共和党の大統領候補であるルディ・ジュリアーニ前ニューヨーク市長が9月19日にロンドンで、日本を含めた数カ国に関してNATO加盟を検討するように発言したのが、国内メディアでは唯一NHKで報じられているのですが、このNHKの記事自体にいろいろ不思議な点が多数あるので、ロイター通信の記事と比べてみます。
NHKニュース 2007年9月21日 11:52
来年秋のアメリカ大統領選挙に向けた与党共和党の指名争いでトップを走るジュリアーニ前ニューヨーク市長は、アフガニスタンでのテロとの戦いに勝利するため[*2]、日本のような主要国は、NATO・北大西洋条約機構への加盟を検討すべきだという考えを示しました。
これは、共和党の大統領候補に名のりを上げているジュリアーニ前ニューヨーク市長が20日、バージニア州で記者会見[*1]して述べたものです。この中で、ジュリアーニ氏は、テロとの戦いに勝利するためには、アフガニスタンで軍事作戦を行っているNATOを地球規模に拡大すべきだとしたうえで、新たな加盟候補国について「わたしが考えているのは、インド、オーストラリア、シンガポール、イスラエル、そしてもちろん日本だ[*3]」と述べ、日本のような主要国はNATOへの加盟を検討すべきだという考えを示しました。
そのうえで、ジュリアーニ氏は「これらの国々はすべて、テロに進んで対抗しようとしているうえ、テロに対処する最良の方法は攻撃だということを理解している[*4]」と述べました。ジュリアーニ氏の発言は、テロとの戦いを支援するため、海上自衛隊がインド洋で行っているアメリカ軍の艦船などへの給油活動を評価し、日本に対し、さらなる国際的な貢献を求める考えを示したもの[*5]と受け止められています。
そして以下がこのニュースを最初に報じたロイター通信の記事の全訳です。このニュースはその後、アメリカ数紙、ロシア、マレーシア、オーストラリアで報じられていますが、NYタイムズと英テレグラフを除いてこのロイター通信の記事を元に書かれてると思われます。NHKの記事に対応する部分に同じ色でハイライトをしてあります。
訳中の色のついた部分をクリックすると、NHKの記事の該当部分が新ウィンドウで開きます。注釈番号をクリックすると、比較検証が新ウィンドウで開きます。

イスラエルと日本もNATOに加盟を ジュリアーニ前市長
ロイター通信 2007年9月19日
アドリアン・クロフト
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【ロンドン:ロイター通信】共和党の大統領候補のルディー・ジュリアーニ氏は19日、イスラム原理主義との戦い[*2]への提案の一つとしてオーストラリア、インド、イスラエル、日本、シンガポールのNATO加入を認めるべきとの考えを示した。
ロンドンの英米の保守団体[*1]に対してジュリアーニ氏は、イスラムテロに対し英米は共に立ち向かうべきであり「敗北主義と妥協のための時間はない」と語った。
またジュリアーニ氏は、イラク撤退の「見積もりのタイムテーブル」を除外し、英軍のためのそのようなタイムテーブルをゴードン・ブラウン英国首相が拒絶したのは正しい事だとした。
勝利とは「我々に対するテロ戦争における」米国の同盟国としてのイラクをどのような状態に保つ事が出来るかによりけりである[*2]と、2008年11月の選挙でブッシュ大統領の後任としての共和党の最有力候補のジュリア−ニ氏はそのように語った。
ジュリアーニ氏は、イラク戦争はもっと大規模な戦争のごく一部に過ぎず、米英両政府はアフガニスタンに引き続き注意を払い、更に努力をするべき[*2]だとした。
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近年、防衛同盟は広がっているが、現在の加盟国は北米とヨーロッパの26カ国である。
拡張した米軍への募集
米国の戦争による疲弊が増す中、先週ブッシュ大統領はイラクからの段階的な撤退を指示したが、当然ながら急激な変化は受け入れなかった。
元英国首相も出席した「マーガレット・サッチャー・大西洋の橋」と題された最初のレクチャー[*1]でジュリアーニ氏は、冷戦後に米軍の規模が縮小され過ぎているとし、米軍の拡張の必要を訴え、「我々は少なくとも10戦団を新たに加える必要があり、更に増強する必要が恐らくあるだろう」とし、イスラムテロだけでなく「対国家の大規模戦争」に直面する可能性を米国は考えるべきであるとした。
ジュリアーニ氏は、イランが核兵器を持つ事を認めない事を米国は明確するべきであると表明していた。彼はブラウン首相とブレア前首相、イスラエルのエフード・オルメルト首相と共にこの数日イランに関して議論をした[*5]と言った。
イランが核兵器を開発していると西側は疑っているが、イラン政府は核開発計画は発電目的としている。
ジュリアーニ氏は「米国の方針は非常に明確であるべきであり、彼等が核パワーとなる事を止めさせる事が我々の最大の関心事であり、そのためには手段は問わない[*5]」とした。
以下比較。
*1. 発言場所
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NHKが独自のインタビューをしたという可能性もあり。しかしそれにしては全体の記事内容がロイター通信が報じた19日のロンドンでの講演と殆ど同じであると言うのも不自然。
*2. NATO枠を拡げる名目
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*3. 国の順番
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*4. それらの国を挙げた理由
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*5. 発言の意図
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このNHKの記事はどうも無理矢理ジュリアーニ発言とテロ特措法を結び付けて誘導を行なってるようにしか見えません。それにこのNHKの書き方は何と言うか、何でも日本がまず一番関心の的であると、いささか「皆様のNHK」は視聴者サービスが過ぎるのでは? 読んでいてこっちが恥ずかしい(苦笑) 自衛隊はそもそも給油だけで実質的に戦力にならないのだから、発言に関して全てに優先してまず日本を念頭に置いてるなんて事はないでしょう。
このNHKの不思議な記事、要するにジュリアーニ氏が「NHKの単独記者会見」を20日にバージニア州で開いて、ロンドンでの発言をそっくりそのまま繰り返して、更にNHKにリップサービスをしたと、そういう事がない限りは、こんな記事あり得ないのではないかと思いますが。そもそもアメリカのメディアが一切「バージニア州での記者会見」を報じてない点がなお不自然。
そんな事よりもジュリアーニはイランとの戦争をやる気満々ですね。イランは上海協力機構のオブザーバーですが、同じく上海協力機構オブザーバーのインドはNATO側からラブコールを送られて人気者のようです。
関連エントリー:
・ジュリアーニ前市長は地理で落第だ (2007.9.26)
・宗教右派、ジュリアーニ氏を忌避 (2007.10.4)
このエントリーが紹介されているブログ:
・実は郵政民営化見直し潰し (UNCHAIN ☆牧村しのぶのBlog☆) 2007年11月7日 15:12
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