Red Fox

命中の浮かれ騒ぎは一転して戦慄に

 前エントリーの米軍機による英軍誤射撃事件に関して、ザ・サン紙が分析記事を書いています。これは2月6日の交信記録の記事と同じ日に出たもので、朝日新聞はこの記事も参考にしたものと思われます。


独占取材『命中の浮かれ騒ぎは一転して戦慄に』
トム・ニュートン・ダン (国防記事担当)
ザ・サン紙 2007年2月6日

恐怖・・・左写真のマティ・ハル兵長は装甲車の中で右写真と同型の米軍の対戦車砲搭載機の攻撃によって死亡した。中央の写真は英軍護衛隊に2度に渡って攻撃した殺人パイロットの視界を映している。そこには友軍のマークがはっきり映っているにも関わらず。右写真:ロイター通信

 ザ・サン紙は本日、イラク戦争において米国A-10対戦車砲搭載機のパイロットがルールを侵して英軍護衛隊を銃撃した驚くべき真実の全てを発表した。

 本紙は2国間関係の渦中にあるコクピットのビデオテープを入手した。それは実戦未経験の2人のパイロットが6つの重大なミスを侵したことを記録している。彼等は騎兵連隊伍長勤務のマティ・ハル兵長(25)を死亡させハウスホールド機甲部隊の4台の戦車に深刻なダメージを与えた。

[そのショッキングなビデオはここをクリック]

 テープは、コールサイン「ポポフ36」のパイロットが攻撃中に、呆れる程に満足げな様子であることを記録している。彼はもう一人のパイロット、コールサイン「ポポフ35」に「奴をしとめろ!」と煽られている。

 一人の兵士が車両から燃える仲間を引きずりだしている様子を見下ろし、彼は「逃げ出してるぞ。ははは」と発言している。


悲しみ・・・マティさんの遺体が帰国

 2回目の銃撃は98秒後である。その直後パイロット達は無線で事実を知らされた。事実に驚いた「ポポフ35」は、「俺達は刑務所送りだな」と言い、「ポポフ36」は基地に戻りながら「神様なんて呪ってやる。俺を殺しやがれ」と泣き崩れた。

 ハル兵長の死亡に関する調査を行っているオックスフォードシャー州の検視官はこの「最高機密」のビデオテープを見ていたが、国防軍と米政府は彼の裁判出廷を拒んだ

 ウィルトシャー州在住のハル兵長の未亡人のスーザンさんは、そのテープは存在しないと聞かされていた。スーザンさんは昨夜「ついにこの事件が公になったことで私は救われました。夫の人生の最後の時を彼等がここまで気楽に雑談していたなんて、私には信じられません」と語った。

 国防軍の高官は、米国防省との絆は堅くどのような機密も出さないことに固執している。しかし我々はこのテープにどのような秘密もないことを明らかに出来る。これは恥ずべきことである。

 この悲劇は2003年3月28日、サダム・フセイン政権を転覆させるためのイラク侵略の7日間の間に起こった。2機の一人乗り低速ジェット機は、バスラの25マイル北のイラク第6軍の大砲とロケット弾発射機を破壊する2時間の任務の終わり近くの出来事だった。


怒りを表すスーザンさん

 彼等は英軍部隊に配属された米海軍前線航空統制官の誘導と、そして地図や情報、自身の目視でターゲットに向かっていた。

 同時刻、英軍装甲車(2台のシミターと2台のスパルタン)の護衛隊は敵の前線を探るために北に向かっていた。彼等は米パイロットが攻撃を禁じられていたエリア内にいて、航空機に対して友軍であることを示すオレンジのパネルをつけていた。また熱反射板同盟国旗もつけていた。


 4千メートルの高度を旋回しながら、A-10機はイラク車両を700m北に、英警備隊を西5km弱に発見していた。最初のミスは、米国前線航空統制官のコールサイン「マニラホテル」にイラク軍の近くに友軍がいないかどうか、彼等が聞いた時の事である − 西側に向かってでなく。二つ目のミスは、二人のパイロットのいずれもがハウスホールド機甲部隊の正確な位置の照合をせず、識別確認のダブルチェックをしなかった事である。

