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イラク戦争時に米軍が英兵士を誤爆、コックピット生映像がTVに流出 - 英国

 4年前の2003年3月に、イラクで米軍攻撃機が英軍を誤爆し英兵を死亡させた事件に関して、数日前に英国ザ・サン紙が報じたニュースに関して、昨日『歩く花』さんのエントリー「言葉のチカラ」で朝日新聞とAFPの訳の内容の食い違いへの疑問が呈されている関係で、その検証としてザ・サン紙の記事の全訳をやってみた。

 ザ・サン紙の記事には、誤爆を行った米軍機のコクピットビデオの15分余りの会話記録が全文掲載されているが、『歩く花』さんのエントリーで問題にされていたのは、朝日新聞が2月9日に報じた記事では、炎上する英軍車両を見ながら米軍パイロットが歓喜の声を上げたなど非常に極悪非道な書かれ方をしていて、一方でAFP通信では朝日新聞の訳とは随分ニュアンスが違うという点である。

Photo: © SKY NEWS


米の英軍車列誤射、映像あった 大衆紙暴露で提出へ
朝日新聞 2007年02月09日11時44分

 イラク戦争が始まった直後の03年3月末、同国南部バスラ近郊で米軍攻撃機が英軍の車列を誤射し、英兵1人を死亡させた際の音声付きの映像が6日、英大衆紙サンに暴露された。「機密扱い」を理由に映像の存在を遺族側に否定してきた米英国防当局は一転、3月から再開される英兵の死因審問に証拠として提出することを認めた。ブレア英首相は7日、下院での党首討論で「遺族に苦痛を与えたことを深く後悔している」と死因究明の遅れをわびた。

 問題の映像は、米軍機2機の操縦士が標的を十分確認しないまま、車列を旧フセイン政権下のイラク軍と思い込み、2回にわたり攻撃を加えた際のやりとりが生々しく記録されていた。

 操縦士の一人は、攻撃で炎上する車両を見ながら、「逃げてるぜ」と歓喜の声をあげた。その直後、英軍への誤射により1人が死亡、1人が負傷したことが明らかになると「ちくしょう、これで刑務所送りだ」「気分悪いぜ」と吐き捨てた

 攻撃で死亡した英陸軍のマティー・ハル伍長代理(当時25)の妻で、小学校教諭のスーザンさん(30)は7日付のサン紙のインタビューで、「操縦士たちがいとも簡単に夫を殺したと知り、打ちのめされた」と語った。映像の存在を再三にわたり否定してきた英国防省の姿勢を批判しつつ、検視官による死因審問での真相究明を求めた。


 つまりこれだけ読めば、このパイロットが残虐非道で利己的な人物という印象を受ける。

 以下が、無線通信の様子をもう少し詳しく書いたAFP通信の記事。これは朝日新聞の記事の3日前の報道。

イラク戦争時に米軍が英兵士を誤爆、コックピット生映像がTVに流出 - 英国
AFP通信 2007年02月06日 20:26 発信地:英国

写真は、サン紙が入手し、スカイニューズ・テレビで6日に放送された米軍ジェット機のコックピット映像の一部。英軍装甲車を誤爆直後と思われる。© AFP/SKY NEWS

【ロンドン/英国 6日 AFP】英サン(Sun)紙は6日、イラク戦争開戦から8日後の2003年3月28日、戦地で英国軍兵士が空爆により死亡した事件の重要証拠とみられる米軍ジェット機内のコックピット映像の一部を入手した。この映像から、英兵士空爆が米軍の誤爆であったことが明らかになった。

 英国人兵士が乗った4台の「オレンジ色の車両」を、米軍が「オレンジ色のミサイル」と誤認したことが原因とみられる。誤爆したのは、米軍のA-10サンダーボルト・ジェット2機に搭乗した2人のパイロット。

 コックピット映像には音声も含まれており、誤爆に至るまでの経過が克明に記されている。
(会話は一部省略しています)


