明らかにマイナスです。
、後援する自治体も公共の観点から責任があります。後援名義許可は、宗教性・政治性がないなどの機械的な基準の適用ではなく、倫理的にも深く考慮するべきです。
、教育界の安易な奨励にも大きな問題があります。教育委員会が後援しているため、小中高の学校の生徒学生には、教育的な展示と思いこまれてしまいます。しかし、実は倫理的にも学術的にも、高度なレベルの標本ではありません。むしろ、これから、人体の有機性・複雑性を学ぼうとする若い人々には有害でしかありません。
 また、解剖実習のない看護学校や看護学部その他のコメディカルの学生に見学を薦める学校・教官が少なくないようですが、むしろ精巧な模型を示したり、最寄りの医科大学や医学部にある標本展示館への見学を薦めるほうが学生にとって有益でしょう。
0、しかし、見識のある対処をする機関が増えてきました。
 一方で、日本赤十字社や日本看護協会が後援を取りやめました。
 また、倫理的に問題があるとの理由からさいたま市教育委員会は後援をしておりません。
 近畿高等看護専門学校では、今まで授業の一環として展示の見学を薦めていましたが、学校内で検討された結果、展示は倫理的に問題があるとして見学を奨励しないことにされたそうです。学生への説明文には、これまで見学を薦めてきたことに対して謝罪すると書かれています。

(2) 札幌開催について

会場 札幌メディアパーク・スピカ 札幌市中央区北1条西8丁目(STV西隣)
期間 2007年4月28日 ~ 7月1日
開場時間: 4/28~6/22 10:00~17:00(最終入場16:30)
      6/23~7/1 10:00~19:00(最終入場18:30)
  入場料(当日券)  一般 1,500円  中・高校生700円   小学生 400円
主催: 新・人体の不思議展実行委員会(STV札幌テレビ放送/イノバンス)
後援: 北海道/北海道教育委員会/札幌市/札幌市教育委員会/北海道医師会/札幌市医師会/北海道歯科医師会/札幌歯科医師会/北海道看護協/北海道理学療法士会/北海道作業療法士会/北海道鍼灸師会/北海道柔道整復師会/
協力: STVラジオ
総合運営・企画: マクローズ
問合せ先: (TEL)011-280-7836  開催期間中のお問い合わせ先 (TEL)011-280-7817


(3) 参考情報
   詳しくは「人体の不思議展」に疑問をもつ会のホームページをご覧下さい。
http://sky.geocities.jp/jbpsg355/
また、人体の不思議展主催者のホームページは
http://www.jintai.co.jp/main.html

                                    
以上
連絡先 過去と現在を考えるネツトワーク北海道
代表 小林 久公

過去と現在を考えるネツトワーク北海道. 『人体の不思議展 札幌での開催への抗議』 支援センター&あてんどの掲示板, 2007年3月27日.



富山展 (2007年7月27日~9月2日)

2007年8月2日、富山大学医学部解剖学講座の大谷教授より学生に対し、「人体の不思議展」での (会場説明員の) アルバイトを行なわないよう指導。
富山大学医学部解剖学講座
緊急アピール!
「人体の不思議展」は違法行為

●現在巷で開かれている「人体の不思議展」は、富山大学医学部解剖学講座とは一切関係がありません。

●営利目的で、遺体を傷つけて、見世物にすることは、わが国の法律(刑法第190条、死体解剖保存法など)に違反していると考えられます。

●学生諸君は、「人体の構造を説明するアルバイト」などという甘言に騙されて、このような違法性のあると考えられる行為には絶対に加担しないようにしてください。

平成19年8月2日 解剖学講座教授 大谷 修

参 考 文 献

1.井上悠輔:「展示・陳列される人体」の返還をめぐる議論の意味するもの ―人体組織の管理に関するイギリスの議論から― 医療・生命と倫理・社会(オンライン版) Vol. 3 No.2 http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/eth/OJ3-2/inoue.doc

2.粟屋 剛:死体解剖保存と遺族ないし本人の承諾 ―医事法・生命倫理の視点から― 岡山医学会雑誌 第113巻など 粟屋研究室の著作物

3..標本返還請求事件、東京地裁平一〇(ワ)二一六三五、平12・11・24民三九部判決
1)大学病院を持つ学校法人が死者の遺体を遺族の承諾を得て解剖し、臓器をプレパラート等にして保存する関係は、遺族と学校法人との間の寄付(贈与)又は使用貸借契約であり、信頼関係を失わせる事情がある場合には、遺族は将来に向かって取り消すことができるとされた事例。
2)右の場合において、遺族が学校法人との間の臓器の保存に関する契約を取り消し、所有権に基づきプレパラート等の返還請求が認められた事例。(判例時報 平成13年4月11日号より)

4.刑法第190条(死体損壊等)死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。

5.死体解剖保存法

富山大学医学部解剖学講座. 『緊急アピール! 「人体の不思議展」は違法行為』, 2007年8月2日.



愛媛展 (2008年4月5日~5月18日)

2008年3月31日、愛媛県民主医療機関連合会会長より職員に対して「人体の不思議展」に協力をしないように要請する声明。
愛媛民医連 各事業所職員 各位
関係者 各位

「人体の不思議展」に関して(声明)
2008年3月31日
愛媛県民主医療機関連合会
会長 山岡 伸三

 愛媛朝日テレビ主催で表記の「人体の不思議展」が開催されようとしています。 仙台で行われたこの展示会では、模型ではなく本物の人体を樹脂加工した標本が展示されています。その中には人体をプレート状に水平にスライスしたもの、わざわざ弓を持たせポーズをとらせているもの、さらには人体標本に触るコーナーまでありました。
 こうしたことは倫理上決して許されることではなく、「人体の不思議展」の開催中止を求めるとともに、十分な説明のないまま協力させられることのないように各方面の関係者の方々に呼びかけるものです。

 以下に「人体の不思議展」関しての問題点を整理します。

 第一に、「献体は生前の意志にもとづくもの」と紹介されていますが、上記のような扱いを受けることまで納得しているとは到底思えません。

 第二に、仮に同意が得られていたとしてもすべての人は死後も人間としての尊厳が守られなければなりません。興味本位、儲けの手段として死体を展示することは許されることではありません。

 第三に、法的な問題をさけるためか標本は全て中国人の遺体です。「中国の倫理観では許されている」というのは理由になりません。むしろ人種間差別としてより責任が重いと言わざるを得ません。

 以上のように大変問題の多い展示会です。ドイツでは各地で展示禁止が決定されており、わが国でも日本赤十字社、日本医学会、日本医師会、日本看護協会、日本歯科医師会などが後援を取りやめています。一方、県下ではその詳細が知らされないまま多くの団体が後援されていることは大変残念なことです。冒頭に述べたように協力させられたというのが実態であると思われます。
 この展示会は倫理的に大きな問題があるだけでなく、知らぬ間に広く県民、市民そして多くの子どもたちが人権侵害に協力させられるということです。
 愛媛民医連内各事業所職員のみなさん、そして各方面のみなさんも是非この内容をご理解の上、知らぬ間に人権侵害に協力させられていたということがないようによろしくお願い申し上げます。

愛媛県民主医療機関連合会. 『「人体の不思議展」に関して(声明)』, 2008年3月31日. Cited in 人体の不思議展に疑問をもつ会遠藤素子八幡浜便り. 『「人体の不思議展」について』, 2008年4月7日.



青森展 (2008年5月24日~7月21日)

2008年5月22日、青森県民主医療機関連合会より人体の不思議展実行委員会に展示中止要請。
2008年 5月22日
人体の不思議展実行委員会御中
青森県民主医療機関連合会
会長 竹本 照彦 
「人体の不思議展」の中止を求めます

 来る5月24日、青森県立美術館にて開催される「辞退の不思議展」【主催:人体の不思議展実行委員会 (東奥日報社/青森放送)】には、展示される標本が模型ではなく本物の人体を特殊な樹脂加工したものが展示されます。すでに開催された宮城県会場に参加された方から「とてもおぞましいもので、人間を標本にしてさらしものにするという耐えられないものです」という感想も聞かれています。私たちは、「人体の不思議展」について下記に示す問題点があり、「人体の不思議展」は倫理上決して許されない疑念を含んでいることから展示の中止を求めます。

  、「人体の不思議展」のホームページでは、「本展で展示されているすべての人体プラストミック標本は生前からの意思に基づく献体によって提供されたもの」とうたっているが、このような標本に姿を変え、不特定多数の一般市民に有料で公開されることまで本人や遺族は納得し、承諾したのか不明である。
、「人体の不思議展」のホームページでは、胎児の標本展示があるが、胎児の意思は、どのようにして確認されたのかはなはだ疑問である。胎児の身体利用は、いまだ社会的合意は得られていないにもかかわらず展示をする理由が明らかでない。
、「人体の不思議展」の人体標本は、中国人の遺体を特殊加工した中国製で、法的な問題を避けるために中国からの借入と聞いている。中国人なら良いという考えは人種差別を助長するもので倫理的上問題である。
、仮に、展示に同意が得られているとしても、人は死後も人間として尊厳が守られものであり、このように、もうけの手段として死体をさらすことは許されない。

 以上のように、問題の多い展示会でであるから日本医学会や日本看護協会、日本赤十字社などが後援を取りやめたり、ドイツでは各地で展示禁止が決定されるという状況になっています。倫理上多くの問題をもつ「人体の不思議展」を中止することを求めます。

以上

青森県民主医療機関連合会. 『「人体の不思議展」の中止を求めます』, 2008年5月22日. Cited in 人体の不思議展に疑問をもつ会 (PDF)


6月11日、青森県教職員組合と青森県高等学校・障害児学校教職員組合の連名で、青森県教育委員会に対して後援中止の要請。
2008年 6月11日
青森県教育委員会
委員長 川村 恒儀 殿
教育長 田村 充治 殿
青森県教職員組合
執行委員長 中村  修
青森県高等学校・障害児学校教職員組合
  執行委員長 谷崎 嘉治

死者を冒涜する「人体の不思議展」後援中止の要請

 日頃より、教育条件の整備や教職員の生活と労働条件改善のためにご尽力されていること に敬意を表します。
 さて現在、県立美術館で、「人体の不思議展」が開催されています。この展示に関しては、貴委員会も後援し、東青地区の高校・特別支援学校に招待券を配布したことが報道されています。私たちは、「人体の不思議展」の展示内容は以下の点で問題が多く、なんら教育的価値がないばかりでなく、 子どもたちにとって有害であると考えます。直ちに後援を中止し、配布した招待券を回収されることを要請します。

1.死者が冒涜されています。
  人間の肉体は人格の一部をなすものであり、死後であっても人格が残るため、その遺体に対しては人間の尊厳が守られなければなりません。しかし、展示されている遺体はプレート状に輪切りにされたもの、皮膚がはがされ様々なポーズをとらされたもの、性器などもあります。さらに、展示会場には献花などは見当たらず、遺体が単なる「物」として扱われています。

2.本人の承諾を得た遺体でない可能性があります。
  使用されている遺体はすべて中国人のものとされていますが、本人の了承が得られているか曖昧です(有志のグループの公開質問状に対する、主催者の回答は現在のところありません)。少なくとも、展示されている7体の胎児の遺体に関しては、本人の意思確認ができないことは明白です。

3.子どもたちにとって有害です。
  人間の肉体をその人格と切り離して認識させることは、子どもにとって害悪以外の何ものでもありません。目を覆うような猟奇的な殺人事件が頻繁に報道されている今日においては、このことは特に重要です。私たちは、入場者が2万人を突破し(6月10日付東奥日報)、この中の相当数が子どもであるということを危惧します。教育は人間の尊厳を高める営みです。子どもたちには当然、遺体の尊厳を傷つけてはいけないと教える必要があります。

