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イルカ狂によるニセ写真の乱用


 2010年にシーシェパードが太地町でネガキャンを始めて以降、特にツイッターやフェイスブックが盛んになった2012年度以降はシーシェパードもドルフィンプロジェクトも発信の場をブログやウェブサイトからこれらのソーシャルメディアをメインに切り替えているが、特に2012年度以降はツイッターやFBにおいてそれらの団体の影響を受けた支持者による太地町の漁師や関係者に対する狂気に満ちたサイバーハラスメントやネガキャンの拡散行為やスパム行為などがエスカレートしている。

 それらのネチズンは以前より長崎県壱岐の1970年代のイルカ駆除の写真や、1990年代の静岡県富戸のイルカ漁、千葉県和田のツチクジラの解体写真、挙げ句の果てにはフェロー諸島の追込み捕鯨の写真を太地町だと偽って使用するケースが目立っていたが、最近に至っても更に見るからに太地町のものでない写真やフェイク写真の流血画像を日本人ユーザーに送りつけるなど嫌がらせが横行している件を複数の方から連絡を頂いた。

 この捏造行為は流石に目に余るため、これらの写真の実際の出所を調査してみた。

*このエントリーは検証のため本物偽物を含む流血イルカの死骸等の画像が掲載されているためご了承下さい。

写真:ツイッターユーザー「Helen Tam-Sammens」がポストしたニセモノ写真の例


フォトショップ作品「悪魔のイルカ」

 まず非常によく出回っているこの写真だが、このイルカ狂はこれをあたかもイルカ漁における流血イルカかのように用いている。
 しかし、これは見るからにイルカに鮫の歯を合成した写真であり、画像の不自然さは以前から指摘されていた。

 この写真の出所は、『Worth1000』というシカゴの写真コンテストサイトで2006年5月に行われた「第6回悪魔の動物達」という写真エフェクトコンテストに応募のあった51のエントリー写真のうちの一枚で、ユーザー「oaydin」によって「悪魔のイルカ」のタイトルでエントリーされたフォトショップ作品である。[>>1]

oaydin. "evil dolphin". Worth1000, May 19, 2006, 2:55:53PM.

 写真に付録して制作者のコメントがついているが、これはつまり、ジョーズばりの凶暴イルカに調教師が食べられてしまったというジョーク写真であり、口の周りに血が滴り水が赤く着色されサメの歯が合成されているのは凶暴さの演出である。
 しかしこの血まみれ風の合成加工写真がイルカ狂のニーズに合ってしまったのは、これが作られた2006年当時には作者も想像しなかっただろう。

 イルカ漁の残虐演出のための流血画像ならなぜ歯をサメにする必要があるのかが不可解だったのだが、案の定元々全く別な趣旨で作られた画像だった。

 オリジナルに比べてイルカ狂バージョンは色調調整で赤い色が強調されているのはお約束である。[>>2]

 この写真はその後オオカミ+イルカの『Wolfin』などネタ写真として拡散されていたが、アニマル狂のネタになったのは今年に入ってからである。

 ちなみにコラ前の元画像の所在は不明であるが、イルカが水面から顔を出して口を開けている様子は、イルカ触れ合いパーク等で餌をねだるイルカの写真によく見られる図である。

"Dolphin". The Top 10.




干魃で保護された揚子江スナメリ

 この写真は、イルカが涙を流すという擬人化厨が大喜びしそうな写真であり、捕獲されたイルカが泣いているかのようなキャプション「私達と同じように彼等も泣く!」がつけられるなどしてイルカ狂の間で拡散されているが、これは太地町で捕獲される種のイルカではなく、勿論これも太地町の写真ではない。

 これは2011年5月20日に中国湖北省の揚子江イルカ保護区における大干魃の際に保護された揚子江スナメリの写真であり、周りにいるのは保護区職員と研究スタッフである。

『流泪的江豚』. 生態環保図書館.