 三番目のミスは、友軍を示すパネルをオレンジのロケット弾発射装置と信じ込んでいた事である。

 四番目のミスは、「ポポフ36」が前線航空統制官の許可なしに「旋回進入」すると言い攻撃を決めている事である。「ポポフ35」は混乱を解決するために砲隊にターゲットエリアに照明弾を打ち込むように要請している。

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イラク戦争時に米軍が英兵士を誤爆、コックピット生映像がTVに流出 - 英国

 4年前の2003年3月に、イラクで米軍攻撃機が英軍を誤爆し英兵を死亡させた事件に関して、数日前に英国ザ・サン紙が報じたニュースでが昨日『歩く花』さんのエントリー『言葉のチカラ』で取り上げられた関係で、そこでの疑問への検証としてザ・サン紙の記事の全訳をやってみました。まず前提として『歩く花』さんのエントリーから御覧頂いた方が前提が分かり易いと思います。

 ザ・サン紙の記事には、誤爆を行った米軍機のコクピットビデオの15分余りの会話記録が全て掲載されていますが、『歩く花』さんのエントリーで問題にされていたのは、朝日新聞が2月9日に報じた記事では、炎上する英軍車両を見ながら米軍パイロットが歓喜の声を上げたなど非常に極悪非道な書かれ方をしていて、一方でAFP通信ではビデオの会話の一部が紹介されていて、その内容では、朝日新聞の記事とは随分ニュアンスが違うという点です。

Photo: © SKY NEWS
米の英軍車列誤射、映像あった 大衆紙暴露で提出へ
朝日新聞 2007年02月09日11時44分

 イラク戦争が始まった直後の03年3月末、同国南部バスラ近郊で米軍攻撃機が英軍の車列を誤射し、英兵1人を死亡させた際の音声付きの映像が6日、英大衆紙サンに暴露された。「機密扱い」を理由に映像の存在を遺族側に否定してきた米英国防当局は一転、3月から再開される英兵の死因審問に証拠として提出することを認めた。ブレア英首相は7日、下院での党首討論で「遺族に苦痛を与えたことを深く後悔している」と死因究明の遅れをわびた。

 問題の映像は、米軍機2機の操縦士が標的を十分確認しないまま、車列を旧フセイン政権下のイラク軍と思い込み、2回にわたり攻撃を加えた際のやりとりが生々しく記録されていた。

 操縦士の一人は、攻撃で炎上する車両を見ながら、「逃げてるぜ」と歓喜の声をあげた。その直後、英軍への誤射により1人が死亡、1人が負傷したことが明らかになると「ちくしょう、これで刑務所送りだ」「気分悪いぜ」と吐き捨てた

 攻撃で死亡した英陸軍のマティー・ハル伍長代理(当時25)の妻で、小学校教諭のスーザンさん(30)は7日付のサン紙のインタビューで、「操縦士たちがいとも簡単に夫を殺したと知り、打ちのめされた」と語った。映像の存在を再三にわたり否定してきた英国防省の姿勢を批判しつつ、検視官による死因審問での真相究明を求めた。

http://www.asahi.com/international/update/0209/004.html [魚拓]

 つまりこれだけ読めば、このパイロットが血も涙もない残虐な人物という印象を与えます。

 以下が、無線通信の様子をもっと詳しく書いたAFP通信の記事です。

イラク戦争時に米軍が英兵士を誤爆、コックピット生映像がTVに流出 - 英国
AFP通信 2007年02月06日 20:26 発信地:英国

写真は、サン紙が入手し、スカイニューズ・テレビで6日に放送された米軍ジェット機のコックピット映像の一部。英軍装甲車を誤爆直後と思われる。© AFP/SKY NEWS

【ロンドン/英国 6日 AFP】英サン(Sun)紙は6日、イラク戦争開戦から8日後の2003年3月28日、戦地で英国軍兵士が空爆により死亡した事件の重要証拠とみられる米軍ジェット機内のコックピット映像の一部を入手した。この映像から、英兵士空爆が米軍の誤爆であったことが明らかになった。