4.法令に違反しています。
  死体解剖保存法第17条には「医学の教育または研究のために特に必要があるときは、遺族の承諾を得て、死体の全部または一部を標本として保存できる」とあります。営利目的の展示は「医学の教育または研究」にあたりません。さらに、同法20条の「死体の取扱いにあたっては、特に礼を失わないように注意しなければならない」に違反していることに関しては弁解の余地はありません。青森県立美術館条例第1条には、美術館の設置目的を「美術その他芸術の鑑賞及び学習の機会並びに創作活動の場の提供を行うことにより、県民の芸術に関する活動への参画を支援し、もって文化の振興を図るため」とあります。この展示物が美術品ではないことは明白です。

5. 死体が利益目的の見せ物になっています。
  展示は、一般市民から高額の入場料を徴収しています。そして、大量かつ執拗にテレビや新聞等での宣伝が行われました。しかし、医療現場での献体という行為は、医学の進歩のために無償で行われる行為です。このような利益目的のための展示に献体された遺体を用いることは、本人の意志に反するばかりでなく、献体という行為自体をおとしめるものです。
以上
青森県教職員組合/青森県高等学校・障害児学校教職員組合. 『死者を冒涜する「人体の不思議展」後援中止の要請』, 2008年6月11日. Cited in 人体の不思議展に疑問をもつ会 (PDF)


7月16日、全国保険医団体連合会会長より「人体の不思議展」中止要求声明。
「人体の不思議展」の開催中止を求める
2008年7月16日
全国保険医団体連合会
会長 住江憲勇

 「人体の不思議展」は、地方の新聞社などマスコミ関係の主催により、これまで全国各地で開かれ、今年は愛媛県松山市に続いて、青森市で開催中で、今後、岩手県盛岡市でも開催が予定されている。プラストミックと呼ばれる技術で防腐処置を施した実物の人体十数体を使い、全身の皮を剥がれた状態で立っていたり、各臓器毎にバラバラにされ展示されている。

 この展示については、これまでも、多くの団体から問題視する声が起こっており、各地で県や市、教育委員会、医師会、歯科医師会などが後援団体を降りるという状況も生まれている。現に、日本医師会、日本歯科医師会、日本看護協会等は後援を取り止めている。

 標本はすべて国内法の適用を受けない中国人のものである。仮に、日本の国民が医学教育用に献体の意思を示しても、こうした標本化と展示は「死体解剖保存法」と「医学及び歯学の教育のための献体に関する法律」により実質的に不可能である。しかも、献体が本当にインフォームド・コンセントを経たものかどうか不明確で、国際的にも人道上大きな問題を有している。

 死後遺体であっても、人間としての尊厳が守られ丁重な扱いを受けるのが当然であるが、一般市民から高額な入場料を徴収するなど金儲けの道具になっている。献体という故人の奇特な意志を踏みにじる冒涜であり、ましてやコマーシャルベースに乗せるということは非人間的、反人権的行為である。

 また、多くは自治体や教育委員会が後援しているため、小中高の生徒・学生には教育的な展示と思われているが、人体の有機性・複雑性を学ぼうとする若い人々にはむしろ有害でしかない。学問的欲求や、軍部、国家権力によって医学、医療にとっての倫理が如何に歪曲されるかは、歴史的な教訓である。

 このように、模型ではなく本物の人間の死体を標本として一般公開している「人体の不思議展」は、倫理上、教育上、看過できない大きな問題点を有しており、新聞社やテレビ局が主催者に名を連ねたり、自治体や医療関係団体が後援団体となることは取り止めるとともに、展示そのものを中止すべきである。

全国保険医団体連合会. 『「人体の不思議展」の開催中止を求める』 那覇市福祉お知らせ掲示板, 2008年7月16日.


7月18日、全日本民主医療機関連合会会長より「人体の不思議展」中止要求声明。
人間の尊厳が守られていない「人体の不思議展」の中止を求める声明

2008年7月18日
全日本民主医療機関連合会
会 長 鈴木 篤

 2002年以降、全国で「人体の不思議展」が開催されています。プラスティネーションという技術で遺体そのものを標本として展示しており、各地では毎回多くの人が訪れています。この展示会の端緒となったのは、1995年に日本解剖学会100周年企画として開催された「人体の世界」です。現在行われている「人体の不思議展」は、その性格が大きく変質しているものと考えざるを得ません。一つひとつの展示について十分な解説や、人体標本を展示する上での必要な配慮がなされておらず、教育的意義が大きいとは思えません。さらに、以下の問題があると考えます。

1.人間の尊厳が守られていない
 遺体への冒涜は人間の尊厳をないがしろにするものです。「人体の不思議展」では、遺体が不必要にポーズをとらされているなど興味本位の見世物として扱われているように思えます。また、入場料を徴収し、会場に臓器をモチーフとした土産物を販売する売店も設置されるなど、明らかに遺体が営利目的のために使われています。

2.自らの意思にもとづいた献体か、きわめて不明確である
 標本について「遺体は生前の意思により献体されたものである」と紹介されていますが、意思確認の内容がきわめて不明確です。日本では、「医学及び歯学の教育のための献体に関する法律」によって献体について定められていますが、これはあくまでも医科・歯科大学などの教育に関する法律で、一般市民に有料で公開されることを想定したものではありません。このような展示方法で多くの観客の目に曝されることまで同意を得ていたかどうかは、はっきりしていません。しかも母体と胎児の標本があり、どのような手続きを経て献体の意思確認がされているのか、大いに疑問が残ります。

3.標本に外国人の遺体を利用している
 死体解剖保存法に照らして考えると、このような展示に日本人の遺体を使用することは、国内では認められていません。日本の展示会で使われている標本は、外国人の遺体を利用し、中国の工場で製造されているとのことです。主催団体は、遺体の提供・処理などの過程を明らかにすべきです。

 以上のように、「人体の不思議展」が含んでいる問題は、人道上・医療倫理上、看過できるものではありません。「人体の不思議展に疑問を持つ会」などが問題点を指摘し、国内外の批判が高まる中で少なくない団体等の抗議の声をうけ、日本医師会・日本看護協会・日本歯科医師会などをはじめ、各地の教育委員会など後援をとりやめる団体が出ています。しかし、後援を続けている団体も数多く存在します。
 日本解剖学会、日本医師会など、かつて協賛してきた団体は、医の倫理に照らして、今日開催されている「人体の不思議展」について是非見解を表明し、態度を明らかにされることを期待します。
 また、新聞社・テレビ局、各自治体・教育委員会などは、本展示には人道的・倫理的に多くの問題があることを認識され、興業を目的としたこのような展示会の開催・後援について再考するよう要望します。
 人間の尊厳が守られていない重大な問題をもつ「人体の不思議展」は中止すべきです。

全日本民主医療機関連合会. 『人間の尊厳が守られていない「人体の不思議展」の中止を求める声明』, 2010年2月8日. Cited in 人体の不思議展に疑問をもつ会



川崎展 (2008年10月25日~2009年3月1日)

2008年10月9日、全国保険医団体連合会会長より「人体の不思議展」より川崎展開催に対し再び中止要求声明。
「人体の不思議展」の開催中止を求める
2008年10月9日
全国保険医団体連合会
会長 住江憲勇

 「人体の不思議展」は、地方の新聞社などマスコミ関係の主催により、これまで全国各地で開かれ、10月25日より神奈川県川崎市での開催が予定されている。「人体の不思議展」では、プラストミックと呼ばれる技術で防腐処置を施した実物の人体十数体を使い、全身の皮を剥がれた状態で立っていたり、各臓器毎にバラバラにされ展示されている。

 この展示については、これまでも、多くの団体から問題視する声が起こっており、各地で県や市、教育委員会、医師会、歯科医師会などが後援団体を降りるという状況も生まれている。現に、日本医師会、日本歯科医師会、日本看護協会等は後援を取り止めている。

  標本はすべて国内法の適用を受けない中国人のものである。仮に、日本の国民が医学教育用に献体の意思を示しても、こうした標本化と展示は「死体解剖保存法」と「医学及び歯学の教育のための献体に関する法律」により実質的に不可能である。しかも、献体が本当にインフォームド・コンセントを経たものかどうか不明確で、国際的にも人道上大きな問題を有している。

 死後遺体であっても、人間としての尊厳が守られ丁重な扱いを受けるのが当然である。展示は、献体という故人の奇特な意志を踏みにじる冒涜であり、ましてやコマーシャルベースに乗せることは非人間的、反人権的行為である。

 また、多くは自治体や教育委員会が後援しているため、教育的な展示と思われているが、人体の有機性・複雑性を学ぼうとする若い人々にはむしろ有害でしかない。単なる狭義の学問的欲求や、軍部、国家権力によって医学、医療にとっての倫理が如何に歪曲されるかは、歴史的な教訓である。

 このように、模型ではなく本物の人間の死体を標本として一般公開している「人体の不思議展」は、倫理上、教育上、看過できない大きな問題点を有している。本会は、いのちと健康を守る医師、歯科医師の団体として、川崎での「人体の不思議展」の開催中止を求めるものである。

全国保険医団体連合会. 『「人体の不思議展」の開催中止を求める』 那覇市福祉お知らせ掲示板, 2008年10月9日.


沖縄展 (2009年3月20日~5月17日)

2009年2月10日、那覇市教育委員会より沖縄展の後援取り消しの報告。
▼人体の不思議展の後援取消について 健康推進課 09/2/10(火) 13:24

 
■題名 : 人体の不思議展の後援取消について
■名前 : 健康推進課
■日付 : 09/2/10(火) 13:24
 平成21年3月20日から沖縄県立博物館にて開催される「人体の不思議展」について、掲示されているポスターや配布用のチラシ、それにすでに販売されているチケットには後援団体として那覇市と那覇市教育委員会の名義が使用されております。同展につきましては、那覇市は平成21年1月28日付け、那覇市教育委員会は平成21年2月4日付けで、後援の取消をしましたことをお知らせいたします。
 市民・県民ならびに関係者の皆様に対しましては、ご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。
平成21年2月10日
那覇市長 翁長 雄志
那覇市教育委員会 教育長 桃原 致上

那覇市教育委員会. 『人体の不思議展の後援取消について』 那覇市福祉お知らせ掲示板, 2009年2月10日.


