Red Fox

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『ザ・コーヴ』の仕掛人





 ジャパンタイムズは社をあげて反捕鯨のスタンスを明確に出しているメディアだが、2005年に英語メディアとして初めて太地町のイルカ漁を大々的に報じたのがジャパンタイムズのボイド・ハーネル記者である。

 しかしその記事内容を見ると、その4年後に公開された『ザ・コーヴ』の主張や設定などの内容と非常に共通した部分が多く、取材対象も同じ人物の同様の内容のインタビューが出て来るなど、『ザ・コーヴ』のストーリー設定や内容の下敷きとしてハーネル氏の記事が大きな影響を及ぼしている印象を受ける。

 また、2008年6月に公開予定でお蔵入りになった『ザ・コーヴ』の第一バージョンをハーネル氏が直接観ていると見られる内容の記事をジャパンタイムズに「独占掲載」するなど、OPSとハーネル氏が非常に近い関係にあった事を物語っている。

 映画の完成以前に公表されているこれらの記事には『ザ・コーヴ』の元ネタと見られる内容が目立ち、その内容を追って行くと、映画内で主張されている事が元々どういったルートからの情報のどういった内容の主張が、映画の主張のためにどのように転用・編集・改変されたかの製作過程の一端を見る事が出来る。

写真:2008年3月時点で存在した『ザ・コーヴ』のシーン。渋谷のスクランブル交差点に立つオバリー氏のディスプレイに映っているのは太地でなく富戸の映像。(OPS/Japan Times)



ジャパンタイムズが『ザ・コーヴ』の主要仕掛人


ジェネシス賞2008でのボイド・ハーネル氏とポール・ワトソン (Humane Society of the United States/flickr)
 ハーネル氏は太地町のイルカ漁に関して2005年11月の最初の記事から2008年3月の『ザ・コーヴ』の第一バージョンの紹介記事まで6本の記事を書いているが、これらの記事は通常の報道記事よりも全体的に規模が大きく、当初はハーネル氏が独占的に年に1-2本ペースで寄稿していた連載ルポルタージュ的な内容である。[>>1]

 2005年の最初の記事は、リック・オバリー氏のインタビューが中心となった記事で、オバリー氏の主張をメインに海外の批判運動を紹介し、水産庁の諸貫秀樹氏や北海道医療大学の遠藤哲也准教授がインタビューで登場、更に水銀問題にまで言及しているなど、この時点で既に『ザ・コーヴ』の内容との共通点が見られる。

 この記事『「秘密」のイルカ屠殺は抗議を無視』は翌年2月に「暴露の成功」として『全米人道協会 (HSUS)』のジェネシス賞を受賞している。[>>2]

 更に2008年3月には「イルカ追い込み漁の残虐性とイルカ肉の摂食の人間の健康リスクにスポットライトを当てる事によって日本の漁業産業に対しプレッシャーを継続して与えている」として再びジェネシス賞を受賞している。[>>3]

 2度のジェネシス賞の受賞に前後して、オバリー氏がお膳立てした太地町のサーファー事件 (2007年10月29日) 以降にOPSが表に出て来て、隠し撮り映像の一部公表と映画『ザ・コーヴ』製作中との公表を行なっているが、この時期にジャパンタイムズは複数のスタッフ記者が太地町のイルカ漁と捕鯨問題の記事を書くなどキャンペーンを張っている。


『ザ・コーヴ』の幻の第一バージョン


第一バージョンに含まれていた、子イルカが自ら岩にダイビングして自殺するというシーン。最終バージョンではなぜかカットされている。(OPS/Japan Times)
 ジャパンタイムズによれば、『ザ・コーヴ』は当初は2008年6月のチリのサンティアゴでのIWC総会に合わせて公開される予定とされていたが[>>4]、結局サンティアゴのIWCに合わせて公表されたのは6分のショートフイルムのみで、その後第一バージョンが公開される事はなく、最終バージョンはその半年後の2009年1月のサンダンス映画祭で初公開された第二バージョンである。[>>5]

 2008年3月のジャパンタイムズの記事では『ザ・コーヴ』の内容が具体的に紹介されており、この時点で映画が試写段階まで完成しており、その試写バージョンがジャパンタイムズ側に提供されている事を示しているが、同年6月に完成予定というタイトル未定のこの映画は2009年7月に公開された最終バージョンには含まれていない内容があるなど、ジャパンタイムズ側が見たのは幻の第一バージョンという事になる。