 英国人兵士が乗った4台の「オレンジ色の車両」を、米軍が「オレンジ色のミサイル」と誤認したことが原因とみられる。誤爆したのは、米軍のA-10サンダーボルト・ジェット2機に搭乗した2人のパイロット。

 コックピット映像には音声も含まれており、誤爆に至るまでの経過が克明に記されている。
(会話は一部省略しています)


パイロット1:「車両4台発見。オレンジ色のパネルが見える。このエリアに友軍は?」

米軍地上管制官:「北に800メートルの地点だな?」

パイロット2:「北に800メートルを確認。このエリアに友軍はいない。私は西に回るので、君に攻撃を任せる」

パイロット1:「了解。市内に進入される前に1台目を爆破しよう」

パイロット2:「急げ。早くしろ」

パイロット1:「了解。ああ、ロケット・ランチャーが見えるな」

パイロット1:「爆破完了」

 サン紙によると、このときにパイロット1は英国軍部隊を誤爆。装甲車2台を爆破し、英国人兵士1人が犠牲となった。

パイロット2:「命中だ。・・・・・・ゴーグルをつけたからよく見えるようになった・・・・・・やっぱり友軍ではなさそうだな」

パイロット1:「大慌てで逃げてるぞ。どうだ、見えるか?」

パイロット2:「ああ、友軍じゃない」

管制官:「近くに友軍がいるから気をつけてくれ。黄色の小型装甲車だ」

パイロット2:「なんだって!? まずいな・・・・・・煙が見える」

管制官:「すぐに戻れ。非常にまずい事態だ」

(ここでパイロットがののしる声がしきりに聞こえる)

管制官:「途中にも友軍がいるから注意してくれ」

パイロット2:「了解。ええと、先ほどの友軍の現状は?」

管制官:「1人死亡、1人負傷との連絡があった」

パイロット2:「了解。・・・・・・なんてこった」

パイロット1:「・・・・・・どうすりゃいいんだ」

パイロット2「聞いたか? 刑務所行きだな」

米軍空中警戒管制機(AWACS):「管制、A-10は友軍を誤爆した。作戦失敗だ」

英国軍パイロット:「作戦失敗、作戦失敗」

(ここでまた、米軍パイロットの罵り声がしきりに聞こえる)

パイロット1:「くそっ・・・・・・どうすりゃいいんだ(涙声)。・・・・・・オレンジ色のパネルが、ロケットに見えただけだ。それに、管制官も友軍はいないって言ったのに

http://www.afpbb.com/article/1307204 [魚拓]

 AFPの記事で受ける印象はむしろ米軍の管制官のミスのように見えます。しかし、この無線通信記録もかなり短縮されたものであり、更に訳としてやや正確でない部分もあるため、結局のところザ・サン紙の原文の全文を読まない限り実際何が起こったのかは全く見えないと言う結論に達しました。以下が元になったザ・サン紙の記事です。

 記事はコクピットビデオの会話の全文を含みますが、YouTubeにアップされているビデオに字幕を付けたので、記事のテキスト部分はクリックで見られるようになっています。

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日本のナショナリストにとってY染色体だけが意味がある

NYタイムズの大西記者が女系天皇問題に関して書いた最新記事です。今回はちょっと支離滅裂気味。


WANTED: LITTLE EMPERORS
日本のナショナリストにとってY染色体だけが意味がある
大西哲光
ニューヨークタイムズ 2006.3.12

Katsumi Kasahara/Associated Press

キングメーカー 東京アリーナで数千人の保守主義者が政府の女系容認案に抗議した

Multimedia
Audio Slideshow A Right to Succeed?
 【東京】それは第二次世界大戦以降の日本の天皇制を支持する最も大きい集会の一つだった。約1万300人の男女が武道館に集まり、女性が天皇になり「菊の御紋」をその子孫に継承するという案に対して抗議した。集会の終りに群集は立ち上って一斉に腕を上げながら「天皇陛下万歳」と叫んだ。

 この21世紀に、いったい何が天皇制に関するそれほどの情熱をかき立てるのか?