3月18日、沖縄民主医療機関連合会より、主催の琉球新報社と沖縄テレビ放送への批判声明。
<声明>
――人間の尊厳を冒涜する「人体の不思議展」――
「展示」中止を重ねて求める

 内外から多くの批判と疑問が出され、「展示」を中止すべきとの声が高まっているにもかかわらず、「人体の不思議展」【主催:人体の不思議展実行委員会(琉球新報社/沖縄テレビ放送)の「展示」が県立博物館で3月20日(金)~5月17日(日)強行されようとしている。
  私たち沖縄県民主医療機関連合会は、この「人体の不思議展」は、人道上、倫理上、人間の尊厳を冒涜する以下の内容を含んでいるとの指摘をおこない、2月2日に実行委員会の「琉球新報社」と「沖縄テレビ放送」の両事業部長に「展示」の中止を要請した。
 席上、両社とも「正式にしかるべき機関で要請を検討する」と答えていたが、以来正式に回答がないまま、「展示」が強行されようとしている。
 私たちは、人間の尊厳を守ることを第一義的な課題として日々医療に携わっている団体であり、私たちの指摘や要請になんらこたえることがないまま、この「展示」が強行されようとしていることに、深い憤りを禁じえない。同時に、両社の人間の尊厳への見識を改めて疑うものである。
 当初、この「人体の不思議展」の後援を決めていた沖縄県教育委員会や那覇市など、多くの団体や機関が後援を取りやめた。私たちは、あらためてこの「生命の不思議展」の中止を求める。

2009年3月18日   沖縄県民主医療機関連合会
那覇市古波蔵4-10-53
電話 098-833-3397

 私たちは、「人体の不思議展」は、以下に示す重大な問題点があり、倫理上許されない疑念を含んでいることから「展示」の中止を求めています。

1.人間の尊厳が守られていない
 遺体への冒涜は人間の尊厳をないがしろにするものです。「人体の不思議展」では、遺体が不必要にポーズをとらされているなど興味本位の見世物として扱われています。また、入場料を徴収し、会場に臓器をモチーフとした土産物を販売する売店も設置されるなど、明らかに遺体が営利目的のために使われています。

2.自らの意思にもとづいた献体か、きわめて不明確である
 標本について「遺体は生前の意思により献体されたものである」と紹介されていますが、意思確認の内容がきわめて不明確です。日本では、「医学及び歯学の教育のための献体に関する法律」によって献体について定められていますが、これはあくまでも医科・歯科大学などの教育に関する法律で、一般市民に有料で公開されることを想定したものではありません。このような展示方法で多くの観客の目に曝されることまで同意を得ていたかどうかは、はっきりしていません。しかも母体と胎児の標本があり、どのような手続きを経て献体の意思確認がされているのか、大いに疑問が残ります。

3.標本に外国人の遺体を利用している
 死体解剖保存法に照らして考えると、このような展示に日本人の遺体を使用することは、国内では認められていません。日本の展示会で使われている標本は、外国人の遺体を利用し、中国の工場で製造されているとのことです。主催団体は、遺体の提供・処理などの過程を明らかにすべきです。

 以上のように、「人体の不思議展」が含んでいる問題は、人道上・医療倫理上、看過できるものではありません。「人体の不思議展に疑問を持つ会」などが問題点を指摘し、国内外の批判が高まる中で少なくない団体等の抗議の声をうけ、全国的にも日本医師会・日本看護協会・日本歯科医師会をはじめ、各地の教育委員会などが次々に後援をとりやめています。



静岡展 (2009年6月11日~8月31日)

2009年6月12日、静岡県民主医療機関連合会会長より会員に対して「人体の不思議展」への協力を行なわないよう要請する声明。

関係各位

「人体の不思議展」に関して(声明)
2009年6月12日
静岡県民主医療機関連合会
会長 齋藤 友治

 時下、益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
 さて、「人体の不思議展」が静岡市のツインメッセで開催されることを静岡新聞で知り、大変驚いています。
 以前、仙台で行なわれたこの展示会では、模型ではなく本物の人体を樹脂加工した標本が展示されています。その中には人体をプレート状に水平にスライスしたもの、わざわざ弓を持たせポーズをとらせているもの、さらには人体標本に触るコーナーまでありました。
 こうしたことは倫理上決して許されることではなく、「人体の不思議展」の開催中止を求めるとともに、十分な説明のないまま協力させられることのないように各方面の関係者の方々に呼びかけるものです。

 以下に「人体の不思議展」関しての問題点を整理します。
 第一に、「献体は生前の意思にもとづくもの」と紹介されていますが、上記のような扱いを受けることまで納得しているとは到底思えません。

 第二に、仮に同意が得られていたとしてもすべての人は死後も人間としての尊厳が守られなければなりなせん。興味本位、儲けの手段として死体を展示することは許されることではありません。

 第三に、法的な問題をさけるためか標本は全て中国人の遺体です。「中国の倫理観では許されている」というのは理由になりません。むしろ人種差別としてより責任が重いと言わざるを得ません。

 以上のように大変問題の多い展示会です。ドイツでは各地で展示禁止が決定されており、わが国でも日本赤十字社、日本医学会、日本医師会、日本看護協会、日本歯科医師会などが後援を取りやめています。
 この展示会は倫理的に大きな問題があるだけでなく、知らぬ間に広く県民、市民そして多くの子どもたちが人権侵害に協力させられるということです。
 開催にあたっては、各県での開催実行委員会が組織されることになると思いますが、実行委員会への参加、後援、協賛、会場賃与等を行なわないようお願い申し上げます。

静岡県民主医療機関連合会. 『人体の不思議展の後援取消について』, 2009年6月12日 (PDF)



松江展 (2009年7月25日~9月27日)

2009年7月9日、島根県民主医療機関連合会より人体の不思議展実行委員会に対して展示中止を要望。
2009年7月9日
人体の不思議展実行委員会御中
島根県民主医療機関連合会
会長 金森 隆

「人体の不思議展」の中止を求めます。

 来る7月25日よりくにびきメッセで開催が予定されている『人体の不思議展』《主催:人体の不思議展実行委員会 (山陰中央日報社、エム・ディ・ソフトハウス)》では展示される標本が模型でなく本物の人体を特殊技術で樹脂加工されたものが展示されると後方されています。2002年から全国28カ所で開催されているといいますが、これまで開催されたところからの情報によると、わざわざ弓を持たせたポーズをとらせたものや、人体標本に触れるコーナーまであるとのことですが、こうしたことは倫理上許されるものではなく、下記に示すような問題点があることから『人体の不思議展』の中止を求めるものです。

 1. 『献体』はすべて本人の生前の意志に基づくものと紹介されていますが、上記のような扱いを受けることまで納得しているとは到底思えません。

 2. 仮に同意が得られていたとしてもすべての人は死後も人間としての尊厳が守られなければなりません。興味本位、儲けの手段として死体を展示することは許されることではありません。

 3. 法的な問題をさけるためか標本は全て中国人の遺体であり、「中国の倫理観では許されている」というのは理由にならず、むしろ人種間差別として許されるものではありません。

 以上のように大変問題の多い展示会であるために、日本医学会、日本医師会、日本看護協会、日本歯科医師会も後援を取りやめています。
 倫理上多くの問題を持つ『人体の不思議展』を中止することを求めます。

以上

島根県民主医療機関連合会. 『「人体の不思議展」の中止を求めます。』, 2009年7月9日. (PDF)


7月18日、島根県保険医協会理事会より開催中止を求める声明。

「人体の不思議展」の開催中止を求める理事会声明

 「人体の不思議展」はこれまで、地方の新聞社などマスコミ関係の主催により全国各地で開かれ、今月25日からは松江市での開催が予定されています。

 「人体の不思議展」では、プラストミックと呼ばれる技術で防腐処理された人体が、全身の皮膚を剥がれた状態での様々な姿勢で(スポーツのポーズなど)、あるいは各臓器ばらばらに展示されるなどしています。

 展示される人体標本は、国内法の適用を受けない中国人のものであり、仮に、日本国民が医学教育用に献体の意思を示したとしても、このような標本化と展示は「死体解剖保存法」「医学及び歯学の教育のための献体に関する法律」により実質的に不可能です。

 しかも、展示された人体について「すべて生前からの意志に基づく献体によって提供された」と広告されていますが、「献体」された人体が特殊な防腐処理を施され、かつ、上記のような姿で展示されることについて、本当にインフォームド・コンセントされたのかどうかも不明確で、人権上、倫理上、大きな問題を有していると指摘されています。

 この展示については、こうした観点から、これまでも多くの団体から疑問視する声が上がっており、各地で県や市、教育委員会、医師会、歯科医師会などが後援団体を降りるという状況も生まれています。日本医師会、日本歯科医師会、日本看護協会等は後援を取りやめています。

 遺体であっても、人間としての尊厳が守られ、丁重な扱いを受けるのが当然です。人の遺体を防腐処理した上でコマーシャルベースに乗せるべく展示することなどは、非人道的、反人権的行為と言わざるを得ません。

 当協会は、人権と医の倫理を尊重する医師・歯科医師の団体として、このように人権(人道)上、倫理上、多くの問題を有する「人体の不思議展」の中止を求めるものです。

2009年7月18日
島根県保険医協会
第418回理事会




名古屋展 (2009年11月14日~2010年1月11日)

10月5日、愛知県民主医療機関連合会会長より会員に対して「人体の不思議展」への協力を行なわないよう要望する声明。
関係各位
「人体の不思議展」に関して(声明)

2009年10月5日
愛知県民主医療機関連合会
会長 矢崎 正一

 時下、益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
 さて、「人体の不思議展」が2009年10月31日より2010年1月11日まで、愛知県産業労働センター8階にて開催予定であるということを知り、大変驚いています。
 この間、全国各地で行われたこの展示会では、模型ではなく本物の人体を樹脂加工した標本が展示されています。その中には人体をプレート状に水平にスライスしたもの、わざわざ弓を持たせポーズをとらせているもの、さらには人体標本に触るコーナーまでありました。
 こうしたことは倫理上決して許されることではなく、「人体の不思議展」の開催中止を求めるとともに、十分な説明のないまま協力させられることのないように各方面の関係者の方々に呼びかけるものです。

 以下に「人体の不思議展」関しての問題点を整理します。
 第一に、「献体は生前の意志にもとづくもの」と紹介されていますが、上記のような扱いを受けることまで納得しているとは到底思えません。

 第二に、仮に同意が得られていたとしてもすべての人は死後も人間としての尊厳が守られなければなりません。興味本位、儲けの手段として死体を展示することは許されることではありません。

 第三に、法的な問題をさけるためか標本は全て中国人の遺体です。「中国の倫理観では許されている」というのは理由になりません。むしろ人種間差別としてより責任が重いと言わざるを得ません。

 以上のように大変問題の多い展示会です。ドイツでは各地で展示禁止が決定されており、わが国でも日本赤十字社、日本医学会、日本医師会、日本看護協会、日本歯科医師会などが後援を取りやめています。
 この展示会は倫理的に大きな問題があるだけでなく、知らぬ間に広く県民、市民そして多くの子どもたちが人権侵害に協力させられるということです。
 開催にあたっては、各県での開催実行委員会が組織されることになると思いますが、実行委員会への参加、後援、協賛等を行わないようお願い申し上げます。

以上
愛知県民主医療機関連合会. 『「人体の不思議展」に関して(声明)』, 2009年10月5日. Cited in 人体の不思議展に疑問をもつ会 (Text)


11月2日、愛知県保険医協会理事長より人体の不思議展実行委員会に対する開催中止要求声明。

 愛知県内の各医療機関に、「人体の不思議展」実行委員会から招待券・チラシ等が送付されているが、愛知県保険医協会は、同展の開催中止を求め、荻野理事長名でコメントを11月2日に実行委員会に送付している。また同日、広く県民にも知らせるためマスコミや各種団体にも送付した。
 下記に全文を掲載する。


「人体の不思議展」の開催中止を求めます

2009年11月2日
愛知県保険医協会 理事長 荻野高敏

 「人体の不思議展」が2009年11月14日より2010年1月11日まで、愛知県産業労働センター8階にて開催予定であるということを知りました。「人体の不思議展」は、これまで2回も名古屋で開催されていますが、地方の新聞社などマスコミ関係の主催により全国各地で開かれてきました。

 これはプラストミックと呼ばれる技術で、防腐処置を施した実物の人体十数体を使い、全身の皮を剥がした状態で立っているものや、各臓器をバラバラにされ展示されているものです。展示物は毎回同じでないと思いますが、弓を持たせポーズをとらせているものや、男女の性交を模型化したものまで展示されていたとのことです。

 「献体は生前の意志にもとづくもの」と紹介されていますが、上記のような扱いを受けることまで納得しているとは到底思えません。仮に同意が得られていたとしてもすべての人は死後も人間としての尊厳が守られなければなりません。興味本位、儲けの手段として死体を展示することは許されることではありません。