 そしてこの記事以降2009年7月に『ザ・コーヴ』が公開されるまでハーネル氏が太地町の記事を書く事はないが、ジャパンタイムズのジェネシス賞の受賞で太地町のイルカ漁批判キャンペーンが軌道に乗り、2007年2月にイルカ漁の隠し撮りが成功、それが映画製作という形で実現した時点で仕掛人の役割は済んだという事なのかもしれない。

 

ジャパンタイムズとOPSの連繋

ジャパンタイムズの仕入れた情報をOPSが映像化


『ザ・コーヴ』に登場する太地町の漁野尚登 (左)・山下順一郎両町議のインタビューは、ジャパンタイムズとOPSの合同で2007年7月19日に行なわれている。(Boyd Harnell/Japan Times)
 2007年8月1日の記事では、『ザ・コーヴ』で登場する太地町の山下順一郎元町議と漁野尚登町議が太地町のイルカの水銀汚染とその学校給食利用を告発するインタビューに関して書かれているが、このうちオバリー氏が同席した両町議のインタビューに関してはジャパンタイムズとOPSの取材は同日の2007年7月19日に行なわれている。

 また同記事では水産庁の諸貫秀樹氏と北海道医療大学の遠藤准教授が再び登場しイルカ肉食用の危険性の是非に関して発言をしているが、『ザ・コーヴ』での諸貫氏のインタビューも同年夏であり[>>6]、ジャパンタイムズが仕入れた情報をOPSが共同取材、又は後追い取材で映像化するという連繋が見られる。

 またジャパンタイムズでオバリー氏が語っている内容はその多くが『ザ・コーヴ』に転用されている。

ジャパンタイムズ ザ・コーヴ
オバリーの殺害予告 ’可能であったら殺すと漁師から言われた、ナイフで喉を切るジェスチャーをされたとオバリーがハーネルに話した。 (2007-2) 漁師達が可能なら自分を捕えて殺すだろうとオバリーがシホヨスに話す。 (4'10")
入り江の「侵入禁止」「危険」の標識 オバリーの発言。 (2005) オバリーがシホヨスに話す。映像は「落石注意」の標識。 (5'57")
イルカショーへの輸出 収益を得られなければ追い込み漁はストップするとオバリーが発言。 (2005) 『わんぱくフリッパー』がイルカショー産業を作り出したために追い込み漁が開始し副産物として肉が売られるようになったとオバリーが主張。 (16'01")
イルカの生け捕り ハーネルが目撃。 (2007-2) オバリーが自分のドキュメンタリー製作のために2006年10月に撮影した映像を使用。 (16'01")
イルカは自己認識をする動物。イルカが自殺した。 オバリーの発言。『フリッパー』のキャシーが腕の中で死んだ。 (2005) オバリーの発言。キャシーが自殺をした。 (17'11")
2003年のシーシェパード網切断事件 シーシェパードのサイト情報。 (2005) ポール・ワトソンが出演し説明。 (27'08")
警察の監視 何度も聴取を受けフルネームを正確に知っており、ホテルが免許のコピーを持っていたとハーネルが主張。 (2007-2) 警察がオバリーに質問をしているシーンの隠し撮りを2回使用。 (6'43"/57'18")
No photos 外国人活動家が漁協のセキュリティからイルカ屠殺の写真を撮るなと抗議されたのをハーネルが目撃したと主張。 (2007-2) 活動家や欧米メディアの撮影に抗議する漁師の過去の映像の寄せ集め。 (25'40")
プライベート・スペース 日産スカイラインに乗った漁師を「スカイライン・ボブ」とハーネルがあだ名をつけた。 (2007-2) 漁協主任を二つの英単語しか知らないと馬鹿にして「プライベート・スペース」とあだ名をつけた 。 (26'33")
イルカ肉は大量に食べない方がいい 水産庁の諸貫氏が危険の可能性を認めたとハーネルが主張。 (2005) 諸貫氏のインタビューで同じ質問。大量に食べるのは控えた方がいいが重要な栄養もあると諸貫氏は答えている。 (44'25")
水産庁は水銀問題はないと説明 水銀問題があったかの質問に諸貫氏はノーと答えたとハーネルが主張。 (2005) インタビューで水銀量の隠蔽があったかの質問に、諸貫氏はイルカ肉で (水俣病と) 同じ悲劇が起こるとは思わないと答えている (質問と答えが合っていないので質問部分が差し替えられた可能性あり)。 (48'38")
害獣駆除 屠殺を止める代わりに補助金を出すとオバリーが持ちかけたところ「害獣」と言われたとオバリーが主張。 (2005) イルカ漁で稼ぐのと同じ額を払うとオバリーが持ちかけたところ「金の問題ではない。害獣駆除だ」と言われたとオバリーが説明。 (63'06") (*害獣駆除は壱岐の話で太地のイルカ漁は最初から食用)
日本は出る杭は打たれる社会 山下、漁野両町議は孤立した漁業の町の経済を脅かすデリケートな問題の掟に逆らった。 (2007-8) 日本では自分の意見を公表する事は命の危険とまでは行かなくとも社会生活の危険となり、日本にアクティブな環境運動はないとシホヨスが説明。 (71'46")


