最近のエントリーで、対テロ戦争に強行姿勢で、米共和党の大統領最有力候補の元ニューヨーク市長のジュリアーニ氏の話題を扱いましたが、今度は共和党の内紛の模様です。
更新2007年10月02日 11:30米国東部時間
共同通信/Front Line News
米共和党の有力な支持母体になっているキリスト教右派の間で、次期大統領選の同党候補に中絶や同性愛の権利に寛容な立場のジュリアーニ前ニューヨーク市長が選ばれた場合、同氏を支持せず第3党の候補者擁立を模索する動きが表面化してきた。
支持率で首位を維持しているジュリアーニ氏にとって致命的な打撃となるだけでなく、共和党分裂の危機にもなりかねず、混戦の共和党候補指名争いに一層拍車がかかりそうだ。
ニューヨーク・タイムズ紙によると、キリスト教右派の有力者が9月29日にソルトレークシティーに集まり、ジュリアーニ氏が共和党候補になれば「第3党の候補擁立を考慮する」との方針でほぼ一致した。(共同)
さて、この共同通信の元ネタになっているのが以下のニューヨークタイムズの記事。
2000年11月7日のブッシュVSゴアの大統領選では旧南部と中西部とロッキー地区が共和党、旧北部とシカゴ近辺の州、そして西海岸が民主党ときれいに分かれたのが:
その翌年911が起こり、2001年10月のアフガニスタン侵攻、2003年3月20日のイラク戦争と続いた後の2004年11月2日のブッシュVSケリーの選挙では:
その4年間の政治状況はそれぞれの政党の支持には殆ど影響していない。
以下はアメリカ人のうち正式に宗教組織に属している人口の率の分布図ですが、これを見ると厳密な関連とは言えないまでも、宗教色の強い地域に共和党の支持率が高い傾向があるようにも見えます。それにしてもユタ州 (UT) とノースダコタ州 (ND) の宗教色が著しく高い。
都市部に住んでいると普段聞こえるのはアンチブッシュやアンチ共和党の声ばかりですが、その理由の大半がブッシュの戦争に関する事であり、共和党が次回政権を取るような事などあり得ないような勢いですが、でもどうして地方ではリベラルが支持されないのかと言うのは、宗教的な理由も大きいように見えます。
ニュ−ヨークなど東海岸旧北部や、カリフォルニアなど西海岸は移民も多くマイノリティの権利の主張が強いのは理解出来ますが、メキシコ系やキューバ系移民、黒人の多い南部が共和党支持である辺り一貫してないようではありますが、他の要因の方が大きいのでしょうか。
それでは以下ニューヨークタイムズの記事。

ジュリアーニ氏は第三の脅威を引き起こす
デヴィッド・D・カークパトリック
ニューヨーク・タイムズ、2007年10月1日
【ワシントン/9月30日】妊娠中絶の権利を支持しているルドルフ・W・ジュリアーニ氏が共和党の大統領候補に指名される可能性が、有力なキリスト教右派が第三の候補を支持するという動きによって脅威に晒されている。
![]() Brendan Smialowski/Getty Images トニー・パーキンス氏などのキリスト教右派の有力者達は、ルドルフ・W・ジュリアーニ氏に代わる候補擁立を模索するグループの一部。 |
そこでの小グループのミーティングに出席した殆ど全員が、「もし共和党が妊娠中絶に前向きな候補を指名するなら、我々は第三の候補の擁立を考慮する」と書かれた決議を支持すると表明したと、その会合の参加者はそう語っている。
![]() リチャード・ヴィグエリー氏 (Photo: C-Span) |
アイオワ州やサウスカロライナ州の有権者の1/3以上を占めるなど、福音派プロテスタントの白人層が共和党の支持者の大部分を占めるため、キリスト教右派の有力者達の造反はジュリアーニ陣営にとって大きな逆風になりそうだ。
![]() Joe Cavaretta/South Florida Sun-Sentinel via Associated Press 『フォーカス・オン・ザ・ファミリー』のジェームズ・C・ダブソン代表 |
ジュリアーニ氏の社会問題に対するリベラルな考えにキリスト教右派からの批判の声が高まっているにも関わらず、『ピュー・リサーチセンター』(Pew Research Center) の最近の世論調査では、福音派プロテスタントの白人層の過半数がジュリアーニ氏を支持しているとの結果が出ている。
この会合に参加していないその他の勢力は、二つの巨悪のましな方としてジュリアーニ氏を支持している可能性もある。例えばパット・ロバートソン牧師が設立した『クリスチャン放送ネットワーク』(Christian Broadcast Network) はジュリアーニ氏とその陣営をこれまでも大きく扱って来た。
![]() ゲリー・バウアー氏 (Photo: Mike Huckabee President 2008) |
ジュリアーニ氏を支持するテキサス共和党員でジュリアーニ陣営の広報担当のピート・セッションズ代表はキリスト教右派に対する返答として、「我が国が必要とする行政経験豊かでリーダーと認められた候補者に保守派は集結している」とし、テロとの戦いと「財政の規律」に強いジュリアーニ氏のような「民主党指名候補に勝てる」候補者が共和党には必要であると語った。
![]() ピート・セッションズ下院議員 (Photo: Bill Clark) |