 女系天皇を認めるかという問題は、日本国外ではしばしば奇異な時代錯誤なものとして紹介されるが、それはこの六ヶ月の間ますます重要問題となって来ている。この問題は日本のナショナリストの運動によって大きくされ、彼等の影響で論争を巻き起こしている。

 第二次大戦への自責を払拭するという新たなバージョンの日本の歴史観を提唱した日本のナショナリストは、今度は皇位継承と天皇制そのものに関して彼等のアピールの核心としている。

 日本のナショナリスト団体で最も大規模なものの一つである日本会議主催のその集会において、前経済産業大臣の平沼赳夫氏は「125代男系で途切れることなく続いて来た例は、日本の皇室以外世界中どこにもない。言い換えれば、それは日本民族の貴重な宝であり、それは世界の宝でもある。」と語った。


 参加者の怒りを買ったのは、女系を認めるという小泉純一郎首相の皇室典範改正案であった。彼のやや右寄りの党の議員達の造反と、明仁天皇の次男の妃が懐妊をしているという予期せぬニュースによって、小泉首相はその案を棚上げにした。

 9月に生まれる予定のその赤ん坊が男子であるなら、徳仁皇太子と雅子皇太子妃の間に男子がないにも関わらず、その問題はもう一世代の間議論の余地があることになる。女子が誕生すれば出発点に戻ることになる。その問題を風化させないために、少なくとも9月までは更なる集会や議論が続くであろう。

 女系天皇反対は、より大きなナショナリストの運動の一部であり、その運動は中国と北朝鮮に更に厳しい姿勢を求め、日本の過去の戦争の歴史への修正主義を強調し、そして日本民族の特別性の神話を押し付ける。実際その集会の参加者の多くは、南京大虐殺が大幅に誇張され、日本はアジア解放のために侵略をしアメリカに嵌められたと主張している政治家や研究者、ジャーナリストである。

 日本の神話では初代天皇の神武は太陽の女神天照の子孫で2665年前に即位したとなっているが、歴史学者は日本の天皇制の始まりは4世紀か5世紀であるとする。平沼氏のような政治的有力者は今やその神話を史実として延べている。更に麻生太郎外相は、日本の兵士は天皇のために死んだのだから、日本の戦没者と14人のA級戦犯が祀られている靖国神社に天皇が参拝しなければならないと発言した。

 これらのコメントに共通しているのは、天皇制が日本の中心であり日本を定義するという信念であり、実際それが日本であるということだ。国内の保守派にとっては、日本の法律から社会習慣までの全てが外国から強要されたものであり、天皇制が純粋に日本を残しているものの一つなのである。

 明治学院大学の原武史教授は「天皇制においては、男系男子のみが皇位を継ぐことが出来る。それは男系による純粋な血を残すためのルールである。過去に8人の女帝が即位したが、年齢または婚姻事情により子を設けなかった。それは皇族外の男性が継承者の父親になる可能性を排除した。女帝は純潔でなければならなかった」と語った。

 20世紀までは側室によって男子継承者の誕生が確実にされていたが、その習慣は現代の日本の社会習慣によりもはや存在しない。


 ハーバード大学で勉学をし多言語に精通した外交官だった雅子皇太子妃が恐らくその大きな変化を最も象徴する存在であろう。1993年当時、彼女は新しい日本女性の象徴だった

 しかしながら、皇室に入って彼女が期待されたことは男子を設けることだけであった。彼女は2001年に女子をもうけているが、それから長い間鬱状態となっている。皇太子は2004年に「雅子のキャリアと人格を否定する動きがあった」と苦言を呈している。

 キャリア?個性? それは、全ての日本の女性は子を産み育てることに献身すべきだと考える保守派を憤慨させた。雅子皇太子妃は右翼の憎悪対象となり、そして過去6ヶ月の間は大手メディアによる絶え間ない攻撃のターゲットとなった。

 保守派は男女平等(又は「ジェンダーフリー」と日本で呼ばれる)の促進をもたらす改革に反対している。それは、他の先進国の女性と比べて日本の女性は経済的、政治的パワーが殆どないという結果を招いている