映像化出来なかった部分は別人物に代弁させている

 一方ジャパンタイムズの記事には『ザ・コーヴ』に登場しない人物が登場する。

 作者のハーネル氏は映画に出演していないため、ハーネル氏の記事における主張は主にオバリー氏の主張や回想録として語られている。

 2006年11月の記事では活動家から提供された情報として太地町の追い込み漁の様子が書かれ、そして2007年2月にはハーネル氏自身が太地町を訪れ追い込み漁やイルカ屠殺を目撃したというルポルタージュ記事を書いているが、ここでハーネル氏が記述している事と似通った内容が『ザ・コーヴ』ではオバリー氏の体験として語られている。

 また2007年2月の記事ではオバリー氏が第二の水俣病が日本で起こっていると発言、同年8月の記事では熊本大学医学部の浴野成生教授が登場しイルカ肉の水銀汚染に関して水俣病に言及し、実際当初浴野氏は第一バージョンに出演しているにもかかわらず最終バージョンには登場しない。
 浴野氏が抜けた部分は『ザ・コーヴ』においてはオレゴン州大学教授でOPSメンバーのスコット・ベイカー氏が語っている。

 つまりこの映画はまずシナリオありきであり、インタビュー形式のドキュメンタリー風ではあるのだが、語られている内容は予め設定されたシナリオに基づいて分担して語られているという、これも一種のヤラセである。

ジャパンタイムズ ザ・コーヴ
追い込み漁の描写 活動家が目撃 (2006)/ハーネルが目撃。ハーネルが追い込み漁を説明 (2007-2) OPSが撮影。オバリーが説明。 (14'52")
尾行・ストーカー 追い込み漁を撮影しようとする人は罵られ写真を撮られ尾行されるとハーネルが主張。 (2007-2, 2007-8) オバリーが尾行をされていると主張。カムコーダーを持って防衛する漁師の映像の寄せ集め。 (38'23")
当局が漁協側を擁護 国立公園において警察が立ち入り制限を実施し漁師は自由に歩き回れるとハーネルが主張。 (2007-2) 国立公園をナイフを持った漁師が歩き回っているとオバリーが主張。 (5'57")
イルカ漁は日本の慣習ではない 日本人の大半の慣習ではない。 (2007-9、スタッフ記者の記事) 大半の日本人が知らないから伝統文化ではないとオバリーが主張。 (42'28")
牛を食べる人がイルカを食べる事になぜ反対するのか 水産庁の諸貫氏の発言として。 (2005) 漁師の発言だとオバリーが主張。 (42'27")
第二の水俣病 漁師は自分達だけでなく販売相手にも毒を盛っているが、水銀汚染に対して日本政府は何もしないからこれが第二の水俣病とオバリーが主張 (2007-2)、九州大の浴野成生教授が水俣病の説明 (2007-8)、どれだけの日本人が既に被害を受けているのだろうかとハーネルが主張。 (2007-8) 漁師は自分達だけでなく自国民にも毒を盛っているが、政府はその事を知って隠蔽しているとオバリーが主張 (47'57")、OPSのスコット・ベイカーが水俣病の説明とそれが再び起こると主張。 (2007-2)
帝国の遺物 警察の厳重警備など太地町の地域全体をパラノイアが浸透しているとハーネルが表現。 (2007-2) ドミニカ国のアサートン・マーチンが捕鯨を「帝国の伝統的概念の遺物」と表現、豪元環境相のイアン・キャンベルが「仕事に対する間違ったナショナリスティックなプライド」と表現。 (69'44")
日本のメディアが批判をしない 太地の産業に打撃を与える事をメディアが憂慮していると山下町議が主張。 (2007-9、スタッフ記者) 国家ぐるみの組織的で計画的な隠蔽とオバリーが主張。 (43'17")
屠殺方法の改善 在英日本大使館の幸田淳参事官の説明として。ボーンフリー財団がそれはフェロー諸島のデータだと反論。 (2005) 諸貫氏の説明として。 (83'03")