パイロット1:「車両4台発見。オレンジ色のパネルが見える。このエリアに友軍は?」

米軍地上管制官:「北に800メートルの地点だな?」

パイロット2:「北に800メートルを確認。このエリアに友軍はいない。私は西に回るので、君に攻撃を任せる」

パイロット1:「了解。市内に進入される前に1台目を爆破しよう」

パイロット2:「急げ。早くしろ」

パイロット1:「了解。ああ、ロケット・ランチャーが見えるな」

パイロット1:「爆破完了」

 サン紙によると、このときにパイロット1は英国軍部隊を誤爆。装甲車2台を爆破し、英国人兵士1人が犠牲となった。

パイロット2:「命中だ。・・・・・・ゴーグルをつけたからよく見えるようになった・・・・・・やっぱり友軍ではなさそうだな」

パイロット1:「大慌てで逃げてるぞ。どうだ、見えるか?」

パイロット2:「ああ、友軍じゃない」

管制官:「近くに友軍がいるから気をつけてくれ。黄色の小型装甲車だ」

パイロット2:「なんだって!? まずいな・・・・・・煙が見える」

管制官:「すぐに戻れ。非常にまずい事態だ」

(ここでパイロットがののしる声がしきりに聞こえる)

管制官:「途中にも友軍がいるから注意してくれ」

パイロット2:「了解。ええと、先ほどの友軍の現状は?」

管制官:「1人死亡、1人負傷との連絡があった」

パイロット2:「了解。・・・・・・なんてこった」

パイロット1:「・・・・・・どうすりゃいいんだ」

パイロット2「聞いたか? 刑務所行きだな」

米軍空中警戒管制機(AWACS):「管制、A-10は友軍を誤爆した。作戦失敗だ」

英国軍パイロット:「作戦失敗、作戦失敗」

(ここでまた、米軍パイロットの罵り声がしきりに聞こえる)

パイロット1:「くそっ・・・・・・どうすりゃいいんだ(涙声)。・・・・・・オレンジ色のパネルが、ロケットに見えただけだ。それに、管制官も友軍はいないって言ったのに


 AFPの記事で受ける印象は少なくとも朝日新聞とはかなり違うにせよ、こちらに関しても問題ありで、AFPの交信記録は会話の90%が省略された「一部省略」とは到底言えない代物。特に誤爆に至るプロセスが省略され過ぎて全く不明になっており、更に多少の誤訳もある。

 結局のところ元の会話を全て見て見ない事には何とも言えないので、ザ・サン紙が発表したコクピットビデオをチェックしてみた。
 ザ・サン紙は2月6日にウェブサイト上で17分にわたるコクピットビデオを発表し、同日の記事で音声のテキスト全文を掲載している。以下は該当記事の冒頭部分および問題のコクピットビデオである。



(クリックで拡大画像)
米軍A-10サンダーボルト機が4台の車両を発見しイラク軍と判断。その一機が車両に降下爆撃、6秒間数百発の30ミリ砲で機銃掃射を行う。
A-10は正体不明の餌食の周りを旋回し、98秒後に同機が2回目の掃射を行う。地上では装甲自動車隊兵士のクリス・フィネリー(18)が燃えるタンクから仲間を引きずり出すのに奔走した。
ジェット機が離れた時、無線士がA-10に中止命令を伝える。友軍兵士を殺害した事実にパニックに陥ったジェット機パイロットは刑務所に送られるのを恐れ、掃射したパイロットは泣き崩れた。
彼等が隠したかったテープ
トム・ニュートン・ダン(国防記事担当)
2007年2月6日 ザ・サン紙 (英国)


 これはハウスホールド機甲部隊への悪夢のような攻撃の最中のコールサイン[1]「ポポフ36」からのコクピットビデオの会話の全文である。
*1. コールサイン=無線呼び出し符号

 15分以上に及ぶこのビデオは、A-10サンダーボルト機のパイロットが4台の英軍車両を発見する直前から始まっている。

 現地時間は16:36、軍用のグリニッジ標準時は13:36である。

 2機目のA-10で殺人攻撃を行った僚機の操縦士のコールサインは「ポポフ35」。

[そのショッキングなビデオはここをクリック]

 通信網のその他の主なコールサインは「マニラホテル」「マニラ34」「ライトニング34」で、これら3つは英軍部隊に配属された地上の米海軍前線航空統制官である。

 その後、その他のコールサインが攻撃中止の緊急指令を伝達するためにネットワークに加わった。

 それらは航空戦闘全体を統制している米軍AWAC[2](空中警戒管制機)の「スカイチーフ」と近くにいた英軍パイロットの「コスタ58」である。
*2. 原文ママ。『AWACS』の間違い



訳者による解説と表記:
  1. これは無線の会話で元々文章の体をなしていない部分が多いため、そのニュアンスはそのまま訳してある。
  2. ザ・サン紙の原文のミスと思われるところは、鍵括弧内に訂正を示してある。
  3. 人物がコールサイン名で表されていてどれが誰だか分かりにくいため、その立場を[]内に表記。
  4. 10秒以上空いてる場合は2行、20秒以上空いてる場合は3行のスペースを入れてある。
  5. パイロットの罵倒語の部分は対訳不可能。

 時分秒のタイムコードは操縦席のディスプレイのデジタル時計から。

−ここから交信記録−
Transcript starts.