 しかしながら女性は子を産むというパワーを持っている。そして日本の出産率低下は、多くの女性が男児女児に関わらず子を持たないと決心していることを表している

http://www.nytimes.com/2006/03/12/weekinreview/12onishi.html [魚拓]
訳:Red Fox

*訳文のため、皇族への敬称や表現は原文のまま。

 言いたい事があり過ぎてまとまらなかったのか、結局何を言いたいのか分からないかなり支離滅裂な記事というか、思い入れが強すぎてコケてしまった印象ですが、要約すれば、天皇制は「信念」であり、女系天皇反対は歴史修正主義運動の一環であり、日本の保守層が女性を迫害するから日本が少子化になっていると、そういう事でしょうか。(笑)

日本の外務大臣、中国の軍事強化は脅威であると発言

 今回は赤旗新聞がオオニシ報道です。

「中国脅威」発言は「思慮に欠ける」
米紙、麻生外相を批判
しんぶん赤旗 2005年12月25日(日)

 【ワシントン=山崎伸治】二十三日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、麻生太郎外相が二十二日の記者会見で中国の軍備増強について「かなりの脅威になりつつある」と発言したことについて、「日本の当局者としてかつてなく思慮に欠けるもの」と報じました。

 同紙は、「タカ派で知られる」外相発言が民主党の前原党首による同様の発言を受けたものだと指摘。「もう一人のタカ派」である安倍晋三官房長官も外相を支持、「透明性の確保が外国からの中国への信頼につながるのではないか」と述べたことを紹介しています。

 さらに同紙は、先にクアラルンプールで開かれた東アジア首脳会議で、「小泉首相は靖国参拝のために孤立していることに気づいた」「アジアでは靖国神社は日本軍国主義の象徴とみなすのがほとんどだ」と評しています。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-12-25/2005122501_03_1.html [魚拓]

 ニューヨークタイムズで日本の記事と言えば、当然書いたのは東京支局長の大西哲光記者ですが、このようなアメリカ人や米メディアが関心のないようなニュースをさもアメリカ世論のように演出するのがいわゆる「外圧報道」であるのはお馴染みです。大西記者は特に麻生氏や安倍氏に関して「タカ派」「保守派」「ナショナリスト」(国粋主義者) などのカテゴライズまたはレッテル貼りの単語を異様なまでに多用しますが、ここまで敵意を露骨にする記事というのもある種病的なものを感じます。


日本の外務大臣、中国の軍事強化は脅威であると発言
大西哲光
NYタイムズ 2005.12.23

 【東京12月22日】日本と中国の外交関係は、今年連続して起こった出来事によって既に冷え込んでいる。日本の外務大臣は22日に「中国の軍事強化は脅威である」とぶしつけな発言をし、直ちに北京の反発を受けた

 麻生太郎外務大臣は会見で「(中国は)隣国で10億の民を持って、原爆を持って、その国の軍事費が毎年二桁の伸び。連続17年間。内容は極めて不透明というのであったら、どんなことになるかなということに関しましては、かなり脅威になりつつある、そういう意識はありますね[*1]」と語った。

 北京で中国外務省の秦剛副報道局長は、麻生外相の中国の軍事力に関する発言を「極めて無責任」と強く非難し、「中国は平和発展の道を堅持している。日本の外相がこのとき何の根拠もない中国脅威論を扇動したのは、一体何のためなのかと問わずにいられない[*2]」と語った。

 昨年、中国の軍再編を受けて、日本政府は「中国の軍事強化は国防上の懸念事項である」と表明したが、麻生外相の発言は日本の政治家として極めてぶしつけである。「タカ派で知られる」麻生氏のこの発言は、民主党前原誠司党首の最近の同様の発言に関する質問への返答である

 もう一人のタカ派、小泉純一郎首相の後継者と言われる安倍晋三官房長官は、「麻生氏の発言は、最近の(中国の)軍事費の毎年二桁の伸びは、その透明性を確保することが外国から中国への信頼につながるのではないか、という観点からのものだと思う」と、麻生外相の発言を支持している。