「ザ・コーヴ」の時点で内容が改変されている例

 またジャパンタイムズの時点で言及や説明されていた事が、『ザ・コーヴ』では映画の設定に沿うように改変や誤摩化されている例も散見される。

ジャパンタイムズ ザ・コーヴ
イルカショー産業のために太地のイルカ漁が始まった 太地の漁師は400年の伝統に誇りを持っているとオバリーが発言 (2005)、その大半が食肉用だとハーネルが説明 (2006)、太地は捕鯨発祥の地と説明 (2007-9、スタッフ記者) 『わんぱくフリッパー』が地球上で最大のイルカ殺戮を作り出したとオバリーが説明。太地の捕鯨の歴史はなかった事にされている。 (18'42")
太地が世界最大のイルカ供給地 特に台湾と中国での需要が高いとハーネルが説明。 (2006) 太地は世界中のイルカパークへの最大の供給地とテロップで説明。太地から南北米や西欧への輸出はないためこれは事実ではない。 (16'38")
日本政府が水銀問題を隠蔽 2003年に厚労省のサイトに検査結果が掲載され、2005年に摂食量の指導を行なっているのに、食品のパッケージに危険性の表示義務をしていないとハーネルが主張。 (2006) イルカ漁を守るための国家ぐるみの計画的な隠蔽とオバリーが主張。 (43'17")
イルカ肉の水銀汚染 浴野教授が太地のイルカ肉の98.9ppmの方が水俣湾の魚介類のレベルより高いと説明。遠藤哲也准教授は不明の種のイルカの肝臓から2000ppmが検出されたと説明。 (2008-3) 編集によって遠藤准教授が太地のイルカ肉から2000ppmが検出されたと主張した事にされている。 (44'54")
イルカの生け捕りは最大15万ドル 2007年2月時点でハーネルは最大5万ドルと説明。 (2007-2) 2008年3月の第一バージョンで既に15万ドルとなっている。 (17'09")
ゴンドウクジラをバンドウイルカと演出 ジャパンタイムズでは水銀汚染の検査は食用のゴンドウクジラと明記している。 ザ・コーヴではゴンドウクジラの名称はほとんど登場せず、イルカショーのためにイルカ漁が行なわれ売れ残りを屠殺するという設定を作るため、バンドウイルカのみを映し太地の全ての捕鯨がバンドウイルカのような印象操作を行なっている。


ジャパンタイムズの時点での嘘

 ハーネル氏は特に2007年2月の太地でのルポルタージュ記事など、非常に感情的な怒りに満ちた主観的な記事であり、目撃や撮影したと主張している映像がほぼ存在しないなどどこまで本当の事なのかさっぱり分らない内容が目立つ。

 実際使用している写真も第三者から提供された本当に太地の映像なのか不明なものや、富戸の映像だったりなど、内容の客観性や正確性や発言の信頼性にはかなりダウトな報道であるが、以下は明らかに虚偽と見られる例である。

 興味深い点は、イルカショー産業からの利益が無くなれば捕鯨漁師はロブスターや蟹の漁師に戻るだろうと誰かがオバリー氏に入れ知恵をしたという発言だが、一方で太地は捕鯨発祥の地でイルカ漁に400年の伝統があるとも書いており結局内容のつじつまが合っていない。

ジャパンタイムズ 備考
太地の捕鯨猟師は元々はロブスターや蟹を獲っていた? イルカショー産業からの莫大な収入がなくなれば太地の漁師はロブスターや蟹の漁に戻るだろうと聞かされたとオバリーが主張。 (2005) 映画内では言及なし。映画外ではオバリーはイルカショーの不買運動を積極的に行なっている。
ブルーボイスが2004年1月に太地のイルカ漁業を撮影? 太地で殺されたばかりのイルカが埠頭に釣り上げられる様子をオバリーが撮影したとハーネルが説明。 (2005) 2007年にOPSが太地のイルカ屠殺を盗撮する以前にオバリーが使用していたのは、90年代に富戸でエルザの会が撮影した映像と、1983年にハーディ・ジョーンズが撮影した壱岐の映像。イルカが埠頭に釣り上げられる映像は富戸のものに見られるものだが、2005年時点でオバリーが撮影したという太地の映像はネット上では存在が確認出来ない。
ハーネル撮影のイルカ屠殺の映像は存在するのか? 2007年2月の記事では、赤ちゃんイルカが溺死したシーンや、イルカ漁を撮影し、イルカ屠殺を目撃したとハーネル氏は書いている。 (2007-2) 実際にハーネル氏のクレジットで公表されているものは遠くから映した追い込み漁の写真の1枚のみで、それ以外の映像は一切公表されていない。