 この保護されたスナメリの目から「眼粘液」が流れ落ちている様子が映っている写真から、中国メディアではまるでイルカが干ばつで泣いているようだといった報じられ方がされていたが[>>3]、この「眼粘液」とは水中で高速で泳ぐイルカの目を保護する粘性のある液体であり、イルカが悲しくて泣くという事は勿論ない[>>4]
 しかしこれもイルカ狂のニーズに合ってしまった一枚である。

 これはやはり同様に鼻腔の構造から常に涙を流しているように見えるアザラシはキャンペーンに最適だとシーシェパードが進出したなど、根拠のない感情論に訴えかける安易なツールである。





イギリスの石油流出事故で海岸に打ち上げられたマイルカの死骸

 また最近よく出回っているのがこの流血イルカの写真である。しかしこれも見るからに太地町のイルカ漁の写真ではない。
 これは太地町で捕獲されている種類のイルカではなく、目から集中的に出血している状況もおかしい。

 この写真の出所は、イギリス南部ドーセット州ポートランドビルの『ポートランド野鳥観察&フィールドセンター』の2007年1月23日のレポートにおける、海岸に打ち上げられていたマイルカの死骸の写真である。

 元写真と比べるとイルカ狂バージョンは縁をトリムしてわざわざ木製の台の存在を分りにくくし、イルカの口の部分をトリムして種類を分りにくくしている“確信犯”である。


"Latest news - January 2007". Portland Bird Observatory and Field Centre.

 この5日前の1月18日にコンウォール州沖のイギリス海峡で悪天候で座礁した貨物船からの200トンの燃料流出事故があり、数百羽の油まみれの海鳥や大型コンテナや大量の瓦礫とともにこのチェシル湾にも2頭のイルカの死骸が打ち上げられている。[>>5]

 目の部分が集中的に出血しているのは漂着後に海鳥に襲われたと見られる。[>>6]

Coles. John. "3 dolphins die at wreck coast". The Sun,, January 23, 2007.

"Tide of death" Dorcet Echo, Tuesday, 23 January 2007.




ペルーのイルカ漁

 またこのイルカ狂がポストしていたこの写真も太地町ではなく、これは昨年10月に問題になっていたペルーのイルカ漁の写真である。[>>7]

 これはナショナルジオグラフィックの記事にも掲載された写真なので説明は不要だろう。

Manning, Alexis. "Dolphin Slaughter Fueled by Illegal Shark Trade". National Geographic, October 24, 2013.


 昨今ツイッターでは、日本人のアニマル狂のユーザーが残虐画像を拡散させて強制的に目に入れさせる行為や、全く関係ない動物の写真に勝手な残虐ストーリーを加えて拡散させる行為などが随分と批判されているが、こういった関係ない写真の転用行為は海外イルカ狂の間でも随分と横行しているのが現状だ。(了)





脚註:

  1. ^ 一方、イルカ狂の間で出回っているバージョンではロシアの写真サイト『SPOX.RU』のロゴがあるが、オリジナル左下にあった『Worth1000.com』のロゴが不自然に消されている痕跡があり、投稿時期からもこちらのコンテストがオリジナルとなる。

  2. ^ 『ザ・コーヴ』の屠殺シーンの海水の色が不自然に赤い事から着色疑惑が指摘されているのは有名な話である。また、1979年に壱岐のイルカ屠殺を撮影したハーディ・ジョーンズが後年にドキュメンタリー『イルカを護る者』(2005) で映像を使用した際に、当初よりも赤色を強調した映像になっていた事も指摘されている。参考:関口 雄祐. 『イルカを食べちゃダメですか? 科学者の追い込み漁体験記』. (2010: 光文社新書).;福田 礼. 『The Cove批判動画「An Investigation of The Cove. (ザ・コーヴの調査)」』. Kujira Talk, 2011.6.5.

  3. ^ 新華網. 『長江江豚大旱中面臨生存考驗』 新浪新聞中心, 2011年5月26日.

  4. ^ 新江ノ島水族館.

  5. ^ 解剖が行われなかったためイルカの死因は厳密には特定されていないが、地元の環境団体はイルカが石油を飲み込んだのではないかと推測している。"Dead dolphins linked to shipwreck?". Metro, Tuesday 23 Jan 2007 10:00 pm.

  6. ^ 事故現場から漂着した海岸まで100km以上離れている点や、体表に石油の影響がない事から関連性自体が謎であると当時はそういった報道がされていたが、まだ新しい血液が流れ落ちている点から、石油を摂取した事による何らかの出血や、瓦礫で損傷したという可能性よりも、石油摂取で中毒を起こし5日後に漂着した時点では生きており、海鳥に襲われて出血したというのが一番考えられる原因である。なお石油事故のタイミングで5頭のイルカが漂着した事から関連性が取りざたされたが、一方で大型の群れを作るマイルカが石油事故で犠牲になったのが5頭のみというのも不自然である。しかし解剖が行われなかったため死因は謎のままである。

  7. ^ このイルカ漁の何が問題になったかというと、サメ漁の餌としてイルカを捕獲していた事と、この捕獲がペルーで違法だった点である。 CNN.co.jp, 2013.10.24.

参考サイト・資料:

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