 自然資源確保の競争、東アジアのリーダーの座、歴史問題によって今年の二国間の関係は深刻に悪化している。経済関係が深まっているにも関わらず、特に今年春の中国の反日デモ以来、両国の国民感情は硬直している。中国政府はここ2回の二国間会談を拒否している。今月始めのマレーシアのクアラランプールでの東アジアサミットでは、小泉首相は毎年の靖国参拝(日本の戦没者追悼施設、戦犯も祀られている)によって自らが孤立していることを自覚した。彼は平和のための祈りと言っているにも関わらず、。

 小泉首相の靖国参拝を扱う日本や他国の評論家は、他国の主脳が何のわだかまりもなく訪問出来る非宗教の追悼施設の建設を求めている。しかし木曜日に安倍官房長官は、世論の支持の不足を理由に、来年の予算に新しい追悼施設への調査費計上を見送ることを表明した。

*1. 外務省:外務大臣会見記録(平成17年12月) [魚拓]
*2. 秦報道官と記者との一問一答(朝日新聞 2005.12.23)
http://www.nytimes.com/2005/12/23/international/asia/23japan.html [魚拓]
訳:Red Fox

 まるで中国の代弁者のようなこの記事、NYタイムズは日本叩きよりも、自社の記者が中国当局に拘束されてる件をまず何とかした方が良い。

 圧倒的多数の米国民にとって靖国神社より、共産中国の軍事力強化の方がよほど関心事。アメリカは大平洋戦争の戦勝国であり日本に原爆を落した経緯上、アメリカ人記者であれば靖国の件など首を突っ込みたい筈もない。そういう点この問題で異様なまでに日本政府を徹底的に敵視する大西記者はやはり日系人です。


『嫌韓流』がNYタイムズで報道される

 ニューヨークタイムズの大西記者、今回は『嫌韓流』について書いています。


アジアのライバルを醜く描いた本が日本でベストセラーに
大西哲光
ニューヨークタイムズ 2005.11.19

 【東京11月14日】漫画『嫌韓流』で若い日本人女性は「現在の韓国は日本が造ったと言っても過言ではなくてよ!!」と声高に言う。またこの本には「韓国の文化には何ら誇るべきものはない」とも書かれている。

 中国人が人食いに明け暮れていると描いた漫画本「マンガ中国入門」では、日系人女性が「現代の中国で、思想、文学、芸術、科学、制度など、魅力的なものは何一つないわよねえ」と言っている。

Sharin Yamano/Shinyusha
漫画「嫌韓流」で若い日本人女性が「現在の韓国は日本が造ったと言っても過言ではなくてよ!!」と言う。

 中国人と韓国人を下劣に描き彼等との対立を主張するこれらの二つのコミック本は、この4ヶ月間日本のベストセラーの座を疾走中である。

 アジアの仲間に対する歯に衣着せない強弁的な表現、しばしば侮蔑用語を含み、それらは日本とその他アジア諸国の関係悪化の根底にあるしがらみを明らかにしている。

 そしてそれは大陸から離れたイギリスと同様の日本のアイデンティティの不安を示唆している。この1世紀半の日本の歴史の大半は脱亜西洋化の目標を掲げたものである。今日、中国と韓国の台頭は、経済外交文化面でのアジアのリーダーの座にある日本へのチャレンジであり、それが日本で彼等に対する新たな嫌悪を生んでいる。


 ドイツ文学研究家の西尾幹二さんは「新しい歴史教科書をつくる会」の会長であり、その国粋主義団体は日本の戦時中の残虐行為の記述を中学の教科書から取り除く運動を強力に進めて来た。

 西尾さんは日本が近隣諸国とどのように付合って行くかという問題には無頓着で、福沢諭吉(近代の日本の著名な知識人の一人)が「日本は西洋の優れた国々と競い、アジア、特に進歩の遅い中国や韓国から離れるべきである」と言った1885年と何も状況は変わっていないと言う。