13:36.30 マニラホテル [米航空統制官1]
マニラホテルからポポフへ。その(ロケット弾)砲とそれらの車両に関して確認したい。
POPOV from MANILA HOTEL. Can you confirm you engaged that tube and those vehicles?

13:36.36 ポポフ35 [パイロット1]
間違いない。貴隊の砲弾(着弾地点)の北約800mに数台の車両を見つけたと思う。攻撃を変更、攻撃をシフト、それらの車両に砲撃が出来るか?
Affirm Sir. Looks like I've got multiple vehicles in advance at about 800 meters to the north of your arty [artillery] rounds. Can you switch fire, and shift fire, and try to get some arty rounds on those?


13:36.47 マニラホテル [米航空統制官1]
了解。それは先ほど君が見た私のカウントでの砲撃のことだな?
Roger, I understand that those are the impacts that you observed earlier on my timing?

13:36.51 ポポフ35 [パイロット1]
その通り。
Affirmative.

13:36.52 マニラホテル [米航空統制官1]
了解。スタンバイ。彼等が別な任務についてないか確認する。
Roger, standby. Let me make sure they're not on another mission.

13:36.57 ポポフ36 [パイロット2]
車両4台発見。それらの上にはオレンジ色のパネルがあるように見えるが。このエリアに友軍はいるのか?
Hey, I got a four ship. Looks like they've got orange panels on them though. Do we have any friendlies up in this area?

13:37.03 マニラホテル [米航空統制官1]
北に800mと了解している。
I understand that was north 800 metres.

13:37.12 マニラホテル
ポポフ、北に800mと了解したが?
POPOV, understand that was north 800 metres?

13:37.16 ポポフ35 [パイロット1]
確認する、北に800m。この北の地上に友軍はいないことを確認したい。
Confirm, north 800 metres. Confirm there are no friendlies this far north on the ground.

13:37.21 マニラホテル [米航空統制官1]
間違いない。味方の軍はいないので安全である。
That is an affirm. You are well clear of friendlies.

13:37.25 ポポフ35 [パイロット1]
了解した。複数の軍用車両 (riveted vehicles) が見える。平台型貨物トラックが数台とその他は緑の車両。種類は分からない。ZIL157(イラク軍使用のロシア製のトラック)のようにも見える。
Copy. I see multiple riveted vehicles. Some look like flatbed trucks and others are green vehicles. Can't quite make out the type. Look like may be ZIL157s [Russian made trucks used by Iraqi army].


13:37.36 マニラホテル [米航空統制官1]
了解。我々の情報筋と一致する。それからターミナル管制のためにもう一機の固定翼機がこの攻撃に加わるので了解頂きたい。
Roger. Matches our Intel up there. And understand you also have the other fixed wing up this push? For terminal control, if you can.

13:37.44 ポポフ35 [パイロット1]
それは有り難い。彼とはまだ交信していないが。
I'd love to. I didn't talk to him yet.

13:37.46 マニラホテル [米航空統制官1]
了解。「キャスパー」もこの攻撃に参加する筈だ。2匹のスーパートムキャットだ。
Roger, I believe CASPER is up this push too. Two Super Tomcats.

13:37.54 ポポフ35 [パイロット1]
どうだ?
Hey dude.

13:37.56 ポポフ36 [パイロット2]
路上に4台の車両が等間隔に北に向かってるのが見える。
I got a four ship of vehicles that are evenly spaced along a road going north.

13:38.04 ポポフ36
右手2時を見下ろしてくれ、10時下、そこには、左手10時下、運河沿いの北を見てくれ、そこだ。集落の丁度南に近付いて来る。
Look down at your right, 2 o'clock, at 10 o'clock low, there is a, uh - left 10 o'clock, look down there, they're heading north along that canal, right there. Coming up just south of the village.


13:38.21 ポポフ35 [パイロット1]
等間隔? 機銃掃射をした所か?
Evenly spaced? Where we strafed?

13:38.23 ポポフ36 [パイロット2]
違う違う、もっと東・・・もっと西、そこだ。そこに4台か5台がある、丁度その向きだ。
No. No. Further east - further west, right now. And there's four or five of them right now heading up there.

