今度はワシントンポストの19日の記事で沖縄の抗議集会が報じられたとの事を、20日付の琉球新報が報じているとの情報を『狼魔人日記』さんから頂き、取り合えず目を通してみたのですが、見てみたらびっくり、元のワシントンポストの記事に書かれてもいない事や、凄まじい曲解、超訳がオンパレードの物凄い記事なので、元記事の訳と琉球新報記事の比較検証をしてみました。これはもう笑うしかない記事です。
まあそもそも、これがワシントンポストの記事と言っても、記事を書いたのはロイター通信東京特派員のイザベル・レイノルズ記者で、ワシントンポストがロイター通信の記事を掲載したというだけの話であって、琉球新報でワシントンポストをまず前面に出すというのが、外圧記事によくあるパターンの事大主義精神というかブランド趣味がよく表れています。
以下が問題の琉球新報の記事ですが、色のついた部分をクリックするとロイター通信の該当部分が別ウィンドウで表示されます。参照番号部分をクリックすると比較検証が別ウィンドウで開きます。

「自決」強制証言を紹介 米・ワシントンポスト紙
琉球新報 2007年10月20日(土) 16:04
米大手紙ワシントン・ポストは19日、文部科学省の高校歴史教科書検定で沖縄戦における「集団自決」の日本軍強制の記述をめぐる記事を掲載し、検定の削除をめぐって日本が2つに揺れている[*1]と報じた。
記事は東京発ロイター通信が配信したもので、10代のころに従軍看護婦だった女性の「日本軍が自決を強制した」という証言[*2]を中心に紹介している。自決した民間人の数は琉球新報の調査結果によると少なくとも995人[*3]で、沖縄戦で死亡した20万人以上のうち約半数が民間人で、沖縄の苦しみは戦後も続いている[*4]、と伝えている。
3月の高校歴史教科書の検定で「集団自決」軍強制記述の削除意見決定して以来、検定意見撤回を求める県民大会が開催され、実行委員会が要請に訪れ、最近になって初めて政府側が反省の意を伝えたと紹介[*5]。戦時中の日本軍に関する記述では、日本政府がこれまでアジア諸国と繰り返してきた論争が、国家間の「ねじれ」を生みだしていると伝えた[*6]。
また、各国の教科書採用システムについても触れ、「日本の歴史教科書は日本政府の公式見解に等しいもの」とのアンドリュー・ホーバット東京経済大学の教授の意見を用いながら、検定委員の在り方にも疑問を提示[*7]。スベン・サーラー東京大学准教授の「沖縄は1972年に復帰したが、今回の論争で、まだまだ日本政府が沖縄を日本とみなしてないのが明白になった。まるで日本と植民地という構図」[*8]と日本政府の姿勢を批判した。
(平安名純代本紙ロサンゼルス通信員)
<ニュース用語>ワシントン・ポスト紙
1877年創刊の全米で最古の歴史を持つ新聞。70年代に当事のニクソン米大統領を辞任に追いこんだウォーターゲート事件の報道で国際的名声を手にした。
以下、ワシントンポスト紙に掲載されたロイター通信のイザベル・レイノルズ記者の記事です。

教科書論争における日本の歴史観の分裂[*1]
ロイター通信 2007年10月19日 0:12 EDT
イザベル・レイノルズ
【東京:ロイター通信】第二次大戦の終わりにかけて日本兵が沖縄住民に手榴弾を配った時、中山きくさんと友人達はそれが何のためのものであるか分かっていたと言う。
当時彼女は10代の従軍看護婦。彼女が働いていた医療所が米軍接近に伴い見捨てられた時、自分の事は自分で面倒見るように言われた。
「手榴弾を渡され、それは自決のために使うべきであると私達は皆そう解釈しました[*2]。多くの人は二個与えられ、一つを敵に投げつけもう一つで自害するように言われていました」と中山さんは言った。
日本南部の沖縄島の20万人以上の人々が3ヶ月の猛烈な戦いで死亡し、その半数は民間人だった。