 標本はすべて国内法の適用を受けない中国人のものであるとも言われています。仮に、日本の国民が医学教育用に献体の意思を示しても、こうした標本化と展示は「死体解剖保存法」と「医学及び歯学の教育のための献体に関する法律」により実質的に不可能であります。しかも、献体が本当にインフォームド・コンセントを経たものかどうか不明確で、国際的にも人道上大きな問題を有しています。

 この展示については、ドイツでは各地で展示禁止が決定されており、わが国でも多くの団体から問題視する声が起こっており、各地で県・市や教育委員会などが、後援団体を降りるという状況も生まれています。わが国でも日本赤十字社、日本医学会、日本医師会、日本看護協会、日本歯科医師会などが後援を取りやめています。

 多くは自治体や教育委員会が後援しているため、教育的な展示と思われていますが、人体の有機性・複雑性を学ぼうとする若い人々にはむしろ有害でしかありません。単なる狭義の学問的欲求や、軍部・国家権力によって医学・医療にとっての倫理が如何に歪曲されるかは、歴史的な教訓でもあります。

 このように、模型ではなく本物の人間の死体を標本として一般公開している「人体の不思議展」は、倫理上・教育上看過できない大きな問題を有しています。本会は、いのちと健康を守る医師・歯科医師の団体として、名古屋での「人体の不思議展」の開催の中止を求めるものです。

以上



熊本展 (2010年1月23日~3月28日)

2009年12月8日、熊本県民主医療機関連合会が、熊本展主催のKAB熊本朝日放送に対する開催中止要求。
2009年12月8日
熊本朝日放送株式会社
取締役社長 植田義浩様
熊本県民主医療機関連合会 会長 板井 八重子

「人体の不思議展」の中止を求めます

 時下、益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。  全国各地を巡回し、本物の人体標本を使った「人体の不思議展」については、昨年の 6月に貴社に対して「中止」の申し入れを文書にて行うと共に、熊本県や熊本市、熊本県及び熊本市医師会、県看護協会、各関係機関、各報道機関等に後援をしないでほしい旨の申し入れを行い、熊本開催に至らなかったという経過がありました。しかし、来年 1 月 23 日より県立美術館での開催が貴社内におく実行委員会の主催ですすめられていることに対して、改めて下記に示すような問題点の多い「人体の不思議展」の開催中止を求めるものです。
 この展示会では、人体をプレート状に水平にスライスしたものや人体標本に触るコーナーまであるということです。こうしたことは倫理上また教育上も決して許されることではなく、「人体の不思議展」の開催をこれ以上続けるべきではないと私たちは考えています。

 私たちは以下のように、「人体の不思議展」の問題点について以下のように考えます。
 第一に、「献体は生前の意思に基づくもの」と紹介されていますが、上記のような扱いを受けることまで納得しているとは到底考えられません。
 第二に、仮に同意が得られていたとしてもすべての人は死後も人間としての尊厳が守られなければなりません。興味本位、儲けの手段として死体を展示品とすることは許されることではありません。
 第三に、法的な問題を避けるためか標本はすべて中国人の遺体といわれています。法に抵触しないとはいえ実物の遺体を展示して全国を巡回することは、社会的倫理上問題があります。「中国の倫理観では許されている」というのは理由になりません。むしろ人権差別としてより責任が重いといわざるを得ません。

 以上のように大変問題の多い展示会です。ドイツでは各地で展示禁止が決定されており、わが国でも日本赤十字社、日本医学会、日本医師会、日本看護協会、日本歯科医師会などが後援を取りやめています。この展示会は、倫理的に大きな問題点があるだけでなく、知らぬ間に広く県民、市民そして多くの子どもたちが人権侵害に協力させられるということになります。
 このように問題点の多い「人体の不思議展」開催について、報道倫理の観点からも開催中止を切に求めるものです。

敬具

熊本県民主医療機関連合. 『 「人体の不思議展」の中止を求めます』, 2009年12月8日. (PDF)
人体の不思議展中止申し入れ報告
2009年12月8日
大椨
1 . 熊本県教育委員会
  期日: 2009年12月8日(火)10:00~ 10:20
場所: 県庁新館6階熊本県教育委員会文化課
対応: 米岡正治( 文化課長) 、他に係員1名
申し入れ者: 大椨、高尾、田中直光、松岡徹
内容: 申し入れ書に基づき行う。人体の不思議に疑問を持つ会の資料も持参して手渡した。
特に県立美術館を所管する文化課は実態をつかむべきで、開催場所の提供は見送るべ きであると申し入れた。
→ 申し入れ内容は上司に伝えて、検討する。
取材: TKU報道編成制作局報道制作部(西本圭記者)、熊日編集局社会部( 藤山裕作記者)

2 . 熊本朝日放送
  期日: 2009年12月8日(火) 14:00~ 14:10
場所: 熊本朝日放送一階ロビー
対応: 20代の実行委員会事務局員を名乗る男性
申し入れ者: 大椨、高尾、田中直光
内容: KABの対応が不適切ではないかと指摘して、申し入れ書に基づき中止申し入れ。
「責任者はいない。(自分は)KAB社員ではなく、外部の企画会社の人間。」「人体展の受け入れ経過は分からない。」「人体展は直接観たことはない。」「申し入れ内容は伝える。」「今年の7月頃から準備している。実行委員会事務局は10人ほどいる。」「実行委員長等は教えられない。」「(自分の)名前もいえない。」名刺ももらえなかった。
以上、前日からアポを取っているにもかかわらず、非常識な対応であったので、申し入れ文書は後日、KAB社長宛に郵送することにした。
以上


県教委への申し入れ( 2009/12/08)

熊本県民主医療機関連合. 『人体の不思議展中止申し入れ報告』, 2009年12月8日. Cited in 人体の不思議展に疑問をもつ会 (PDF)


12月11日、同連合会より生協に対して前売り券の販売中止を求める要請。
2009年12月11日
グリーンコープ生活協同組合くまもと 様
熊本県民主医療機関連合会 会長 板井 八重子

「人体の不思議展」熊本公演前売り券の組合員への販売中止を求める要請

 時下、益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。
 このたび、全国各地を巡回し本物の人体標本を使った「人体の不思議展」が2010年1月23日より県立美術館で開催される予定です。この展示会では、人体をプレート状に水平にスライスしたものや人体標本に触るコーナーまであるということです。
 今回、私たちは、貴生活協同組合に加入している本会職員の情報により、貴組合が「人体の不思議展」前売り券の販売を行なっていることを知りました。私たちは「人体の不思議展」は以下のような問題点があると考え開催に対して反対の立場を取っております。

 第一に、「献体は生前の意思に基づくもの」と紹介されていますが、上記のような扱いを受けることまで納得しているとは到底考えられません。
 第二に、仮に同意が得られていたとしてもすべての人は死後も人間としての尊厳が守られなければなりません。興味本位、儲けの手段として死体を展示品とすることは許されることではありません。
 第三に、法的な問題を避けるためか標本はすべて中国人の遺体といわれています。法に抵触しないとはいえ実物の遺体を展示して全国を巡回することは、社会的倫理上問題があります。「中国の倫理観では許されている」というのは理由になりません。むしろ人権差別としてより責任が重いといわざるを得ません。
 以上の理由から、大変問題の多い展示会であると考えております。

 現在、この展示を疑問視する機関も増え、以前に後援していた日本赤十字・日本看護協会・日本医師会・日本歯科医師会は後援を取りやめました。近畿の看護高等専門学校では、この「人体の不思議展」について、「標本に同意するという文面での個々人の承諾書は存在しない可能性があります」と見学推奨を取り消しました。最近では後援団体も少なくなってきており、全国的に別添資料のように生活協同組合でも後援を取りやめるところも出てきています。海外ではドイツの各地で展示禁止が決定されています。
 先の戦争で、私たちは数百万人もの中国国民を殺害し、その反省のうえに立って日本国憲法を制定しました。しかし、今日でもなお慰安婦問題や強制連行問題など中国国民の日本に対する先の戦争への反省・対応への批判が根強く残っています。こうしたなか、合法であるということだけで中国人の遺体を展示することは憲法の精神にも反する行為であると言わざるを得ません。

 同時に展示会は、倫理的に大きな問題点があるだけでなく、知らぬ間に広く県民、市民そして多くの子どもたちが人権侵害に協力させられるということになります。また、子どもたちを含め国民に日本人優位、中国人べっ視・差別の思想を植え付けられることも考えられます。
 貴生活共同組合におかれましては、このように問題点の多い「人体の不思議展」への前売り券普及を取りやめいただくように要請いたします。

敬具

熊本県民主医療機関連合会. 『「人体の不思議展」熊本公演前売り券の組合員への販売中止を求める要請』, 2009年12月11日. Cited in 人体の不思議展に疑問をもつ会 (PDF)


山口展 (2010年4月4日~5月12日)

2月18日、山口県民主医療機関連合会より開催中止要求声明。
2010年2月18日

人間の尊厳が守られていない「人体の不思議展」の中止を求める声明

山口県民主医療機関連合会
会長 野田浩夫

 2002年以降、全国で「人体の不思議展」が開催され、山口県では、今年4月4日から「海峡メッセ下関」で開催される計画があります。
 「人体の不思議展」は、プラスティネーションという技術で遺体そのものを標本として展示しており、各地では毎回多くの人が訪れています。この展示会の端緒となったのは、1995年に日本解剖学会100周年企画として開催された「人体の世界」です。現在行われている「人体の不思議展」は、その性格が大きく変質しているものと考えざるを得ません。一つひとつの展示について十分な解説や、人体標本を展示する上での必要な配慮がなされておらず、教育的意義が大きいとは思えません。さらに、以下の問題があると考えます。

1.人間の尊厳が守られていない
 遺体への冒涜は人間の尊厳をないがしろにするものです。「人体の不思議展」では、遺体が不必要にポーズをとらされているなど興味本位の見世物として扱われているように思えます。また、入場料を徴収し、会場に臓器をモチーフとした土産物を販売する売店も設置されるなど、明らかに遺体が営利目的のために使われています。

2.自らの意思にもとづいた献体か、きわめて不明確である
 標本について「遺体は生前の意思により献体されたものである」と紹介されていますが、意思確認の内容がきわめて不明確です。日本では、「医学及び歯学の教育のための献体に関する法律」によって献体について定められていますが、これはあくまでも医科・歯科大学などの教育に関する法律で、一般市民に有料で公開されることを想定したものではありません。このような展示方法で多くの観客の目に曝されることまで同意を得ていたかどうかは、はっきりしていません。しかも母体と胎児の標本があり、どのような手続きを経て献体の意思確認がされているのか、大いに疑問が残ります。

3.標本に外国人の遺体を利用している
 死体解剖保存法に照らして考えると、このような展示に日本人の遺体を使用することは、国内では認められていません。日本の展示会で使われている標本は、外国人の遺体を利用し、中国の工場で製造されているとのことです。主催団体は、遺体の提供・処理などの過程を明らかにすべきです。

 以上のように、「人体の不思議展」が含んでいる問題は、人道上・医療倫理上、看過できるものではありません。「人体の不思議展に疑問を持つ会」などが問題点を指摘し、国内外の批判が高まる中で少なくない団体等の抗議の声をうけ、日本医師会・日本看護協会・日本歯科医師会などをはじめ、各地の教育委員会など後援をとりやめる団体が出ています。
 人間の尊厳が守られていない重大な問題をもつ「人体の不思議展」は中止すべきです。
 また、新聞社・テレビ局、各自治体・教育委員会などは、本展示には人道的・倫理的に多くの問題があることを認識され、興業を目的としたこのような展示会の開催・後援に関与しないとともに、「中止を求める」世論喚起のための取り組みをすすめられるよう強く要望します。