この決議を是認したグループの関係者は、ワシントンにおけるこの一連の動きの交渉人であるパーキンス氏から、共和党予備選挙の状況の査定の報告を受けて、それが目標に達していると語った。パーキンス氏はまた、もしキリスト教右派の有権者の多いフロリダ州をジュリアーニ氏が征する事が出来たなら彼には予備選挙の勝算があるとし、ジュリアーニ陣営応援の勢いを止めるのは今が絶好のチャンスであるとした。
さてここで日本人には余り馴染みのない団体名がズラズラ出て来て訳が分からないので、英語版ウィキペディアから抜粋してみます:
Council for National Policy
国家政策会議 (CNP) は米国の保守活動家ネットワークの傘団体。ニューヨークタイムズは「国内右派の実力者の数百人からなる知名度の低い団体」と記述し、密室の会議を秘密の場所で年三回行うとされる。この団体は25年前に右派のフォーラムとして、国家を右方向に動かす戦略を練るためティム・ラヘイ牧師によって創設された。
Focus on the Family
フォーカズ・オン・ザ・ファミリー (FOTF) は米国の福音派グループ。この非営利団体は1977年にジェームズ・ドブソンによってコロラド州コロラドスプリングに創設された。フォーカス・オン・ザ・ファミリ−はこの10年間に知られるようになった多くの福音派の準教会組織の1つ。アメリカのキリスト教徒の権利、その主要な部分は宗教的モラルの公的方針に関する各宗派間のやりとりを助長するものであり、この組織自体はそのあり方を「世界中の家族を養育し守る事に貢献し」、家族のモラルを守ることにあると、そのように記述している。
Family Research Concil
ファミリー研究会議 (FRC) はキリスト教徒の権利のための非営利のシンクタンクとロビー組織。1981年に米国でジェームス・ドブソンによって設立され、1983年に法人となった。団体は議会の保守的な法律制定運動のロビー団体として結成され、1980年代後半に正式にドブソンの組織フォーカス・オン・ザ・ファミリーの一機関となった。しかし1992年にグループのロビー活動に関する国内国歳入庁の懸念から運営部が分かれる事になった。この団体の機能は伝統的な家族の価値観を促進すること。現在の代表はトニー・パーキンス。
ファミリー研究会議は、離婚、同性愛、妊娠中絶などを含む問題で、社会的に保守的な考えを促進するのに関わっている。
Christian Broadcasting Network
クリスチャン放送ネットワーク (CBN) は米国のキリスト教テレビネットワーク。本部と主なスタジオがバージニア州バージニアビーチにある。1961年にパット・ロバートソン牧師によって設立された。
前エントリーで、ジュリアーニ氏に関して書かれた英語ブログのコメント欄を訳しましたが、その中にジュリアーニ氏の政策をケチョンケチョンに言っている人がいて・・・ああなるほどそういう事ですか。
ジュリアーニ氏は共和党でもリベラルサイドの人物であり、ジュリアーニ氏がキリスト教右派から攻撃を受けているのは、宗教的戒律に関わる事であって、ここでブッシュ大統領を含む共和党の支持層の過半数が福音派プロテスタント層であると、前回はジュリアーニ氏がユダヤ票を狙っていると散々だったニューヨークタイムズが今回は、ややジュリアーニ擁護に廻っている点が興味深い所です。
来年の大統領選で前回の2回とまた同じような結果になるのかどうかが見物ではありますが、どうもアメリカでは宗教が政治に及ぼす影響が大きい印象です。まあそもそもシオニズムとかネオコン陰謀説とか石油利権やら軍需産業など巷にはいろいろありますが、どうも根本的な部分でアメリカは「リベラルVSキリスト教右派」みたいな構図も見えます。
おまけ:
そう言えばこんなニュースもありました。
アメリカ・オハイオ州のシンシナティ市にオープンした「天地創造博物館」が、大きな物議を醸しています。
天地創造博物館は、ハイテク技術を駆使して、科学者の多くが否定する地球の歴史を描いている。観客は「真実を知ることができて、いいですね」と話した。
この博物館では、聖書の「創世記」を科学的に証明し、「地球は数百万年前ではなく、6000年前に神が創造し、恐竜はアダムとイブと一緒に誕生した」と主張している。観客の子どもは「僕は、神が6日間でつくったと思う」と話した。「生き物は皆、草食だった」との聖書の記述から、ティラノサウルスも草を食べたと解説している。
しかし、多くの科学者は批判的で、全米科学協会理事は「(ティラノサウルスが)この歯で、アスパラガスがかめますか。肉食なんです」、「笑って済ませられない問題ですよ」と述べた。
アメリカでは、35%の人々が「聖書に書かれたことは、文字通りの事実だ」と考えていて、科学者たちは、博物館がこうした状況を後押ししかねないと困惑しているという。
[魚拓]
特にコメントはありません。
関連エントリー:
・日本もNATOに加盟を ジュリアーニ前市長 NHK報道の怪 (2007.9.24)
・ジュリアーニ前市長は地理で落第だ (2007.9.26)
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