沖縄住民の中には、鬼と教えられていたアメリカ人に捕えられるよりもむしろ、自害したり身内によって殺害された人々もいた。どれだけの人々がそのようにして命を落としたかは分かっていないが、最近地元紙の琉球新報はその数は少なくとも995人であるとしている[*3]。
78歳の中山さんは、今年3月に日本政府が、兵士が住民の自決を強要したとの記述を削除するように高校教科書の出版社に指示をした件で憤慨した沖縄県民の一人である。
右翼歴史学者が「日本の自虐戦史観」と呼ぶものの払拭を望んでいた事で知られる保守主義者、安倍晋三前首相の元でその動きは始まった。
中山さんは数週間身を隠し、そして米軍に捕えられた。「私にはそれが恥辱でした。日本人は決して戦争捕虜になってはいけないと繰り返しそう教えられて来たので、捕まったのが私達だけだと思っていたのです」と中山さんはインタビューでそう語った。
政府の指示に対する9月の抗議集会では主催者発表によると10万人以上の人々が集まったと言う。そして今週は167人の議員団が政府に直接抗議するために東京に行った。
この騒動は、日本軍の戦争責任に関する数十年に亘る論争における国内のねじれである。その論争は日本政府とアジアの近隣諸国との関係に常に付きまとっている[*6]。
歴史とは政治である
沖縄の集団自決の記述の修正は、教科書修正のロビー活動を行なって来たナショナリスト学者達によって推進され、その教科書は戦時中アジアにおける日本の残虐行為を白塗りするものだと評論家に批判されている。教科書問題は2005年に中国で散発した反日暴動の一つの原因となっている。
「教科書は北東アジアにおいて歴史が政治の道具にされてる一例に過ぎません。教科書は歴史に関する政府の公式声明であると理解されています」と東京経済大学のアンドリュー・ホーバット教授はそのように分析した。
日本の教科書は政府検定員認可のものでなければならず[*7]、例えば学校が教材を自由に選べるイギリスとは対照的である。
専門家によると、ドイツには地域毎の教科書検定があるがそれが歴史論争に巻き込まれた事はないとの事だ。
東アジアのその他の国では日本をモデルとしてるのに近い[*7]。
ドイツのゲオルグ・エッケルト国際教科書研究所会員の専門家・クラウディア・シュナイダー氏によると、中国の教科書は政府発行、韓国も同様であり、台湾は一極検定システムを持っていると言う。
別々の過去
また沖縄の反発はこの諸島の独自の過去を思い出させるものである。その記憶が本土への恨みを奮起させるのである。
かつて琉球王国として知られた沖縄は中国との結びつきがあり、日本の一部になったのは19世紀の事である。
同化の過程は苦痛を伴い、年配の沖縄県民は、遅くとも1960年代までは、学校で方言を話す事への厳しい罰が与えられた事を思い出すと、怒りをあらわにする[*4]。
戦後の米国の沖縄占領は1972年に終わったが、沖縄には駐日米軍基地の大半があり、それがもう一つの不満の原因である。
東京大学のスヴェン・サーラ助教授 (歴史) は「沖縄は日本の一部でないと言ってもいいでしょう。それは日本と元植民地の間の問題なのです」[*8]と述べた。
教科書の出版社は、集団自決への軍の関与の記述を復帰する許可を文科省に申請する準備をしている。
前任の安倍前首相とは対照的に、福田康夫首相は沖縄の抗議運動に理解を示している[*5]。
抗議側はもう無駄に出来る時間がないと言う。
沖縄県議会の仲里利信議長は今週の記者会見で「私は戦時中に生きた人々の一人ですが、あと10年経ったら85歳です。その年齢まで目撃者として活動出来るかどうか分かりません」と語った。
http://www.reuters.com/article/worldNews/idUST896120071019
[魚拓 1 2 3 4]
![]() 宜野湾市海浜公園 (Photo: 内閣府沖縄総合事務局) |
こんな記事を全国版の新聞で書いたら、英語を読める人など沢山いるのだからバレるに決まっているので、そんな大胆な事は普通の神経では出来ないと思うのですが、地方紙はこんなもんなんでしょうかね?