山口県民主医療機関連合会. 『人間の尊厳が守られていない「人体の不思議展」の中止を求める声明』, 2010年2月8日. Cited in 人体の不思議展に疑問をもつ会


3月5日、山口県保険医協会より開催会場の山口県国際総合センターに対して会場使用許可取り消しを要求。
2010年3月5日
財団法人 山口県国際総合センター
理事長 伊藤 俊昭 様
山口県保険医協会
会長 高橋泰昭

法と社会通念にそぐわない「人体の不思議展」の中止を求める要請

 私たちは、県内の医科・歯科保険医の団体です。来る4月4日から5月12日まで「海峡メッセ下関」で「人体の不思議展」が開催されることについて、人命を守り医療を提供する医療従事者の立場から、その中止を要請します。

 「人体の不思議展」は、何か医学教育的な意義が有るかのように宣伝され、これまで世界的に開催されているようです。しかし、その内容は、特殊技術で防腐処置を施した実物の死体を使い、全身の皮を剥がれた状態で立て、また、各臓器をバラバラに展示し、或いは、遺体が不必要にポーズをとらされています。

 人体標本について「遺体は生前の意思により献体されたものである」と紹介されていますが、意思確認の内容がきわめて不明確です。しかも母体と胎児の標本があり、どのような手続きを経て献体の意思確認がされているのか、大いに疑問が残ります。

 わが国では、死体の利用は死因調査、医学教育・研究に限定されています(「死体解剖保存法」)。また同法では「死体の取り扱いに当たっては礼意を失われないように注意しなければならない」と明記しているように、死体に対して敬意を払うべきというわが国の社会通念に根ざしたものです。さらに、献体の必要事項を定めるわが国の「医学及び歯学の教育のための献体に関する法律」は、あくまでも医科・歯科大学などの教育に関する法律であり、死体を一般市民に有料で公開されることを想定したものではありません。フランスのように、2009年4月21日に裁判所がパリで開かれている「人体展」の中止を命ずる判決を出している国もあります。

 これに対し、「人体の不思議展」では、遺体が興味本位の見世物として扱われており、また、入場料を徴収し、会場では臓器をモチーフとした土産物を販売する売店も設置されるなど、明らかに遺体が営利目的のために使われています。

 さらに、わが国のこのような展示に日本人の遺体を使用できませんので、標本は中国の死刑囚などの死体を使用し、中国の工場で製造されているとのことです。

 以上のように、「人体の不思議展」が含んでいる問題は、人道上・医療倫理上、大いに問題であります。

 つきましては、貴職として、下記の事項を執り行っていただくようお願い致します。

 1、 上記のような問題点をご検討のうえ、あいまいな「死体の利用」を許さない立場で、「人体の不思議展」への会場使用許可を取り消していただくこと
 2、この展示を後援し、また、「招待券」を配っている団体等へ、わが国の法律と社会通念に照らし「死体利用」の是非を深く検討し、直ちにこれをやめるようご教示いただくこと。

以上

山口県保険医協会. 『法と社会通念にそぐわない「人体の不思議展」の中止を求める要請』, 2010年3月5日. Cited in 人体の不思議展に疑問をもつ会


3月8日、同協会より県内報道機関に対して問題提起の要請。
2010年3月8日
山口県内報道機関各社 御中
山口県保険医協会
会長 高橋泰昭

法と社会通念にそぐわない「人体の不思議展」への警告の要請

 県民の生活と健康を守る立場で、日々の報道や社会活動に日夜ご奮闘のことと拝察し、心から敬意を表し上げます。

 私たちは、県内の医科・歯科保険医の団体です。

 来る4月4日から5月12日まで「海峡メッセ下関」で「人体の不思議展」が開催されることについて、当会は、人命を守り医療を提供する者として、その中止を要請しています。

 「人体の不思議展」は、何か医学教育的な意義が有るかのように宣伝され、これまで世界的に開催されているようです。しかし、その内容は、特殊技術で防腐処置を施した実物の死体を使い、全身の皮を剥がれた状態で立て、また、各臓器をバラバラに展示し、或いは、遺体が不必要にポーズをとらされています。

 人体標本について「遺体は生前の意思により献体されたものである」と紹介されていますが、意思確認の内容がきわめて不明確です。しかも母体と胎児の標本があり、どのような手続きを経て献体の意思確認がされているのか、大いに疑問が残ります。

 ご承知の通り、わが国では、死体の利用は死因調査、医学教育・研究に限定されています(「死体解剖保存法」)。また同法では「死体の取り扱いに当たっては礼意を失われないように注意しなければならない」と明記しているように、死体に対して敬意を払うべきというわが国の社会通念に根ざしたものです。さらに、献体の必要事項を定めるわが国の「医学及び歯学の教育のための献体に関する法律」は、あくまでも医科・歯科大学などの教育に関する法律であり、死体を一般市民に有料で公開されることを想定したものではありません。フランスのように、2009年4月21日に裁判所がパリで開かれている「人体展」の中止を命ずる判決を出している国もあります。

 これに対し、「人体の不思議展」では、遺体が、興味本位の見世物として扱われており、また、入場料を徴収し、会場では臓器をモチーフとした土産物を販売する売店も設置されるなど、明らかに遺体が営利目的のために使われています。さらに、わが国のこのような展示に日本人の遺体を使用できませんので、標本は中国の死刑囚などの死体を使用し、中国の工場で製造されているとのことです。 

 以上のように、「人体の不思議展」が含んでいる問題は、人道上・医療倫理上、大いに問題であります。

 つきましては、貴職として、下記の事項にご配慮を頂くようお願い申し上げます。

一、上記のような問題点をご検討の上、あいまいな「死体の利用」を許さない立場で、県民へ「人体の不思議展」の問題提起をしていただくこと。
二、「人体の不思議展」の後援を慎重にしていただくこと。 

以上

山口県保険医協会. 『法と社会通念にそぐわない「人体の不思議展」の中止を求める要請』, 2010年3月5日. Cited in 人体の不思議展に疑問をもつ会


新潟展 (2010年7月17日~9月26日)

4月20日、新潟県保険医協会より開催中止要求声明。
「人体の不思議展」開催中止を求める声明

 来る7月17日から新潟県民会館ギャラリーにおいて、「人体の不思議展」が開催される予定です。同展はこれまで、地方の新聞社などマスコミ関係の主催により全国各地で開かれてきましたが、そこには看過できない問題点があります。

 第1の問題点は、死体の尊厳が守られていないことです。刑法190条では、「死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する」と定めています。こうした死体遺棄を認めない考え方は、死体に対して敬意を払うべきというわが国の社会通念を反映したものです。

 また、「死体解剖保存法」では、死体の利用を死因調査、医学教育・研究に限定し、「死体の取り扱いに当たっては礼意を失われないように注意しなければならない」と明記しています。死体には尊厳があるので、医学研究や教育のためといえども安易に利用することは許されていないのです。

 しかし、これまで開催されてきた「人体の不思議展」では、プラストミックと呼ばれる技術で防腐処理された人体が全身の皮膚を剥がれた状態で様々な姿勢をとらされ、あるいは各臓器がばらばらに切断されて展示されています。しかも、入場料を徴収し、関連グッズ販売も行うなど、死体標本が利益を生む商品とされているのです。

 第2の問題点は、献体者の意思確認が不明だということです。主催者は、展示人体は「すべて生前からの意志に基づく献体によって提供された」と広告しています。しかし、2006年に「人体の不思議展に疑問をもつ会」(代表 刈田啓史郎東北大学元教授)が個人を特定する情報を除いた形での同意書の閲覧を要請したところ、主催者はこれを拒否しています。今日においても、同意に関する内容・取得方法・確認方法・倫理審査の関与の如何、などについての情報は公開しておらず、人体提供者が有料で一般展示されることにまで同意していたのか不明です。ましてや、胎児や新生児、幼児の標本についての意思確認はどのように行われたのか、大いに疑問です。

 第3の問題点は、人体標本に外国人を使用していることです。現在、日本国民の献体は商業用(有料)展示の標本にすることはできないため、「人体の不思議展」では、国内法の適用を受けない中国人のものを使用しているようです。外国人の遺体なら商業利用が許されるというものではありません。

 私共は、人命を守り医療を提供する医療従事者の立場から、既存の法律には抵触しないとはいえ、このように人権上、倫理上多くの問題を有している「人体の不思議展」は、開催を取りやめるよう強く訴えるものです。

平成22年4月20日
新潟県保険医会
会長 高畑 與四夫

新潟県保険医会. 『「人体の不思議展」開催中止を求める声明』, 2010年4月20日. Cited in 人体の不思議展に疑問をもつ会

同日、新潟県保険医会より、2005年の新潟展で後援を行なった行政機関や教育委員会、各医学協会とメディアに対して後援を行なわないよう要請。
平成22年4月20日
新潟県、新潟県教育委員会、新潟市、新潟市教育委員会
新潟県医師会、新潟市医師会
新潟県歯科医師会、新潟市歯科医師会
新潟県看護協会、新潟日報社

「人体の不思議展」への後援などを行わないよう要望致します

新潟県保険医会
会長 高畑 與四夫

 拝啓 時節柄、多事多端の折と拝察申し上げます。

 私共は、新潟県下で開業する1,050名の医師、歯科医師で構成する団体です。

 7月17日から新潟県民会館ギャラリーにおいて、「人体の不思議展」の開催が予定されています。この展示会の発端は、1995年に開催された日本解剖学会100年記念事業の「人体の世界」展といわれています。日本解剖学会の企画は、解剖発展史を概観するコーナーを設置し、解剖学者が会場で解説を行うなど、教育的配慮がはかられていました。しかし、今回開催されようとしている「人体の不思議展」は、医学研究とは全く関係のないものです。その上、人道上、倫理上、看過できない問題点があるため、私共は開催の中止を求める決議をおこないました。問題点の詳細については、当会の声明をご一読ください。

 新潟県における同展の開催は2度目とのことです。前回は、医師会を初めとする医療団体や教育委員会が後援していましたが、国内外からの批判が高まる中で、日本医師会、日本看護協会、日本歯科医師会など中央の医療団体や各地の自治体及び教育委員会は後援を取りやめています。
 つきましては、新潟県におかれましても、同展の開催、後援に関与しないよう要望する次第です。

敬具

新潟県保険医会. 『「人体の不思議展」への後援などを行わないよう要望致します』, 2010年4月20日. Cited in 人体の不思議展に疑問をもつ会


5月17日、同会より新潟県弁護士会に対して展示中止要求への協力を要請。
平成22年5月17日
新潟県弁護士会
会長 遠藤 達雄 様

「人体の不思議展」の開催中止にご尽力ください
新潟県保険医会
会長 高畑 與四夫

拝啓 時節柄、多事多端の折と拝察申し上げます。

 私共は、新潟県下で開業する1,050名の医師、歯科医師で構成する団体です。

 7月17日から新潟県民会館ギャラリーにおいて、「人体の不思議展」の開催が予定されています。この展示会の発端は、1995年に開催された日本解剖学会100年記念事業の「人体の世界」展といわれています。日本解剖学会の企画は、解剖発展史を概観するコーナーを設置し、解剖学者が会場で解説を行うなど、教育的配慮がはかられていました。しかし、今回開催されようとしている「人体の不思議展」は、医学研究とは全く関係のないものです。その上、人道上、倫理上、看過できない問題点があるため、私共は開催の中止を求める決議を行い、新潟県と新潟市及び県・新潟市の教育委員会、医師会、歯科医師会、県看護協会、新潟日報社に対し、同展の開催、後援に関与しないよう申し入れを行いました。問題点の詳細について、当会の声明をご一読ください。