13:38.29 ポポフ35 [パイロット1]
駄目だ。君の機体が視界にない。
No, I don't have your visual.

13:38.30 ポポフ36 [パイロット2]
俺は後方6時にいる。別に見えなくても不思議はない。
I'm back at your 6 - no factor.

13:38.31 ポポフ35 [パイロット1]
分かった。それで運河は何処だ?
OK, now where's this canal?

13:38.35 ポポフ35
向こうにあるF-18にぶつかるなよ。
Don't hit those F18s that are out there.

13:38.38 ポポフ36 [パイロット2]
分かった。お前に従うよ。丁度、南北に流れる運河が見える。小さい集落があって、等間隔に並んでいる車両がある。
OK. Right underneath you. Right now, there's a canal that runs north/south. There's a small little village, and there are vehicles that are spaced evenly there.


13:38.49 ポポフ36
オレンジのパネルをつけているように見えるが。
They look like they have orange panels on though.

13:38.51 ポポフ35 [パイロット1]
ここから北には誰もいないと管制官は言っていた。友軍はいない。
He told me, he told me there's nobody north of here. No friendlies.

13:38.52 ポポフ36 [パイロット2]
そうだが。そこだ。丁度川の上。
I know. They're right on the river.

13:38.53 ポポフ35 [パイロット1]
車両が見えるが、仲間かもしれないぞ。
I see vehicles though, might be our original dudes.


13:39.09 ポポフ36 [パイロット2]
何かオレンジのものをつけている。
They've got something orange on top of them.

13:39.10 ポポフ35 [パイロット1]
ポポフからマニラ3 [マニラ34?] へ。マニラ34はこのエリアにいるのか?
POPOV for MANILA 3, is MANILA 34 in this area?

13:39.14 マニラホテル [米航空統制官1]
もう一度。
Say again?

13:39.15 ポポフ35 [パイロット1]
マニラホテル、マニラ34はこのエリアにいるのか?
MANILA HOTEL, is MANILA 34 in this area?

13:39.19 マニラホテル [米航空統制官1]
いや、彼等はもうそこにはいないと了解している。
Negative. Understand they are well clear of that now.

13:39.23 ポポフ35 [パイロット1]
分かった。受信した。さっき話した複数の軍用車両、それらは平型貨物トラックに見える。それが我々のターゲットか?
OK, copy. Like I said, multiple riveted vehicles. They look like flatbed trucks. Are those your targets?

13:39.30 マニラホテル [米航空統制官1]
その通り。
That's affirm.

13:39.31 ポポフ35 [パイロット1]
分かった。
OK.

13:39.34 ポポフ36 [パイロット2]
一つ質問がある。
Let me ask you one question.

13:39.35 ポポフ35 [パイロット1]
何だ?
What's that?


13:39.45 ポポフ36 [パイロット2]
(マニラホテルに)ここへの攻撃のためにどんなタイプのロケット・ランチャーを準備してるんだ?
[to MANILA HOTEL] Hey, tell me what type of rocket launchers you got up here?

13:39.50 ポポフ36
あれはロケット・ランチャーだと思う。
I think they're rocket launchers.

13:39.52 マニラホテル [米航空統制官1]
(聞き取れず)慌てずにもう一度言ってくれないか。
... [garbled] You were stepped on, say again.

13:39.54 ポポフ35 [パイロット1]
マニラホテル、北800mに砲撃をしてくれ。それから何をするか見極めよう。
MANILA HOTEL, fire your arty up that 800 metres north, and see how we do.

13:40.01 マニラホテル [米航空統制官1]
了解。砲撃スタンバイ。彼等は今砲台の照準を合わせているところだ。
Roger, standby for shot. They are getting adjustments to the guns now.

13:40.34[04] ポポフ35 [パイロット1]
了解。
Copy.

13:40.09 ポポフ36 [パイロット2]
右翼を上げて真下を見てくれ。
Roll up your right wing and look right underneath you.

13:40.12 ポポフ35 [パイロット1]
(ムっとして)君が何を言ってるのかは分かっているよ。
[angry] I know what you're talking about.

13:40.13 ポポフ36 [パイロット2]
いやまあ。彼等はオレンジのロケット砲を搭載しているぞ。
OK, well they got orange rockets on them.

13:40.17 ポポフ35 [パイロット1]
オレンジのロケット砲?
Orange rockets?

13:40.17 ポポフ36 [パイロット2]
そうだと思う。
Yeah, I think so.