平安名記者が沖縄独立論者である事は想像に難くありませんが、その記事には凄まじい被害者意識と「結論先にありき」「目的のためには手段を問わない」の論理があります。朝日新聞はもっと慎重に記事を書くし、感情に流れがちな東京新聞でもここまでバレバレの捏造はしないでしょう。
一方このロイター通信の記事ですが、記事を書いたイザベル・レイノルズ記者は、ロイター通信国際記者という肩書き以外の詳しいプロフィールは分かりませんが、現在東京駐在のようで、以前は読売新聞英語版の記事も書いていたようです。
前エントリーのNYタイムズの大西記者のように、すでに東京新聞や沖縄タイムスに登場した人物のインタビューなどを孫引き記事にしたのと違い、彼女の場合は独自のインタビューを行なっているようで、そもそもインタビュー取材はよくやってる方のようです。
レイノルズ記者のスタンスとしては、戦時中の日本軍は残虐であり、沖縄は日本に不本意に併合されたとの前提の欧米のリベラル系メディアにありがちな視点で、米国占領下の沖縄での日本語教育の問題を恰も日本が悪いかのように書くなど全く見当違いの内容も含むにせよ、それでも形としては比較的中立を保ち、自分の意見としてよりもインタビュー相手に語らせるという無難な書き方に収めています。
追記:
狼魔人日記さんによると、白梅同窓会会長の中山きくさんは沖縄タイムスの8月31日の記事[魚拓]に登場している事が分かりましたので、訳文中の中山さんの名前の表記を修正しました。なお、ロイター記事には沖縄タイムスには書かれてない内容が含まれてるため、いずれにしてもレイノルズ記者によるインタビューは行なわれたものと思われます。
追記2:
平安名純代記者は、ロサンゼルスの日本語新聞『羅府新報』の副編集長という肩書きで以下のページのリンクで、本人の声を聞く事が出来ます。在米12年との事です。
■おきなわBBtv ラジオ沖縄世界のウチナーンチュネットワーク
http://www.okinawabbtv.com/bbtv_infomation/lequios/rok/index.htm
*ページ下の星条旗の下の「Play」をクリック。
*このページを開くと自動的にメディアプレイヤーで辛子明太子の宣伝が開くのでそれではありません。
■羅府新報
http://www.rafu.com/jp.html
ご訪問有り難うございました。
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以下比較検証:
*1. 検定の削除をめぐって日本が2つに揺れていると報じた。(琉球新報)
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*2. 10代のころに従軍看護婦だった女性の「日本軍が自決を強制した」という証言 (琉球新報)
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*3. 自決した民間人の数は琉球新報の調査結果によると少なくとも995人で (琉球新報)
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- この995人という数字は琉球新報のウェブ上には見当たらないので、紙面上のみで発表されたという事でない限りは、琉球新報からロイター通信のイザベル・レイノルズ記者に直接提供された事になる。
- いずれにしても、ロイターでは「数は分からない」と書いてある前半部分を琉球新報ではカットしているので、恰も自社の調査がワシントンポストの太鼓判を貰ったような印象を与える書き方。
- それから、この部分のロイター記事では、米軍に捕まるよりも自害したり身内に殺害されたという書き方で、微妙に自発的なニュアンスなので、琉球新報では当然カットされたという事でしょうか。
*4. 沖縄の苦しみは戦後も続いている、と伝えている。(琉球新報)
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- 「沖縄の苦しみは戦後も続いている」という記述はロイター記事のどこにもない。
- 方言に対する厳罰が1960年代まであったという部分がせいぜいそれに近いような内容ですが、1960年代はアメリカ占領下の時代でその頃の沖縄には日本復帰運動があった訳で、アメリカ占領下において、方言の規制と日本語標準語教育を行なったのは沖縄内部の問題であり、恨む相手が違う。
*5. 最近になって初めて政府側が反省の意を伝えたと紹介。(琉球新報)
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*6. 戦時中の日本軍に関する記述では、日本政府がこれまでアジア諸国と繰り返してきた論争が、国家間の「ねじれ」を生みだしていると伝えた。(琉球新報)
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*7. また、各国の教科書採用システムについても触れ、「日本の歴史教科書は日本政府の公式見解に等しいもの」とのアンドリュー・ホーバット東京経済大学の教授の意見を用いながら、検定委員の在り方にも疑問を提示。(琉球新報)
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- ロイター通信の記事では、ホーバット教授は「北東アジアにおいて」としてるものを、琉球新報では主語に「日本」が加えられているため、日本だけを批判してるような印象を与える書き方。北東アジアと言うなら、韓国、北朝鮮、中国、ロシア辺りを指すのでは?
- 「東アジアのその他の国は日本をモデルにしてるのに近い」と言う記述からすれば、日本の検定委員のあり方に疑問を提示してるとは言えない。
*8. スベン・サーラー東京大学准教授の「沖縄は1972年に復帰したが、今回の論争で、まだまだ日本政府が沖縄を日本とみなしてないのが明白になった。まるで日本と植民地という構図」と日本政府の姿勢を批判した。(琉球新報)
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これを「捏造記事」と言わずして何になるのか?
このエントリーが紹介されているブログ:
・「自決」強制証言を紹介 米・ワシントンポスト紙 (狼魔人日記) 2007-10-22 06:43:57
関連エントリー:
・またオーニシか! 沖縄抗議集会 琉球新報報道の怪 (2007.10.14)
・沖縄集団自決問題 NYタイムズ記事検証 (2007.10.17)
・沖縄のレイプ事件 海外での報道 (2008.2.16)
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