 新潟県における同展の開催は2度目とのことです。前回は、医師会を初めとする医療団体や教育委員会が後援していましたが、国内外からの批判が高まる中で、中央の医療団体や各地の自治体及び教育委員会は後援を取りやめています。

 新潟県弁護士会におかれましても、このような非人道的な展示会の開催を中止するようご尽力いただきたく要請申し上げる次第です。

敬具

新潟県保険医会. 『「人体の不思議展」の開催中止にご尽力ください』, 2010年5月17日. Cited in 人体の不思議展に疑問をもつ会


金沢展 (2010年8月13日~9月12日)

2010年2月16日、石川県保険医協会より開催中止要求声明。
「人体の不思議展」の開催中止を求める理事会声明

 「人体の不思議展」はこれまで、地方の新聞社などマスコミ関係の主催により全国各地で開かれ、8月13日から金沢21世紀美術館での開催が予定されています。

 「人体の不思議展」では、プラストミックと呼ばれる技術で防腐処理された人体が、全身の皮膚を剥がれた状態での様々な姿勢で(スポーツのポーズなど)、あるいは各臓器ばらばらに展示されるなどしています。

 展示される人体標本は、国内法の適用を受けない中国人のものと言われており、仮に、日本国民が医学教育用に献体の意思を示したとしても、このような標本化と展示は「死体解剖保存法」「医学及び歯学の教育のための献体に関する法律」により実質的に不可能です。

 しかも、展示された人体について「すべて生前からの意志に基づく献体によって提供された」と広告されていますが、「献体」された人体が特殊な防腐処理を施され、かつ、上記のような姿で展示されることについて、本当にインフォームド・コンセントされたのかどうかも不明確で、人権上、倫理上、大きな問題を有していると指摘されています。

 この展示については、こうした観点から、これまでも多くの団体から疑問視する声が上がっており、各地で県や市、教育委員会、医師会、歯科医師会などが後援団体を降りるという状況も生まれています。日本医師会、日本歯科医師会、日本看護協会等は後援を取りやめています。

 遺体であっても、人間としての尊厳が守られ、丁重な扱いを受けるのが当然です。人の遺体を防腐処理した上でコマーシャルベースに乗せるべく展示することなどは、非人間的、反人権的行為と言わざるを得ません。

 当協会は、人権と医の倫理を尊重する医師・歯科医師の団体として、このように人権(人道)上、倫理上、多くの問題を有する「人体の不思議展」の中止を求めるものです。

2010年2月16日
石川県保険医協会理事会



4月26日、石川県民主医療機関連合会より開催中止要求声明。
人間の尊厳が守られていない「人体の不思議展」の中止を求める

 2002年以降、全国で「人体の不思議展」が開催されています。プラストミックという技術で遺体そのものを標本として展示しており、各地では毎回多くの人が訪れています。一つひとつの展示について十分な解説や、人体標本を展示する上での必要な配慮がなされておらず、教育的意義が大きいとは思えません。石川県でも、8月13日から金沢21世紀美術館での開催が予定されていますが、以下の問題があると考えます。

1.人間の尊厳が守られていない
 遺体への冒涜は人間の尊厳をないがしろにするものです。「人体の不思議展」では、遺体が不必要にポーズをとらされているなど興味本位の見世物として扱われているように思えます。また、入場料を徴収し、会場に臓器をモチーフとした土産物を販売する売店も設置されるなど、明らかに遺体が営利目的のために使われています。

2.自らの意思にもとづいた献体か、きわめて不明確である
 標本について「遺体は生前の意思により献体されたものである」と紹介されていますが、意思確認の内容がきわめて不明確です。日本では、「医学及び歯学の教育のための献体に関する法律」によって献体について定められていますが、これはあくまでも医科・歯科大学などの教育に関する法律で、一般市民に有料で公開されることを想定したものではありません。このような展示方法で多くの観客の目に曝されることまで同意を得ていたかどうかは、はっきりしていません。しかも母体と胎児の標本があり、どのような手続きを経て献体の意思確認がされているのか、大いに疑問が残ります。

3.標本に外国人の遺体を利用している
 死体解剖保存法に照らして考えると、このような展示に日本人の遺体を使用することは、国内では認められていません。日本の展示会で使われている標本は、外国人の遺体を利用し、中国の工場で製造されていると言われています。主催団体は、遺体の提供・処理などの過程を明らかにすべきです。

 以上のように、「人体の不思議展」が含んでいる問題は、人権の上でも医療倫理の上でも、看過できるものではありません。「人体の不思議展に疑問を持つ会」などが問題点を指摘し、国内外の批判が高まる中で少なくない団体等の抗議の声をうけ、日本医師会・日本歯科医師会・日本看護協会などをはじめ、各地の教育委員会など後援をとりやめる団体が出ています。

 新聞社・テレビ局、各自治体・教育委員会などにおかれましては、本展示には人道的・倫理的に多くの問題があることを認識され、興業を目的としたこのような展示会の後援については取りやめていただくよう要望します。私たちは、国民の人権と医の倫理を守る組織として、人間の尊厳が守られていない重大な問題をもつ「人体の不思議展」の中止を求めるものです。

2010 年4月26日
石川県民主医療機関連合会
会 長 松浦 健伸

石川県民主医療機関連合会. 『人間の尊厳が守られていない「人体の不思議展」の中止を求める』, 2010年4月26日. (PDF)

5月20日、石川県民主医療機関連合会より金沢市と金沢21世紀美術館に貸館中止の申し入れ。
「金沢21世紀美術館」「金沢市長」「北国新聞」に申し入れ

「人体の不思議展は人道上・医療倫理上、大きな問題があるので中止(貸館)してください」と「金沢21世紀美術館」「金沢市長」「北国新聞」に申し入れました。

  来る8月13日から金沢21世紀美術館で「人体の不思議展」が開催される予定になっています。石川民医連では、4月の理事会で、「人体の不思議展」のもつ倫理上の問題点等を討議して、「人間の尊厳が守られていない人体の不思議展の開催中止を求める」声明を採択しました。  その声明を具体化するために、5月20日、松浦健伸民医連会長、莇也寸志同副会長、武田仁同事務局長等は、金沢市長、金沢21世紀美術館館長に、「人体の不思議展の貸館を中止してほしい」を申し入れました。また、主催団体の北国新聞社には、「人体の不思議展のイベントを取り消していただきたい」と申し入れました。それぞれ、申し入れ書を受け取り、検討して頂くことになりました

石川県民主医療機関連合会. 『「金沢21世紀美術館」「金沢市長」「北国新聞」に申し入れ』, 2010年5月20日.


開催終了後の12月4日、人体の不思議展に疑問をもつ会の末永氏と石川県内の大学教授と医療関係者ら8人が、人体の不思議展実行委員会を死体解剖保存法違反で刑事告発。
「人体展」を刑事告発
県内教授ら 県警は受理せず
2010年12月4日 北陸中日新聞

 金沢市の金沢21世紀美術館で8月13ー9月12日に開かれた「人体の不思議展」での遺体の保存や扱いなどに死体解剖保存法違反の疑いがあるとして、福島県立医科大の末永恵子講師ら8人が3日、主催した実行委員会を石川県警に告発した。県警は「少し調べて対応する」と告訴を受理しなかったという。

 告発者8人のうち4人は県内の大学教授と医療関係者。告発後に会見した末永講師は厚生労働省に確認した結果として、展示期間中の夜間などは「遺体の保管」にあたると説明。「保管は市長許可が必要だが、市に許可申請が出た形跡はなく違法」と指摘した。また、実行委が「生前からの意思に基づく献体」と説明する点についても「ポーズを取るさらしもののような有料展示の承諾まで得ていない」とした。

 人体の不思議展は、遺体を特殊な方法で加工保存する「プラストミック」技術を利用した標本を展示。2002年から各地で開かれ、金沢でも地元新聞社などでつくる実行委が有料公開した。

 以前は医療や大学の解剖研究の場でしか見られなかった標本を観察でき、身体の仕組みが分りやすいと話題を呼んだ。一方で、一部の研究者や医療関係社らは「興味本位な死体の商品化で遺体の尊厳が守られていない。インフォームドコンセント(正しい情報を得た上での合意)も不確実だ」と指摘している。

北陸中日新聞. 『「人体展」を刑事告発』. 2010年12月4日. Cited in 人体の不思議展に疑問をもつ会 (PDF)
「人体の不思議展」をめぐり刑事告発
2010年12月4日 朝日新聞

 金沢市の21世紀美術館で8月13日~9月12日に開かれた「人体の不思議展」をめぐって、同展実行委員会が遺族との承諾と市長の了解を得ずに人体標本を展示していたのは死体解剖保存法に違反するとして、「『人体の不思議展』に疑問をもつ会」メンバーの末永恵子・福島県立医科大学講師ら計8人が3日、同実行委を県警に刑事告発した。同展に対する刑事告発は全国で初めてだという。県警は受理するかどうかの判断を保留した。

 同展では特殊加工した本物の人体標本を展示。主催者側は「献体は生前からの意思に基づく」としているが、末永さんは会見で「主催者側は遺族の了解まで得たかどうかは答えていない」と話した。

朝日新聞. 『「人体の不思議展」をめぐり刑事告発』. 2010年12月4日. ibid.
人体の不思議展で医師ら告発状提出
県内教授ら 県警は受理せず
2010年12月4日 北国新聞

 今年8、9月に金沢21世紀美術館で開かれた「人体の不思議展」で、遺体の標本が遺族の承諾や金沢市長の許可を得ずに展示会場に保管されたのは死体解剖保存法違反に当たるとして、石川県内の医師ら8人は3日、同展実行委員会(北國新聞社・同展事務局)に対する告発状を県警に提出した。

 県警は同日、告発状を受理せず、「検察庁や厚生労働省とも協議し、対応を決めたい」としている。

 北國新聞社は「展示されたのは、外国で適正、適法な手続きでつくられ、日本に貸し出された標本。人体構造の理解を深めたり、命の大切さを伝えるという教育的目的で、標本を展示することは、日本の法令に照らして、何の問題もないと考える」としている。

北國新聞. 『「人体の不思議展」をめぐり刑事告発』. 2010年12月4日. ibid.

京都展 (2010年12月4日~2011年1月23日)

9月13日の日本医師会の生命倫理懇談会で「人体の不思議展」が議題になる。
◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆
       V(^(I)^)V 日医白クマ通信 V(^(I)^)V
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◎第1回第XII次生命倫理懇談会◎
┗━━━━━━━━━━━━━━┛
 第XII次生命倫理懇談会の第1回会議が9月13日、日医会館で開催された。

  会議では、諮問の検討に入る前に、久座長からホメオパシーに関する日本医学会長、日本医師会長による記者会見についての報告があり、次いで藤川謙二常任理事より、「人体の不思議展」の議題提出の経緯が説明された。

 「人体の不思議展」については、8月24日の第6回日本医師会理事会で、小森貴理事(石川県医師会長)が、遺体を商業ベースで展示することに倫理的妥当性の疑義があると問題提起したことを受けたものである。委員からは、パリでの同展の開催に際し、人権団体が中止を求める訴訟を起こし迅速に中止命令が下されたことなどが報告され、「死体解剖保存法」しか法的根拠がない現状では、国外で加工された外国人の遺体を興行的に利用することへの法的規制は望めず、この懇談会の倫理的側面からの議論を経て日医から何らかの見解を表明すべきとの意見が相次いだ。座長は、今後、日本解剖学会、日本生命倫理学会の有識者からも意見を求め、議論を深めたいとした。

日医白クマ通信. 『第1回第XII次生命倫理懇談会』. 2010年9月13日. Cited in 人体の不思議展に疑問をもつ会

9月25日、日本解剖学会が人体標本の展示のガイドラインを制作。
「人体標本の展示に関するガイドライン」

 人体標本(人体あるいはその一部・臓器等を用いた標本)の公の場における展示は、人体の構造・機能等をテーマとした、営利を主目的としない学術的・教育的な企画においてのみ許容され、かつその必然性があると認められた場合のみに限定される。展示の実施に際しては、医学及び歯学の教育のための献体に関する法律(いわゆる献体法)など関連法規の精神に則り、人体標本としての使用について文書による献体者の事前の同意を得るなど、人の尊厳を損なうことのないよう最大限の配慮をする。

社団法人日本解剖学会
作成日:平成22年9月25日

社団法人日本解剖学会. 「人体標本の展示に関するガイドライン」, 2010年10月24日.