13:40.18 ポポフ35 [パイロット1]
見てみる。
Let me look.

13:40.26 ポポフ35
そろそろ帰った方がいいと思う。
We need to think about getting home.

13:40.29 ポポフ36 [パイロット2]
燃料計が3.6だ。
3.6 is what it says [a fuel measurement].

13:40.31 ポポフ35 [パイロット1]
いや俺は時間のことを言っているんだ。
Yeah, I know. I'm talking time wise.

13:40.35 ポポフ36 [パイロット2]
このいまいましいロケット弾発射機を破壊したら凄いことになるぞ。
I think killing these damn rocket launchers, it would be great.

(少しの間テープが聞き取れない)
(The tape then becomes garbled)


13:40.52 マニラホテル [米航空統制官1]
ポポフ36、こちらマニラホテル。もう一機の戦闘機がこの攻撃のために出撃する。私の所に来るかは分からないが、誰か他の人がこの緊急作戦を担当しているかもしれない。
Yeah, POPOV36, MANILA HOTEL. I've got other aircraft up this push. Not sure they're coming to me. Someone else might be working this freq.

13:41.00 ポポフ35 [パイロット1]
マニラ34が担当してる。割り込め割り込め。
Yeah, MANILA34 is working them, break, break.


13:40[41].12 ポポフ36 [パイロット2]
見えるぞ。これから旋回降下する。見てろよ。
Yeah, I see that, you see I'm going to roll down.

13:40[41].15 マニラ34 [米航空統制官2]:
割り込み。私と一緒にチェックインしない限りはマニラ34がF-18を担当することはない。以上。
Break, be advised MANILA3,4 is not working the F18s unless they are trying to check in with me, over.

13:41.21 ポポフ35 [パイロット1]
了解。
Copy.

13:41.24 ポポフ36 [パイロット2]
車両の上のオレンジ色のものが見えるか?
OK, do you see the orange things on top of them?

13:41.32 マニラホテル [米航空統制官1]
マニラホテルからポポフ36へ。クリムゾン (陸軍武器隊) に変えることは出来るか?
POPOV 36 from MANILA HOTEL. Are you able to switch to Crimson?

13:41.37 ポポフ36 [パイロット2]
ポポフ36は旋回進入する。
POPOV 36 is rolling in.

13:41.40 マニラホテル [米航空統制官1]
まだ言うことがある。
Tell you what.

13:41.41 ポポフ35 [パイロット1]
俺は西に抜ける。お前も旋回進入するんだ。まさしく俺達が話していた通りに見えるぞ。
I'm coming off west. You roll in. It looks like they are exactly what we're talking about.

13:41.49 ポポフ36 [パイロット2]
目視確認。
We got visual.

13:41.50 ポポフ36
先頭車両が集落に入る前に捕える。
OK. I want to get that first one before he gets into town then.

13:41.53 ポポフ35 [パイロット1]
奴を捕らえろ。
Get him - get him.

13:41.55 ポポフ36 [パイロット2]
よし、ロケット・ランチャーみたいな奴をしとめる。二番機は南から北へ旋回進入、二番機進入。
All right, we got rocket launchers, it looks like. Number 2 is rolling in from the south to the north, and 2's in.

13:42.04 ポポフ35 [パイロット1]
しとめろよ。
Get it

(ポポフ36は攻撃のために「旋回進入」し、英軍車列にA-10を垂直降下させ、シミター装甲車2台を破壊し、騎兵連隊伍長勤務のマティ・ハル上等兵が殺害された)
POPOV36 "rolls in" for an attack and turns his A-10 into a vertical dive to strafe the British column, destroying two Scimitar armored vehicles and killing L/Cpl of Horse Matty

13:42.09
ー 銃撃音 ー
- GUNFIRE -

13:42.18 ポポフ35 [パイロット1]
お前の西に抜けたぞ。
I'm off your west.

13:42.22 ポポフ35
命中だ。
Good hits.

13:42.29 ポポフ36 [パイロット2]
目視確認した。
Got a visual.

13:42.30 ポポフ35 [パイロット1]
目視確認。お前のベスト10の出来だ。
I got a visual. You're at your high 10.

13:42.31 ポポフ36 [パイロット2]
やった。
Gotcha.

13:42.30[38] ポポフ36
お前の思っていた通りだったな。
That's what you think they are, right?

13:42.39 ポポフ35 [パイロット1]
俺にはそう見えたし、今も目を凝らしてじっと見てるところだ。
It looks like it to me, and I got my goggles on them now.