『ザ・コーヴ』の第一バージョンの紹介記事

 そして非常に興味深いのが2008年3月に出た『ザ・コーヴ』の第一バージョンの紹介記事だ。
 ここではそれまでハーネル氏が主張していたストーカーや嫌がらせなどがOPSが受けた事になり、積年の恨みを晴らしたといったトーンの記事である。

 特に特記すべきは太地のイルカ肉から2000ppmの水銀が検出されたと編集で言った事にされた遠藤哲也准教授の発言が編集前と見られる点だ。


ザ・コーヴ
カット1 (44'54"~58")
『ザ・コーヴ』より
北海道医療大学
遠藤哲也 准教授
カット2 (44'58"~45'09")
The recommended total level of mercury in seafood in Japan is 0.4 ppm (parts per million).
日本の魚介類の基準が0.4ppmです。

カット3 (45'04"~09")
This is dolphin meat. This is containing...
これはイルカ肉です。これが含むのは...
カット4 (45'09"~15")
...2000 ppm... 2000 ppm of mercury.
...2000ppmです...2000ppmの水銀。

カット5 (45'15"~18")
Very, very, very high. Toxic.
非常に高い。毒物です。
カット6 (45'18"~22")
I purchased it from Wakayama Prefecture, Taiji.
私はこれを和歌山県太地町から購入した。


2008年3月の第一バージョン (ジャパンタイムズ)

 しかし、この映画の恐ろしい映像とともに、シホヨスはイルカ肉に関する水銀健康問題に関わっている日本の学者やその他の関係者にカメラインタビューを行なっている。

 九州の熊本大学医学部の著名な研究者である浴野成生氏は、日本の水俣で1950年代に起きた世界最悪の水銀汚染災害で汚染された魚の高水銀レベルと、現在イルカ肉で見つかる水銀レベルを比較する。

 太地のイルカ肉の検査されたサンプルを手に持って撮影された浴野氏は、「このイルカ肉は98.9ppm (総水銀の100万分の1) --- これは水俣湾の (魚介類) のレベルより高い。これは明らかに危険だ!」と述べた。

 北海道医療大学の遠藤哲也准教授もイルカ肉の水銀検査を行い、その結果は2005年に発表された。
 OPSインタビューの録画で彼は「バンドウイルカから100ppmの総水銀が検出され、(イルカの) 不明の種の肝臓から2000ppmが検出された。これら全てが毒物だ」と述べた。
 実際、この高い方の数字は厚生労働省の水銀の安全基準の5000倍である。

(原文:英語)
Harnell, Boyd. "Secret film will show slaughter to the world". Japan Times, Sunday, March 30, 2008.

 浴野氏がインタビュー撮影にまで応じながら出演がキャンセルになった埋め合わせとして、遠藤氏の発言が編集されている。

 そして水俣病の説明をする登場人物がいなくなってしまったため、代わりにオレゴン大学海洋哺乳類研究所のスコット・ベイカー教授がその代役となっているが、ベイカー氏の専門は分子生態学という遺伝系の分野であり浴野氏や遠藤氏のような水銀問題に特化した専門家ではない。
 なおベイカー教授はOPSメンバーとしてウェブサイト上に名を連ねており、これは客観性のないインサイダーの主張に過ぎない。


 当初はチリでのIWC総会に合わせて完成される予定で、IWCへのアプローチ的な性格の強かったこの初期バージョンが完成せず、その半年後の2009年1月のサンダンス映画祭で発表された最終バージョンではオバリーが主役になったり、ハリウッド俳優ではなくシホヨス本人のナレーションになるなど映画のコンセプト自体に大幅な変更が見られる点が興味深い。

 第一バージョンはOPSのスポンサーであるジム・クラークの満足が得られず差し戻しになったとも言われているが、最終バージョンでは編集による捏造がさらに念入りになり、更に2008年11月にはヤラセシーンを撮影するために再び彼らは太地町にキャストが撮影に訪れているなど、第一バージョンではまだどこかヤラセと捏造に対して後ろめたさがあった製作姿勢が最終的に開き直ったように見える。(了)




脚注・資料:

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