10月25日、京都民主医療機関連合会より開催中止要求声明。
人間の尊厳が守られていない「人体の不思議展」の中止を求める声明
2010年10月25日
京都民主医療機関連合会
会長 尾崎 望

 2002年以降、全国で「人体の不思議展」が開催され、京都府では、今年12月4日から「京都市勧業館『みやこめっせ』第一展示場」で開催される計画があります。
  「人体の不思議展」は、プラスティネーションという技術で遺体そのものを標本として展示しており、各地では毎回多くの人が訪れています。この展示会の端緒となったのは、1995年に日本解剖学会100周年企画として開催された「人体の世界」です。現在行われている「人体の不思議展」は、その性格が大きく変質しているものと考えざるを得ません。一つひとつの展示について十分な解説や、人体標本を展示する上での必要な配慮がなされておらず、教育的意義が大きいとは思えません。さらに、以下の問題があると考えます。

1.人間の尊厳が守られていない
 遺体への冒涜は人間の尊厳をないがしろにするものです。「人体の不思議展」では、遺体が不必要にポーズをとらされているなど興味本位の見世物として扱われているように思えます。また、入場料を徴収し、会場に臓器をモチーフとした土産物を販売する売店も設置されるなど、明らかに遺体が営利目的のために使われています。

2.自らの意思にもとづいた献体か、きわめて不明確である
 標本について「遺体は生前の意思により献体されたものである」と紹介されていますが、意思確認の内容がきわめて不明確です。日本では、「医学及び歯学の教育のための献体に関する法律」によって献体について定められていますが、これはあくまでも医科・歯科大学などの教育に関する法律で、一般市民に有料で公開されることを想定したものではありません。このような展示方法で多くの観客の目に曝されることまで同意を得ていたかどうかは、はっきりしていません。しかも母体と胎児の標本があり、どのような手続きを経て献体の意思確認がされているのか、大いに疑問が残ります。

3.標本に外国人の遺体を利用している
 死体解剖保存法に照らして考えると、このような展示に日本人の遺体を使用することは、国内では認められていません。日本の展示会で使われている標本は、外国人の遺体を利用し、中国の工場で製造されているとのことです。主催団体は、遺体の提供・処理などの過程を明らかにすべきです。

 以上のように、「人体の不思議展」が含んでいる問題は、人道上・医療倫理上、看過できるものではありません。「人体の不思議展に疑問を持つ会」などが問題点を指摘し、国内外の批判が高まる中で少なくない団体等の抗議の声をうけ、日本医師会・日本看護協会・日本歯科医師会などをはじめ、各地の教育委員会など後援をとりやめる団体が出ています。しかし、後援を続けている団体も数多く存在します。
 日本解剖学会、日本医師会など、かつて協賛してきた団体は、医の倫理に照らして、今日開催されている「人体の不思議展」について是非見解を表明し、態度を明らかにされることを期待します。
 また、新聞社・テレビ局、各自治体・教育委員会などは、本展示には人道的・倫理的に多くの問題があることを認識され、興業を目的としたこのような展示会の開催・後援に関与しないとともに、「中止を求める」世論喚起のための取り組みをすすめられるよう強く要望します。


10月26日、京都府保険医協会より開催中止要求声明。
「人体の不思議展」の開催中止を求める理事会声明
「人体の不思議展」は開催中止を

 「人体の不思議展 最終公開」の開催が、12月4日から京都市勧業館「みやこめっせ」で予定されています。模型ではなく人体そのものを展示する「人体の不思議展」は、これまで全国各地で行われており、評判を呼んでいると聞いています。しかしながら、その度ごとに、人体標本を展示するにあたって本来考慮されるべきことがなされていないことが問題視されてきました。

 何より問題なのは、展示されている遺体に対する尊厳が守られていないということです。人は死後であっても尊厳を持って扱われなければなりません。であるにもかかわらず、これまでの「人体の不思議展」では、全身標本が興味本位ともいえる姿勢をとらされた状態で展示されたり、触れる状態で展示されたりしています。しかも、入場料を徴収し、遺体や臓器を模したり写したりした関連商品の販売も行うなど、営利を目的とした興行として開催されています。これは死体の商品化であり、これでは遺体に対する尊厳が守られているとは到底言えません。

 その他の問題としては、インフォームド・コンセントの有無の不明確さです。遺体は「生前からの意思に基づく献体によって提供された」とされていますが、来場者などの第三者がその意志を確認できるものは、示されておりません。加えて、展示標本には胎児のものまであるとのことです。インフォームド・コンセントの有無に不明確さがあることは、重大な問題です。

 加えて問題なのは、外国人の遺体でしか実施できない展示だということです。展示されているのは中国で作られた標本と言われていますが、日本人の献体であれば商業用展示の標本にすることは国内法に照らしてできません。このように外国人の遺体だから可能になるという展示を行うことは許されません。

 また、外国で行われている同様の展示では、裁判所が違法と判断したり中止を命じたりしており、国内でも日本医師会や日本医学会が後援を取りやめ、日本解剖学会も「人体標本の展示に関するガイドライン」を発表するなど、「人体の不思議展」には問題があるとの認識が広がってきています。
 私たちは、命と健康を守る保険医の団体として、人権と医の倫理を尊重する立場から、人権・人道上の重大な問題を含んでいる「人体の不思議展」の開催中止を求めます。

2010年10月26日
京都府保険医協会/2010年度第9回理事会

京都府保険医協会. 『「人体の不思議展」の開催中止を求める理事会声明』, 2010年10月26日. 掲載:2010年11月5日(第2765号)1面・3面から.

翌日、府保険医協会の声明を報じた京都新聞の記事。
人体の不思議展開催中止求める
府保険医協会が声明
2010年10月27日朝刊 京都新聞

 京都市内の開業医らでつくる府保険医協会(京都市中京区)は26日、12月4日から左京区のみやこめっせで予定されている「人体の不思議展」で死体を樹脂加工した「標本」を展示することについて、「人の尊厳が守られていない」として中止を求める声明を発表した。主催者側は「科学教育が目的で、学術的配慮をしている」と反論している。

 声明は、標本に興味本位のポーズをとらせたり関連商品販売など死体を商品化している▽献体の同意の有無が不明確▽外国で同様の展示を裁判所が中止を命じ、国内でも日本医学会などが後援をやめた-と指摘、「人権・人道上の重鵜代な問題を含んでいる」と批判している。

 府保険医協会は、みやこめっせを運営する京都産業振興センターに会場使用許可とし消しを求めた。

 同展主催者の「人体の不思議展実行委員会」(東京都)は、展示を「幅広い方々への啓発活動の一環」として、「展示用プラスチック解剖標本は中国の研究機関から手続きを踏んで賃借し、展示・開催に許可・承諾手続きは必要しないが、学術的に配慮して運営している」としている。

 同展は、数年前から全国を巡回して開かれており、以前は東京都内の団体や広告会社などが規格運営に名を連ねていたが、今回の京都展について、主催する実行委は構成団体を公表していない。(本田貴信)

京都新聞. 『人体の不思議展開催中止求める』. 2010年10月27日. Cited in 人体の不思議展に疑問をもつ会 (PDF)

10月28日、大阪府保険医協会より声明。
疑惑の「人体の不思議展」は中止せよ

 「標本一新。総展示数170余点。もう見られない、あなた自身のからだの不思議」との宣伝のもと、来る12月4日から来年1月23日の期間、京都市勧業館で「人体の不思議展」(以下「不思議展」と略)が開催される。実物の人体を樹脂加工した様々な標本の展示で、全国各地をめぐり、京都では2005年4月の開催に続くものだ。

 しかしこの展示に関しては、これまでに多くの団体から疑問が出され、医学・医療研究者などが2006年に「“人体の不思議展”に疑問をもつ会」(代表=刈田啓史郎・東北大学元教授)を立ち上げ、主催団体に標本の経路やそのインフォームドコンセントなどについて問い合わせても、確たる回答が未だにないという。また、これまで無批判に「不思議展」を後援・協賛してきた行政や医学会・医師会などの医療団体、マスメディアなどに対しても、同会が後援等の根拠などに関し公開質問状を送るなどした結果、日本医学会(06年8月28日)をはじめ医師会、行政、大手マスコミが次々と後援を取り消すなどしてきている。そして今回の京都での主催実行委員会については、どのような関係者によるものかを一般には明らかにしていない。

 地域住民の命と健康に日々携わる医師の団体である大阪府保険医協会は、2008年の理事会で「不思議展」の問題点を議論して批判の立場を確認し、保険医協会の全国組織である全国保険医団体連合会(保団連)も2008年7月に理事会討議を踏まえ、東北や四国で開催されつつあった「不思議展」に対し、中止を求める会長談話を発表した。これを受けて以後、島根、愛知、石川、山口、新潟県、そして今回(10年10月)京都府の保険医協会などが中止を求める声明を出してきた。

 私たちは未だに、「疑問をもつ会」が提示している疑念、「標本はどのようにしてきたのか?」「標本となった故人には、自由な自己決定がありえたのか?」「遺体があなたの大切な人のものだったら?」「私たちの社会は、死体の展示商品化を許すままにしておいてよいのでしょうか?」と同じ疑問をぬぐえない。人間の死体のこのような見世物興行的利用は、標本とされている個々人の尊厳の重大な冒涜の疑惑と共に、広くこの社会の倫理崩壊に通じかねない危惧をもつ。

 よって、私たちは京都で計画中の「不思議展」の中止を強く求めるとともに、今後もあらゆる場所での同様の展示に断固反対していくものである。

2010年10月28日
大阪府保険医協会 第2回理事会

大阪府保険医協会. 『疑惑の「人体の不思議展」は中止せよ』, 2010年10月28日. 掲載:2010年11月1日.