13:42.59 ポポフ35
OK。降下しながら見ているところだ。
OK, I'm looking at getting down low at this.


13:43.13 マニラホテル [米航空統制官1]
マニラホテルからポポフへ。空爆は・・・
POPOV 36 from MANILA HOTEL, guns . . .

13:43.17 マニラホテル
土手[斜面]のターゲットを狙う。
To engage those targets in the revetts [slopes].

13:43.24 ポポフ36 [パイロット2]
逃げ出してるぞ。ははは、これはお前が考えていた奴らか?
It looks like he is hauling ass. Ha ha. Is that what you think they are?


13:43.34 ポポフ36
1 - 2

13:43.35 ポポフ35 [パイロット1]
味方の軍には見えないな。
It doesn't look friendly.

13:43.38 ポポフ36 [パイロット2]
もう一度南から進入する。
OK, I'm in again from the south.

13:43.40 ポポフ35 [パイロット1]
分かった。
Ok.

13:43.47
ー 銃撃音 ー
- GUNFIRE -

13:43.54 ライトニング34 [米航空統制官3]
ポポフ34、こちらライトニング34。
POPOV 34, LIGHTNING 34.




[ビデオのPart 2はここから]

13:44.09 ポポフ35 [パイロット1]
こちらポポフ35、ライトニング34どうぞ。
POPOV 35, LIGHTNING 34 GO.

13:44.12 ライトニング34 [米航空統制官3]
了解。ポポフ。エリアボックス3122と3222に友軍がいる。黄色い小型装甲車だ。気をつけられたし。
Roger, POPOV. Be advised that in the 3122 and 3222 group box you have friendly armor in the area. Yellow, small armored tanks. Just be advised.

13:44.16 ポポフ35 [パイロット1]
あー、しまった。
Ahh s***.

13:44.19 ポポフ35
嘘だろ?
Got a - got a smoke

13:44.21 ライトニング34 [米航空統制官3]
ポポフ34[35?]、作戦を中止せよ。お前たちは、我々は非常にマズい状況になったかもしれない。
Hey, POPOV34, abort your mission. You got a, looks we might have a blue on blue situation.

13:44.25 ポポフ35 [パイロット1]
畜生。ああ神様。
F***. God bless it.

13:44.29 ポポフ35
ポポフ34[マニラ34?]
POPOV 34.

13:44.35 ポポフ35
畜生、畜生、畜生
F***, f***, f***.

13:44.36 マニラ34 [米航空統制官2]
ポポフ34[35?]、こちらマニラ34。私のさっきの交信を聞かなかったのか?
POPOV34, this is MANILA 34. Did you copy my last, over?

13:44.39 ポポフ35 [パイロット1]
確かに聞いた。
I did.

13:44.47 ポポフ35
運河の横にいるのが友軍かどうか確認してくれ。
Confirm those are friendlies on that side of the canal.

13:44.51 ポポフ35
何てこった。
S***.

13:44.58 マニラ34 [米航空統制官2]:
ポポフ、スタンバイしろ。
Standby POPOV.

13:45.04 ポポフ36 [パイロット2]
神様、恨むぞ
God dammit.


13:44[45].14 マニラホテル [米航空統制官1]
ポポフ36、こちらマニラホテル。
Hey POPOV 36, from MANILA HOTEL.


13:44[45].25 マニラ34 [米航空統制官2]
OK。偏東距離3-4のすぐ西、その上の堤防、3422エリアは我々の友軍がいる所だ。どうぞ。
OK POPOV. Just west of the 3-4 easting. On the berm up there, the 3422 area is where we have our friendlies, over.


13:44[45].39 ポポフ35 [パイロット1]
分かった。ポポフ35は頭がラリっている。友軍がどんな状態だか教えてくれ。頼む。
All right, POPOV 35 has smoke. Let me know how those friendlies are right now, please.

13:44[45].45 マニラ34 [米航空統制官2]
了解。スタンバイ。
Roger, standby.

13:44[45].49 ポポフ35 [パイロット1]
戻らなくては。
Gotta go home dude.

13:44[45].50 ポポフ36 [パイロット2]
つまり、俺達はハメられたんだ。
Yeah, I know. We're f***ed.

13:45.54 ポポフ35 [パイロット1]
くそう
S***.

13:46.01 ポポフ36 [パイロット2]
旋回円を横切ったので君は3時の方向下方にいる。
As you cross the circle, you are 3 o'clock low.

13:46.03 ポポフ35 [パイロット1]
了解。
Roger.