 「なぜ彼等は成長しないのか不思議だ。彼等は変わらない。何故中国と韓国は何も学ばないのか不思議だ。」と西尾氏は言う。

 このコミック本に韓国に関するコラムを書いた西尾氏は、福沢が主張したように「日本は中国や韓国から自らを切り離すべきである。」と言い、「現在私達は韓国と中国を無視出来ない。経済的にそれは難しい。でも精神的に私達の心の中では、冷静を努めそういう態度を続けるべきである。」とも語った。


 ワールドカップで日韓が共同開催した2002年、韓国がライバルとして台頭した事実は多くの日本人を打ちのめした。韓国は日本よりも勝ち進んだ。同じ時期に韓国のテレビドラマ、映画や音楽のいわゆる「韓流」ブームが日本やアジア諸国で起こり、しばしば日本のポップカルチャーにとって替わった。

 女性を中心に起こったその「韓流」ブームは、特にインターネットにおいて対抗運動を招いた。若手漫画家の山野車輪氏は自らのウェブサイトで「嫌韓流」の発表を始めた。

 「嫌韓感情は、ワールドカップ以来爆発的に広がった」と晋遊舎の編集者の丹下晃秀さんは語る。これまでのところ36万部の売り上げがあり編集者達を驚かせたが、それは彼等が考えている以上に嫌韓ムーブメントが強いことを伺わせる。

 もう一人の編集者のヤマナカ・ススムさんは「私達はそんなに多くを期待していなかった。でも蓋を開けてみたら想像を絶する人数の人達が同じ感情を持っていたということだ」と語った。

 300ページ程度で価格も10ドル程度のそれぞれのコミックは、公的機関、知識人や主要ニュースメディアなどで多少の批評を引き出している。例えば日本で最も保守寄りの全国紙の産経新聞は「(その韓国本は二国間の問題の)バランスを失わないように、きわめて冷静に描かれてあったのである」と書いている。[*1]

 一橋大学日本近現代史の吉田裕教授は「国粋主義者や修正主義者が日本の国民一般のディベートを圧倒し、誠実な歴史観の主張が黙殺されている。レイプオブ南京のような歴史を否定する運動が台頭するのは、自信を失いつつある国家のための一種の「宗教」である。自信の欠落から癒しの物語が彼等には必要であり、私達がその話は事実と違うと言っても彼等には何の意味もない」と語った。


 続編を執筆中の「嫌韓流」の著者はインタビューに応じない。この本は韓国の「正しい」理解を追求する10代の日本人の要を主人公にしている。物語の第一章は2002年のワールドカップで韓国のサッカーチームがどのように不正を行なったかが書かれており、後の章では韓国の現在の成功は日本の植民地支配の恩恵であると要が知ることになる。

 西尾氏は「韓国が世界主要国にランクされるのを可能にしたのは日本であって彼等の自力でない」と語った。

 しかしこのコミック本は図らずも、長年のアジアへの優越感と西洋への劣等感という日本の矛盾したアイデンティティを示すこととなる。本に登場する日本人キャラクターは大きな目で、金髪で白人の外観を持ち、韓国人は黒髪で細い目で非常にアジア人の外観を持っている

 多くの日本人が気付いていないこの特殊な美的感覚は日本のポップカルチャーに潜み、それは19世紀後半の明治維新において日本の指導者が「西洋帝国主義を止める最善策は彼等と競う事である」と決断したことに起因している。

 1885年に福沢諭吉(昨今は近代日本の知識人の父の地位に復帰し、一万円札に印刷されている)は「脱亜論」を書き、そのエッセイは日本のアジア侵略と植民地化政策を実証するものと多くの学者が考えているものである。

 福沢はアジア近隣諸国が遅れている事実を嘆いていた。

 福沢は「西洋文明人の眼を以てすれば、三国の地利相接するが為に、時に或はこれを同一視し、支韓を評するの価を以て我日本に命ずるの意味なきに非ず」と書き、アジア近隣諸国に関して「(日本はアジアを抜け出し)むしろ、その伍を脱して西洋の文明国と進退を共にし、その支那、朝鮮に接するの法も、隣国なるが故にとて特別の会釈に及ばず、まさに西洋人がこれに接するの風に従て処分すべきのみ」と書いている。[*2]