11月1日、京都府医師会が、各報道機関および人体の不思議展実行委員会に対して展示中止を求める要請文を送付。

■「人体の不思議展」の開催中止を求める要望書

 日本各地で開催されている「人体の不思議展」では、模型ではなく本物の人体に特殊な防腐処置を施した標本が展示され、営利を目的として一般に有料公開されています。
今年12月より京都市においてその展示会の開催が予定されていますが、京都府医師会としては、本展の開催には看過できない倫理的な問題を内包していることから、開催の中止を強く求めるものであります。

本展の標本について、主催者側は「生前からの意思に基づく献体によって提供された大変貴重な標本」であるとしていますが、その標本の由来には不透明な部分があり、献体者の保護という観点からも多くの問題を含んでおります。さらに、ご存知のとおり、死後の遺体にも尊厳は存在するとされており、安易な利用は厳に慎まなければなりません。ましてや、尊厳ある人の遺体に商業的価値を見出すことなど、到底、許されることではありません。

フランスでは、パリで開催中の巡回型の人体展に対し、中止を命じる判決を下されており、また、日本国内でも社会的倫理面での疑問を唱える声が出され、後援を取り下げる団体も増えております。

医学・医療の発展に献体として寄与された方々の尊い志と人間としての尊厳が完全に無視された本展の開催は容認できるものではありません。

 京都府医師会は、人権と倫理の高揚を掲げる団体として、「人体の不思議展」の開催中止を強く求めます。

平成22年10月21日
社団法人 京都府医師会  会長  森  洋 一


11月12日、京都民医連中央病院より開催中止要求声明。
人間の尊厳が守られていない
「人体の不思議展」の中止を求める

2010年11月12日
社団法人京都保健会
京都民医連中央病院
院長 吉中 丈志

 2002年以降、全国で「人体の不思議展」が開催され、京都府では、今年12月4日から「京都市勧業館『みやこめっせ』第一展示場」で開催される計画があります。
  「人体の不思議展」は、プラスティネーションという技術で遺体そのものを標本として展示しており、各地では毎回多くの人が訪れています。この展示会の端緒となったのは、1995年に日本解剖学会の100周年企画として開催された「人体の世界」です。現在行われている「人体の不思議展」は、その性格が大きく変質しているものと考えざるを得ません。一つひとつの展示について十分な解説や、人体標本を展示する上での必要な配慮がなされておらず、教育的意義が大きいとは思えません。さらに、以下の問題があると考えます。

1.人間の尊厳が守られていない

 遺体への冒涜は人間の尊厳をないがしろにするものです。「人体の不思議展」では、遺体が不必要にポーズをとらされているなど興味本位の見世物として扱われているように思えます。また、入場料を徴収し、会場に臓器をモチーフとした土産物を販売する売店も設置されるなど、明らかに遺体が営利目的のために使われています。

2.自らの意思にもとづいた献体か、きわめて不明確である

 標本について「遺体は生前の意思により献体されたものである」と紹介されていますが、意思確認の内容がきわめて不明確です。日本では、「医学及び歯学の教育のための献体に関する法律」によって献体について定められていますが、これはあくまでも医科・歯科大学などの教育に関する法律で、一般市民に有料で公開されることを想定したものではありません。このような展示方法で多くの観客の目に曝されることまで同意を得ていたかどうかは、はっきりしていません。しかも母体と胎児の標本があり、どのような手続きを経て献体の意思確認がされているのか、大いに疑問が残ります。

3.標本に外国人の遺体を利用している

 死体解剖保存法に照らして考えると、このような展示に日本人の遺体を使用することは、国内では認められていません。日本の展示会で使われている標本は、外国人の遺体を利用し、中国の工場で製造されているとのことです。主催団体は、遺体の提供・処理などの過程を明らかにすべきです。

 以上のように、「人体の不思議展」が含んでいる問題は、人道上・医療倫理上、看過できるものではありません。「人体の不思議展に疑問を持つ会」などが問題点を指摘し、国内外の批判が高まる中で少なくない団体等の抗議の声をうけ、日本医師会・日本看護協会・日本歯科医師会などをはじめ、各地の教育委員会など後援をとりやめる団体が出ています。
 人間の尊厳が守られていない重大な問題をもつ「人体の不思議展」は中止すべきです。
 また、新聞社・テレビ局、各自治体・教育委員会などは、本展示には人道的・倫理的に多くの問題があることを認識され、興業を目的としたこのような展示会の開催・後援に関与しないとともに、「中止を求める」世論喚起のための取り組みをすすめられるよう強く要望します。


11月18日、京都府医師会より声明。
2010年11月18日
「人体の不思議展」の開催中止を求める要望書

 日本各地で開催されている「人体の不思議展」では、模型ではなく本物の人体に特殊な防腐処置を施した標本が展示され、営利を目的として一般に有料公開されています。

 今年12月より京都市においてその展示会の開催が予定されていますが、京都府医師会としては、本展の開催には看過できない倫理的な問題を内包していることから、開催の中止を強く求めるものであります。

 本展の標本について、主催者側は「生前からの意思に基づく献体によって提供された大変貴重な標本」であるとしていますが、その標本の由来には不透明な部分があり、献体者の保護という観点からも多くの問題を含んでおります。

 さらに、ご存知のとおり、死後の遺体にも尊厳は存在するとされており、安易な利用は厳に慎まなければなりません。ましてや、尊厳ある人の遺体に商業的価値を見出すことなど、到底、許されることではありません。

 フランスでは、パリで開催中の巡回型の人体展に対し、中止を命じる判決を下されており、また、日本国内でも社会的倫理面での疑問を唱える声が出され、後援を取り下げる団体も増えております。

  医学・医療の発展に献体として寄与された方々の尊い志と人間としての尊厳が完全に無視された本展の開催は容認できるものではありません。

  京都府医師会は、人権と倫理の高揚を掲げる団体として、「人体の不思議展」の開催中止を強く求めます。

平成22年11月1日
社団法人 京都府医師会 会長    森  洋 一

京都府医師会. 『「人体の不思議展」の開催中止を求める要望書』. 2010年11月1日. Cited in 人体の不思議展に疑問をもつ会

11月18日、日本科学者会議京都支部幹事会より声明。
2010年11月18日
違法な「人体の不思議展」開催の即時中止を求める声明

日本科学者会議京都支部幹事会

 「人体の不思議展」が、2010年12月4日から2011年1月23日まで京都市勧業館「みやこめっせ」で開催される。遺体(死体)のプラストミック標本を展示する「人体の不思議展」は、これまで全国各地で行なわれてきたが、その度ごとに、同展が遺体の尊重ならびに人間の尊厳を著しく傷つけている、という厳しい批判がなされてきた。

 遺体に対しては礼意を持って接しなければならない、これは基本的な社会常識である。にもかかわらず、「人体の不思議展」では、興味本位ともいえるポーズをとらされた遺体の全身標本や触ることのできる標本が展示されている。しかも、少なくない入場料を徴収し、会場売店で臓器や骨格模型のキーホルダーを販売するなど、同展は明らかに得色を目的とした興行として開催されてきた。これは死体の商品化であり、遺体に対する冒涜である。

 主催者は「本展に展示されている人体プラスとミック標本は、すべて生前からの意思(ママ)に基づく献体によって提供されたものです」と謳っているが、来場者など第三者がその意思し確認できるものは、何ら示されていない。そもそも「医学及び歯学の教育のための献体に関する法律」で定められている「献体の意思」とは、死後に自分の身体を医学・歯学教育としてお紺割れる身体の正常な構造を明らかにするための解剖(いわゆる解剖実習)の解剖体として提供することを希望するという。「人体の不思議展」のように不特定多数の一般人の前に、営利目的で、人体標本として展示することは、死亡した人の生前の献体の意思の範囲をはるかに超えた非倫理的行為である。

 そしてなにより「人体の不思議展」主催者は「死体解剖保存法」に違反している。この法律は、死因の調査や医学・歯学教育のために死体を解剖するにあたって、解剖者の資格や解剖場所、保存場所等を厳密に定めている。しかしながら「人体の不思議展」に展示されている遺体標本が中国で作製されたことから、日本の法律である「死体解剖保存法」は適用されないと考えられてきた。ところが、同法の第19条は、医学系の大学あるいは特別な病院以外の場所に死体を保存しようとする場合、遺族の承諾を得た上で、保存地の都道府県知事(京都市では市長)の許可を得なければならないと定めている。これに違反すると罰金刑に書せられる(同法第23条)。

 これまでに「人体の不思議展」の主催者が遺体標本(死体)を展示会場に保存するにあたって京都市保険福祉局に対して京都市長の許可を申請した形跡がない。会場の「みやこめっせ」側にも死体保存場所を提供するという認識がまったく欠落している。このように「人体の不思議展」主催者の所為は「死体解剖保存法」第19条に違反し、第23畳の刑罰法規に該当する行為である。

 「人体の不思議展」のような反社会的犯罪行為を長年放置したことについて医学関連学会は大いに反省しなければならない。人体のプラストミック(プラスティネーション)標本展示を一般の人に対する医学の啓蒙活動の一環ちして安易に持ち上げてきた一部医学者の倫理観が今問われている。

 われわれは、声明の尊重ならびに人間の尊厳を重んじる立場から、「人体の不思議展」のような犯罪行為を見過ごすことはできない。司法当局には同展主催者の厳重な処罰を求めるとともに、京都市長には同展の会場として「みやこめっせ」の使用許可を直ちに取り消すよう求める。

日本科学者会議京都支部幹事会. 『違法な「人体の不思議展」開催の即時中止を求める声明』. 2010年11月18日. Cited in 人体の不思議展に疑問をもつ会 (PDF)

12月15日、京都府保険医協会から社民党の阿部知子衆議院議員に対して、「人体の不思議展」が死体解剖保存法に違反していないかどうか厚生労働省に質問を行なうように要望。
2010年12月15日
衆議院議員
阿部 知子 様
「人体の不思議展」に関するお願い
京都府保険医協会

同展を巡る現状について:
 12月4日より1月23日までの日程で「人体の不思議展」京都展が開催されている。我々はこの展示には倫理上・人権上の重大な問題があり、加えて法律(死体解剖保存法)に違反していると考え、開催を中止させるための取り組みを行なっている(別紙「理事会声明」参照)。

 法律違反については、11月19日と12月9日に京都府警に対して、12月3日には石川県警に対して告発を行ない、告発状の受理こそ叶わなかったものの、京都府警は専従の捜査官を配置して既に捜査を開始していると述べるなど、実質的には告発が受理されたのと同様の経過をたどっている。

 しかし、受理をしなかった理由は、告発の根拠とした死体解剖保存法第19条(別添「死体解剖保存法」参照)に規定する「死体の保存許可」が、「人体の不思議展」に必要とされるかどうかの解釈をめぐって、同法を所管する厚生労働省の見解が不明であると言うもので、焦点は警察から厚生労働省の判断に移ってきている。

 2010年9月16日、フランスの最高裁は「人体の不思議展」は禁止と判断した(別添「人体の不思議展、フランスで禁止確定」参照)」。理由は民法典第16条にある「亡くなった人の遺骸は、敬意と尊厳と礼をもって扱われなければならない」というもので、しかるに「商業目的での遺体の展示は、この規定を守っていない」というもの。

 死体解剖保存法第20条にも死体を保存する者への同様の規定があり、フランスの判決に照らせば、同展は20条にも違反していることになる。

 「人体の不思議展」への反対の取り組みについては、2006年の仙台展を契機として始まっており、それ以降の開催地では、保険医協会や民主医療機関連合会などが反対声明を出しており、今年8月の金沢展では石川県医師会と金沢市医師会が反対声明を発表、10月には日本解剖学会が「人体標本の展示に関するガイドライン」を策定、京都展では京都府医師会も「開催中止を求める要望書」を出している。日本医師会でも生命倫理懇談会が同展の問題について議論を進めている。

同展に関して貴職にお願いしたいこと:
1.「人体の不思議展」が死体解剖保存法19条に規定する保存許可を得ていないことは問題ではないかということを、厚生労働省に直接あるいは国会で厚生労働大臣に対して質問して頂きたい。許可が必要かどうか検討中ということであれば、少なくとも京都展の会期中に判断を行うようお願いしていただきたい。

2. フランスの民法典にあるような、死体の取り扱いそのものを規制する法律が日本にないことが、「人体の不思議展」のような展示会が今日まで開催されてきた最大の理由であり、今後このような展示ができないように、きちんとした包括的な法整備を行うよう、厚生労働省に直接あるいは国会で厚生労働大臣に対して要請して頂きたい。

3.上記2点について、京都府保険医協会として厚生労働省要請を仲介していただきたい。

京都府保険医協会. 『「人体の不思議展」に関するお願い』. 2010年12月15日. Cited in 人体の不思議展に疑問をもつ会




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