13:46.12 ポポフ35
ポポフ35は燃料がない。何が起こっているかを知らせてくれ。
POPOV 35 is Bingo. Let us know what's happening.

13:46.15 マニラホテル [米航空統制官1]
了解。我々はお前達のために情報を集めているところだ。待機せよ。
Roger. We are getting that information for you right now. Standby.

13:46.20 ポポフ36 [パイロット2]
畜生。
F***.


 [約30秒沈黙]

13:46.47 マニラ34 [米航空統制官2]
ポポフ、こちらマニラ34、どうぞ。
POPOV, this is MANILA 34 over.

13:46.51 ポポフ35 [パイロット1]
どうぞ
Go

13:46.55 マニラ34 [米航空統制官2]
ポポフ4[35?]、こちらマニラ34、どうぞ。
POPOV 4, MANILA 34 over.

13:47.01 ポポフ35 [パイロット1]
どうぞ。
Go.

13:47.02 マニラ34 [米航空統制官2]
我々は最初の報告を受けている。一名死亡、一名負傷。どうぞ。
We are getting an initial brief that there was one killed and one wounded, over.

13:47.09 ポポフ35 [パイロット1]
了解。基地に戻る。
Copy. RTB [returning to base].


13:47.18 ポポフ35
気が狂いそうだ。
I'm going to be sick.

13:47.24 ポポフ36 [パイロット2]
ああ畜生。
Ah f***.


 [約30秒沈黙]

13:47.48 ポポフ35 [パイロット1]
聞いたか?
Did you hear?

13:47.51 ポポフ36 [パイロット2]
ああ、この大へまだ。
Yeah, this sucks.

13:47.52 ポポフ35 [パイロット1]
俺達は刑務所送りだな。
We're in jail dude.

13:47.59 ポポフ36 [パイロット2]
あぁぁぁーーー
Aaaahhhh!


13:48.12 スカイチーフ [米空中警戒管制システム]
マニラ、こちらスカイチーフ、どうぞ。
MANILA this is SKY CHIEF over.

13:48.18 マニラ34 [米航空統制官2]
こちらマニラ34、スカイチーフへ。
This is MANILA 34, send SKY CHIEF.

13:48.22 コスタ58 [英パイロット]
スカイチーフ、スカイチーフ、こちらコスタ58。
SKY CHIEF, SKY CHIEF. COSTA 58.

13:48.25 マニラホテル [米航空統制官1]
スカイチーフ、こちらマニラホテル。
SKY CHIEF, this is MANILA HOTEL.

13:48.30 コスタ58 [英パイロット]
スカイチーフ、スカイチーフ、こちらコスタ58。
SKY CHIEF, SKY CHIEF. COSTA 58.


13:48.41 スカイチーフ [米空中警戒管制システム]
TWINACTの中継。A-10機は友軍攻撃をした。
Relaying for TWINACT, the A-10s are running on friendlies.

13:48.47 コスタ58 [英パイロット]
ポポフ35、こちらコスタ58。TWINACTのメッセージを中継する。中止せよ。中止せよ。
POPOV 35, this is COSTA58. Relaying message for TWINACT. Abort, abort。

13:48.54 スカイチーフ [米空中警戒管制システム]
マニラ、A-10機が友軍攻撃とは、一体何をどのように受信したらそんな事になるのか。中止せよ。どうぞ。
MANILA how copy A-10s are running against friendlies. Abort. Over.


13:49.07 コスタ58 [英パイロット]
TWINACTより。中止せよ。中止せよ。
From TWINACT, abort, abort.

13:49.11 ポポフ35 [パイロット1]
ポポフ35、中止する。
POPOV 35 aborting.

13:49.14 コスタ58 [英パイロット]
我々はTWINACTに中継返信する。
We will relay that back to TWINACT.

13:49.18 ポポフ36 [パイロット2]
畜生。神様なんてクソッタレだ。
F***, God f***ing s***.


[約1分間沈黙]

13:50.21 ポポフ36
畜生呪ってやる。
Dammit. F***ing damn it.


[約1分間沈黙]

13:51.17 ポポフ36 [パイロット2]
神様なんて呪ってやる。俺を殺しやがれ(泣き声)
God dammit. F*** me dead [weeping].

13:51.25 ポポフ35 [パイロット1]
聞いてるか?
You with me?

13:51.27 ポポフ36 [パイロット2]
ああ。
Yeah.