 これらの感情に起因して、日本人は白人の外見を大衆向けの絵に描くようになった。最大の変化は日露戦争時 (1904-05) で、戦争を描いた絵では日本人はロシア人よりも長身で高い鼻の、ヨーロッパの敵よりも更にヨーロッパ人に見えるように描かれている。

 長山靖生さんは「日本人は敵よりもハンサムでなくてはならなかった」と語っている。


 新刊のコミック本『マンガ中国入門』は中国人を人食いと売春に明け暮れる人々に描く。ここでも同様の現象が見られ18万部の売り上げがある。

 この本は中国を「世界の売春大国」と称し、証拠もなしにセックス産業が国全体の産業の10%を占めると書いている。中国は病気の出所とされ、小泉純一郎首相が「日本の殆どの伝染病は中国から来ていると聞いている」と言っている様子を描いている。

 この本は日本の戦時中の中国における残虐行為を(事実とすることを)拒絶している。10万人から30万人の中国人が日本兵によって殺害されたと歴史家が言う南京大虐殺 (1937-38) を、国民に反日感情を植え付けるために中国政府によって広められた捏造であると却下している。

 この本はまた日本帝国軍の731部隊(生物兵器の研究や生体解剖、切断手術やその他の人体実験を中国人その他の囚人に行なった)は実際には日本兵を守るために編成されたとしている。

 『マンガ中国入門』の監修の黄文雄さん(66)は「中国で唯一魅力的なのは中華料理だけである」と言う。台湾出身の作家である黄氏はで中国に関する本を50冊以上書き、何冊かは食人に関して、その他は「日本人は戦時中の中国の残虐行為の被害者である」との内容である。「マンガ中国入門」の著者の漫画家のジョージ秋山氏はインタビューに応じなかった。

 台湾の悪意的な反中主義者と同様に黄文雄氏は猛烈に日本ひいきであり日本に40年在住している。今年始めの中国の反日デモは彼の読者層を広げたと黄氏は語った。氏の著書の今年の売り上げは100万部に達した。

 また黄さんは「私は中国に感謝しています、本当に。でも彼等が更にデモをやってくれたなら、私の本の売り上げは200万部に達していたはずなのでがっかりした。」と語った。

*1. 瀬古浩爾『なぜ売れる『マンガ嫌韓流』(産經新聞『断』2005年8月28日)
*2. 福沢諭吉『脱亜論』(『時事新報』1885(明治18)年3月16日)

http://www.nytimes.com/2005/11/19/international/asia/19comics.html [魚拓]
訳:Red Fox

 それにしても「アジアの仲間」と必死に韓国を持ち上げ、黄文雄氏を「悪意の反中主義者」と表現したりと、相当痛々しいですね。この韓国に対する無条件の思い入れは何なのでしょうか。

 ここで書かれている「白人コンプレックス」は、中国人や韓国人も相当なものである意味日本人も足下に及ばない面もありますが、カナダの白人社会で育った大西記者本人こそが強烈な白人コンプレックスの持ち主なのでしょう。今どき白人の方が優れているなんて思っているようなこういう思考回路は今時欧米でも時代遅れです。

 そもそも日本の漫画のデフォルメキャラの場合、可愛さを表すのに幼児的な要素や愛玩動物的な要素を取り入れているから、全体的に丸っこくなったりつぶらな瞳になる訳であって、日本の漫画に出て来る白人キャラはそれとは全然違います。この人全く分かってないですね。

 むしろアメリカの漫画に出て来るアジア人キャラは、人種が「キャラ」になるという多人種国家ならではの背景があるので(例えば『ジャングル大帝』みたいに、動物の種類がキャラになるようなコンセプトと近い)、だから『ムーラン』みたいにアジア人的な特徴の黒髪やらをやたらと大袈裟に描いたりしますが、日本の漫画も理解せずに勝手な分析をする大西記者も所詮はカナダ育ちの移民に過ぎないのだなという印象です。

 大西記者のロジックでは、日本とは近代化の歴史のプロセスの違う東南アジアや中国で日本の漫画やアニメが流行る事への説明には全くならない。


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