13:51.30 ポポフ35 [パイロット1]
友軍はいないと言っていたのに。
They did say there were no friendlies.

13:51.33 ポポフ36 [パイロット2]
そうだ。オレンジのパネルをつけたものに騙された。オレンジのロケット弾を装備してるように見えたんだ。
Yeah, I know that thing with the orange panels is going to screw us. They look like orange rockets on top.



13:51.48 ポポフ35 [パイロット1]
テープはまだ動いているか?
Your tape still on?

13:51.49 ポポフ36 [パイロット2]
ああ。
Yeah.

13:51.54 ポポフ35 [パイロット1]
こちらのテープはもう終わりだ。
Mine is end of tape.

−交信記録終わり−
Transcript ends


[訳=岩谷] (原文:英語)
Dunn, Tom Newton. The tape they wanted to hide. The Sun, February 7, 2007. [新URL]

*原文で伏せ字になってる放送禁止用語の「F***」は「Fuck」、「S***」は「Shit」。

*全文を読むとパイロット(特にポポフ36)がもう一機の「キャスパー」が来るのを待たずに独断で暴走していた様子が分かる。






朝日新聞の記事の検証

 問題の朝日新聞の超訳だが、以下に原文と比較をしてみる。

朝日新聞:
『操縦士の一人は、攻撃で炎上する車両を見ながら、「逃げてるぜ」と歓喜の声をあげた。その直後、英軍への誤射により1人が死亡、1人が負傷したことが明らかになると「ちくしょう、これで刑務所送りだ」「気分悪いぜ」と吐き捨てた。』
The Sun:
 一人の兵士が車両から燃える仲間を引きずりだしている様子を見下ろし、彼は「逃げ出してるぞ。ははは」と発言している。… その直後パイロット達は無線で事実を知らされた。事実に驚いた「ポポフ35」は、「よう、俺達は刑務所送りだな」と言い、「ポポフ36」は基地に戻りながら「神様ちくしょう。俺を殺しやがれ」と泣き崩れた。
Looking down at the chaos as a soldier drags burning comrades from the vehicles, he adds: "It looks like he is hauling ass. Ha Ha."... Moments later the pilots are told the truth over the radio. As they take in the horror, POPOV35 says: "We're in jail dude". POPOV36 weeps as they return to base: "God dammit. F*** me dead."

 パイロットが「吐き捨てた」と取れる部分はサン紙の記事や交信記録のいずれにもない。ちなみに記事には「weeps」(嘆き悲しむ)、交信記録には括弧入りで「weeping」と書いてある(前記事付録の図解の3番に「breaks down and weeps」とあるので訳文には「泣き崩れた」を採用。実際ビデオの音声では半泣き状態に聞こえる) 。それに原文のどこにも「歓喜の声をあげた」とは書いていないし、ビデオの音声を聞いても至って平坦に話している。

 「気分が悪いぜ」は恐らく交信記録13:47.18の「I'm going to be sick」をそう訳したのかもしれないが、これは「うんざりする」の意味から「気が変になる」までの意味を含むので、文脈から考えて当ブログとしては「気が狂いそうだ」に訳した。

 二人のパイロットを一人にまとめてしまうなどいい加減さもさる事ながら、文章を組み替えたりして敢えてパイロットを悪人に仕立てている意図が見えるように思われる。





余談:

 正直、この軍事用語とスラングだらけの英文訳は通常の記事や会話とも使われている言葉が違い、無線通信と言うものはまた特殊な言い方が目立つため、かなりリサーチが必要な作業だった。

 例えばAFPの記事では、「Got a smoke」を「煙」とか「煙幕弾」と訳しているが、本物の煙なら「a」はつかない訳で、「a」がついた場合は一般的には「タバコをくれないか?」の意味になる。

 しかしこの状況でタバコや煙幕団が出て来る筈もなく、この場合は「実体のない物」→「空気を掴まされた」→「無意味なことをした」→「まずい状況である」と言うニュアンスで用いられているように見える。

 AFPは「abort」を「作戦失敗」と訳しているが、「abort」の本来の意味は「堕胎」なので、つまり「強制的に止める」と言う意味が第一にあり、これは動詞なので「中止せよ」の意味になる。「Abort」を「失敗」と訳すのは結果論であり、その場に於いては「中止せよ」「全て撤回せよ」のニュアンスになる。

次回に続く
mixi日記 2007年02月12日12:59



特集『米軍機による英軍誤爆事件』
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 2. 命中の浮かれ騒ぎは一転して戦慄に (2007.2.14)
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